NTTの企業概要
NTTとは、1870年に官営事業として日本で最初の電報サービスを開始した会社です。
日本国内における電信電話の普及に大きく貢献した後、1985年の民営化を経て、グローバルなICTサービスプロバイダーへと成長しました。
2023年3月期の売上高(営業収益)は約13兆円と、創業以来の最高額を更新しています。
また、NTTグループは全世界に900以上の子会社を展開しており、グループ全体の社員数は33万人以上にのぼります。
累計1万9千件以上の特許を取得しており、研究開発にも積極的に取り組む通信業界のリーディングカンパニーです。
会社名 | 日本電信電話株式会社(NTT) |
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市場 | 東証プライム |
代表取締役社長 | 島田明 |
本店所在地 | 東京都千代田区大手町一丁目5番1号 大手町ファーストスクエア イーストタワー |
創立年月日 | 1985年4月1日 |
資本金 | 9,380億円 |
従業員数(連結ベース) | 338,651名(2023年3月31日現在) |
グループ会社数 | 918社 |
NTTの事業内容
NTTの事業内容は「総合ICT事業」「地域通信事業」「グローバル・ソリューション事業」「その他(不動産、エネルギー等)」の4つのセグメントに分かれています。
セグメントごとの事業内容について、詳しく解説します。
- 総合ICT事業
- 地域通信事業
- グローバル・ソリューション事業
- その他(不動産、エネルギー等)
総合ICT事業
NTTグループの総合ICT事業は、携帯電話事業、県間通信サービス、国際通信事業、ソリューション事業、システム開発事業などを包括したセグメントです。
主要サービスには携帯電話サービスやドコモ光があり、主要事業会社にはNTTドコモやNTTコミュニケーションズ、NTTコムウェアが挙げられます。
新生ドコモグループとしての新体制下では、法人事業の拡大やネットワークの競争力強化など、サービス創出・開発力強化とデジタルトランスフォーメーション推進に向けたシナジー創出に注力しています。
他にも5Gサービスの販売推進や、料金サービスの充実、ネットワークの省電力化、環境配慮型スマートフォンの提供など、多岐にわたるプロジェクトが進行中です。
地域通信事業
NTTグループの地域通信事業は、県内通信サービスをコア事業として、フレッツ光やコラボ光などの主要サービスを提供しています。
事業の中核をなすのは、グループ会社のNTT東日本とNTT西日本です。
同事業では、地域社会の課題解決に貢献するソリューションビジネスの強化や、光アクセスサービスの卸提供による「光コラボレーションモデル」の推進などに努めています。
他にも、中小企業のデジタルトランスフォーメーション支援、電気自動車(EV)の導入支援、社会課題の解決に向けた連携協定の締結など、地域密着型のプロジェクトを展開しています。
フレッツ光の契約数は2,358万契約、コラボ光は1,681万契約にのぼり、広範な顧客基盤を有するセグメントです。
グローバル・ソリューション事業
NTTグループのグローバル・ソリューション事業は、コンサルティング、システムおよびソフトウェア開発、ネットワークシステム、クラウド、グローバルデータセンターなど、世界にわたるサービスを提供するセグメントです。
主要なサービスには、コンサルティングサービス、クラウドサービス、データセンターサービス、マネージドサービス、システム・ソフトウェア開発などが挙げられます。
ドイツに本社を構えるSAP SE社と共同で開発した「Connected Product」ソリューションや、トヨタ自動車と共同で行ったコネクティッドカーデータを利用した実証実験など、グローバル規模な取り組みを進めています。
その他(不動産、エネルギー等)
NTTグループは不動産事業とエネルギー事業も手がけています。
同分野の主要事業会社はNTTアーバンソリューションズ、およびNTTアノードエナジーです。
不動産事業では、オフィス・商業事業や住宅事業、グローバル事業を展開し、次世代型先進オフィスビルの開業やデジタル基盤の開発および実証実験などに取り組んでいます。
エネルギー事業では、スマートエネルギー事業の推進、再生可能エネルギー発電所の開発、NTTグループが保有するアセットの活用拡大、脱炭素ソリューションの導入などに力を入れています。
特に、NTTアノードエナジーはNTTファシリティーズの電力関連業務の統合を行い、スマートエネルギー事業の拡大に貢献しているグループ会社です。
NTTの業績推移|売上・営業利益
NTTの業績推移について、2023年度の業績予想では営業収益が前年比で減少する見込みとなっています。
しかしながら、営業利益および当期利益は前年を上回り、過去最高額を更新する予想です。
具体的には、営業収益は13兆600億円(前年比マイナス762億円)、営業利益は1兆9,500億円(前年比プラス1,210億円)、当期利益は1兆2,550億円(前年比プラス419億円)と予想されています。
特筆すべきは、総合ICT事業セグメントとグローバル・ソリューション事業セグメントにおける営業利益の増加です。
