クボタの企業概要
クボタとは、世界の食糧事情を支える農作機械の製造メーカーであり、トラクターや耕運機等の他、建築機械や産業用ディーゼルエンジンなども製造しています。
アジア圏内でトップのシェア率を誇り、世界的に見ても3位(2021年時点)という日本を代表する農作機械製造メーカーです。以下はクボタの企業概要です。
会社名 | 株式会社クボタ |
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代表者 | 代表者 代表取締役社長 北尾 裕一 代表取締役副社長執行役員 吉川 正人 |
創業 | 1890年 |
資本金 | 841億円(2022年12月31日時点) |
従業員 | 50,352人(2022年12月31日時点・連結) 12,474人(2022年12月31日時点・単独) ※従業員数は就業人員です。 |
本社所在地 | 〒556-8601 大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号 |
上場 | 東京証券取引所プライム市場(証券コード:6326) |
創業は1980年と歴史が長く、当時から農作機械の製造や国内の水道インフラ整備に貢献し、日本を食料と水という観点から支えてきた会社です。
しかし農作機械製造事業の株は、世界の景況に大きく左右される面があるため、株価が変化しやすい株となっています。
クボタの事業内容
クボタは創業されてから食料(農業)と水(水道インフラ)を中心とした事業を構えつつ、環境問題に関する取り組みも積極的に行っています。ここではクボタの主な事業内容を3つ紹介していきます。
- 農業ソリューション
- 水環境ソリューション
- 環境ソリューション
農業ソリューション
クボタは稲作・畑作両方の農作機械を製造しており、農業ソリューションでは農家に寄り添い、現場で求められる機能を実現させるための機械を製造し、世界の農業を根底から支えています。
特に近年ではデータ活用と自動化を合わせることで生まれた新たな農業の在り方である「スマート農業」を推進し、生産率の向上と農家の負担軽減に貢献しています。
水環境ソリューション
クボタは水道インフラに関する事業も取り扱っており、始まりは水道用鉄管の製造でした。それから約130年に渡って技術とノウハウを蓄積させ、あらゆる水循環の場面で活躍する製品を製造しています。
またクボタは水インフラの設計から、資材の調達、施工、メンテナンスまでを一貫して行っており、その技術力は経済発展の過程で生じた水質汚染の改善に大きく貢献しました。
環境ソリューション
クボタの環境ソリューションでは、快適な生活を送るための社会基盤を構築していくのに必要な製品やサービスを提供しています。主に建機やユーティリティビークル、その他空調機器など、社会と産業を支える基盤構築に貢献しています。
環境問題についても配慮し、現在世界が抱えているさまざまな社会課題に先駆けて捉えることで、この先の長い未来まで豊かな生活を持続させることを目的としています。
クボタの業績推移|売上・営業利益
以下のデータはクボタの業績推移です。
出典:クボタ「主要財務データ」
売上に関して言えば、2020年のコロナ時期に一度凹んでしまいましたが、その後2023年にかけて増益となっています。
一方で営業利益に関していえば、2023年は大きく減益しています。売上は上がっているのに営業利益が下がるのは、主にクボタが製造する製品の原材料コストの高騰が原因の1つです。
特にクボタの場合は鋼材、塩ビ樹脂といった主要な原材料が高騰したことで、139億円の減益要因となりました。また材料費の高騰化に加え、米金利の増加がこの営業利益の減益のもう1つの理由でしょう。
とはいえクボタの業績自体は大きく傾くことなく、安定しているので、株の購入検討をする場合はクボタというよりも世界全体の景況に注目していくと良いでしょう。
クボタの株価推移|過去5年のチャート
クボタの業績は売上という点であれば、上昇傾向にありますが、営業利益の方は材料費の高騰化や金利の上昇により苦しい状況にあるといえます。
それを踏まえて、ここではクボタの過去5年分の株価チャートについて解説していきます。
- 2019年〜2021年年にかけて株価が上昇
- 2022〜2023年にかけて株価が下落
2019年〜2021年年にかけて株価が上昇
クボタの株価はコロナが流行し始めた2020年に、一度大きく下落してしまいます。しかしその後、コロナによる影響でリモートワークが普及し、都内ではなく郊外に拠点を持つ人も増えました。
