デンソーの企業概要

デンソーとは、自動車部品や関連機器を製造・販売する日本の大手企業で、トヨタグループの一員です。
1949年に設立され、本社は愛知県刈谷市にあります。世界30カ国以上に拠点を持ち、グローバルに事業を展開しているのが特徴です。連結子会社は193社、従業員数は約16.2万人に上り、日本以外の従業員比率が50%を超えています。
トヨタ自動車の主要サプライヤーとして知られ、世界的にも高いシェアを誇っています。自動車部品メーカーの中では、世界No.2の売上規模です。
企業名 | 株式会社デンソー |
---|---|
設立年 | 1949年12月16日 |
本社所在地 | 愛知県刈谷市昭和町1-1 |
資本金 | 1,875億円 |
従業員数 | 連結:162,029人 単独:43,980人 |
連結子会社数 | 193社 |
※2024年3月31日時点
デンソーの事業内容

デンソーの事業内容は多岐にわたります。
自動車の主要部品を手がける車載事業を中心に、産業機器や住宅設備機器などの非車載事業も展開しています。
それぞれの事業の特徴や強みを詳しく見ていきましょう。
- 車載事業
- 非車載事業
車載事業
デンソーの主力事業である車載事業は、自動車に不可欠な幅広い部品を製造・販売しています。
エアコンシステムやエンジン制御ユニット、燃料噴射システムなどの主要部品から、電動パワーステアリングやエアバッグシステムといった安全性に関わる部品まで、幅広いラインナップです。
これらの製品は、燃費効率の向上や排出ガスの低減、運転の快適性や安全性の向上など、自動車に求められるさまざまな要素を高度なレベルで実現しています。
また、デンソーは先進運転支援システム(ADAS)や自動運転技術の開発にも積極的に取り組んでいます。電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)の普及にも対応し、パワートレインの電動化や効率化に寄与する製品の開発にも注力しています。
デンソーの製造した部品は、世界トップクラスのシェアを誇るものも多く、自動車業界において欠かせない存在です。
非車載事業
デンソーの非車載事業は、自動車以外の領域で同社の技術力を活かしたさまざまな事業を展開しています。
産業機器の分野では、工場の自動化・省力化に貢献するロボットや制御システムの提供を通じたものづくりの効率化と高度化の支援です。
食品流通の分野では、デンソーが誇る冷凍・冷蔵技術を駆使し、生鮮食品を産地から消費者まで鮮度を保ったまま輸送するためのソリューションを提供しています。
住宅関連で手がけているのは、省エネルギー性能に優れたエアコンやヒートポンプなどの空調機器の開発・製造です。
エネルギー管理の分野では、再生可能エネルギーの利用拡大に向けた蓄電システムやエネルギーマネジメントシステムの提供を通じて、持続可能な社会の実現に寄与しています。
デンソーの業績推移|売上・営業利益

年度 | 売上高(億円) | 営業利益(億円) |
---|---|---|
2020年3月期 | 51,535 | 610 |
2021年3月期 | 49,367 | 1,551 |
2022年3月期 | 55,155 | 3,412 |
2023年3月期 | 64,013 | 4,261 |
2024年3月期 | 71,447 | 3,806 |
2025年3月期 (予想) | 70,900 | 5,500 |
参照(1):2025年3月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結)
参照(2):株式会社デンソー 財務・実績データ
デンソーの業績は近年、大きく成長しています。売上高は2020年3月期の5兆1535億円から2024年3月期には7兆1447億円へと、4年間で約2兆円の増収を達成しました。
営業利益も同様に大きく伸長し、2020年3月期の610億円から2023年3月期には4261億円まで上昇しました。2024年3月期は3806億円とやや減少したものの、2025年3月期予想では5500億円と過去最高益を見込んでいます。
特に2021年3月期以降の業績回復は顕著で、売上高・営業利益ともに大きく伸長しました。自動車産業の電気自動車などへの移行や自動運転化の進展を背景に、着実な成長を遂げています。
(※数値は各年度の決算報告および2024年3月期の業績予想に基づく)
デンソーの株価推移|過去7年のチャート

- 2018〜2020年にかけて株価が下落
- 2020〜2024年にかけて株価が高騰
2018〜2020年にかけて株価が下落

出典:日本経済新聞
2018年初頭に1700円台で取引されていたデンソーの株価は、その後徐々に下落トレンドを示しました。2019年には1200円台まで下落し、2020年にはコロナショックの影響で一時800円台まで急落しています。
この期間の株価下落の背景には、米中貿易摩擦による自動車産業全体への影響や、新型コロナウイルスによる自動車生産の停滞があったと考えられます。また、電気自動車などへの移行期における不確実性も、投資家の慎重な姿勢につながりました。
2020〜2024年にかけて株価が高騰