革新的なテクノロジーやデジタル変革への需要増加に伴って、これらの事業セグメントでも増益が見込まれています。
具体的には、総合ICT事業セグメントの営業利益は前年比プラス701億円、グローバル・ソリューション事業セグメントではプラス264億円と予想されています。
NTTの株価推移|過去10年のチャート
NTTの株価は、長期にわたって安定的に成長を続けています。
ここでは過去10年分のチャートに基づいて、NTTの株価推移を具体的に解説します。
株式投資を考えている方は、参考にしてみてください。
- 2016年〜2021年にかけて株価が横ばい
- 2021年〜2024年にかけて株価が上昇
2016年〜2021年にかけて株価が横ばい
2016年から2021年まで、NTTの株価は比較的横ばいで推移しました。
該当期間の月足チャートをみると、安値は80円台前半、高値は110円台後半の間を周期的に推移していることがわかります。
この期間、NTTは安定した業績を維持しながらも、大きな成長要因が見当たらなかったため、株価にも大きな動きは見られなかったのでしょう。
通信業界の成熟と競争の激化が、株価の大幅な上昇を抑える要因になったと考えられます。
2021年〜2024年にかけて株価が上昇
2021年以降になると、NTTの株価は上昇トレンドの一途を辿ります。
月足チャートを見ると、2021年1月には100円台前半から110円台前半であった株価は、2022年1月には120円台後半まで成長しています。
その後も株価は上昇を続け、2023年1月には150円台、さらに2024年1月になると最高値で180円台中盤を記録しました。
近年の株価上昇は、NTTによるデジタル変革の加速や新規事業の展開、さらには株式分割による投資家層の拡大などが背景にあります。
特に、2023年7月に実施された株式の25分割によって、NTT株は小額から投資を始めやすくなりました。
個人投資家の間でNTT株への関心が高まったことが、これだけの株価上昇につながったと考えられます。
NTTの株主還元|配当・自社株買い・株主優待
NTTは株主に対して、どのような株主還元を実施しているのでしょうか。
株主に現金で支給される配当と、NTTが株式を買い戻す自社株買い、さらにNTTが独自に実施している株主優待の内容について、詳しく解説します。
- NTTの一株配当・配当利回り推移
- NTT株を100株保有で配当金はいくらもらえる?
- NTTの自社株買い推移
- NTTの株主優待について
NTTの一株配当・配当利回り推移
NTTは直近13期連続で増配を発表しました。
2023年度の年間配当額は、1株当たり年間5.0円(前年比プラス0.2円)を予定しています。
配当利回りは2.76%になる見込みで、東証プライム全銘柄を対象とした平均利回り予想の2.06%と比べるとやや高めです。
配当推移をみると、直近20年間で配当額はおよそ10倍に増加していることから、今後も長期的に安定した増配が期待できます。
株式投資を始めるならば、ぜひ保有しておきたい銘柄といえるでしょう。
NTT株を100株保有で配当金はいくらもらえる?
NTT株の売買単位は100株からであるため。「最小単位の100株から投資を始めたら、配当金はいくらもらえるのか」と気になっている方もいるかもしれません。
2023年度におけるNTT株のc配当予想は、1株あたり5円。
したがって、100株保有時の支払額は500円(税引後は399円)です。
配当金は6月下旬、および12月中旬の年2回に分けて支払われます。
過去13年連続で増配を記録しているNTT株は、毎期安定した配当が期待できるのが大きなメリットです。
NTTの自社株買い推移
NTTは過去数年にわたって、積極的な自社株買いを実施しています。
とくに2023年度の第1四半期決算では、最大2,000億円に相当する14億株の自社株買いを実施しました。
自社株買いとは、NTTが市場から自社の株式を購入することで、1株当たりの価値を向上させる戦略です。
買い付け期間は2023年8月10日から2024年3月29日までと長めに設定されています。
決算報告書によると、この自社株買いは「資本効率の向上、株主還元の充実を図るため」の意図があるとのことです。
過去の自社株買い実績を見ても、株主還元に積極的な姿勢が見て取れます。
NTTの株主優待について
NTTは株主全員を対象に、保有期間に応じてdポイントを進呈する株主優待プログラムを実施しています。
基準日は毎年3月31日で、100株以上を保有する株主が対象です。
保有期間が2年以上3年未満の株主には1,500ポイント、5年以上6年未満の株主には3,000ポイントが進呈されます。
dポイントはドコモの携帯電話料金の支払いや、街のお店・ネットショッピングで使用でき、株主にとって魅力的なメリットの一つとなっています。
NTTの株価は今後どうなる?将来性を解説
NTTの株価は、今後どうなるのでしょうか。
ここで直近10年におけるトレンドや、同社の事業展開、さらに政治動向も踏まえて、NTT株の将来性を考察します。
- 直近10年間のトレンドから、今後も安定的な推移が期待できる
- 新たな株価材料が加われば、さらなる株価上昇の可能性も
