丸紅の企業概要

丸紅の企業概要

丸紅とは1858年に創業した大手商社です。創業者が同じ伊藤忠商事と協業が多く、鉄鋼製品部門の統合も行われています。紙やパルプなどの石油製品や食料、電力の扱いに強く、海外の買収・協業事例もこれらの分野に関しての取り組みが目立ちます。2023年には大手食品会社の明治の受注を担う明治産業株式会社(現アトリオン製菓)を買収しました。

会社名丸紅株式会社
創業1858年5月
代表者柿木 真澄
本社東京都千代田区大手町1丁目4-2
拠点数131拠点
従業員数4,340名(グループ45,995名)

丸紅の事業内容

丸紅の事業内容

丸紅は扱う商品によって生活産業、素材産業、エナジー・インフラに事業内容が大別されています。また、CDIOとして、医療系を中心に次世代事業をまとめて今後の需要創出を仕掛けています。

ポイント

  • 生活産業グループ
  • 素材産業グループ
  • エナジー・インフラソリューショングループ
  • 社会産業・金融グループ
  • CDIO

生活産業グループ

衣料や繊維・ゴムを中心としたライフスタイル本部、デジタルソリューションやサプライチェーンを扱う情報ソリューション本部があります。また丸紅が強い食料部門には2本部制を敷いているほか、農業資材や農薬、肥料などをアグリ事業本部で扱っています。コンシューマービジネスを中心とした取扱分野の広さは、さすが大手商社と感じさせるほどの領域の広さです。

素材産業グループ

食料と同様に丸紅が強い紙製品・チップ、バイオマスをフォレストプロダクト本部にて扱っています。また石油・塩などの化学品本部、鉄鉱石やアルミニウムなどの金属本部を合わせ、素材産業グループとして展開しています。南米チリにて複数の銅鉱山を所有するほか、素材大国であるオーストラリアにて事業を推進しています。丸紅が世界中に張り巡らせたネットワークが大きな武器です。

エナジー・インフラソリューショングループ

水素・燃料アンモニアを扱う新エネルギー開発推進部、石油・天然ガス・原子力を扱うエネルギー本部に分かれています。現主力のエネルギー産業と、新時代のエネルギーが別の事業部で展開されているのが興味深いところです。また、エネルギーと親和性の高い電力本部があります。残るインフラプロジェクト本部は、上下水処理や鉄道、病院やガス、水や産業プラントなどとても幅広い事業を展開しています。

社会産業・金融グループ

航空機や一般商船、LNG輸送など陸と海を扱う航空・船舶本部、自動車や不動産・保険を扱う金融・リース・不動産本部、建設・EVインフラ・電子部品などを扱う建機・産機・モビリティ本部から展開します。重工業系や製品系を担う事業部といえるでしょう。丸紅の扱う事業のなかでも建機の販売代理店事業は歴史が長く、イギリスとオーストラリアでは数十年にわたり事業を継続しています。

CDIO

医薬品や教育事業を中心としながらも、新事業を包括する次世代事業開発本部と、「2030年までに丸紅の新たな柱となるビジネスの構築」を担う次世代コーポレートディベロップメント本部から構成されています。後者はより先鋭的なトレンドを捉え、積極的に投資を進めるポジションです。10年後の産業に投資することは、その分野が勃興したときに強い影響力を獲得することに繋がり、商社として大きな武器になります。

丸紅の業績推移|売上・営業利益

丸紅の業績推移

(億円)

2019年3月期2020年3月期2021年3月期2022年3月期2023年3月期
7,2976,9686,7548,95310,513

丸紅の業績推移

(億円)

2019年3月期2020年3月期2021年3月期2022年3月期2023年3月期
2,309△1,9752,2334,2435,430

売上・当期利益とも下げ底の2020年-2021年から回復し、2023年には過去最高の業績を上げています。丸紅以外の大手商社にも共通していえることですが、素材高が背景にあるようです。今後もロシアや中東をはじめとしたカントリーリスクが継続すると思われるため、商社の経営には追い風であるといえます。

一方の為替ですが、日本国内にモノを輸入すると考えれば最近の円安はネックになります。丸紅の場合は日本国外で採取した素材をそのまま国外で加工・提供するビジネスの可能性もあり、円安は限定的とも考えられます。2022年、2023年の好業績は、この2点が背景となっているでしょう。

丸紅の株価推移|過去5年のチャート

丸紅の株価推移

丸紅の株価をチャートから見ていきましょう。素材高による業績向上を受け、2022年から株価も回復基調にあります。ただ素材それぞれの背景にもよりますが、全体的な高値傾向は一服した印象もあります。丸紅の株価が今後も上昇基調が続くのか、判断は難しいところです。

