旭化成の企業概要

旭化成の企業概要

旭化成は日本を代表する大手総合化学メーカーのひとつです。化学材料、ヘルスケア、住宅を三大領域としています。対消費者商品として知名度の高いサランラップ、ジップロックなどは本社で製造し、関連会社である「旭化成ホームプロダクツ」で販売しています。

商号旭化成株式会社
創業1922年5月25日
本社〒100-0006
東京都千代田区有楽町一丁目1番2号 日比谷三井タワー
(東京ミッドタウン日比谷)
従業員数48,897人(連結)
代表者代表取締役社長 工藤 幸四郎

旭化成の事業内容

旭化成の事業内容

旭化成の事業内容は、マテリアル領域、ヘルスケア領域、住宅領域に大別されています。前述した通りサランラップやジップロックという商品は関連会社の販売のため、本社はB向けの化学会社としての特徴が大きいです。また1996年までウイスキー、2003年まで清酒や合成清酒の事業を手掛ける酒類メーカーでもありました。

ポイント

  • マテリアル領域
  • ヘルスケア領域
  • 住宅領域

マテリアル領域

繊維・樹脂などの基礎化学品から、サランラップなどの消費税、LSIやセンサ製品の電子部品などをグローバルに展開しています。モバイルやアルカリ電解システムなど幅広く扱っている環境ソリューション事業、デジタル社会で求められるデジタルソリューションと、健康分野のコンフォートライフから構成されるライフイノベーション事業があります。

サランラップの製造は当事業部で行い、販売を子会社が展開している形です。加えて自動車用途を中心としたモビリティ&インダストリアル事業を展開しています。

ヘルスケア領域

医療用医薬品を軸とするヘルスケアビジネスを展開しています。医薬事業として整形外科を中心とした新薬の開発を進めています。また糖尿病の検査薬、血糖・脂質・腎機能・肝機能などの診断薬の酵素を製造・販売しています。

また医療事業としては血液透析に確固たる技術を有しています。そのなかで注目されているアフェレシス事業は、薬物治療が困難とされる難病治療分野で大きな発展が期待される技術です。体外に導いた血液から病因物質を除去し、体内に戻します。特に自己免疫疾患分野での可能性が追求されています。

住宅領域

建築請負事業では軽量鉄骨の「ヘーベルハウスブランド」が有名です。断熱性や防災性に優れたロングライフ住宅を提供しています。また不動産関連事業として分譲地などの開発事業、リフォームについても高い信頼を獲得しています。ヘーベルハウスは東京都内をはじめとした人口密度の高い住宅地などに数多く建設されており、ブランドの強さが際立っています。

旭化成は化学・製薬領域の人にとっては化学メーカーであり、不動産・建築領域の人にとってはへーベル(ハウス)の会社という印象を持つ、独自の立ち位置といえるでしょう。

旭化成の業績推移|売上・営業利益

旭化成の業績推移

2022年度実績はヘルスケア・住宅・マテリアルいずれも増収です。ただ増益を実現した住宅以外は、減益となっています。特にマテリアルに影響した円安の影響や、石化製品市況高騰を受けた価格転嫁による販売価格の上昇が響きました。各事業部において、収益率の低い子会社などの減損損失も響いた格好です。

2023年期にかけて原燃料コストが落ち着いてくると、収益が健全化していくのではという見込みが立っています。ただ、その後の四半期決算を見ると中国における市場悪化が重くのしかかっていました。2024年2月の第三四半期になって、底堅い住宅事業の牽引が同社全体の決算を改善している状況を認識することができます。

旭化成の株価推移|過去3年のチャート

旭化成の株価推移

旭化成の株価をチャートから見ていきましょう。同社の株価は基本的には上昇基調もしくは横ばいなのですが、時々急騰したり、大幅下落したりするリスクがあります。特に決算後の価格変動が大きい印象です。

ポイント

  • 2023〜2024年にかけて株価が上昇
  • 2022年〜2023年にかけて株価が横ばい

2023〜2024年にかけて株価が上昇

旭化成の株価推移

2023年から2024年にかけて株価は上昇基調です。ただ2024年の1月に急騰、3月に急落と仕手株のような動きをしているのが気になります。2月は決算のため材料があるのですが、急上昇の1月はプレスリリースなど何かしらの報道の影響でしょうか。

前述した通り、原材料高や中国における影響は一服しています。ベースとしては上昇しているためリスクは高くはありませんが、急激な変動リスクがゼロではないことは認識しておきましょう。

