三菱自動車の企業概要
三菱自動車とは、三菱グループに属する自動車メーカーです。重工業や造船など鉄鋼関連の産業に強い三菱グループにおいて、自動車を供給しています。デリカやOUTLANDERなどのラインナップを見ると、ミニバンやSUVに強い印象を持ちます。
社名 | 三菱自動車工業株式会社 |
---|---|
本社所在地 | 東京都港区芝浦三丁目1-21 |
代表者 | 加藤 隆雄 |
設立 | 1970年4月22日 |
従業員数 | 連結28,428人(単体13,671人) |
生産拠点 | 愛知県岡崎市・岡山県倉敷市 |
三菱自動車の事業内容
三菱自動車の事業内容を解説していきます。公式ホームページのタイプ別構成比は、SUV・ピックアック60%、コンパクト・セダン23%が8割を超えているとあります。逆に軽自動車は5%もありません。特化型の自動車会社といえます。
- 自動車事業
- 金融及びリース事業
自動車事業
社名にもある通り、三菱自動車の主力事業です。13の国と地域、29の拠点で生産・開発しています。以前はトラックやバスの製造部門もありましたが、2003年に分社化しています(三菱ふそうトラック・バス)。日産自動車と資本関係となっていますが、自動車ブランドは合流せず、独自のラインナップが継続しています。ただ自動車工場においては双方のブランドを共同製造したり、原材料を共有したりしていることがIRレポートにて報告されています。
金融及びリース事業
三菱自動車では連結子会社として三菱自動車ファイナンス(MMF)社を展開しています。MMF社では自動車購入・修理時のリースやローンを扱っています。連結子会社とはいえ、自動車会社のブランドで金融領域に展開しているのは珍しいケースです。2021年前後から同社に関するプレスリリースが増えてきているため、創業時などから繋がりのあった事業というよりも、最近になって展開している事業分野といえます。同社ではレンタカー事業も展開していますが、金融事業の一端としてレンタカービジネスを展開するのも、類を見ない形です。
三菱自動車の業績推移|売上・営業利益
■売上高
■経常利益・経常損失
三菱自動車の財務諸表で顕著なのは、売上の増減にともない経常利益も比例して上下している点です。実際に売上が急降下した2020年は利益も落ち込み、経常損益が発生しています。自動車は高い製造原価を必要とすること、また販売代理店への周知を含めると、広告宣伝費が削減対象にしづらい点が背景にあると考えられます。購入する車を決めずディーラーに行く人はあまりいません。新車の販売開始を周知するためにも、販売費用を抑えるのが難しい事業といえるでしょう。何より製造原価には「安全対策費用」が重要です、ここを削減すれば、自動車メーカーとして著しい信頼の毀損に繋がります。
三菱自動車の株価推移|過去5年のチャート
出典:ブルームバーグ
三菱自動車の株価は財務諸表と連動しています。チャートを見ると売上の下落した2020年には株価も著しく下落しました。2022年以降は変動幅も大きいですが、全体的に持ち直している印象です。
- 2020〜2022年にかけて株価が下落
- 2022〜2023年にかけて株価が上昇
2020〜2022年にかけて株価が下落
チャートで目を引くのは、2020年から2022年にかけての株価低迷です。売上・経常利益が下落している時期に合わせて株価も下落しています。ちょうどこの時期は新型コロナの大流行と重なるため、経済活動が世界的に停滞したことが影響した可能性が高いです。また外出自粛や自宅待機が奨励されたため、新車の買い控えにも影響したと考えられます。三菱自動車の販売車種は毎日の生活というよりも、レジャーなどの遠出感を出したものが多く、業績悪化に関係したのかもしれません。
2022〜2023年にかけて株価が上昇
