シャープの企業概要
シャープとは、通信機器やさまざまな家電など幅広い製造事業を展開している企業です。ここではシャープの企業概要について詳しく紹介していきます。さまざまな家電や通信機器など、幅広く製造事業を展開しているシャープについて、改めてその企業概要を紹介していきます。
シャープ株式会社は大阪府堺市に本社を構える電化製品の製造・販売メーカーです。
創業は1912年であり、始めは金具や文房具などの研究・製作を主な事業としていました。特にシャープの名前の由来となったのは1916年に発明された金属製の鉛筆の名前エバー・レディー・シャープ・ペンシルでした。
1935年に株式会社早川金属工業研究所として設立し、当時は主に万年筆の付属金具の製造販売を行っていました。現在は資本金50億円、社員数はシャープ連結のみで45,729人となります。
社名 | シャープ株式会社(Sharp Corporation) |
---|---|
住所 | 〒590-8522 大阪府堺市堺区匠町1番地 |
代表 | 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 呉柏勲 |
設立 | 1935(昭和10)年5月 |
資本金 | 50億円(2023年6月末現在) |
社員数 | シャープ連結:45,729名 国内連結:18,294名 (シャープ(株)単体 5,290名、関係会社 13,004名) 海外関係会社(連結):27,435名 |
シャープの事業内容
ここではシャープの事業内容について、詳しく紹介していきます。
- スマートライフ
- 8Kエコシステム
- ICT
- ディスプレイデバイス
- エレクトロニックデバイス
スマートライフ
スマートライフ事業では白物家電や電池などの身近な電化製品を扱っています。例えば冷蔵庫や電子レンジ、太陽電池やLED照明などが挙げられます。
また同様に、生活に身近なものの範疇として、ネットワークの制御ユニットに関しても開発しています。
昔よりも消費電力が高まる生活スタイルとなり、電力量を極力抑えることへの需要が高まっています。スマートライフ事業では時代のライフスタイルに合わせ、よりエネルギー効率が良く、かつ便利な製品の開発を目的としています。
8Kエコシステム
8Kエコシステム事業では、テレビやオーディオなどのAV器機を主要製品として取り扱っています。
8Kというのは映像や画像の解像度についてを指す言葉で、現代では8Kの解像度に5Gを合わせて普及・発展させていくことを目的としています。
より高解像度の映像や画像を通信することができるようになれば、放送分野だけではなく医療やセキュリティといった分野の発展にも役立ちます。
シャープでは他の企業とも連携しながら、8Kエコシステム事業でより鮮明でスムーズな映像や画像を映し出すための開発を行っています。
ICT
ICT事業ではスマートフォンやタブレット機器、ルーターなどを主要製品として取り扱っています。
シャープにおけるICT事業での目的というのは、単に通信技術を発展させて生活の利便性を上げるだけではなく、幅広い分野における生産性の向上を目指しています。
現場での作業をより円滑に進めるために、映像や音声はもちろんのこと、資料なども共有しやすい製品の開発に尽力しています。
ディスプレイデバイス
ディスプレイデバイス事業では、車載カメラやディスプレイモジュールを主要な製品として取り扱っています。
ICTは通信技術に特化している事業であり、ディスプレイデバイスのほうはディスプレイの開発に力を入れている事業といえます。
小型なものから大型なものまで、用途別に最適で、グローバルユーザーの需要にも応える最先端のディスプレイを開発・製造しています。
エレクトロニックデバイス
エレクトロニックデバイス事業ではカメラモジュールやセンサモジュール、半導体レーザーなどを主要製品として取り扱っています。
電子デバイスやモジュールの他にも、半導体事業においても積極的に取り組んでおり、8Kエコシステムにも対応していく姿勢を見せています。
他企業と競争率の高いデバイス・モジュール販売でも優位に立つために、最先端の技術を保有しており、製品の開発を行っています。
シャープの業績推移|売上・営業利益
シャープの業績推移について以下の表にまとめました。営業利益率は(営業利益÷売上)×100にした値としています。
年度 | 売上(百万円) | 営業利益(百万円) | 営業利益率(%) |
---|---|---|---|
2020 | 2,262,284 | 51,464 | 2.27 |
2021 | 2,425,910 | 83,112 | 3.42 |
2022 | 2,495,588 | 84,716 | 3.39 |
2023 | 2,548,117 | -2,548,117 | ー |
多くの企業がコロナショックによる影響で業績悪化する中で、シャープはむしろ売上を上げています。これは外出を控えるライフスタイルになったことで、自宅で映像や音楽を楽しむなどの巣ごもり需要が高まったことが要因であると考えられます。
またインターネットによるビジネスも同時に発展し、通信関係の需要も高まったことで、コロナ禍のシャープの業績は右肩上がりといえるでしょう。
しかし、コロナが収束した2023年には赤字となっています。これはシャープのディスプレイ事業で巨額の損失が発生したためです。コロナによる特需が収束によって一気に減衰してしまったことと、台湾や韓国のメーカとの競合が激しくなったことが原因だと思われます。
シャープの株価推移|過去6年のチャート
