三菱電機の企業概要

三菱電機とは、1921年に設立された日本の大手総合電機メーカーです。
事業展開はインフラ部門をはじめ、インダストリー・モビリティ部門、ライフ部門、ビジネスプラットフォーム部門まで多岐にわたります。
インフラ部門では鉄道車両用電機品や無線通信機器などを、インダストリー・モビリティ部門ではプログラマブルコントローラーやインバーターなどを開発および製造しています。
ライフ部門ではエレベーターやエスカレーター、ビルセキュリティーシステムをはじめ、「霧ヶ峰」シリーズで知られる空調機まで幅広く手がけています。
ミサイルや警戒管制レーダーなどの宇宙・防衛エレクトロニクス分野にも密接に関わっており、日本にとって欠かせない企業です。
会社名 | 三菱電機株式会社 |
---|---|
市場名 | 東証プライム |
代表取締役社長 | 漆間 啓 |
本社所在地 | 東京都千代田区丸の内2-7-3 東京ビル |
創立年月日 | 1921年1月15日 |
資本金 | 1,758億2千万円 |
従業員数(連結ベース) | 149,134人 |
※2024年12月時点
三菱電機の事業内容

三菱電機の主な事業内容は、「重電システム」「産業メカトロニクス」「情報通信システム」「電子デバイス」「家庭電器」の5つです。
ここでは事業分野ごとの特徴や強みについて紹介します。
- 重電システム
- 産業メカトロニクス
- 情報通信システム
- 電子デバイス
- 家庭電器
重電システム
重電システム事業は日本政府や大企業など、大口顧客から仕事を請け負う分野です。
具体的には、鉄道車両用電機品やタービン発電機などを製造しています。
三菱電機の重電システムは、エネルギー効率化や社会インフラの安定運用、環境保全など、持続可能な社会の構築に大きく貢献しています。
とくに近年では、再生可能エネルギーの利用拡大やスマートグリッドの構築に向けた技術開発に注力しており、脱炭素社会への移行を技術面から支えています。
産業メカトロニクス
産業メカトロニクスは、工場の自動化や製造業の生産性向上を支える機械や産業用ロボットを取り扱う事業分野です。
具体的には、プログラマブルコントローラー、ACサーボ、産業用ロボット、数値制御装置、電動パワーステアリング用モーターなど、製造業の自動化と効率化に大きく貢献する製品を数多く展開しています。
とくに、MELSECシリーズのシーケンサーは、装置制御から安全・情報・計装制御まで、広く生産ライン・社会インフラを支える国内トップブランドとして知られています。
情報通信システム
情報通信システム事業は、主に宇宙開発や国防政策に関連する部門です。
無線通信機器や人工衛星をはじめ、高度な情報通信技術を駆使した製品とソリューションを開発しています。
なかでも映像解析ソリューション「kizkia」は、AIを活用して監視カメラ映像から特定の「ヒト・モノ・コト」をリアルタイムかつ自動的に検知・通知する技術として注目を集めています。
電子デバイス
電子デバイス事業は、高度な技術革新を支える半導体をメインに取り扱う部門です。
とくにパワー半導体デバイスは、家電や再生可能エネルギー、電源、電力、鉄道、自動車など、あらゆるパワーエレクトロニクス機器の省エネに貢献する主力製品です。
たとえば、SiC(炭化ケイ素)パワー半導体デバイスは、家電、産業機器、鉄道、自動車などのあらゆるパワーエレクトロニクス機器の大幅な省エネ化に貢献しています。
家庭電器
家庭電器事業の代表的な製品は、高効率で環境に優しいルームエアコン「霧ヶ峰」シリーズです。
他にも、食品の鮮度を長持ちさせる技術を搭載した冷蔵庫や、省エネ性能に優れたLED照明器具などを取り扱っています。
独自の技術開発によって省エネルギー性と快適性を両立した製品を多数製造しているほか、使わなくなった家電のリサイクルにも積極的に取り組んでいます
三菱電機の業績推移|売上・営業利益

