ヤマダ電機の企業概要

ヤマダ電機の企業概要

ヤマダ電機とは、1983年9月に群馬県前橋市において設立された企業です。社名の「ヤマダ」は創業者である山田昇氏から取られています。1999年にテックランドブランドを立ち上げ店舗を全国展開、2000年に東京証券取引所第一部に上場しました。

当初は同じ北関東のコジマ、ケーズデンキと凌ぎを削るなかで、郊外型大規模店舗として地位を確立します。その後もヨドバシカメラやビックカメラなどターミナル駅最寄り店舗が隆盛となるなか、郊外のロードサイド出店をメインとして展開する傾向が強く見られます。なお、2000年代中盤以降からは駅近物件にも積極展開しています。

会社名株式会社ヤマダホールディングス
本社所在地群馬県高崎市栄町1番1号
設立1983年9月
創業者・代表者山田昇
上場証券取引所東京証券取引所

ヤマダ電機の事業内容

ヤマダ電機の事業内容

ヤマダ電機の事業内容について分析します。祖業である家電量販店を軸としつつも、住宅関連や建築業、太陽光など住宅を軸とした多方面展開を進めている印象が強いです。それぞれのセグメントについて詳しく見ていきます。

ポイント

  • 家電事業
  • 住建事業
  • 金融事業
  • 環境事業
  • その他事業

家電事業

祖業である店舗型家電量販店を軸に展開しています。積極的なM&Aにより都市型店舗のほかにもアウトレット・リユース事業、インターネットによる家電販売に進出しています。薬の小売や化粧品も展開しています。大きな話題となった大塚家具は、この家電事業の一部としてブランドを維持している形です。創業当時から現在において、同社の軸と見られる領域です。

住建事業

家電を設置する土台といえる建築会社、ハウスメーカーの提供です。環境を重視したスマートハウスの提供にも企業価値を発揮しています。また住宅に限らず、マンションや店舗、倉庫、工場をはじめとする大型建築工事や、太陽光発電システムを含む再生可能エネルギー、電気通信工事も展開しています。住宅に関わるすべてを事業領域と宣言するヤマダ電機のもうひとつの軸といえるでしょう。

金融事業

金融領域から住を支える事業を展開しています。住宅購入時の住宅ローンやクレジットカードの展開、損害保険を展開しています。これらは住宅購入時はもとより、大きなお金が動く家電の一括購入、保険の加入時などにビジネスチャンスがあります。これから日本は住宅ローンの利率が上昇することが確実視されているため、住宅購入時にまとめて案内することで住宅ローンの取扱いも拡大が見込まれています。

環境事業

リユース(再利用)、リデュース(減量)、リサイクル(再生)は3Rとして提唱されています。ヤマダ電機や家電や住宅といった廃棄性の多いビジネス領域のため、これらの社会課題に積極的に取り組むことで企業価値の向上を目指しています。世界中で掲げられているサステナビリティの実現という意味合いもあります。家電や住宅のほか、中古パソコンの再生や販売も手掛けています。

その他事業

住領域以外にも住宅建材、木造家具といった事業を展開しています。また企業イメージからは離れますが、旅行代理店や人材派遣業も展開しています。ヤマダホールディングスと福岡県が出資した重度障がい者雇用企業もあります。ヤマダ電機が住宅に拘るだけではなく、今後に向けて可能性を有する事業に展開している点が見られます。近年ヤマダ電機にM&Aで参画した会社も目立ちます。

ヤマダ電機の業績推移|売上・営業利益

ヤマダ電機の業績推移

ヤマダ電機の業績推移

ヤマダ電機は売上高1兆円企業です。競合の多いなかで、確固たる地位を築いているといえるでしょう。ただ過去5年売上高は頭打ちであり、管理費以下のやり繰りを以って利益を出している印象を受けます。物価の上昇や同社にとって後押しとなりますが、製造原価の増加や住宅建築素材の原価上昇はマイナス要因となるため、推移が注目されます。2022年にインドネシアにて直営店が進出したことなど、早期から海外展開も取り組んでいたため、今後は人口減の進む日本と切り離した事業展開も期待できるでしょう。最近は家電量販店から住領域の総合企業へ成長する強い意志を感じるため、数字に反映される時期に期待です。

ヤマダ電機の株価推移|過去6年のチャート

ヤマダ電機の株価推移|過去6年のチャート

出典:野村證券

ヤマダ電機の株価チャートです。右肩下がりであるのが留意されます。また定期的に大きな下落が繰り返し発生し、完全に回復しないままに次の下落期を迎えている印象です。年度を分けて見ていきましょう。
ポイント