コロナ禍でもむしろ業績を上げていたシャープですが、海外企業との競合激化やコロナ収束による電子機器需要の低迷により、2023年にはついに赤字を出してしまいました。
ここではシャープの株価がピークを迎えた2017年の鴻海買収後から、赤字転落してしまった2023年現在までの約6年分の株価チャートについて見ていきます。
- 2017〜2019年にかけて株価が下落
- 2022〜2023年にかけて株価が低迷
2017〜2019年にかけて株価が下落
以下の株価チャートは2017年頃から、コロナが流行り出した2021年頃までの株価チャートです。
出典:Yahoo!ファイナンス
シャープは2017年の鴻海買収後から順調に業績を上げ、株価もピークを迎えています。しかしその後事業環境の悪化による影響でコロナ前の2020年頃まで下落が続いてしまいます。
コロナが流行し、巣ごもり生活からディスプレイなどの電子機器需要が高まり、業績が好調に転じたのは2021年頃からです。
株価もシャープ製品の需要が高まったことで、下落から一転持ち直しました。
2022〜2023年にかけて株価が低迷
以下の株価チャートは2022年から現在までの株価チャートとなります。
出典:Yahoo!ファイナンス
コロナが流行し、外出の頻度が減ったことで、ディスプレイを中心にさまざまな電化製品の需要が高まりました。そのおかげでシャープの業績も一時向上しますが、その後コロナが収束するにつれて高まりすぎた需要の反動から業績が悪化してしまいます。
また同時期に台湾や韓国のメーカーとの競合が激しくなり、液晶事業の不振が明らかとなったことで、株価はさらに下落してしまいました。
一方で2024年には業績が黒字になるという予想が評価され、現在は株価も少し上昇傾向にあります。
シャープの株主還元は配当のみ実施
株主還元といえば配当金の他にも、株主優待や株主分割、自社株買いなどがあります。
シャープが実施している株主還元は配当金のみを実施しています。株価は下降傾向にありますが、配当金の利回りはどうなっているのか紹介していきます。
シャープの一株配当・配当利回り推移
以下の表にシャープの配当と利回りについてまとめます。
年度 | 中間 | 期末 | 合計 | 利回り |
---|---|---|---|---|
2020 | 0 | 18 | 18 | 1.35% |
2021 | 0 | 30 | 30 | 2.09% |
2022 | 0 | 40 | 40 | 2.66% |
2023 | 0 | 0 | 0 | 0% |
シャープの配当は中間はなく、期末のみのものとなっています。2020年以降業績が上昇したことで、配当も順調に増配していましたが、2023年に赤字収益になったことで、配当が0になってしまいました。
ディスプレイ事業の不振は配当にも直接影響しているようです。これもまた株価下降の原因となっていますが、2024年以降再び黒字予想が評価されているので、近いうちに復配もあると考えられます。
シャープの株価はなぜ下がるのか理由を解説
シャープの株価はなぜ下がるのでしょうか。経営環境の悪化から始まり、コロナ収束や海外メーカーとの競合激化など、現在シャープが置かれている状況は良いとはいえません。
ここではシャープの株価が下がる理由について解説していきます。
- 2018年以降伸び悩んでしまっている業績の影響
- 2023年に6年ぶりとなる赤字転落
- 2023年の無配発表により、失望売りが発生
2018年以降伸び悩んでしまっている業績の影響
シャープの株価が低くなっているのは、2018年以降の業績悪化によるものが原因の1つだと考えられます。
特に2018年は米中貿易摩擦によってAppleの売上げに不振が起きてしまい、Apple製品の液液晶製造を請け負っていたシャープの業績にもその影響が及んでしまいました。
その影響が特に大きく、2018年の1年間だけで株価は大きく暴落してしまいました。その後コロナ前までは低迷を続け、コロナによる巣ごもり需要によって株価も一時上昇しましたが、2017年のピーク頃と比べると低めです。
2017年以降上がり下がりが頻繁に起きてしまうシャープの銘柄は値動きが激しく、来年の今頃がどうなっているのか予想するのも難しいでしょう。
2023年に6年ぶりとなる赤字転落
シャープは2023年に6年ぶりとなる赤字を出してしまいました。それまでコロナによる影響で、自宅で過ごす時間が多くなり、自然とスマートフォンなど通信機器や家電製品の需要が高まっていましたが、収束によりこれまでの需要の反動が来たのだと考えられます。
また同時期に韓国や台湾のメーカーとの競合も激化しました。これによりディスプレイ事業が不振となり、ディスプレイ事業に多く投資していたシャープは大損害を被ることになります。
その結果赤字転落したことで、株価も一気に下落してしまいました。コロナ時期は1500円~1200円でしたが、下落後その価格は一時700円前後にもなっています。
2023年の無配発表により、失望売りが発生
2023年に赤字転落してしまったシャープは、2023年の株主還元で配当を無くすことを発表しました。
それまで業績も上がり、増配を続けていただけに、失望してしまった投資家がシャープの株を一斉に売り出すという失望売りが多発してしまいました。
これによりシャープ銘柄の株が大きく下落してしまったと考えられます。
それまで4%近い利回りが0になるというだけでも凄まじい衝撃ですが、シャープは株主還元を配当のみにしているので、無配当というのは致命的でした。当然株価が上がることもなく、低迷を加速させる要因となってしまいました。
シャープの株価が上昇する可能性は?