ポイント

  • 2022年〜2023年にかけて株価が上昇
  • 2018年〜2021年にかけて株価が横ばい

2022年〜2023年にかけて株価が上昇

丸紅の株価推移

2022年前後から株価が上昇基調です。多少の変動はあれど、底堅く上がっている印象が強いです。2023年に入り上昇傾向は更に勢いを増します。この背景は、前項でも解説している素材高を背景にした業績好調があるでしょう。商社のイメージは諸外国の素材を日本に輸入するビジネスモデルですが、外国にて素材からの製品化、商品提供を一貫して扱うと、日本との為替状況は大きな問題とはなりません。丸紅などの商社が外国の会社を買収して連結対象とするのは、為替対策の側面もあります。

2018年〜2021年にかけて株価が横ばい

その前はどうでしょうか。上記チャートを見ると、2018年から2021年にかけて株価は横ばいとなっています。株価にインパクトを与える施策が取れない反面、コンシューマー寄りのビジネスではないため、新型コロナウイルスの影響も限定的と見ることができます。この時期に次世代のビジネスを仕込んだため、2022年の上昇に繋がったと考えることもできるでしょう。投資家としては長期間の横ばいでも落ち着いて背景を分析し、上昇基調を迎える前に投資を決断したいところです。

丸紅の株主還元|配当・自社株買い

丸紅の株主還元

丸紅の株主還元策について分析します。配当や自社株買いの戦略はどうなっているのでしょうか。下記の図を見ると、業績・株価向上に後押しされ、積極的な配当に転換していることがわかります。

ポイント

  • 丸紅の一株配当・配当利回り推移
  • 丸紅の自社株買い推移

丸紅の一株配当・配当利回り推移

丸紅の一株配当・配当利回り推移

丸紅の配当状況(1株あたりの配当金)※最近5年抜粋

第2四半期末期末年間
2024年3月期41.5041.50(予測)83(予測)
2023年3月期37.5040.5078
2022年3月期25.5036.5062
2021年3月期112233
2020年3月期17.5017.5035

株価に連動して、2022年から配当も上昇しています。2023年3月期からの同社の中期経営戦略「GC2024」では、1株あたりの年間配当78円を起点とし、中長期的な利益成長に合わせて増配していく累進配当を採用しています。2024年3月期の通期連結が4,500億円に上方修正されているため、2024年3月の年間配当も83円と修正されています。投資家にとっては暫くは高配当が続いていますが、素材高も一服した印象もあり、今後の予想は意見の分かれるところではないでしょうか。

丸紅の自社株買い推移

取得期間取得株式総数取得総額
2023年11月6日~2024年2月9日(予定)200億円または2,000万株を上限
2023年5月9日~7月31日13,678,100株300億円
2022年11月7日~2023年1月31日19,816,900株300億円
2022年2月4日~4月28日22,882,000株300億円

丸紅による自社株買いは定期的に実施されています。自社株買いは株価浮揚戦略の意味合いが大きいため、2022年からの株価上昇にも寄与しているでしょう。自社株買いは2023年から2024年にかけても継続して実施されているため、今後の株価への影響にも期待することができます。ただ、2023年11月からの自社株買いはそれまでの300億円から200億円と投資額が抑制されています。株価への影響は限定的となる可能性もあります。

丸紅の株価はなぜ安いか理由を解説

丸紅の株価はなぜ安いか

丸紅の株価はなぜ安いのでしょうか。2022年から上昇基調になる同社の株価ですが、業績から見ると割安感を感じる投資家も多いようです。株価が突き抜けない理由を分析します。

ポイント

  • 素材高による好業績は限定的と見られている
  • カントリーリスクの不透明さ
  • 新規事業の具体的なイメージが湧かない点

素材高による好業績は限定的と見られている

2022年前後から同社の株価を牽引する好業績ですが、いつ歯止めが来るかもわからず限定的と見られているのは否定できません。年次だと目立ちませんが、日次だと買い銘柄と売り銘柄を行ったり来たりしている印象があります。素材高だから買いと包括的に判断する時期は過ぎていて、品目による今後の影響を注視している印象があります。それが株価が抜けきらない要因となっているのではないでしょうか。丸紅のように多くの分野に展開している総合商社は、特定科目の停滞が業績全体に影響しづらい効果がある一方、何を武器と判断すればいいのか投資家が決めかねる側面があります。