  • 2022年〜2023年にかけて株価が横ばい
  • 2022年〜2023年にかけて株価が急落

2022年〜2023年にかけて株価が横ばい

2022年〜2023年にかけて株価が横ばい

出典:野村證券

2022年から2023年春にかけ、株価が横ばいの期間が続きます。家電に限らず小売業態は株価が変動しやすいため、このような株価推移は珍しい領域ではないでしょうか。海外に展開しつつも国内事業のパーセンテージが強い点や物価・建築価格の上昇がマイナス要因として挙げられたと予測できます。その一方で売上推移は堅調であり、またM&Aも活発に展開しているため、株価の引き戻しが発生し、長期間にわたり横ばいになったと考察できるでしょう。

2022年〜2023年にかけて株価が急落

2022年〜2023年にかけて株価が急落

出典:野村證券

2022年年末から2023年にかけて株価が急落後、2023年の秋以降に以前の水準近くまで戻しています。日経平均株価が右肩上がりの時期のため、個別企業の要因であることは間違いなさそうです。同時期の業績は売上高、利益ともに悪くはないので、2022年夏の社長交代(創業者の再登板)などが予測されますが、数ヶ月時期がずれているようにも感じられます。その後半年をかけて株価は戻ってきているため、一時的な動きと振り返ることもできるでしょう。

ヤマダ電機の株主還元|配当・自社株買い・株主優待

ヤマダ電機の株主還元|配当・自社株買い・株主優待

ヤマダ電機の株主還元について解説します。とりわけ配当や自社株買い、株主優待はどのような実績となっているのでしょうか。配当に関しては、ここ数年で変動が目立つようです。

ポイント

  • ヤマダ電機の一株配当・配当利回り推移
  • ヤマダ電機の自社株買い推移
  • ヤマダ電機の株主優待

ヤマダ電機の一株配当・配当利回り推移

ヤマダ電機の一株配当・配当利回り推移

出典:MINKABU

ヤマダ電気の配当は2021年-2022年と維持されていましたが、2023年に減少しています。

中間配当期末配当
2023年3月期0円12円
2022年3月期0円18円
2021年3月期0円18円
2020年3月期0円10円

2024年の中間配当は過去4年に続き0円と予想されております。期末配当は未定ですが、2023年の配当額よりは改善する見込みです。

配当利回り平均株価
2023年3月期2.57%465.7円
2022年3月期3.87%464.1円
2021年3月期3.42%526円
2020年3月期1.91%521.6円

ヤマダ電機の自社株買い推移

ヤマダ電機は3-4年置きに積極的な自社株買いを実施しています。そのなかでも2023年は過去最大の872億円の自社株買いを実施しています。

2014年649億9996万円
2018年159億9215万円
2020年421億1388万円
2023年872億9738万円

2023年初頭に株価が下落しているため、同年の自社株買いが行われたと推測されます。実際に2023年後半に向けて株価は回復しているため、自社株買いの効果はあったといえるのではないでしょうか。

ヤマダ電機の株主優待

ヤマダ電機の株主優待は、店舗でも使える買い物優待券の贈答です。

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基準日所有株数発送時期
100-499株500-999株1,000-9,999株10,000株以上
3月末500円分2,000円分5,000円分25,000円分6月下旬
9月末1,000円分3,000円分5,000円分25,000円分12月中旬

ヤマダ電機の株主優待は買い物で使える買い物優待券です。総合的な家電量販店のため、優待券が最も効果的ではないでしょうか。配当は中間と期末で差がありますが、株主優待券は両者にて差はありません。

ヤマダ電機の株価はなぜ安いか理由を解説

ヤマダ電機の株価はなぜ安いのでしょうか。ここまでの各種数字を踏まえたうえで分析します。まずは売上と経常利益から見る財務諸表視点の分析から深堀します。ヤマダ電機の株価推移を見ると、下降線を辿る株価はスポットの業績回復では押し上げられにくいことがわかります。

ポイント

  • 売上や経常利益の回復が株価に反映されるのは今後?
  • 高齢の創業者への社長回帰が影響か
  • IR戦略のアップデートが課題

売上や経常利益の回復が株価に反映されるのは今後?

売上は5年前後大きな落ち込みがなく、微減となっています。2020年から日本のみならず、世界中の経済に大きな影響をもたらした新型コロナに関しても、ヤマダ電機は巣篭り需要をアピールし業績悪化を食い止めたと分析できるでしょう。一方の利益率は2023年から回復の兆しを見せているため、今後の株価において上昇要因になってくるのではないでしょうか。競合が多く広告宣伝費の負担が圧し掛かっている点と、インターネット販売において優勢を確立した企業が一歩抜け出すことは間違いありません。ロードサイドを中心としているヤマダ電機に状況が味方するかどうかに注目です。