出典:日本経済新聞
2020年の底値から反転したデンソーの株価は、その後力強い上昇トレンドを描きました。2021年には1500円台を回復し、2023年には2500円台に到達。2024年初めには一時3000円近くまで上昇しています。
株価上昇の要因は、電気自動車などへの移行による部品需要拡大や、半導体不足の緩和による生産回復です。また、EVやADAS(先進運転支援システム)向け製品の開発が進展したことも、投資家の期待を高める要因となりました。ただし、2024年に入ってからは2000円前後での推移が続いています。
デンソーの株主還元|配当・自社株買い

デンソーは、安定的な配当に加えて機動的な自社株買いを実施するなど、積極的な株主還元策を展開しています。
ここでは、同社の配当方針や自社株買いの実績について詳しく見ていきましょう。
- デンソーの一株配当・配当利回り推移
- デンソーの自社株買い推移
デンソーの一株配当・配当利回り推移

デンソーの配当金は、着実な増加傾向を示しています。年間配当金は2020年3月期の35円から2024年3月期には55円へと、4年間で20円の増配を実現しました。特に2024年3月期は、中間配当25円、期末配当30円と大幅な増配です。
配当利回りも2020年3月期の3.1%から2024年3月期には3.3%へと上昇傾向にあり、株主還元の強化を進めています。この継続的な増配は、同社の収益力向上と株主還元への積極的な姿勢を示していると言えるでしょう。
デンソーの自社株買い推移

デンソーは2022年3月期から本格的に自社株買いを開始しました。2022年3月期には4800万株(975億円)、2023年3月期には5800万株(1000億円)の自社株を取得し、2024年3月期はさらに規模を拡大して8500万株(2000億円)の取得を実施しています。
この積極的な自社株買いは、株主還元の強化に加えて、資本効率の向上を目指す同社の姿勢を示していると言えるでしょう。特に2024年3月期の2000億円規模の自社株買いは、株主への利益還元に対する強い姿勢を示すものです。
デンソーの株価はなぜ安いのか解説

デンソーの株価は、世界有数の自動車部品メーカーとしての実力や高い技術力を持つにもかかわらず、なぜ安いと評価されているのでしょうか。
その背景には、自動車業界の構造変化や競争環境の変化など、さまざまな要因が隠されています。
- トヨタ依存からの脱却が最大の課題に
- CASE対応への投資負担が収益を圧迫
- 下方修正で浮き彫りとなった収益力の低下
トヨタ依存からの脱却が最大の課題に
デンソーの最大の課題は、トヨタグループへの高い依存度です。売上の約半分をトヨタグループが占めており、この構造的な依存関係が企業価値の評価に大きな影響を与えています。
特に2024年には、トヨタを含む自動車メーカーの中国・アジア市場における販売計画の下振れが、デンソーの業績にも直接的な影響を及ぼしました。さらに、トヨタのEV戦略の遅れが指摘される中、デンソーもその影響を受け、市場からの評価が低迷する要因の一つとなっています。
この依存度の高さは、デンソー独自の成長戦略実現への懸念材料として捉えられるでしょう。
CASE対応への投資負担が収益を圧迫
自動車業界の未来を形作る4つの重要な技術トレンドであるCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)への対応は、デンソーにとって大きな経営課題です。新技術開発や設備投資の増加により、短期的な収益性が圧迫される状況が続いています。
特に電動化や自動運転技術の分野では、新規参入企業との競争も激化しており、市場シェアの確保が難しくなっています。さらに、世界的な景気減速懸念により新車販売台数が伸び悩む中、特に中国市場での販売低迷が長期化する見通しです。
これらの投資負担と収益性のバランスの課題を乗り越えれば、今後のデンソーの株価にも変化があるでしょう。
下方修正で浮き彫りとなった収益力の低下
2024年10月の業績見通しの引き下げにより、デンソーの収益力に対する市場の不安が高まっています。当初の営業利益予想から1420億円も下方修正され5500億円となり、市場の専門家が予想していた6722億円を大きく下回ることになりました。
主な原因は、中国やアジアでの車の販売が思うように伸びず、工場の稼働率が下がってしまったことです。また、新しい技術開発やコスト削減のための投資負担も重くのしかかっています。
特に工場の稼働率低下は、固定費を十分に回収できないことを意味し、収益の安定性を損なう要因として投資家から警戒されました。さらに、原材料価格の上昇分を販売価格に十分に転嫁できていないことも、収益力低下の要因として指摘されています。
デンソーの株価に関する掲示板の口コミ

