ファナックの企業概要

ファナックとは工作機械用CNCで世界首位のシェア(国内シェア7割、世界シェア5割)、また産業用ロボットでも世界シェア2割を誇っています。もともとは富士通の計算事業部から独立した子会社で、1972年の独立から50年余りで世界有数の企業に成長しました。
法人名 | ファナック株式会社 |
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設立 | 1972年 |
資本金 | 690億円 |
本社 | 山梨県南都留軍忍野村忍草3580 |
ファナックの事業内容

ファナックの事業概要について解説します。ファナックは、機械制御などのCNCを含むFA、産業用ロボットに代表されるロボット、補完的に商品を提供するロボマシンにセグメントが分かれています。
- FA事業
- ロボット事業
- ロボマシン事業
FA事業
FA事業は機械制御のノウハウを駆使して、シンプルな工作機械から複雑な複合加工機まで幅広い技術をカバーしています。
機械は「動かしてみて効果や効率がわかる」では稼働コストが高止まりします。不良製品の原因にもなるこの状況を、ファナックのCNCガイドは予防します。CNCによるシミュレーションは実加工の10倍以上のスピードでシミュレーションできるものもあります。
また加工の際に発生するびびり振動や切削負荷監視機能があります。機械生産が正常に稼働するうえでリスクとなるものを正確に軽減するのが、FAの商品群といえるでしょう。
またCNCと連携するサーボモータ、レーザも提供しています。
ロボット事業
CNCと同じくファナックが世界的シェアを誇るロボット事業です。協働ロボットやミニロボットなど、人力と比べて効率化を促進するロボットを提供しています。
また人力では危険がともなう溶接場面や、大型化による作業が求められる現場にもロボットの高いニーズがあります。
最近のロボットは著しくAI(人工知能)が進化しています。ファナックが誇るロボット技術をより進化させ、正確性かつ安全性を追求するために実装されています。
消費者の口に入る食品・飲料業界用ロボットも提供しており、関連企業の人手不足解消や省人化・省力化に寄与しています。
ロボマシン事業
ファナックのロボマシン事業は高速・高精度・高効率小型切割加工機のほか、ファナック標準CNCを搭載した電動射出成形機、ロボカットのワイヤ放電加工機を提供しています。そのほかIOTとして現場の連携システムやAIモーターを提供しています。
これらの事業分野から分かる通り、ファナックは間接的な機械技術支援を通じ、顧客企業の効率的な生産現場を支えているといえます。
またその対象顧客は日本にとどまらず、世界共通で需要の高いものです。ファナックの世界シェアが高いことの証明ともなる技術レベルの高さといえるでしょう。
ファナックの業績推移|売上・営業利益

ファナックの決算は売上高、経常利益、純利益ともに堅調に推移しています。
日本も含めた各国の経済成長や需要推移によって業績の上下はあるものの、米国・欧州・インド、そして日本のなかで不調の地域があれば、それを補う好調の地域が現れるというセグメント効果があります。
2022年は特にインドでFA事業が好調を迎えており、決算資料ではバンガロールにおける大規模イベントへの出展も報告されています。
同社製品が歓迎すべき地域を情勢をもとに見極め、マーケティングコストを集中的に投下することで、業績に反映できている企業といえるでしょう。
ファナックの株価推移|過去3年のチャート

ファナックの株価をチャートを元に分析します。過去3年の株価推移を見ると、業績と連動して上昇期と下降期が定期的に到来している印象を受けます。
3年間かけて2000円前後のボラティリティは高いように見えますが、同社のように多国市場で展開していることを考えると、リスクは軽減している、と見ることもできます。
- 2021〜2023年にかけて株価が横ばい
- 2022〜2023年にかけて株価が横ばい
2021〜2023年にかけて株価が横ばい

引用:Yahoo!ファイナンス
ファナックのビジネスモデルを考えると、ある程度の株価推移は受け入れざるを得ないといえます。
3年間で2000円の上下がある程度なのか、それともボラティリティが高い銘柄と見るかは、個人投資家の見解に依るといえるでしょう。
なお魚介類を輸入停止にしたような、中国やロシアとの関係へのカントリーリスクへの懸念はファナックの領域は高いとはいえませんが、ゼロではありません。投資家としてはその可能性も踏まえて売買判断をしていきたいものです。
2022〜2023年にかけて株価が横ばい

