村田製作所の企業概要

村田製作所の企業概要

村田製作所とは、京都に本社を置く電子部品メーカーです。海外売上比率が90%を超えており、グローバルカンパニーと言えます。

企業概要は下表の通りです。

企業名株式会社村田製作所
設立1950年12月23日
資本金694億44百万円(2023年3月31日現在)
従業員連結:73,164名
個別:10,089名(2023年3月31日現在)
主な事業ファンクショナルセラミックスをベースとした電子デバイスの研究開発・生産・販売

村田製作所の事業内容|電子デバイスの研究開発・生産・販売

村田製作所の事業内容

村田製作所の事業内容は、電子デバイスの研究開発・生産・販売です。最終製品ではなく部品であるため外からは分かりにくいですが、ロボット、自動車、スマホ、PC、ヘルスケア製品と幅広く導入されています。

中でも、下図の部品は世界のトップ層のシェアを誇り、技術力が高い事業を保持しています。

村田製作所の事業内容

製品別の売上では、コンデンサが最も多く約44%となっています。また、地域別では中華・アジア圏で約65%で、日本は売上の10%未満という事業構成となっています。

村田製作所の事業内容

2024年度までの中期経営計画では、通信、モビリティ、環境、ウェルネスの4領域を事業機会と捉え、事業を推進しています。

村田製作所の業績推移|売上・営業利益

村田製作所の連結での売上と営業利益を示したのが以下のグラフです。売上について、2020年に若干落ち込みを見せているのは米中貿易摩擦による監視カメラや通信機器の取引禁止等の影響です。2022年に持ち直しているのは、新型コロナウイルスによるリモートワークや巣ごもりでPCやスマホの需要が発生し、電子部品へのニーズも高まったことが背景です。

村田製作所の業績推移

また、同じく連結での営業利益率を見てみると20%弱を推移しており、一般的な製造業の平均4%(出典:経済産業省 統計)よりも高い数値を維持しています。シェアの高さから価格主導権を持っていることがうかがえます。

村田製作所の業績推移

村田製作所の株価推移|過去5年のチャート

村田製作所の株価推移

次に、村田製作所の株価チャートの推移を見てみましょう。前述の売上や営業利益の期間と合わせ5年分を観察し、その動きの特徴と、その背景にあった事象を把握します。海外売上割合が大きいため、当然グローバルでのイベントが大きく影響を与えることになります。

ポイント

  • 2019〜2021年にかけて株価が上昇
  • 2022〜2023年にかけて株価が横ばい

2019〜2021年にかけて株価が上昇

この時期の株価は好調に推移しています。これ以前は米中貿易摩擦の影響で株価は上がったり下がったりを繰り返していましたが、新型コロナウイルスの蔓延は株価にはプラスの影響を与えました。

企業はリモートワークを推進することでサーバの需要が増え、個人にも巣ごもりでスマホやPCの買い替え需要が発生しました。特に、村田製作所が製作する高度な電子部品が使われる機器の需要が逼迫し、関連部品で高いシェアを持つ村田製作所の株式は購入されることとなりました。

村田製作所の株価推移

2022〜2023年にかけて株価が横ばい

2022年から現在までは、株価は横ばいの動きです。これは、前述の新型コロナウイルスによる電子部品の需要逼迫の動きが一息ついたことを表しています。

このような株価の傾向は、村田製作所と同様に先進的な電子部品製造メーカーや半導体関連企業でも見ることができます。

特に村田製作所は、2020年に株価が1,800円から3,000円に大きく株価が上昇したこともあり、その反動で動きが鈍くなっていることも背景として挙げられます。

村田製作所の株価推移

村田製作所の株主還元|配当・自社株買い

村田製作所の株主還元

次に村田製作所の株主還元施策として、配当や自社株買いの動きを見てみましょう。

配当性向については、日本企業は一般に30−40%と言われているのに対し、過去5年は30%前後となっているため、平均的と言えます。

ポイント

  • 村田製作所の一株配当・配当利回り推移
  • 村田製作所の自社株買い推移

村田製作所の一株配当・配当利回り推移

村田製作所の一株あたりの配当は以下表のようになっています。大きな特徴として挙げられることは、過去5年は減配がなく増配をしていることです。これは投資家にとって、判断の1つのポイントになるのではないでしょうか。

各3月期一株あたり配当金
2024150.00(予定)
2023150.00
2022130.0
2021115.00
202097.00
201993.33

配当利回りについては、2019年時点で東証1部上場の配当実施企業における平均は1.92%であったことから、こちらも平均と同程度となっています。

各3月期配当利回り
20241.8%(予想)
20231.87%
20221.6%
20211.3%
20201.77%
20191.69%

出典:IR BANK

村田製作所の自社株買い推移

一般に自社株買いは、投資家が保持する株式の価値を高めると言われており、株主還元施策の1つです。

村田製作所の自社株買いの推移は以下表の通りで、2022年度に800億円規模で実施しています。10年ぶりのタイミングでの実施は、業績の章で見た通り売上、利益が大きく伸びた年であり、業績改善の成果が投資家に還元されたかたちになります。

各3月期自己株式取得額(億円)
2023800
20220
20210
20200
20190

村田製作所の株価はなぜ上がらないか理由を解説

村田製作所の株価が上がらない理由

村田製作所の株価が上がらないのはなぜかを考察してみます。2022年に大きく跳ね上がった株価は、その後反動で上がりにくくなっていることは先に述べた通りですが、それ以外の理由は何でしょうか。