引用:日本経済新聞
三菱電機は幅広い事業領域を持つ大手メーカーで、2020年3月期から2024年3月期までの売上と当期利益(営業利益を含む)は堅調に推移しています。
2020年3月期の売上高約4兆5000億円・営業利益約3000億円から、2021年3月期には売上高約4兆2000億円・営業利益約1500億円へと減少しましたが、2022年3月期以降は主要事業の回復が進み、回復傾向が鮮明になっています。
2023年3月期時点では売上高約5兆円・営業利益約2500億円に伸び、海外展開の拡大や製造業の投資意欲の増加も追い風となり、2024年3月期も堅調です。
長期的に見ると、多角化戦略や研究開発投資が安定成長を支えている点にも注目すべきでしょう。
(上記は2024年3月期までのデータ)
三菱電機の株価推移|過去4年のチャート

三菱電機の株価チャートを詳しく分析することで、投資判断の重要な指標となる値動きのパターンや、市場評価の変化を読み取れます。
ここでは、過去4年間の株価推移を通じて、三菱電機の成長と変化を探っていきましょう。
- 2021〜2022年にかけて株価が横ばい
- 2023〜2024年にかけて株価が上昇
2021〜2022年にかけて株価が横ばい

引用:日本経済新聞
2021年から2022年にかけての三菱電機の株価は、1400円から1600円のレンジ内で推移し、比較的安定した動きを見せました。
この期間、株価は大きな上下動を見せることなく横ばいを維持しています。2021年初頭には1600円前後で推移していましたが、その後緩やかに下降し、2022年前半には1400円台まで下落。しかし、急激な株価の崩れは見られず、底堅い値動きを示しました。
この横ばい傾向の背景には、新型コロナウイルスの影響による世界的な経済の不確実性や、半導体不足による生産への影響などが考えられます。
2023〜2024年にかけて株価が上昇

引用:日本経済新聞
2023年1月以降、三菱電機の株価は力強い上昇トレンドを示しています。2023年初めには1400円台だった株価は、年末にかけて段階的に上昇を続け、2024年1月には2600円台まで上昇しました。
特に2023年後半からの上昇が顕著で、8月以降は25日移動平均線(青線)を上回る展開が継続。さらに、75日移動平均線(赤線)との乖離も拡大し、明確な上昇トレンドを形成しています。
この期間の株価上昇率は約85%に達し、投資家からの評価が大きく改善していることが見て取れます。
三菱電機の株主還元|配当・自社株買い

三菱電機は自社の株主に対して、どのような株主還元を実施しているのでしょうか。
株主に現金で支給される配当と、三菱電機が株式を買い戻す自社株買いの内容について、それぞれ詳しく解説します。
- 三菱電機の一株配当・配当利回り推移
- 三菱電機の自社株買い推移
三菱電機の一株配当・配当利回り推移
(単位:円)
年度 | 決算年月 | 1株当たり配当金 (年間) | 中間配当金 | 期末配当金 |
---|---|---|---|---|
2019年度 | 2020年3月 | 40 | 14 | 26 |
2020年度 | 2021年3月 | 36 | 10 | 26 |
2021年度 | 2022年3月 | 40 | 14 | 26 |
2022年度 | 2023年3月 | 40 | 14 | 26 |
2023年度 | 2024年3月 | 50 | 20 | 30 |
2024年度 | 2025年3月 | 50.0 (予想) | 20 | 30.0 (予想) |
参照:三菱電機株式会社
三菱電機の配当金は、安定的な増加傾向を示しています。2019年度の年間配当金40円(中間14円、期末26円)から、2020年度は新型コロナウイルスの影響で一時的に36円に減少したものの、その後は着実な回復を見せました。
2021年度以降は年間40円の配当を維持し、2023年度には年間50円(中間20円、期末30円)へと増配を実施。2024年度も同水準の配当を予想しており、株主還元に対する積極的な姿勢が継続しています。
この配当方針は、三菱電機の安定した収益基盤と成長戦略に対する自信を示すものといえます。
三菱電機の自社株買い推移
年度 | 取締役会決議日 | 取得期間 | 取得株式数 (万株) | 平均取得単価 (円) |
---|---|---|---|---|
2021年度 | 2021年6月3日 | 2021年6月4日~2022年3月31日 | 3367 | 1485 |
2023年度 | 2023年4月28日 | 2023年5月1日~2024年3月29日 | 2302 | 1944 |
2024年度 | 2024年8月29日 | 2024年8月30日~2024年10月31日 | 1289 | 2326 |
参照:IR BANK 三菱電機
三菱電機は2021年度から2024年度にかけて、継続的な自社株買いを実施しています。2021年度は4000万株、500億円を上限とし、実際に3367万株を平均取得単価1485円で取得しました。2023年度も同規模の自社株買いを実施し、2302万株を平均1944円で取得しています。
2024年度は規模を2000万株、300億円に縮小したものの、より短期間での集中的な実施により、1289万株を平均2326円で取得しました。
このような継続的な自社株買いは、株主還元の強化と資本効率の向上を示すものとして、市場からも好意的に評価されています。
三菱電機の株価がなぜ安いのか解説