その結果農作機械の需要も上がり、2021年にかけて株価も復調しました。クボタの株は農作機械の製造を主軸としているため、世界の景況に大きく左右されますが、業績自体は伸びています。
これは人口増加に伴い、食料や水をより確保しなければならないという動きから、需要が向上したものだと思われます。
2022〜2023年にかけて株価が下落
2022年以降のクボタの株価は、ゆるやかな下落傾向にあります。その主な要因としては、米金利の上昇と製造に必要な材料費の高騰が原因と思われます。
世界的に人口が増加し、農作の必要性も増したことで農作機械の需要は未だ高いものですが、金利や材料費が高騰してしたことでクボタの営業利益は下がってしまっています。
また、その他の理由としては、クボタの株は世界の景況次第で大きく変動してしているため、2020年に起こったコロナ流行のような不測の事態で株価急落を危惧してしている投資家も多いようです。
クボタの株主還元|配当・自社株買い
クボタの株主還元は配当と自社株買いであり、株主優待は取り扱っていません。
企業の売上自体は上昇傾向にある安定した印象ですが、原材料や金利の高騰によってどのような影響を受けているのでしょうか。
ここでは、クボタの株主還元である配当と自社株買いについて解説していきます。
- クボタの一株配当・配当利回り推移
- クボタの自社株買い推移
クボタの一株配当・配当利回り推移
以下のグラフはクボタの年間配当金と総還元性向の推移です。
出典:クボタ「年間配当推移」
2020年に一時減配していましたが、その後は増配傾向にあります。人口増加やコロナによる農機需要の上昇によって、業績は好調が続いているので、現時点においては配当利回りも4パーセントと高水準となっています。
懸念点があるとすれば、現在株価が下落傾向にあることです。投資家の多くが現在の材料費や金利の上昇を受けて業績が下がる可能性があると考えているのでしょう。
クボタの自社株買い推移
以下の表は、IRBANKに掲載されているクボタの自社株買い実施金額を年度ごとにまとめたものです。
今のところクボタは毎年自社株買いを実施しています。特に売上が好調になって2022年以降は大きく増加しており、自社株買いには積極的な方向であると思われます。
しかし自社株買いを実施しているものの、依然株価は下落傾向にあります。今後の業績次第ではさらに下落する可能性もありますが、売上自体は安定しているので、注意すべきは世界的な景況がどう動いていくかでしょう。
クボタの株価が下落している理由を解説
クボタの株価はなぜ下落しているのでしょうか。
農機メーカーとして安定した売上を出しているものの、世界景況の影響を強く受けているのが大きな要因として考えられます。
ここではクボタの株価が下落傾向にある理由を、さらに解説していきます。
- 欧米の景気が悪化したことによる需要低迷
- 円高の影響により利益減少の可能性があるため
- 材料や物流における費用が上昇した
欧米の景気が悪化したことによる需要低迷
出典:クボタ「地域売上構成」
上記のグラフはクボタの売上構成です。海外の売上が全体の7割以上を占めています。
つまりクボタは日本の景気よりも、海外(特に欧米)の景気によって、株価に大きな影響を受けます。
欧米では2022年以降に金利の引き上げが起こり、市場の冷え込みが進んでいます。農機の需要にも影響が出て、出荷率が大幅に減少しました。
結果今後の業績にも悪影響が出ると嫌気を起こした投資家の売りが増え、株価が下落傾向となりました。
欧米の高金利は2023年も継続する見通しであり、売上もさらに減少していくことが予想されます。
円高の影響により利益減少の可能性があるため
2022年末に、日銀によってYCCの上限が引き上げられましたが、これは実質的な金利上昇で、為替が円高の状況になっています。
さらに、今後も円高が進むという見通しがあり、事業として海外への輸出の割合が大きいクボタにとっては向かい風の状況と言えるでしょう。
一時期円安で、クボタは2022年3Q決算で増収見込みを発表していましたが、円高が進めばそれだけ売上や利益にも多大な影響を及ぼすと考えられます。
短期的に暴落する可能性は低いかもしれませんが、長期運用をする場合、クボタの株価が今後さらに下落してしまうかもしれません。
材料や物流における費用が上昇した