- 政治の動向によっては、短期的な株価下落も起こり得る
直近10年間のトレンドから、今後も安定的な推移が期待できる
直近10年間のトレンドからみると、NTTの株価は今後も安定的な推移が期待できます。
長期的な株価下落のリスクは、よほどの悪影響がない限り低いと言えるでしょう。
NTTは直近10年で株主が4倍に増えているにもかかわらず、PER(株価収益率)は11倍前後と過熱感はありません。
これは、資本配分が優れており、株主還元を意識した経営がなされている証拠です。
NTTの経営陣は抜け目がなく、市場全体が大きく崩れるような状況でもない限り、株価が大きく下落することはないと予想されます。
新たな株価材料が加われば、さらなる株価上昇の可能性も
現時点でNTTの株価は、過去10年間の長期トレンドを考慮すると高値圏に位置しています。
このため、株価をさらに押し上げるためには、目を見張るような業績向上や、投資家の期待を一新させるような新たな株価材料が必要となります。
とくに株主が注目すべきなのが、NTTが掲げる「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」構想です。
同プロジェクトは、データ伝送容量と電力効率を大幅に向上させる可能性を秘めており、その実現は社会に大きなインパクトを与えることが予想されます。
NTTがこのような先進的なプロジェクトを推進することは、投資家にとっても大きな魅力となり得ます。
IOWN構想が具体的な成果をもたらすことができれば、NTTの株価にとってプラスの材料となり、さらなる上昇のきっかけとなる可能性があります。
政治の動向によっては、短期的な株価下落も起こり得る
NTTの株価は、過去に政治的な動向によって影響を受けた実例があります。
たとえば2018年11月には、通信料の引き下げ圧力が株価に直接的な影響を及ぼし、一時的にストップ安となる事態が発生しました。
さらに、2023年7月には政府の要人がNTT株の売却に言及し、これによる需給悪化の懸念から株価が下落する事態もありました。
NTTは財務大臣、すなわち日本政府が筆頭株主として株全体の33.3%を保有しているため、政府の方針や政治的な発言によって株価が大きく左右されます。
とくに携帯電話料金の引き下げや、政府による株式売却など、政策決定に伴う影響は避けられません。
しかし、政治イベントが株価に及ぼす影響は短期的なもので、NTT自体の企業価値や長期的な成長性に変わりはありません。
政治的な動向は常に注視する必要がありますが、長期的な視点でNTT株を評価することが重要です。
NTTの株価に対する投資家の口コミ
断言します。「NTT株」を買ってください。6月末から4300円ほどの株が25分割になり、170円程度で買えるようになりました。100株17000円買うと株主優待でdポイント4,500ポイント貰えます。現在175円。少しずつ上昇中。宝くじを買う勢いで買うのもあり。私は当然追加購入。気をつけることはプロフ
引用:X
株価が上がって恩恵がないではなく、まず株を買う。株買うお金を頑張って作る。NTTなら100株1.8万円で買える。そしたら500円配当金が貰える。頑張って買えば買うだけ還元の恩恵が受けられる。そしてその分市場で日々評価される株価の上下に心が揺れ動く。株を買えば資本主義経済の良さも怖さも知れる。
引用:X
あっ‼️
NTT株って缶ビールと同じ180円なら
缶ビール一本飲むよりもNTTに投資した方が、健康的で、資産形成にも良いんじゃないか‼️引用:X
NTT株dポイントの優待目的だけでとりあえず100株持ってますが、ちょっぴり利益のっててラッキー✌️
8%も上がってるので、もう少し思い切って買ってても良かったかな…引用:X
NTTの外国人役人解禁は政府保有NTT株の放出準備か。
NTTインフラ40兆円の資産価値が外国に流出する危険性孕むと某IT評論家。
通信インフラは自前で維持しないと政治経済・国防がヤバイ。引用:X
NTTの株価に対する投資家の口コミを調査したところ、おしなべてその成長性や安定性を高く評価する声が多く見受けられます。
とくに、同社が2023年7月に実施した株式の25分割を機に「思い切って株を購入してみた」という個人投資家が多い印象。
NTT株は1株あたり約180円で、100株から売買可能なので、約18,000円あれば株主になれるのが大きな魅力です。
一方で、NTT株は日本政府の動向に左右されやすいため、買いに慎重な姿勢を示す投資家も散見されます。
実際にNTTの株を買う際は、同社の経営状況や株価指数に加えて、投資家たちのリアルな声も参考にしてみましょう。
NTTの業績・株価・配当についてまとめ
NTTの株価が今後どうなるのかについてまとめました。
NTTは東証プライム市場において、長期にわたって安定的に株価を上げ続けています。
2023年7月に株式が25分割されたため、これまでは敷居が高くて買えなかった個人投資家の間でも買いが広まっています。
13期連続で増配を記録しているほか、自社株買いも実施しており、株主還元に積極的な企業といえるでしょう。
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