引用:Yahoo!ファイナンス
より短期的に見ると、2022年後期から下落基調が見て取れます。堅実な決算とは連動していない点と、日経平均ほか市況が上昇しているところを見ると、可能性が高いのは中国不況です。中国は2022年から不動産に代表される不況に襲われており、ファナックも影響を受けた形といえるでしょう。
2024年以降も続くのか、中国から距離を置いて盛り返すのかが、今後の同社の株を判断するテーマとなります。既に通期決算ではインドや台湾への注力を表明しており、経営陣が株価下落の要因を理解していることは間違いありません。
ファナックの株主還元|配当・自社株買い

ファナックの株主還元を、配当と自社株買いの実績から見ていきましょう。なおファナックは自社のホームページに配当や株主還元の情報が掲載されていません。BtoBということもありますが、個人投資家を重視する姿勢とは多少離れていることが読み取れます。
- ファナックの一株配当・配当利回り推移
- ファナックの自社株買い推移
ファナックの一株配当・配当利回り推移
2021年3月 | 58.8円 |
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2022年3月 | 97.1円 |
2023年3月 | 107.1円 |
2024年3月 | 未発表 |
実質配当利回り | 2.72% |
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引用:株予報Pro
ファナックの一株配当は2021年から2023年にかけて増額しています。ただ配当利回りは2.72%と、一般的に高いとされる4%利回りどころか3%を割っており、決して高いレートでの増額ではないことがわかります。
自社ホームページにて株価推移や株主還元の情報が掲載されていない珍しい上場企業です。
同社の技術力の高さを信頼する株主が長期投資をし、また会社側も短中期的な個人投資家よりも長期投資を重視するという姿勢と分析することができます。
ファナックの自社株買い推移
2016年 | 299億8322万円 |
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2019年 | 714億613万円 |
2020年 | 723億8683万円 |
2023年 | 484億4074万円 |
引用:IRBANK
ファナックは定期的に大型の自社株買いを実施しています。このほかに2021年には723億円の自社株買い決議をしていますが実施はしておらず、株価推移と財務状況を見て判断を変えていることがわかります。2024年も477億円の自社株買いを決議し、2月現在6億円の購入が完了しています。
自社株買いを通して株主還元を進め、株価を上昇させる戦略は今後も継続方針であることがわかります。前例があることもあり、2024年に決議されている自社株買いが実施されるか否かに注目です。
ファナックの株価が下落した理由を解説

ファナックの株価が下落した理由を考えます。ここまで見てきたように、ファナックは業績は堅調ですが、配当利回りなどの株主還元は改善が期待できる企業です。最近の株価下落は、中国市場の減速と、その影響をファナックが著しく受けているという投資家の判断によるものと考えられます。詳しく見ていきましょう。
- 不透明な中国市場の減速によるもの
- 中国の減速は相対的ではないのか
- 円安によって国内生産体制に生まれた影響
不透明な中国市場の減速によるもの
2022年からの同社の株価減速は、中国市場の減速によるものです。ファナックのほかにアジア、特に中国に市場を期待する製造業などは、軒並みこの時期に下落しています。
2024年以後も中国市場の不透明感は継続しており、各企業は中国事業への投資を軽減することを模索するようになりました。
ファナックについても中国の代わりに、インドや台湾への投資を強化しています。
今後はロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルのガザ侵攻による中東不安が欧米にどのような影響をもたらすかによって、ファナック社の業績に影響する製造物市況も変化していくことでしょう。
中国の減速は相対的ではないのか
2023年10~12月の中国の実質GDP成長率(季節調整済み昨対比)は+4.1%と伸長率が減少し、中国減速が指摘されています。ただ、この統計で気をつけたいのは、中国で無ければ4.1%の伸びは著しい経済成長と表現されることです。実際に中国を訪れると、減速論の兆しもない勢いに驚かされます。
そもそも13億円を超える巨大市場です。ファナックをはじめとした日本の機械産業にとっては、今後同国の経済成長率よりも、展開している日本の製造業や他国との競合状況に注目すべきといえるでしょう。インドも巨大人口国のため例外としても、台湾や日本国内とは明らかに市場規模が異なります。
円安によって国内生産体制に生まれた影響
為替市場では円安が進行しています。ファナックは山梨県忍野の本社、茨城県の筑波、栃木県の壬生と国内生産体制を追求しており、本来円安はプラスに働くはずです。
株価は相対評価のため、ファナックの誇る国内工場の価値が認められず、前項のような中国市況の影響が生まれてしまったと考えられます。
一方で同社が本社を構える忍野村にて出生率が上昇していることも報道されており、今後の潮目の変化も期待できます。製造体制はもちろん、マーケティングやブランディングを重視する好機といえるでしょう。ホームページを見るとサステナビリティには注力しているため、ほかの部分の「見せ方」も変化を期待します。
ファナックの株価に対する投資家の口コミ

