セブン銀行の企業概要
セブン銀行は、ATMサービスやローンサービス、インターネットバンキングといった様々な金融サービスを提供している企業です。
名称 | 株式会社セブン銀行 (英名:Seven Bank, Ltd.) |
---|---|
本社所在地 | 東京都千代田区丸の内1-6-1 |
代表取締役会長 | 舟竹 泰昭 |
代表取締役社長 | 松橋 正明 |
設立 | 2001年4月10日 |
開業 | 2001年5月7日 |
資本金 | 30,724百万円 |
発行済株式数 | 1,179,308,000株 |
従業員数 | 549人 |
セブン銀行の事業内容
セブン銀行はどのような事業を展開しているのでしょうか。セブン銀行は、ATMプラットフォームビジネスを軸として事業を展開しており、ATM手数料を収入源としています。
主な事業内容について紹介します。
- ATMプラットフォームビジネス
- リテールビジネス
- 法人ビジネス
- 海外ビジネス
- コーポレート
- IT
- 新規ビジネス
ATMプラットフォームビジネス
ATMプラットフォームビジネス事業では、誰もが安心して利用できるように、例として次のような業務内容を展開しています。
- ATM設置台数の増加
- ATMへの現金補填
- 金融機関や事業会社などの新規提携
また、更なる成長へ向けて、現金チャージ促進や、医療・行政サービスとの連携拡大によるATMの新たな社会的価値の追求を行なっています。
リテールビジネス
リテールビジネス事業では、次のような業務内容などを展開しています。
- セブン銀行アプリである「Myセブン銀行」の開発や運用
- コンタクトセンターの運営(コールセンター)
また、ユニークな金融商品の提供や、日本在住の外国人のお客さまへ向けたトータルサポートなども行なっています。
法人ビジネス
法人ビジネス事業では、一部の例として次のような業務内容を展開しています。
- 口座を持たずともATMを利用して現金の受け取りを行える「ATM受取」サービス
- 本人確認サービス
- 銀行事務の受託サービス
- 不正検知サービス
海外ビジネス
海外ビジネス事業では、「世の中のすべての人たちにお金をより便利に」をミッションとして、一部の例として次のような事業内容を展開しています。
- アメリカやフィリピン、インドネシアでのATMサービスの展開
- ATMのグローバルプラットフォームの構築
また、今後は新規マーケットの開拓やATMのグローバルプラットフォーム上へ新規サービスを多層的に提供することなどを目指しています。
コーポレート
コーポレート事業では、一部の例として次のような事業内容を展開しています。
- コンプライアンス体制の構築
- リスク管理体制の構築
- 財務管理などを通じたビジネス推進や庶務、社員の働き方のサポート
こういった、各業務をスムーズかつスピーディーに進めることができるようサポートを行なっています。
IT
IT事業では、一部の例として次のような事業内容を展開しています。
- セブン銀行口座をより便利に、使いやすくするためのスマートフォン向けアプリの開発
- スマートフォンやマイナンバーカードを活用したATMでの取引きや手続き
- 本人認証といった、従来のATMの持つ概念を超えた新サービスの創造
- AIやデータを利用した企業変革をIT技術面から支える
また、最新のIT技術を活用して、時代やニーズの変化にあった最適なシステムの提供への取り組みも行なっています。
新規ビジネス
新規ビジネス事業では、次のような事業内容を展開しています。
- 新商品や新規サービスの企画・開発
- 新規ビジネスやサービスの調査や研究、開発や推進
- 他社との業務提携の検討
- 国内子会社の戦略策定・管理
また、セブン銀行の金融戦略推進部では、7&iグループの顧客に向けた新規決済や金融サービス提供のための企画や開発をセブン銀行、セブン・カードサービス協働で行っています。
セブン銀行の業績推移|売上・営業利益
セブン銀行単体の2022年と2021年3月期の業績ハイライトは、以下の通りです。
2022年3月期実績 | 2021年3月期実績 | 前年比 | 計画比 | |
---|---|---|---|---|
経常収益 | 1,102億円 | 1,116億円 | △1.2% | △0.6% |
経常費用 | 818億円 | 770億円 | +6.2% | △2.1% |
経常利益 | 284億円 | 345億円 | △17.6% | +4.0% |
(親会社株主に帰属する)当期純利益 | 181億円 | 158億円 | +14.5% | △4.2% |
EBITDA | 433億円 | 476億円 | △9.0% | +0.4% |
経常収益、経常利益はそれぞれ減収、減益となっており、わずかに未達の結果となっています。また、当期純利益は2021年3月の繰延税金資産取り崩し実施の反動によって増益となっています。