2022年〜2023年にかけて株価が横ばい

旭化成の株価推移

一方、2022年から3年の長期で見ると横ばいのチャートといえるでしょうか。都度100円から150円前後の上下があります。ひとつの仮説ですが、外国人株主が多く、利益確定などを目的としたまとまった売買があるためでしょうか。日本国外にも知名度の高い会社でもあるため、ひとつの理由とはいえそうです。

全体像としては業績とはあまり連動していないチャートといえます。反面2023年後半からは業績の持ち直しとともに株価が上昇しているため、一定の連動性もあるといえます。

旭化成の株主還元|配当・自社株買い

旭化成の株主還元

旭化成の株主還元を見ていきましょう。配当や自社株買いの実績はどのようになっているのでしょうか。一株配当は安定的に実施されているものの、自社株はあまり活用していない印象があります。

ポイント

  • 旭化成の一株配当・配当利回り推移
  • 旭化成の自社株買い推移

旭化成の一株配当・配当利回り推移

旭化成の一株配当です。同社の株主還元方針は以下の通りです。

  • 中期的なフリー・キャッシュ・フローの見通しから、株主還元の水準を判断
  • 配当による株主還元を基本とし、1株あたりの配当金の維持・増加を目指す
  • 配当性向30%~40%(中期経営計画3年間累計)

過去3年間にわたっては、設定した方針通り配当が実施できています。今後の2024年3月期に関しても、前年同等の配当額が維持できるでしょう。かつ配当性向は、58.7%と上昇しています。喫緊の業績が達成できている背景による、株主還元実績といえるでしょう。

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中間配当(円)期末配当(円)年間配当(円)配当性向(%)
2024年3月期(133期)18円18円(予想)36円(予想)58.7%(予想)
2023年3月期(132期)18円18円36円
2022年3月期(131期)17円17円34円29.1%

引用:旭化成 IR

旭化成の自社株買い推移

旭化成の自社株買いの決議は以下の通りです。2019年に1度限り実施しています。このときは上限1200億円、100億円で複数回決議したものの、868万株の購入実施に留まったことが記録されています。このときの経営陣の意思決定が何を意味するかは不透明ですが、何かしらの実施で決議と実購入の自社株数に差異が生まれたことがわかります。

チャートに立ち返ると株価の変動率は高いですが、それほど積極的に自社株は実施していない印象です。

2019年99億9,997円

引用:IRBANK

旭化成の株価が下落した理由を解説

旭化成の株価が下落した理由

旭化成の株価が時期により、大幅に下落している理由を解説します。チャートの特徴としては研究開発型の化学メーカーに見られる株式チャートですが、やはり変動性が高いことが気にかかります。

ポイント

  • 外国人株主や機関投資家が多い?
  • 短期売買の難しさは化学メーカーの特徴
  • 株初心者が敬遠した銘柄となったか

外国人株主や機関投資家が多い?

仮説のひとつは外国人株主や、機関投資家が多いのではというものです。決算に関係しますが、独自に構築した運用理論や損切りのタイミングで売買を実行します。旭化成のチャートが見せるボラティリティ(変動性)の高い動きは、必ずしも業績や決算と連動していない部分があるといえるでしょう。

この背景には旭化成が日本の得意とする技術力を生かした化学メーカーであり、定期的に株式評価を高める商品、またはプレスリリースを頻出する力があるということが前提にあります。2024年に入って業績と比例して株価が上昇しているため、基本的に業績ベースにしつつ、変動性に警戒することの必要な銘柄といえます。

短期売買の難しさは化学メーカーの特徴

旭化成の株は決算時以外にも著しく上昇したり、短期間で暴落したりします。先述した外国人株主・機関投資家の要素もそうですが、このようなチャートは化学メーカーの特徴です。研究開発のニュースは定期的に発表されますので、それを先読みしてチャートが動くことは止むを得ないでしょう。

同社の株投資で収益を期待するならば、このチャートの特徴を分析して変動性のなかで利益を狙う必要があるでしょう。当然ながら難易度は高いため、株式投資の初心者・中級者にはあまりお勧めはできません。化学メーカーへの投資で着実な利益を得るための「デイトレ(デイトレード)型の投資技術」も必要になってくると考えられます。

