ルネサスエレクトロニクスの企業概要
ルネサスエレクトロニクスとは、世界を代表するマイクロコンピュータのグローバル企業です。
2002年にNECから分社化されたNECエレクトロニクスと2003年に日立製作所および三菱電機から分社化されたルネサステクノロジが2010年に統合して、現在のルネサスエレクトロニクスが設立されました。
自動車、産業・インフラ・IoT分野の高成長市場に向け、組み込みソリューションを提供しています。
企業概要は下表の通りです。
企業名 | ルネサスエレクトロニクス株式会社 |
---|---|
設立 | 2002年11月1日 (営業開始日 2010年4月1日) |
資本金 | 153,209百万円 (2023年12月末) |
従業員数 | 21,204名 (連結 2023年12月末) |
ルネサスエレクトロニクスの事業内容
ルネサスエレクトロニクスは、自動車、産業、インフラ、IoT分野の4つの分野にセンサーからアクチュエーターまで多岐に渡る半導体製品を提供しています。
年間35億個以上のマイクロコンピュータユニット(MCU)を出荷しており、16ビットおよび32ビットMCUのNo.1サプライヤーです。
MCUの出荷先は、約50%が自動車向けで、残り50%は産業、IoT、インフラストラクチャなどの主要市場向けです。
その他、オペアンプやデータコンバータといったアナログ製品、AC/DCコンバータなどのパワーデバイスを提供しています。
様々な製品を組み合わせたポートフォリオ戦略(ウィニング・コンビネーション)で競合優位性を保持しています。
ルネサスエレクトロニクスの業績推移|売上・営業利益
上図は、直近4四半期のルネサスエレクトロニクスの売上高および営業利益の変化を表した図です。(GAAP指標)
今期の売上高成長率は、前年同期比-7.5%、前期比-4.6%です。
また、来期売上高ガイダンスは前年同期比-6.2〜-2.0%で、Non-GAAP営業利益率は30.0%です。(前年同期:34.7%/今期:31.9%) (なお、Non-GAAPとは、会社独自の会計基準で算出した計算方法です。)
上図は、2020〜2023年度の年間売上高および営業利益を表した表です。
2022年度までは高い成長性が確認されていますが、2023年度はマイナス成長です。
上図は、過去12四半期のセグメント別収益を表した図です。
2023年度は自動車向け事業の成長が見られる反面、産業・インフラ・IoT向け事業のマイナス成長が確認できます。
ルネサスエレクトロニクスの株価推移|過去10年のチャート
引用:みんかぶ
ルネサスエレクトロニクスの過去10年間の株価チャートを確認します。
10年間のパフォーマンスは、+334.8%。
2017年は半導体の急激な需要増加により株価が急騰しましたが、11月から需要減速により半導体価格がピークアウトした影響で株価急落につながりました。
- 2017〜2018年にかけて株価が高騰、暴落
- 2022〜2023年にかけて株価が高騰
2017〜2018年にかけて株価が高騰、暴落
引用:みんかぶ
この要因は、中国の需要増加が年初の半導体需要予測を大きく超えた事です。
しかし、2017年11月に米中貿易摩擦による景気見通しの不透明感による中国国内のスマホ需要減速や大手DRAMメーカーの増産によりDRAM型メモリの価格がピークアウトした影響で株価は急落。
2017年11月〜2018年12月に掛けて株価は71.5%の大幅下落を記録しました。
2022〜2023年にかけて株価が高騰
引用:みんかぶ
2022年12月〜2023年7月にかけて株価は128.3%上昇しました。
この要因は、ルネサスエレクトロニクスの強い業績、大規模な自社株買い、2022年度の半導体セクターの需要減速による株価下落からの反発などが挙げられます。
2023年2月に発表された2022年度12月期決算の業績は強く、大規模な自社株買いが発表されて大幅高騰しました。
その後は半導体セクターおよび日本株指数の強さに連動して上昇しています。
ルネサスエレクトロニクスの株主還元|配当・自社株買い
ルネサスエレクトロニクスは、株主還元の一貫として2023年12月期決算に2023年末時点の株式保有者へ28円の年間配当が発表されました。
自社株買いは、過去2年間に2回不定期に行われていますが2023年12月期決算では発表されませんでした。
- ルネサスエレクトロニクスの一株配当・配当利回り推移
- ルネサスエレクトロニクスの自社株買い推移
ルネサスエレクトロニクスの一株配当・配当利回り推移
2023年12月期決算で2005年3月期決算以来の復配が発表されました。
2005年に無配へ変更した理由は、ルネサスエレクトロニクスグループの経営環境悪化や業績低迷による影響です。配当金は、2023年度12月31日を基準日として1株当たり28円の年間配当が2024年3月29日に支払われる予定です。