セブン銀行の株価推移|過去10年のチャート
株価を中心としてセブン銀行についてみていきましょう。投資をする上で株価は重要な指標となります。
セブン銀行の株価の推移について、過去10年チャートをもとに分析していきましょう。
- 2015年~2021年にかけて株価が下落
- 2021年~2023年にかけて株価が上昇
2015年~2021年にかけて株価が下落
過去10年の株価の動きをチャートでみると、長期的にはセブン銀行の株価は徐々に下落している傾向にあることがわかります。具体的には、2015年4月に最高値647.0円を記録して以降、2020年3月に279.0円まで下落し、同年12月には5年間で最安値の218.0円まで下がりました。
その後も多少の変動はありますが、2022年6月に259.0円となるまでは、200円台前半をキープし続けている状況でした。
キャッシュレス化の影響や新型コロナによる景気後退が要因の一部と考えられます。
2021年~2023年にかけて株価が上昇
2021年11月に記録した228.0円以降、セブン銀行の株価は多少の上下はありますが徐々に回復している傾向にあります。
回復傾向にあるものの、2015年ごろと比較すると株価は依然としてかなり低い水準に位置しています。
なかなか株価が回復しない要因は、次のようなものが考えられます。
- 新機能を追加したATMへの更新にかかるコスト増により経常減益が続いている
- ATM手数料体系の変更によるATM利用手数料の単価が下がったこと
セブン銀行の株主還元|配当・自社株買い
ここまで、セブン銀行の業績状況や株式の動きを過去5年のチャートをもとに紹介しました。
それでは、セブン銀行の株主還元について配当・配送利回り・自社株買いによる株価の推移についてみていきましょう。
- セブン銀行の一株配当・配当利回り推移
- セブン銀行の自社株買い推移
セブン銀行の一株配当・配当利回り推移
■配当金の状況(円/株)
▼スクロールできます
年度 | 中間 | 期末 | 合計 | 配当利回り |
---|---|---|---|---|
2013年3月 | 3.25 | 3.50 | 6.75 | 2.21% |
2014年3月 | 3.50 | 4.00 | 7.50 | 1.85% |
2015年3月 | 3.75 | 4.25 | 8.00 | 1.35% |
2016年3月 | 4.00 | 4.50 | 8.50 | 1.77% |
2017年3月 | 4.25 | 4.75 | 9.00 | 2.47% |
2018年3月 | 4.75 | 5.25 | 10.0 | 2.95% |
2019年3月 | 5.00 | 6.00 | 11.0 | 3.36% |
2020年3月 | 5.50 | 5.50 | 11.0 | 3.94% |
2021年3月 | 5.50 | 5.50 | 11.0 | 4.35% |
2022年3月 | 5.50 | 5.50 | 11.0 | 4.60% |
2023年3月 | 5.50 | 5.50 | 11.0 | 4.15% |
2024年3月(予想) | 5.50 | 5.50 | 11.0 | 3.77% |
購入した株価に対して1年間あたりに配当をどの程度受けることができるかを示した指標のことを配当利回りと言います。
配当利回りが高い株は高配当株と呼ばれ、セブン銀行の2023年3月の配当は一株あたり11円です。
この金額は、2019年3月から変動がありません。
また、2023年3月の配当利回りは4.15%となっています。
直近2年と比べると配当利回りは下落傾向にありますが、東証一部上場企業の配当利回りの平均が2%前後ということを踏まえると、十分高いと言えるでしょう。
セブン銀行の自社株買い推移
セブン銀行が実施した自社株買いについて紹介します。
セブン銀行は、2019年5月10日に発行済み株数の1.13%である1350万株、50億円を上限とする自己株式取得の実施を発表しました。
セブン銀行の自社株買いの推移は以下の通りです。
金額(円) | 進捗率(%) | |
---|---|---|
2019年6月10日 | 11億2070万 | 22.41 |
2019年7月10日 | 27億1929万 | 54.39 |
2019年8月9日 | 37億4673万 | 74.93 |
2019年9月10日 | 38億5762万 | 77.15 |
また、セブン銀行は発行済み株数の0.32%である383万5200株、13億円を上限とする自己株式取得を2023年11月10日に発表しました。
参考:自己株式取得に係る事項に関するお知らせ 2019年|セブン銀行
参考:8410 セブン銀行 | 自社株買い取得株式数・平均単価 2019|IRBANK
参考:自己株式取得に係る事項に関するお知らせ 2023年|セブン銀行
セブン銀行の株価はなぜ安い?上がらない理由は?