シャープはディスプレイ事業に過剰なまでの投資を行いましたが、この市場が今後すぐに回復する可能性は低いと見るべきでしょう。
さらにコロナが収束し、スマートフォンなどの通信機器や家電製品の特需が落ち着いてしまった反動も受けてしまったことから、シャープにとってはますます厳しい経営環境だと言わざるを得ません。
一方でシャープの通期決算予想は黒字としています。シャープとしてもこのまま赤字でいられるわけがないので、黒字化のための施策を何かしら打つと考えられます。
もしシャープの業績が改善され、黒字化することに成功すれば、株主還元についても復配する可能性が高いです。そうなれば劇的にというわけにはいきませんが、株価も上昇していくと考えられます。
シャープの株価に対する投資家の口コミ
2023年3月期は赤字で無配。
株価も落ち込んでいる #シャープ ですが、少しずつ明るいニュースも出始めています。
僕は #株主総会 に出席し、シャープ逆襲の希望を持ちました。
まずは年内株価1,100円。今期復配が目標です。引用:X
シャープの株価がいつの間にか自分が株を始めた2016年の株価水準になってた。
引用:X
シャープの株価って月足で見るとヤバいですね…約250万円で買った株が8万円になるんかい…
引用:X
シャープが調理家電で最も強いのはその通りなのですが、それで業績復活するイメージは今のところ湧かないですね.
象印ならインバウンド復活につき、炊飯器バカ売れの夢が再びがあり得ます。
株価にも織り込まれてませんし、象印の方を調べたいですね.引用:X
5月の決算発表後に920円で現物買って含み損状態だったシャープ<6753>の株価が大復活。
一時は756円まで下がるほど酷かったけど、いつかは戻るだろうと放置しておいて助かった~引用:X
シャープの株価に対する口コミは無配のこともあり、ネガティブな意見が多く見受けられます。一方で2024年の黒字予想や、少しずつ快復に向かう様子に長期保有している投資家の中には期待している人もいるようです。
2023年は配当がなくなったり、業績悪化が株価に大きく影響していましたが、2024年の黒字予想から復配の兆しもあるので、今後は株価も徐々に上昇していくと考えられます。
またシャープの取り扱っている製品は、時代の経済状況や流行によっては需要が急に伸びる可能性もあります。何かのきっかけで業績が改善されることがあれば、復配だけではなく株価も一気に高騰していくでしょう。
シャープの今後の株価と将来性
シャープの株価の今後はどうなっていくでしょうか。シャープの株価が落ち込んでいる主な理由は配当がなくなったことと、業績回復の兆しが今のところ見られないことだと思われます。
ここではシャープの株における将来性について解説していきます。
- そう遠くない未来に復配の可能性アリ
- ディスプレイ事業次第では株価高騰の可能性もある
そう遠くない未来に復配の可能性アリ
シャープは2020年にコロナが流行り出して以降、業績が回復傾向に向かったため、配当に関しても増配がされています。
つまりシャープの配当は業績と強く連動しているということです。そのため赤字転落してしまった2023年では無配となってしまいましたが、2024年に黒字予想されていることから、復配の兆しも見えてきています。
過去シャープが無配から復配になったのは、2017年です。この時は自己資本比率が16.6%まで改善されたことで復配が決定しました。
2024年の自己資本比率予想では14.7%まで快復しているため、過去の事例から見ても復配はそう遠くない未来に来ることでしょう。
ディスプレイ事業次第では株価高騰の可能性もある
2024年の通期決算の予想では黒字となっているシャープですが、今のところディスプレイ事業に明るい兆しは見えていません。
シャープはディスプレイ事業に大きく力を入れていたので、ここの業績が回復するかどうかで株価の推移も変わってくることでしょう。
しかしコロナによる予想外の需要高騰もあったことから、ディスプレイ事業も何がきっかけで業績改善されるか分かりません。
市況は未だシャープにとって厳しい状況にありますが、今後注目していく必要はありそうです。
シャープの業績・株価・配当についてまとめ
本記事ではシャープの株価がどうして低迷し続けているのか、その原因と今後の予想について解説していきました。
シャープ株価の下落原因として、2023年の無配や海外メーカーとの競合の激化による影響が大きいと考えられます。またディスプレイ事業の市場にも明るい兆しは見えていないことから、まだしばらくはシャープは厳しい経営環境に置かれることでしょう。
一方で2024年の通期決算予想は黒字になっていることから、近い未来に復配やシャープ株の高騰の可能性もあるでしょう。
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