2024年2月9日引け後の株価を基準にした配当利回りは、1.03%です。次期配当は2023年12月期決算時では未定ですが、継続的かつ安定的な配当を目指すと発表。
ルネサスエレクトロニクスの自社株買い推移
ルネサスエレクトロニクスは、過去2回に渡り自社株買いを行っています。
2022年4月28日~5月31日に約2000億円分、168,067,250株
2023年2月10日~3月10日に約500億円分、40,453,174株
また、2024年2月8日に自己株式の消印が発表されました。消印する株式数は87,839,138株で、発行済株式総数の4.5%に相当します。今後も発行済株式総数の5%を超えた自己株式は原則消印する方針が発表されました。
ルネサスエレクトロニクスの株価が急落した理由を解説
ルネサスエレクトロニクスは度々株価の急落が起こっており、直近では2023年7月〜10月にかけて株価が-31%と大幅に下落しました。
度々の急落の理由について詳しく解説していきます。
- 半導体サイクルによる需要の変化
- 買収戦略に対して投資家の評価が分かれる
- 決算発表による株価の大きな変動
半導体サイクルによる需要の変化
2017年にメモリ需要が大幅に増加した後、減速した影響でルネサスエレクトロニクスを含む半導体メーカーの株価が急騰、急落しました。
2020年〜2021年はコロナショックによる影響で在宅ワークが増加し、在宅用のPC需要増加やサーバー強化によって半導体需要は大きく伸びました。
また、サプライヤーの供給が制限されていたことから顧客が在庫を多く確保していた事が好調の要因でしたが、2022年半ばからは需要低迷と過剰在庫から半導体市場は大きく低迷しました。
半導体市場の見通しからルネサスエレクトロニクスの株価は2022年に下落しました。
半導体の需要が大きく変化する事で業績に影響を与え、株価の変動率を高くしています。
買収戦略に対して投資家の評価が分かれる
ルネサスエレクトロニクスは、企業買収を毎年行っています。
2023年には、Sequans Communications社とPanthronics社の買収が発表されました。
買収企業のほとんどは赤字企業であり、プレミア価格を付けて買収する事への投資家評価が分かれることがあります。
2021年にはイギリスのDialog社を約6157億円で買収しました。
この大規模買収の資金確保のために、発行済株式総数の12%に相当する新株を発行して売り出しを行いました。
その影響で発表翌日に株価が一時-7.2%まで下落しました。
決算発表による株価の大きな変動
ルネサスエレクトロニクスは、投資家期待の高い銘柄で決算発表後に大きな変動が見られます。例えば、良好な業績と大規模な自社株買いを行った2022年度12月期の決算後の株価推移は+14.5%でした。
反対に、マイナス成長が確認された2023年6月期決算では株価は一時-5.9%まで下落しました。
投資家の高い期待値は業績によって支えられている事が多く、成長性が確認できなければ売られやすい傾向がある事に注意が必要です。
ただし、2023年12月期の様に業績が低迷していても復配などの株主還元で株価が上昇する事もあります。
ルネサスエレクトロニクスの株価に対する投資家の口コミ
ルネサスエレクトロニクスは、SNSでどの様な評価をされているでしょうか。
ルネサスエレクトロニクスは、社長インタビューで次あたりの決算では復配も検討していたと話していた。いつも所有している銘柄だけど、半導体の未来とお金の流れがここに向かっていることにかけていた。日々ニュースに触れていることが勝つことのベースなのは間違いない。
引用:X
6723 - ルネサスエレクトロニクス(株)
+168(+7.08%)
来週はストップ高の環境整いましたね。やほー引用:X
買収によって、2025年四半期決算利益で見ますと、まだまだ、かなり割安ですから、3000円台突入は、あっという間でしょうね。
3000円台でも、割安だと思います・・引用:Yahoo!ファイナンス
SOX指数もエヌビディアも今日も目標株価に向けてしっかりと上昇していますね。ルネサスも値固めが徐々に進みつつあり本格的な上昇に向けての準備が確実に進んで来ましたね。
19年間もの間無配当という暗黒の時代を経て、ついに業績の見通しが明るくなり複配も発表のインパクトは大きいです、本格的な上昇はこれからですよ。引用:Yahoo!ファイナンス
PERは今14倍超えたくらいか
目標株価3200あたりだと16倍超えくらい
全然ありえる話ではある
その頃には目標株価は更に上に行っているんだろうけど引用:Yahoo!ファイナンス
半導体セクターの好調さや19期ぶりの復配で投資家の期待が更に高まっています。
配当、自社株買い、業績の伸びに注目が集まります。
ルネサスエレクトロニクスが「やばい」と言われる理由は?