クボタの売上は上昇傾向にありますが、営業利益としては減少傾向にあります。この要因として考えられるのは、製造で用いられる材料費や、物流費が軒並み高騰したことにあります。クボタはこの原価高騰の対策として製品の値上げを行っていますが、それも追いつかず利益としては減少という結果です。
さらに今後製造・物流に関わるコストが高騰し、値上げがさらに進めば、農機需要自体の減少にも繋がる恐れもあります。
そういった未来予想から投資家に嫌気が起こってしまった結果、投資意欲が減退し、株価の下落傾向に繋がったと考えられます。
クボタの株価に対する投資家の口コミ
ここまでクボタの業績や株価に関することを解説してきましたが、実際の投資家の評価はどうなっているでしょうか。
ここでは最近のクボタ株に関する投資家の口コミを紹介していきます。
㊗️クボタ 増配 上方修正
44円→48円
昨日と今日の5銘柄の増配で、配当金が11000円くらい増えた
配当利回り4%、株価2750円の銘柄を新たに100株購入したのと同じ計算
これはすごいことですね引用:X
今日もお疲れ様でした保有株の中で、クボタが今日はめっちゃ強かった!一度も前日終値を割らないのは気分が良いです さて、明日から岸田首相の訪米ここでインバウンド需要とか禁輸解除とか勝ちとって下さいませ!#株式市場 #株価⭕️
引用:X
決算跨ぎをした銘柄はクボタ。
前日のPTSはプラス。寄前の気配も良し。
しれっと売抜けようと思ったら、特売。
就業時間なのでスマホはそっ閉じ。
出社するとそれになり忙しい。
昼休みもバタバタしてて大引け後に株価を確認。
前日比▲8.5円。日足は大陽線
一万円以上の含み損を覚悟してたが助かった引用:X
ちなみにクボタは朝イチ気配が笑えるほど下がってたので打診で1,920円×1,000株信用買いし、仕事中は見れないので2,035円で全株返済売注文を指値しておいたら綺麗に捌けてた。
もっと下がればさらに追加して最悪現引してもいい株価。
ありがたく余力に換えさせていただきました。引用:X
前場は6326クボタ1920円2000株信用買い入れてます。
上方修正でこの株価水準で大きく売り気配、そこは思い切ってインします。#クボタ引用:X
直近のクボタの動向として、配当金の増配が決定したことで、投資家の間ではポジティブな意見が多い印象でした。
配当利回りは4%と高配当という結果です。中には下落のリスクに懸念しつつも、プラスの結果となり安心しているような呟きも見受けられました。
まだまだ下落の危険性はあるものの、現状という点においては増配も決定し、株価は高水準を保っているようです。
クボタの株価は今後どうなるか将来性を予想
クボタの株価は今後どうなるか、将来性を予想してみましょう。
直近では増配を決定し、投資家の中にもポジティブな意見が多いですが、今後のさらに株価は上がっていくのでしょうか。
ここでは、クボタ株の今後について解説していきます。
- 景気減速により短期的には下落傾向
- 増配が決定し株価復調の兆しあり
景気減速により短期的には下落傾向
クボタの株価下落の原因は、材料費や物流費などのコスト増加や、米金利の高騰などの外的要因によるものです。
現在の下落気味な株価が上昇するには、それらの問題の解決が必須ですが、現状では製品の値上げ対策でも追いつかないほど影響が出ています。
ですから、短期的な観点から運用するとなると、下落傾向がまだ続く可能性もあるので注意が必要でしょう。
ただ現在、増配も決定したことから、近いうちに株価も上昇する可能性があります。
増配が決定し株価復調の兆しあり
直近では、クボタは増配を決定しており、配当利回りは4%と高配当となっています。
これらにポジティブな印象を持った投資家も多くなっているため、今後株価上昇の可能性も考えられます。
またクボタの業績そのものは底堅く、今後人口増加などの社会課題が浮き彫りになっていけば、自然と農機や水インフラの需要は高まっていくことでしょう。
そのため長期的な観点から運用するのであれば、むしろ下落傾向にある今が買い時なのかもしれません。
クボタの業績・株価・配当についてまとめ
クボタの株価は下落傾向にあるものの、売上は増収しており、直近でも増配が決定したことから、今後は株価も上昇する可能性があります。
未だ米金利や原材料費・物流費の高騰、円高といった問題は継続していますが、長期的に見れば人口増加問題による農機需要の上昇も見込まれるため、買いを検討してみてもいいかもしれません。
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