ファナックの株価に対し、SNS上で投資家はどのような見解を持っているのでしょうか。
ファナックは買い時ではないのか?
米国のFA大手のロックウェルオートメーションが株価好調らしい。
日本でFAといえば幾つか銘柄が挙げられるが、うさぎ証券ではファナックを推奨銘柄に挙げたい。
お金がないので今は買えないが、いつかは買ってみたい銘柄の一つである。引用:X
6954:ファナック。
ここだけでなく工作機械関係、売られまくっておりますね。中国在庫が底かな? と思えるまでもう少し時間を要するようです。
ファナックはPER的にもう少し株価を下げる可能性あります。様子見。引用:X
んー、1/31の多量決算の余波が落ち着く2/2(金)頃まで、株をコロコロするのはやめようかな…。
日立建機、信越、ファナックとか見てても、発表後に暴落や急騰して暴落、が散見される気がする。
日本企業は好業績のはず、という期待値が高い上に、そこ目当てで上げてた株価の利確起きてそう。引用:X
本日の作戦
先週末、米ハイテク弱(インテル)原油高い
今週FOMC、GAFAM、AMD決算イベント多く上値重い?
ファナック底打ち?今日の株価反応みたい
マクニカ・CUC決算
CUCは株価底打ちしそうな雰囲気あるが様子見たい
TSMC第二工場は織込済?雰囲気でJマテリアルに飛び乗るか検討引用:X
私が初めて株を買ったのは、バブル崩壊後の長らく株が下がり続けていた時期だった。いつか買いたいと、毎日日経新聞の株価コーナーでチェックしていた #6954ファナック が50万で買えるまで、待ちに待った。そんな懐かしい思い出があるから、いまでもファナックは、私にとって特別な会社なんだよね。
引用:X
短期的なキャピタルゲインに期待するよりも、一種の所有ステイタスのような意見が多い銘柄といえるでしょう。通期や四半期の決算よりも中国の景気減速を論じている意見が多い特徴があります。この減速が一過性か、長期化するかによって、今後のファナックの株価推移の見通しも変わってくるでしょう。
ファナックの株価は今後どうなる?将来性を解説

ファナックの株価は今後どうなるのでしょうか。3つのポイントから分析します。キーワードとなるのは、中国の今後とAI(人口知能)です。それぞれ詳しく見ていきましょう。
- 中国減速の影響を投資家として分析したい
- 注目されていないファナックのAI技術
中国減速の影響を投資家として分析したい
ファナックの株価が中国の景気減速から著しい影響を受けていることは間違いありません。ただ、景気減速イコール中国内の製造業空洞化ではないため、今後もファナックのターゲットとなる市場は充分に期待できる、という見方もひとつの意見です。
銘柄のホルダーとしては、中国が減速するからファナックの株価は上がらないのではなく、同国の関わり方を経営陣がどう考えているか、同時に中国外にてリスクヘッジをどう固めているかを投資家個人が分析することが大事と考えます。
注目されていないファナックのAI技術
ファナックはホームページをはじめとしたブランディングにあまり力を入れていない印象があり、個人投資家が正確に同社の魅力を認識しているとは言い難いです。
あくまで同社のFAやロボットの技術を補完的に支えるAIですが、そのレベルは高いもので、今後同社がAIを活用した商品を提供していくことは、充分に株価上昇要因と考えられるでしょう。
事業内容を紹介するページもIRのページも、手の込んだものではないのですが、サステナビリティのページのみ専門のコンサルタントを入れているかのように作りが異なります。
いまはホームページも重要なブランディングの武器のため、AI技術を前面に出すことで個人投資家に訴求したいところです。
ファナックの業績・株価・配当についてまとめ
ファナックの株価についてまとめました。中国の減速による株価低迷が目立つファナックですが、機械の稼働に不可欠な商品、かつ技術を提供している企業であり、底力は確かなものがあります。同時に自社ホームページに配当や自社株価推移が一切掲載されていませんが、近年の企業IRの基本であるため、改善を期待したいものです。BtoBでも、コンシューマーの方を見てブランディングをする企業が増えている背景を認識した会社になることを期待します。
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