ポイント

  • 中国経済失速による電子部品ニーズの低迷可能性
  • 部品在庫の積み上がりによる発注減
  • 金利上昇に伴うグロース株の低迷

中国経済失速による電子部品ニーズの低迷可能性

株価が上がらない理由の1つは中国経済の失速懸念です。中国での旺盛なスマホやPCへの需要は、組み込まれる電子部品へのニーズを高めていましたが、その熱は一旦去りました。

村田製作所は中華、アジア圏での事業割合が約65%と大きいため、この影響を受けていることが推察されます。

中国経済は読むのが難しいマーケットでもあるため持ち直しの可能性もありますが、判断するための情報や材料が現時点では出てきていない状況です。そのため、村田製作所の株式についても様子を見ている投資家が多く、株価の上昇に繋がっていかないのでしょう。

部品在庫の積み上がりによる発注減

新型コロナウイルスによるリモートワークや巣ごもり需要は、一時的に村田製作所への特需をもたらしました。一方で、その反動が現在来てしまっています。

最終製品のメーカーは、新型コロナウイルスの時期に部品不足に陥りました。そのため、各メーカーは在庫を確保することで乗り切ろうとしました。その時期を乗り切れば、今度は在庫が積み上がっているため部品メーカーへの発注を減らすことになります。

2023年10月時点では、部品によって在庫状況は異なるでしょうが、最終製品メーカーが積極的な発注姿勢にはなっていないことがうかがえ、電子部本メーカーの株価も冴えないことになっています。

金利上昇に伴うグロース株の低迷

村田製作所はグロース株と言えます。グロース株の特徴は、先進的な技術を持ち将来大きく成長が期待される銘柄です。村田製作所は、半導体を組み込み先進ビジネスへの適用が期待される部品を製造していることから、現在の株価にはその将来性も反映されています。

将来生み出す価値は現在の価値に換算して計測されますが、その際には金利が使われます。金利は、現在価値換算する際に割引率として使われ、金利の上昇は将来価値を目減りさせることになります。

つまり、現在のように世界的に金利が上昇している時は、村田製作所の株価は上がりにくいことになります。

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村田製作所の株価に対する投資家の口コミ

村田製作所の株価に対する投資家の口コミ

ここで、村田製作所に投資している人の口コミからその評判を観察してみましょう。

日本政府が重要物質にいくつかの先端電子部品を指定するそうや。その中にMLCCが入ってると日経新聞が今日報道してんねん。政府がMLCCのメーカーに対していろいろ支援をすると思うで。非常に重要な電子部品や
村田は素晴らしい会社ですが☔☔ 中国共産党の国に莫大に投資している事が問題だろう スパイ罪 投資している資本が日本の本社に持って帰れない法律も簡単に作るだろう? 共産党は怖いだろうね
何のために株式分割したんだろうか。8000円割れなら普通の投資家は、買えるだろうに。出来高もそう増えているわけでもなさそう。新ニーサ対応と言っても、素人が投資するわけでもないだろう。製造拠点見直し・販
中国に大きな投資して大丈夫かな❌❌経営陣の能力無いんだろうか❓  行きはよいよい帰りは怖いと言う唄あったね⁉️ 投資した資金が返ってくればいいんですが❓心配だろうね⁉
今日は太陽誘電もTDKも2%の上げ。 三者揃い踏みで上げ上げのようだな。アップル効果もありか?

口コミを見ると、中国への依存度が高いことを懸念しているものが散見されます。また、先進部品を製造していることへの期待や、アップルのような巨大企業との取引関係に注目する口コミもあります。

全体を通しては、リスクを注視して動かない投資家と、先進性や技術に力点を置き、ポジティブな見方をしている投資家が混在しているような様子です。

株価が大きく動いておらず横ばいに近い状態では、投資家は買い、もしくは売りに判断情報を探し、様子見をしている状況でしょう。

村田製作所の株価は今後どうなる?

村田製作所の今後の株価

村田製作所の株価は今後どうなるのでしょう。横ばいの動きから上昇か下降のどちらの方向に向かうのか、外的要因と内的要因をもとに想定される動きを把握し、保持すべき銘柄であるか考察してみます。

ポイント

  • 電子部品に対する需要の回復が見込まれる
  • 先行投資の効果が今後徐々に発現する

電子部品に対する需要の回復が見込まれる

電子部品の需要に関しては明るい要素がいくつかあります。日本貿易振興機構(JETRO)は、1年続いた半導体市場の縮小が底打ちし、2024年には回復するという見通しをしています(出典:JETRO)。これは、半導体を使う電子部品需要の増加にもつながる動きと言えるでしょう。 また、スマホの5Gの普及もプラス要素です。総務省の予測では全世界で5Gが普及することが述べられています(出典:総務省 白書)。 デジタル化がグローバルで進む中で、村田製作所が高いシェアを誇る分野での需要拡大が見込まれることは、今後の株価についても期待が持てる動きです。

先行投資の効果が今後徐々に発現する

村田製作所は、2024年までの現中期経営計画において、設備投資で6,400億円、戦略投資で2,300億円を打つとしており、業績が大きく拡大していない中でも先行投資を行い差別化を図っています(出典:村田製作所)。 投資対象は、生産拡大の設備投資、環境、技術獲得、リスク対策、ITインフラ強化となっており、長期的な視点で攻めと守りの投資が図られています。この効果が今後徐々に現れてくることが、株価においては期待材料となります。

村田製作所の業績・株価・配当についてまとめ

村田製作所は、現在電子部品で高いシェアを誇る製品を持ち、今後のマーケット環境や先行投資の効果から、株価の上昇が期待できる銘柄と言えるでしょう。

海外でも特に中国での売上割合が高いことはリスク要因ではありますが、技術的な差別化が実現できていることは大きな強みです。

地政学リスクも考慮した上で、投資家が保有する銘柄の1つに組み込むことは悪い選択ではないでしょう。

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