ルネサスエレクトロニクスについて検索すると、関連ワードで「やばい」、「急落」などのネガティブなワードが上位に表示されます。
これだけ投資家の期待が大きい銘柄なのになぜやばいという口コミが書かれたり、検索されたりするのでしょうか?
- 退職した元従業員の口コミが誇張されている
- 変動率の高い半導体銘柄に対する投資家の不安
- やばいという根拠は特に見当たらない
退職した元従業員の口コミが誇張されている
「ルネサスエレクトロニクス」+「やばい」で検索すると一番上に出てくるのは、転職口コミサイトです。
口コミを確認すると、評価はどのサイトでも決して低くはなく、平均点は高い印象です。
ポジティブな点としてやりがいがあり、給料が専門商社では比較的高いと書かれています。
ネガティブな点として福利厚生や労働時間に不満があって退職したと記載されています。
しかし、明確にやばいといった単語や特段ネガティブな内容は見受けられません。
ルネサスエレクトロニクスがやばいというよりは、転職サイトにアクセスされやすいSEO対策が為された結果、検索上位にいると考えられます。
変動率の高い半導体銘柄に対する投資家の不安
ネガティブな検索ワードの背景には、ルネサスエレクトロニクスの株価が度々急落した事が
が要因と考えられます。
投資家は企業について調べる時、株価に反応してネガティブな表現でリスクを探す事がよくあります。
そのため、「ルネサスエレクトロニクス」+「急落」の組み合わせも検索ワードの上位に表示されます。
反対に、株価が好調な時は「ルネサスエレクトロニクス」+「将来性」の組み合わせが上位に出てきます。
また、2021年のDialog社買収時の新株売出し時期に買収に対して懐疑的なコメントが多く出ており、「やばい」や「急落」といった検索に紐づいています。
やばいという根拠は特に見当たらない
ルネサスエレクトロニクスに対する仕事の口コミや業績に対するコメントで、やばいという表現が用いられることはありません。
仕事の口コミも比較的高く、優良企業の印象を持ちます。
また、業績や株価に対してもネガティブなコメントはほとんど見られず、単純に株価が急落する局面で検索される回数が増えているだけと考えられます。
ルネサスエレクトロニクスの株価は今後どうなる?将来性を解説
ルネサスエレクトロニクスの株価は激しい上下を繰り返しながら、大きく上昇してきました。
2023年度12月期決算後、2日で14%上昇しています。今後の株価はどうなるかを解説していきます。
- ルネサスエレクトロニクスの業績展望と株価推移
- 半導体セクターと生成AIの影響
ルネサスエレクトロニクスの業績展望と株価推移
2023年度12月期の業績は売上高のマイナス成長が継続しており、好調な状況ではありません。
しかし、キャッシュフローが堅調なことから配当を復活させて株価は大幅に上昇しました。
ルネサスエレクトロニクスの株価上昇の鍵は、配当や自社株買いの継続と業績の再加速です。
減配や業績低迷が続けば、株価は伸び悩む事が予想されます。
直近は業績の急回復が見込まれていないため、来期決算は2024年度の配当ニュースで株価の維持を狙っている可能性があります。
その後は、買収やシェア拡大によってどれだけ成長性が高められるかが株価の展望を決める要素になるでしょう。
半導体セクターと生成AIの影響
2023年から半導体セクターは生成AIブームにより、株価が一段と押し上がっており、ルネサスエレクトロニクスもその影響を受けています。
ルネサスエレクトロニクスの提供商品と生成AIは関連性が高いとは言えませんが、半導体セクターの展望が今後も株価を左右する事が予想されます。
また、2022年半ばから低迷していた半導体需要も段々と回復しており、業績の回復につながります。
今後、生成AIの需要継続や半導体需要の回復が為されれば、株価は堅調に上昇する事が予想されます。
ルネサスエレクトロニクスの業績・株価・配当についてまとめ
ルネサスエレクトロニクスは、直近業績が低迷していますが配当の復活や生成AIブームの再加熱に伴い、株価は大きく上昇しています。
2023年7月〜10月の株価急落は、業績低迷と株式市場の下落が重なった事で生じました。
今後は、配当の継続や半導体需要の回復による業績改善、半導体セクターの注目度次第で株価が上昇していく事が予想されます。
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