三菱電機の株価は着実に上昇傾向にありますが、三菱電機の事業規模や収益力から見ると、なぜ安いと考えられているのでしょうか。
ここでは、三菱電機の企業価値と株価の関係について、さまざまな角度から分析していきます。
- 中期経営計画の下方修正による影響
- 中国企業との競争激化による市場シェアの低下
- 将来の企業価値と現在の株価の大きな乖離
中期経営計画の下方修正による影響
三菱電機は2025年度に向けた中期経営計画において、主要な財務目標の下方修正を発表しました。具体的には、営業利益率の目標を当初の10.0%から8.0%超へ、ROE(自己資本利益率)を10.0%から9.0%へと引き下げています。
この修正の背景には、主力事業であるFA(ファクトリーオートメーション)事業と空調事業における事業環境の悪化があります。2つの事業は三菱電機の収益の柱となっており、その見通しの引き下げは、会社全体の成長期待にも影響を与えています。
こうした状況を受けて、市場では三菱電機の中期的な成長シナリオに対する期待が低下しました。この目標数値の下方修正が、現在の株価水準に影響を与えている要因の一つとして考えられます。
中国企業との競争激化による市場シェアの低下
三菱電機は、主力事業の一つであるFA(ファクトリーオートメーション)分野において、2021年以降、厳しい市場環境に直面しています。特に中国市場では、現地競合他社の技術力向上と積極的な価格戦略により、三菱電機の市場シェアが徐々に低下傾向にあります。
この状況は一時的な問題ではなく、中国企業の継続的な成長による構造的な課題として捉えられています。特に価格競争力の面で中国企業に優位性があり、これが三菱電機の利益率を圧迫する要因となっています。
市場ではこうした競争力低下への懸念が、株価評価において割安要因の一つとして織り込まれているとみられます。
将来の企業価値と現在の株価の大きな乖離
三菱電機の株価は、短期的な視点では適正な水準に見える一方で、長期的な企業価値との比較では割安な評価となっています。株式市場では通常、将来の成長性や収益予想を織り込んで株価が形成されますが、三菱電機の場合、現在の株価水準はその潜在的な成長力を十分に反映していないかもしれません。
複数のアナリストによる中長期的な株価予想と比較すると、現在の株価は将来の想定株価を大きく下回っており、かなりの上昇する余地があると考えられます。
将来の企業価値と現在の株価との大きな乖離が、三菱電機株が割安と評価される主要な要因の一つとなっています。
三菱電機の株価に対する掲示板の口コミ