高齢の創業者への社長回帰が影響か

2022年にヤマダホールディングスはそれまでの社長に代わり、創業者である山田昇氏が社長として再登板する人事を発表しました。既に山田氏は80代です。このような人事は株式市場において期待よりも、旧来の日本型経営の特徴としてネガティブに評価されることが多いです。ただ山田氏が社長に再登板してから利益率が上がっていることも事実であり、今後の更なる決算発表に期待したいところです。創業者から若手(一族か否かを問わず)へのバトンタッチは株価押し上げ要因になると考えられますので、今後の同社の人事戦略への注目度は高いといえるでしょう。

IR戦略のアップデートが課題

本記事を執筆していて、ヤマダ電機の公式ホームページを参考としたところ、IR情報のページに気がかりを覚えました。一例としては株価推移をクリックすると証券会社のページに推移し、自社の株価管理ページが作成されていないことです。また自社の展開領域も、事実や社名を羅列しており、それぞれの事業においての熱量があまり感じられない印象です。特に公式ホームページを見て「このようなビジネスも展開しているのか」と感じる事業も多く、今後のIR戦略の練り直しが期待されます。自社の女性登用数などは掲載しているので、あとは見せ方に力点を置くことで企業の印象が更に良くなるでしょう。

注目ファンド

詳細な投資分析によるバリュー投資を中心に実践しており、短期的な利益追求ではなく安全性を追求しながら中長期的な利益を求めているヘッジファンド。

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ヤマダ電機の株価に対する投資家の口コミ

ヤマダ電機の株価に対する投資家の口コミです。

ヤマダ電機から優待。
最近は株価死んでますね。。

引用:X

○ヤマダ電機
株価は全く元気はないですけど、株主優待は使いやすいのでおススメです。
今日は4000円の日用品+ビールの買い物して、500円✖︎4枚使用、2000円の支払い。←この支払いは楽天PAYで、期間限定のポイントを消費します。ヤマダのポイント、楽天のポイント両方もらえます!

引用:X

最近ヤマダ電機の株価ツイートが増えてますね。

で、よく見たら既に8営業日連続の下落
今日もマイナスなら9連敗

しかし買い時かと言われると…

引用:X

ヤマダ電機のなんたる体たらくさ
株価だだ下がりやんけ
株主総会に凸やで!と、よく見たら会場は群馬県∑(´□`)ハウァッ!
遠い…
爽快に行く人、後はまかせた

引用:X

おはようございます。
ドルもポンドも動き過ぎ
円が弱過ぎる…

ヤマダ初売りで洗濯機を新調しました。優待で8000円引して日立製のが相当お得に
ヤマダ電機の株価は相当下がってます。優待の長期特典も改悪されましたが、この価格帯は買い時と考えてます。

私が洗濯担当なので到着が楽しみです

引用:X

SNSは同社の株価が下がっていることにすべての意見が傾いています。SNSは短期売買勢が多いことも背景と考えられますが、企業イメージにも良いとは言えないため、挽回に期待です。

ヤマダ電機の株価は今後どうなる?

ヤマダ電気の株価は今後どうなるのでしょうか。現状の下落傾向にSNSでは厳しい意見が並びますが、今後の挽回要因はどのような点にあるのか、いくつかのポイントを予測していきます。

ポイント

  • サステナビリティ推進によって株価上昇の眼あり?
  • 主力の建築領域においてはカントリーリスクに留意

サステナビリティ推進によって株価上昇の眼あり?

企業概要のところでお伝えしたように、ヤマダ電機はマネタイズの地盤が整備されている家電や住宅とは別に、障がい者施設の運営や環境重視領域にも広く展開しています。家電量販店のライバルのなかでは頭ひとつ抜けている印象です。日本市場の株価が評価されると、同社のようにサステナビリティを推進する企業にとっては評価ポイントです。それらも決して慈善事業ではなく、ビジネス化を前提としています。また同社が展開している「住」の領域は環境的な素材や技術も次々と開発・提供開始されており、今後も引き続き優位性が維持されることは疑いがないでしょう。

主力の建築領域においてはカントリーリスクに留意

一方で海外で長期化している戦争が、ヤマダ電機においても主力である建築領域に大きな影響を与えるのではないかという可能性があり、懸念材料とされています。終息の見込みが薄いロシアとウクライナの戦争では、ロシアが木材において日本の主要輸出国だった背景もあり、原材料費の高騰に繋がりました。今後も戦況の悪化においては、カントリーリスクとなる可能性もあります。家電についてはカントリーリスクよりも、円安の影響が大きいでしょう。特にアメリカをはじめ海外で製造している家電は輸入コストがあるため、今後の為替相場に注意したいところです。

ヤマダ電機の業績・株価・配当についてまとめ

ヤマダ電機の株価について分析しました。家電量販店の雄として「住」を軸とした総合生活企業への発展を目指す同社は、最近の売上低迷による横ばいの株価が懸念されております。サステナビリティに深い理解があるため、IRの見せ方によっては印象の変わる企業といえるのではないでしょうか。人材のみならず、企業としての今後の若返りに期待です。

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