投資家の間で交わされるデンソーの株価に関する意見から、自社株買いや配当利回り、株価の値動きなど、さまざまな視点での評価が見えてきます。
私は自社株買いの予算はほとんど使い切ったと思いますよ!
月曜日には現物1899円で買い注文出す予定です引用:Yahoo!ファイナンス
ニーサ枠に入れた、数年売る気はないのでのんびり待つ。
引用:Yahoo!ファイナンス
全然上がる気配がない。半年以上ずっとマイナス更新。関わるだけ時間の無駄に思える銘柄になったので損切して他に行くわ。さいなら。
引用:Yahoo!ファイナンス
少し前に打診して、ヤバそうなので薄利で利確!
またまた打診で買ったものの、、、
今日の値動きが思ったより優し過ぎたのがダマシじゃ無いのか気になります…
まあ、そんな事を気にし過ぎたら何も買えないけど、、、引用:Yahoo!ファイナンス
円高影響ですかね…日経平均株価も上がり下がりで、殆どの銘柄でいえることだけど動きが読めない。
でも一時的な事で、これから少し忍耐は必要かもしれないけど、来週はまず2000円台に戻ってから、それ以上に大きく騰がることに期待して応援しています。引用:Yahoo!ファイナンス
掲示板では、デンソーの株価をめぐってさまざまな投資判断が示されています。NISA口座での長期保有を表明する声や、自社株買いへの期待感を示す意見がある一方で、株価低迷の長期化を懸念する声も見られました。
特に注目されているのは、2000円台回復への期待感です。円高の影響や日経平均株価の変動により、短期的な株価予測は難しい状況ながらも、長期保有での価値を評価する声が目立ちます。
一方で、半年以上にわたる株価低迷に耐えかねて損切りを選択する投資家や、慎重な売買判断を行う投資家もいました。デンソーの株価動向に対する市場参加者の見方が分かれている状況が浮き彫りとなっています。
デンソーの株価が2023年12月13日に急落した理由

2023年12月13日、デンソーの株価は、同社製の燃料ポンプの不具合が原因で死亡事故が発生していたとの報道を受け、急落しました。問題となった燃料ポンプは、特定の車両で使用されており、走行中にエンストを引き起こす可能性があるとされています。
特に、鳥取市で発生したホンダの軽乗用車の事故は、燃料ポンプの不具合によるエンスト後に追突され、死亡事故に至ったことが明らかになりました。この重大な事案は、デンソーの製品の信頼性に対する懸念を大きく引き起こし、投資家の間に売りが広がる要因となりました。
また、死亡事故という深刻な事態を受け、デンソーの企業イメージやブランド価値への悪影響を懸念する声も上がりました。品質管理の問題が浮き彫りになったことで、デンソーの競争力や将来性に対する不安が高まったのです。
デンソーの株価は今後どうなる?将来性を解説

- 新規事業の成功ならば株価上昇の可能性も
- CASE分野の成長があれば株価回復の可能性も
新規事業の成功ならば株価上昇の可能性も
デンソーは現在、トヨタグループへの依存度が57%と高い状況ですが、この構造からの脱却を目指し、積極的な事業展開を進めてきました。特に半導体事業では、自動車向けだけでなく民生機器用市場への参入を計画しています。
さらに農業、物流、FAの3分野でも2030年までに売上高3000億円という具体的な目標を掲げています。これらの新規事業が順調に立ち上がれば、多角化による収益基盤の強化につながり、株価の上昇も期待できるでしょう。
CASE分野の成長があれば株価回復の可能性も
自動車業界の大きな変革期であるCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)への対応が順調なため、デンソーの将来性に期待が高まっています。特に電気自動車向けのバッテリー温度管理技術やモーター技術では、業界でも高い競争力を持っています。
さらに自動運転分野でも、センサーや半導体などの重要部品で市場シェア拡大を目指しており、2025年度の売上収益7兆円、営業利益率10%という目標達成への期待が高まっています。
デンソーの業績・株価・配当についてまとめ
デンソーは、自動車業界における世界的な部品メーカーであり、高い技術力と安定した収益基盤を持っています。近年、業績は着実に回復し、次世代技術への投資への取り組みも積極的です。
一方で、デンソーの株価は割安感があるものの、過去の出来事や株式分割などの影響で、その成長ポテンシャルが十分に評価されていない可能性があります。
配当に関しては、安定的かつ継続的な株主還元を重視しており、自社株買いにも前向きです。
デンソーの今後の展開に注目しつつ、長期的な視点からデンソーの成長を見守っていきましょう。
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