株初心者が敬遠した銘柄となったか

銘柄としては全体的に右肩上がりです。ただ急騰・急落により、株の初心者が「手を出しづらい」銘柄になっていることは間違いないでしょう。その結果、NISAや(インター)ネット証券を入口とした株式投資の初心者が敬遠している可能性が考えられます。

原材料の高騰と中国の減速が落ち着いてきたことは旭化成にとってプラスの状況であることは間違いがないため、右肩上がりのチャートを信じてホールドするか、変動性をリスクと考えて敬遠するかは、各投資家に委ねられる部分です。世界的に有名な企業ですが、2023年から2024年にかけて2度急騰・急落が到来しており、一定のリスクはある株式上級者向けの銘柄と考えられます。

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詳細な投資分析によるバリュー投資を中心に実践しており、短期的な利益追求ではなく安全性を追求しながら中長期的な利益を求めているヘッジファンド。

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旭化成の株価に対する投資家の口コミ

旭化成の株価に対する投資家の口コミ

旭化成の株価はインターネット、特にSNSではどのように評価されているのでしょうか。

今まで買ったことなかった銘柄②

3407旭化成

知名度ある化学メーカー
なんだけど株価も配当も冴えない

これからの成長に期待を込めてGET!

引用:X

勢いのある株の購入、素晴らしい選択だと思います!旭化成のような企業は将来性が高いと予想されていますし、株価予測も比較的良好な傾向にあります。この一歩が、長期的な投資への良いスタートになると良いですね。

引用:X

株価は一進一退ですね
化学セクターは厳しい決算でしたが、狙っていた旭化成は思ったほど下がらなかったです

欲しいのは欲しいですが、住友化学を見ているとわざわざ行くべきか迷います

引用:X

#旭化成
下方修正を発表しましたが、化学業の厳しさを踏まえるとそこまで酷くは無い印象です

やはり多角化が大きい。旭化成のビジネスの半分以上は建設と医療ですから。

そこを長所と捉えて株を購入しました。今日株価を大きく下げたが、それでも含み益なので良しとします

引用:X

年始に旭化成を買ったのだが、日経平均株価上昇時で持たざるリスクを意識してしまって、慌ててネタを絞り出すようにして買った感があるのでちょっと失敗だったな。残念ながら下方修正。まあ、大失敗だったとは思っていないが。

引用:X

企業としての評価、および業績としての評価は、SNSを見ても手堅さを感じます。まさに中上級者用の銘柄といえるのではないでしょうか。

旭化成の株価は今後どうなる?将来性を解説

旭化成の株価は今後どうなるか

旭化成の株価は今後どうなるのでしょうか。右肩上がりながらも2024年1月の急落の影響が残っている印象があります。まずは急落前の1,100円から1,120円ベースまで株価が戻ったあと、どのような動きをしていくかという読みが勝敗を分けるでしょう。

ポイント

  • 恒常的な変動性の高い銘柄なので今後も注意
  • ノーベル賞受賞のようなあっと驚くニュース配信も

恒常的な変動性の高い銘柄なので今後も注意

不祥事や内外的な事故などがあった上場銘柄は、一時的に大幅な株価上下を記録することがあります。ただ旭化成のように恒常的に変動性が高いのが特徴的です。チャートから見る以上は、株式投資の初心者には推奨しづらい銘柄といえるでしょう。突如、思わぬ評価損を招く危険性があります。

ただ対企業領域としても、関連会社も含めて対消費者領域としても、同社が魅力的な企業であることは疑いありません。変動性も含めて長期投資で所有する価値は充分にあるともいえます。

ノーベル賞受賞のようなあっと驚くニュース配信も

2019年のノーベル化学賞は、リチウムイオン二次電池の発明を評価して旭化成フェローの吉野彰博士に送られました。この事例がわかるように同社の技術力は、ノーベル賞を受賞するほど高質なものといえます。

今後もノーベル賞に限らず、プラスの意味で世の中があっと驚くニュースの可能性がある企業です。当然ながら株価も著しく反応するでしょう。そこで利確をするか長期ホールドをするかはさておき、株所有者としては嬉しい出来事となるでしょう。

旭化成の業績・株価・配当についてまとめ

旭化成の株価について分析しました。きわめて変動性の高い銘柄ですが、業績も上向きで、技術的な底力もある企業です。短期的な株価の上下に惑わされず、長期的所有を前提にホールドを考える銘柄だと考えられます。同社の商品であるジップロックのように、購入後は密封して熟成するのを待つ投資方法が向いている銘柄といえるでしょう。

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