カントリーリスクの不透明さ

業績好調でもカントリーリスクは懸念事項です。ウクライナとの戦争でロシアとの貿易が全体的に停止している問題や、イスラエル侵攻の影響で中東とのパイプラインが影響を受ける可能性があります。2023年秋現在、これらのリスクは地域が絞られた形であり、限定的です。ただ、戦況の拡大によっては複数国家が当事者となる可能性も残されており、投資家にとっては不透明な状況です。現在、リスクが顕在化していないものの、2024年に総裁選挙が控えている台湾、また、アメリカと中国の関係なども不安は否めません。カントリーリスクは商社の業績に著しい影響を与えるため、不安要素と見られています。

新規事業の具体的なイメージが湧かない点

丸紅の事業の広さは商社ならではの広範囲に及びます。そのほかに新規事業に特化した事業部はありますが、既存事業が幅広いため、ほかに何があるのか予測できない部分はあります。新規事業が具体的に見えてくれば、株価への影響も期待できるようになるでしょう。以前の商社はビジネスを仲介し、広げるイメージでしたが、積極的なM&Aを見てみると、当事者として展開する新形態の商社像も垣間見ることができます。丸紅のホームページに見られるような喧騒のなかで事業を生み出す力強さに期待したいところです。

注目ファンド

詳細な投資分析によるバリュー投資を中心に実践しており、短期的な利益追求ではなく安全性を追求しながら中長期的な利益を求めているヘッジファンド。

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丸紅の株価に対する投資家の口コミ

丸紅の株価に対する投資家の口コミ

丸紅の株価に対し、インターネット上の投資家はどのような口コミを寄せているのでしょうか。

丸紅って昔3桁台の株価だったころ買ってたら
利回り8%~9%になってるんだよね。丸紅が一番増配率高いよ。

引用:X

昨日はお休みで最近調子の良い株価の動向を見て楽しんでいたのですが、物産・丸紅などと商社が良さげなので三菱、円安でトヨタも良かったのでSUBARUを買って決算待ちましたが暴落しました。

引用:X

日経平均株価は大幅続伸も、バリュー株は上値を押さえられているようで、私のポートフォリオはマイナス。日本プラストのストップ高があるのにマイナス。

引用:X

すなぎもさん、こんにちは☀️
丸紅は取得利回り的にも株価成長的
にも本当に目覚しいですよね✨☺️
おめでとうございます㊗️

引用:X

丸紅が自社株買いと増配を発表。応援している会社だから嬉しい。株価も上昇中。

引用:X

SNSでは株価好調の状況を歓迎する声が目立ちます。ほかの商社各社と比較しても、支持する声が大きいのではないでしょうか。

丸紅の株価は今後どうなる?

丸紅の株価は今後どうなる

丸紅の株価は今後どうなるのでしょうか。上昇基調にある銘柄ですが、今後も伸びていくのか、高止まりの状況にあるのか、見方は分かれます。今後の丸紅の株価を左右する要因を分析していきましょう。

ポイント

  • カントリーリスク沈静化ならば丸紅の事業を後押し
  • 大きな買収が報道されれば株価へ影響も

カントリーリスク沈静化ならば丸紅の事業を後押し

本記事で何度も言及しているカントリーリスクですが、世界中で報道されているため、「喫緊の問題ではない」と判断されれば商社にとって後押しとなります。特に丸紅は食料や紙パルプに強いため、原油各国との連携状況は投資家も気になる点です。食料に関しては輸入に依存しており、かつ丸紅の取扱い実績が高い領域であれば、影響力は大きくなるでしょう。

丸紅自身や、商社分析のメディアが発表する最新の情報をアップデートしていきましょう。

大きな買収が報道されれば株価へ影響も

数年の好調な業績や、2023年の自社株買いが例年の300億円と比較して200億円と抑制されていたことを考えると、大きな買収が控えているという見方もあります。M&Aではなくても、成果を期待できる段階に入った新規事業の拡大なども考えられます。素材高による好業績は一服感があるため、中計のなかで次の手を期待する声が高まっているともいえそうです。出自の同じ伊藤忠も好調のため、世間を驚かせる協業などもあるかもしれません。

丸紅の業績・株価・配当についてまとめ

丸紅の株価についてまとめました。好業績と株価の推移をふまえて、SNS上でも肯定的な意見の多い銘柄です。ただ商社は大きな動きがあると、株価はプラスにもマイナスにも振れる銘柄です。投資家としては、今後の丸紅の株価が上下どちらに振れるのか予測することで所有、リリースの意思決定も変わります。今後の情報発信に注目していきたいものです。

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