投資家の間で交わされる三菱電機に関する意見や期待は、三菱電機の将来性を考える上で参考になります。
ここでは、投資家掲示板に寄せられた主な意見を見ていきましょう。
防衛も菱重工は上がりすぎなのでここを買った。
PER,PBRいいと思う。引用:Yahoo!ファイナンス
頑張った〜
2700超えて今年は終わって欲しいですね!
来年こそ3000目指して
また好決算期待しましょう!がんばれ三菱電機!!引用:Yahoo!ファイナンス
三菱重工とセットでこれから急騰するぜ。防衛費予算が増加したからね。
引用:Yahoo!ファイナンス
レーダー関係は素晴らしい技術力があると聞いています。
又アイウオンに関してチップの開発力が期待されていると聞いています。
私は両方の目的でここを購入しています。引用:Yahoo!ファイナンス
インドの大手防衛関連企業であるバーラト・エレクトロニクス、およびインドにおける三菱電機の防衛事業の代理店であるメムコ・アソシエイツ・インディアと、協業に関する包括的な覚書(MOU)を締結。
今後を期待。引用:Yahoo!ファイナンス
注目を集めているのが、三菱電機の防衛関連事業への期待です。ミサイルやレーダー、情報システムの開発力に対する評価は高く、防衛費予算の増加を追い風ととらえる声が多く見られます。
特にインドの大手防衛関連企業との協業に関する覚書締結は、今後の成長機会として注目されています。
また、半導体関連では、AIに関連するチップの開発力への期待も高まっています。
株価については、2024年内の2700円超えを期待する声や、2025年の3000円到達を予想する意見など、強気な見方が目立ちます。
このように、三菱電機の技術力や成長分野での展開を評価する声が多く、株価の上昇余地を指摘する意見が大勢を占めています。
三菱電機の株価は今後どうなる?将来性を解説

三菱電機の株価は、足元で力強い上昇を見せていますが、今後の成長に向けた取り組みや将来性はどのように評価できるのでしょうか。
ここでは、三菱電機を取り巻く事業環境の変化や成長戦略を分析し、株価の今後の展開について考察していきます。
- 業績向上が持続すれば株価上昇の期待が高まる
- FA事業の競争力が低下すれば株価調整の可能性も
業績向上が持続すれば株価上昇の期待が高まる
三菱電機の2024年4-9月期の業績は、営業利益が1766億円を超え、前年同期比で30%以上の増益を達成しました。これは上期として過去最高の業績であり、三菱電機の収益力の高さを示しています。
この好業績の背景には、二つの重要な要因があります。一つは空調システムや自動車機器部門における価格戦略の成功です。原材料価格の上昇に対応した価格改定を着実に実施し、収益性を改善させることに成功しています。もう一つは円安基調による輸出採算の改善です。
これらの要因により収益基盤が強化され、市場からの評価も高まっており、今後の株価上昇につながる可能性が考えられます。
FA事業の競争力が低下すれば株価調整の可能性も
三菱電機の事業において、懸念材料として浮上しているのが、ファクトリーオートメーション(FA)分野での競争環境の変化です。2021年以降、同分野における市場シェアの低下傾向が続いており、特に中国市場での競争が激しくなっています。
この状況は一時的な問題ではなく、中国の競合他社の台頭による構造的な課題として認識されています。FA事業は三菱電機の主力事業の一つであり、この分野での競争力低下が継続した場合、長期的な収益性に影響を与える可能性があります。
そのため、三菱電機がこの課題にどのように対応していくかが、今後の株価動向を左右する重要な要因となるでしょう。
三菱電機の業績・株価・配当についてまとめ
三菱電機の株価は2023年以降、力強い上昇トレンドを見せており、2024年に入っても堅調な推移を続けています。2024年4-9月期の業績は過去最高を記録し、配当金も年間50円へと増配を実施するなど、株主還元の強化も進んでいます。
一方で、FA分野での競争激化や中期経営計画の下方修正など、いくつかの課題も抱えています。
投資判断の際には、これらの要因を総合的に検討することが重要です。
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