セブン銀行の株価はなぜ安いのでしょうか。株価が上がらない、下落している理由について、以下の3つの要因が考えられます。
ここでは、その要因について詳しく紹介します。
- ATM更新費用へのコストがかかっているため
- ATM利用手数料の体系を変更したため
- 業務委託費(人件費)が高騰しているため
ATM更新費用へのコストがかかっているため
セブン銀行では、次のような新規機能を追加するために第四世代ATMへの置き換えを2019年より行っています。
- QRコードの読み取り
- 運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類の読み取り
- スマートフォンとのBluetoothを用いた通信
- 電子マネーのチャージのための非接触ICの読み取り
そのため、セブン銀行の設備投資費用が上昇している傾向にあり、このような減価償却が重荷となって利益が減少している傾向にあるのです。
ATMの入れ替えによる減価償却費は5年で償却しているため、この影響は2025年頃まで続く見込みです。
■減価償却費(セブン銀行単体)
2020年3月期 | 136億円 |
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2021年3月期 | 130億円 |
2022年3月期 | 149億円 |
2023年3月期(計画) | 174億円 |
ATM利用手数料の体系を変更したため
セブン銀行の主要な収入源は、ATMの利用手数料です。
ユーザーがATMを利用するたびに、提携先銀行より利用手数料を受け取ることのできる仕組みを取っています。
このATM手数料は、以前まで「1回ごとの利用で◯円の手数料」というように、手数料の金額は固定されていました。
しかし、2021年度より、ATM手数料の新しい体系を導入しました。
新規手数料体系では、セブン銀行が受け取ることのできる手数料と提携銀行のATM利用手数料とを一致させる仕組みを取りました。
この仕組みでは、セブン銀行の受け取ることができる手数料額は長期的に見ると増加しますが、短期的には大きく減少することとなり、2021年度では45億円の利益減となっています。
この影響により株価が伸び悩む状況となっているのです。
業務委託費(人件費)が高騰しているため
セブン銀行では、「業務委託費」が費用の多数を占めています。これは、セブン銀行が収益源を新たに開拓するために、積極的な投資を行っているためです。これによって業務委託費にかかる金額が高くなっているのです。
業務委託費(セブン銀行単体)
2020年3月期 | 189億円 |
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2021年3月期 | 209億円 |
2022年3月期 | 217億円 |
2023年3月期(計画) | 231億円 |
上記のように、セブン銀行の業務委託費は年々増加していて、これが利益の押し下げの要因となっているのです。
また、業務委託費や物価の上昇に伴う人件費の高騰も進んでいます。
今後さらに人件費が高騰するようであれば、業務委託費の額は更なる増加へと進んでいきます。
実際、セブン銀行の決算説明においても、金利や物価、そして賃金の上昇に伴う業務委託費増加のリスクについて言及されています。
このような利益を押し下げる要因が存在することも、セブン銀行の株価が上がらない理由として挙げられるでしょう。
セブン銀行の株価に対する投資家の口コミ
現在の保有株(平均取得単価)
8410セブン銀行(278円)
8306三菱UFJ(847円)
2127日本M&A(662円)
です。
8410は確定利益が出ると買ってます。
2127はキャピタル用です。引用:X
セブン銀行 株価296.5円
個人的に大好きです❤️
配当利回り3.98%
安いでしょ?
#株式投資引用:X
うん、いい方向に行ってるではないかい‼️楽しみな決算だな、増配でもあれば⤴️だよな、期待しか無い‼️
引用:Yahoo!ファイナンス
買いでいいと思う
メガバンクはじめ、ATMの負担を削減するため、そろそろ
7BKに委託するBKが増えるんじゃないかな引用:Yahoo!ファイナンス
この株価のままだと、新NISA開始時点で、NTTに次ぐ人気株になりそう。
引用:Yahoo!ファイナンス
これらの口コミをみるに、投資家の方々の間では、概ねセブン銀行株は好評のようです。
セブン銀行の株価は今後どうなる?
セブン銀行の株価は、今後どうなるのでしょうか。
ここまで紹介した内容を踏まえて、セブン銀行の将来性や倒産のリスクは低くないのかといった内容について考えていきましょう。
- キャッシュレス化に対応できるかどうか
- ATM事業以外での多角化を図れるか
キャッシュレス化に対応できるかどうか
経済産業省によると、日本のキャッシュレス比率は2013年からの9年間で約2.4倍増加しています。この数値は今後も伸び続けることが予想され、それに伴いセブン銀行の主要な収入源であるATM手数料は減少することが考えられます。
このまま大きな動きへの対応が遅れれば、株価は今と変わらず下落の一途を辿ることとなります。
想定されるキャッシュレス化によるATM利用件数の減少に対して、セブン銀行がATMの更なる社会的価値をいかにして高めることができるかが株価回復の鍵となるといえるでしょう。
ATM事業以外での多角化を図れるか
セブン銀行の収入の柱であるATM事業ですが、キャッシュレス化が進むことによる減収・減益を完全に避けることはできません。
そのため、ATM事業だけを頼りにするのではなく、それ以外にも収入の柱となりうる新規事業による多角化を図る必要があります。
2021年1月から、スタートアップ企業などとともに、新規事業で共創を目指す「セブン銀行 アクセラレーター2021」がスタートしました。
このような試みを用い、時代に合った新たな柱となる事業を創造することができるかがポイントとなるでしょう。
セブン銀行の業績・株価・配当についてまとめ
セブン銀行の収益の柱はATM利用手数料です。しかし、キャッシュレス化による現金利用頻度の低下でATM利用回数の減少が予測されていることによる影響下、株価は下落している傾向にあります。
そのため、セブン銀行の株価の今後を考えていく上で、これからさらに進むであろうキャッシュレス化に対してどのように対応していくのかが非常に重要といえます。また、収益の柱をATM事業以外にも創出することができるのかがポイントとなるでしょう。
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