2022年から2023年にかけて三菱自動車の株価は回復しています。一時的な落ち込みこそあれど、2020年と比べて上昇局面に乗っているようです。2023年見通しは1700億円と、2022年の1905億円と比較して減少見通しと発表されているため、株価も連動して減少傾向に向かう懸念があります。利益確保の戦略やサステナビリティの更なる充実など、株価上昇要因となる動きを進めて、反動を最小限に抑えたいところです。
三菱自動車の株主還元|配当・自社株買い
三菱自動車の株主還元制度について解説します。三菱自動車の配当や自社株買いの実績は、どのようなものなのでしょうか。なお、同社は現在株主優待制度を設けてはいませんが、2019年は子会社であるパジェロ製造株式会社にて株主限定の工場見学会を3日間実施し、200名以上が参画していました。
- 三菱自動車の一株配当・配当利回り推移
- 三菱自動車の自社株買い推移
三菱自動車の一株配当・配当利回り推移
中間配当金 | 期末配当金 | |
---|---|---|
2023年度 | 5円(予想) | 5円(予想) |
2022年度 | 0円 | 5円 |
2021年度 | 0円 | 0円 |
2020年度 | 0円 | 0円 |
2019年度 | 10円 | 0円 |
出典:株主還元|三菱自動車
三菱自動車の投資家施策において、配当金は上記表からわかるとおり、非常に抑えられています。年間を通して無配当だった年も続きました。配当性向は2019年には内部留保から捻出したものの、2022年と2023年は同年利益から捻出しています。
三菱自動車の自社株買い推移
三菱自動車の自社株買いの実績は、上記表にある2018年の1回のみ(15億793万円)です。本記事で取り上げる上場企業の多くは過去5年間において毎年、もしくは隔年ごとに自社株買いを実施しているため、大きく異なります。その規模も15億円と、拠出額の少ないものです。
背景としては数年前の経常損失を出しているため、自社株買いの費用よりも優先すべき費用がある点、または筆頭株主が日産自動車のため、自社株買いを重視していない可能性が考えられます。
三菱自動車の株価はなぜ安いか理由を解説
三菱自動車の株価はなぜ安いのでしょうか。3つの仮説から分析していきます。主領域は自動車という生活に定着したインフラ産業のため、財務諸表の悪さが大きな原因となっていることは間違いありません。
- 売上と経常利益が安定すれば株価の安定も?
- 自動車製造業以外は本当に必要か
- 頻繁に発生する不祥事への対応強化
売上と経常利益が安定すれば株価の安定も?
三菱自動車の財務諸表と株価推移を見ていると、その連動性が目に留まります。必ずしも良い意味ではなく、売上の低迷や経常損失の発生が株価下落の主要因になっているようです。つまり継続的な売上回復と、売上が減少しても利益維持を印象づける経費削減戦略があれば、株価には高評価ではないかという仮説が成り立ちます。とはいえ別所でも記載したとおり、自動車産業は一定の製造費と広告宣伝費が不可欠なため、何を削るのか、という議論になるでしょう。人々の命を預かるため、安易な製造原価の削減は大きなリスクと背中合わせでもあります。
自動車製造業以外は本当に必要か
三菱自動車の事業分析では、他の自動車メーカーではなかなか目にしない金融・リース事業があります。詳細を調査すると連結の子会社のようですが、珍しいセグメントです。ただ、それらを本社の枠組みで持っている理由がいまいちわかりません。金融にしろリースにしろ、スペシャリストの会社がいくつもあるためです。余計なコストならばっさりと切るか、もしくはリソースを投入してセグメントとして成長させることが求められます。レンタカー事業にしても同様で、金融事業のひとつとしてレンタカー事業を展開していますが、レンタカー事業だけで上場する会社もあるほど事業としては有益です。このあたりの理由がいまいち不明瞭のため、投資家にフラストレーションを惹起させることに繋がっています。
頻繁に発生する不祥事への対応強化
三菱自動車には定期的に不祥事が発生する印象が強いです。リコール隠しや2016年に発生した燃費試験の不正事件は企業のイメージを大きく毀損するものでした。また2018年には同社の岡崎製作所にて、技能実習生が本来の計画に無かった自動車の組み立てに従事したとして、2024年まで新規受け入れの停止措置を受けています。
これらの社内不備は以前にも増して投資家に重要視されるようになってきており、株価低迷の要因となっています。製造している自動車のクオリティは間違いないだけに、定着しているファンを悲観させることがないよう、社内ガバナンスに力を入れることが大切です。
三菱自動車の株価に対する投資家の口コミ
三菱自動車に対する投資家に口コミを見ていきましょう。
三菱自動車が弱いですね。
底打ちしたら、ガチ仕込みして長期で放置しようかと思います。
昔の株価は、1万円近くあったみたいですからね~。引用:X
なかなか三菱自動車株価の上昇率が悪い原因がここにある事を知って欲しいのであります⤵︎
自分が問題視した事は、株主友達さんらが皆さん口を揃えて話されておりました。
安全対策問題は、今の時代1番大切ですからね⤵︎引用:X
中国相手の商売なんて、リスクが大きすぎるだろ
スパイ容疑かけられたり、資本の割合い制限があったり
株式市場「中国離れ」加速…三菱自動車、撤退報道で逆に株価急騰 専門家は外国企業の活動リスク指摘 https://zakzak.co.jp/article/20231001-YMKP67534NMRPF7EQCMN3ZXJ3A/
@zakdeskより引用:X
元々中国でほぼ走っていない三菱自動車。
経費は減るが、売上も減る。日本以外に市場はあるの?
いま株価が上がっても、決算時に暴落しては意味ないよ引用:X
三菱重工は5000円割ったら買います。
三菱系強いですね。
三菱自動車株価上がってるし、風力発電も三菱商事の一人勝ちになりそうになって、入札制度事態変えたし。引用:X
三菱自動車の株価は今後どうなる?
三菱自動車の株価は今後どうなるのでしょうか。売上見通しが前年実績を割って出ているため、幾分回復していた時期から丁寧に逆戻りしてしまうのでしょうか。今後の株価回復を占う2つのポイントがあります。
- 売上の安定のためには北米とアセアンの継続成長が鍵
- 自動車業界の根底を変えるであろう自動運転に対応を
売上の安定のためには北米とアセアンの継続成長が鍵
三菱自動車のIRを見ると日本と同規模の売上を北米とアセアンが上げていることがわかります。北米では、確かに三菱自動車のような「ゴツい」車が好まれそうです。またアジアは著しいい経済発展のただなかですが、日本が先行していた経済国ということもあり、日本のメーカーを高評価して貰える土台が出来ているように感じます。日本は祖業地として大切ですが人口減少著しい国で、車離れも進んでいます。更なる海外重視を目指すことで、投資家の評価も変わってくるのかもしれません。
自動車業界の根底を変えるであろう自動運転に対応を
近い将来、自動車業界を根本から変えるといわれるのが自動運転です。三菱自動車は自動運転にイニシアティブを築いてはいませんが、筆頭株主が早くから自動運転に力を入れていた日産自動車です。日産自動車と共同研究で、自動運転にリーディングを取ることで、自動車業界における立ち位置が変わるかもしれません。なお印象ですが、三菱自動車はいわゆる車好き、運転好きの固定ファンが多そうな印象なので、そのあたりのフォローも同時に進めることを祈念します。
三菱自動車の業績・株価・配当についてまとめ
三菱自動車の株価について解説しました。業績低迷にともない株価も下落基調にあったものの、2022年以降は回復の兆しが見えてきています。固定ファンの尊重や日産自動車との連携、北米やアセアンの事業拡大によって、反転攻勢に期待したい会社です。天下の三菱グループの1社として、過渡期の自動車業界における再拡大を期待しています。
日本国内ヘッジファンドおすすめランキング15選|高利回り企業一覧
この記事では、ヘッジファンドのおすすめをランキング形式でご紹介します。ヘッジファンドと聞くとどのようなイメージをお持ちでしょうか。政府が進める「貯蓄から投資へ」の流れの中で、株...