コニカミノルタの企業概要
コニカミノルタとは、どのような企業なのでしょうか。今後の業績や株価について予想や解説をする前に、コニカミノルタという企業について解説していきます。
コニカミノルタの始まりは1873年まで遡り、杉浦六三郎氏が写真館で撮影した写真に感動し、石版・写真機材の販売店を開業したことがきっかけです。
そのため、今でもコニカミノルタといえばカメラをイメージする人も多いのではないでしょうか。
しかしデジタル化が進んだことで、フィルムカメラの需要はなくなり、2006年にコニカミノルタはカメラ事業から撤退しています。
その後は複合機・プリンターや印刷機器などの写真関連の光学製品、ヘルスケア・医療システムに関する製品など幅を広げて事業を展開しています。
会社名 | コニカミノルタ株式会社 |
---|---|
本社所在地 | 〒100-7015 東京都千代田区丸の内2-7-2 |
代表者 | 代表執行役社長 兼 CEO 大幸 利充 |
設立 | 1936年(昭和11年)12月22日 [創業:1873年(明治6年)4月] |
資本金 | 37,519百万円 |
従業員数 | 単体:4,407名(2023年3月現在) 連結:39,775名(2023年3月現在) |
コニカミノルタの事業内容
コニカミノルタといえば「カメラ」をイメージすると思いますが、コニカミノルタは2006年にフィルム・カメラ事業からは完全撤退しています。
以降はデジタル化社会に合わせた事業を複数展開していますが、ここではその事業内容について詳しく解説していきます。
- デジタルワークプレイス事業
- プロフェッショナルプリント事業
- ヘルスケア事業
- インダストリー事業
デジタルワークプレイス事業
コニカミノルタのデジタルワークプレイス事業は、オフィスだけではなく病院やその他製造・物流などさまざまな現場において重要なデータや書類を管理し、セキュリティを確保することを目的としています。
主に取り扱っているのはカラー・モノクロのデジタル対応複合機で、海外においてもトップのシェア率を誇ります。
中小企業をメインの顧客層としているのが特徴的で、人材やノウハウが不足しがちな現場で書類データの管理から、セキュリティ脅威に対するさまざまなサービスをワンストップで提供しています。
プロフェッショナルプリント事業
プロフェッショナルプリント事業で取り扱っている製品は、印刷業務に特化した製品による支援事業です。
デジタルメディアとの連携ニーズの多様化に合わせて、さまざまな電子印刷システムに加え、パッケージ・ラベル・テキスタイルなどの産業印刷領域でも豊富な機能を実現しています。
そしてそれらシステムの最適化だけではなく、印刷会社の働き方改革を支援するための各種サービスも提供しています。
ヘルスケア事業
コニカミノルタのヘルスケア事業では「見えないものを見える化する」というテーマを掲げ、最先端の画像処理技術を用いた医療用の画像診断システムの製造と販売を行っています。
主にX線や超音波を用いた製品が中心で、医療目的ということもあり、高画質で詳細な画像を生成するだけでなく、患者への負担を少なくすることも考慮されています。
既に多くの臨床領域でも採用されており、将来的にも市場の成長が見込まれる事業となっています。
インダストリー事業
コニカミノルタのインダストリー事業は、センシング・材料コンポーネント・画像IoTソリューションの3分野で構成されています。
それぞれの分野でコニカミノルタの持つ最先端技術を用いており、さまざまな産業における業務最適化を支援し、あわせて安心・安全を提供しています。
またインダストリー事業の1つとしてプラネタリウム事業も行っており、60年以上に渡って、関連機器や開発・製造を行っています。今後はこのプラネタリウム事業で培われたドーム投影技術を他の新しいビジネスでも採用し、事業の成長を目指しています。
コニカミノルタの業績推移|売上・営業利益
コニカミノルタの株価がやばいという評価を受けている原因は、昨今の業績悪化にあります。
オフィス機器のメーカーとしては大手ともいえるコニカミノルタですが、コロナの影響で在宅勤務体制が構築されたことにより、需要が低減し、2020年には赤字転落してしまっています。
以下は、コニカミノルタの業績推移に関するグラフです。
2020年以降も赤字は大きくなっています。コロナが収束し、巣ごもり生活から開放されつつありますが、働き方という点において在宅という選択肢はもはや一般的になりつつあり、今後はオフィスという概念が大きく変わっていくことが予想されます。
コニカミノルタには景気の影響を受けづらい医療や通信の事業も取り扱っていますが、やはりこれまで大きな利益を得ていたオフィス機器のマイナスにより、今後も厳しい状況が続いていくのではないかと予測されます。
コニカミノルタの株価推移|過去5年のチャート
ここからコニカミノルタの具体的な株価推移について解説していきます。
過去5年の株価チャートから、コニカミノルタの株の現状を把握し、今後の株価がどのように変化していくかの予想をしていきましょう。
- 2019年〜2021年にかけて株価が下落
- 2020〜2022年にかけて株価が低迷
2019年〜2021年にかけて株価が下落
新型コロナウイルスの感染者が国内で初めて確認されたのは2020年の1月のことです。それから感染者は爆発的に増加し、世間では不要不急の外出を自粛することが当たり前となっていきました。
そして多くの企業では、感染リスクを抑えるために在宅でも働けるように体制を整え、オフィス機器の需要が低減してしまいました。
コニカミノルタの業績が赤字になった時期も2020年のことであり、やはりコロナによる影響が株価下落の原因としては大きいものだと考えられます。
2020〜2022年にかけて株価が低迷
コニカミノルタの業績は2021年以降も赤字が続いています。株価の方はコロナ収束が影響して、最低だった時よりは持ち直していますが、いまなお低迷状態といえます。
そもそもコニカミノルタは配当利回りが5%で、高い利回りと1株当たりの安さが投資家の間でも人気でしたが、業績悪化が続く影響で持ち直してはいません。
さらにコロナが収束しても、世間では働き方改革によりデジタル化や在宅勤務体制が急速に進化しており、オフィス機器の需要回復も難しい時代です。
長期的な投資という観点から見ても、まだ様子見段階の投資家も多いのではないでしょうか。
コニカミノルタの株主還元|配当・自社株買い・株主優待
コニカミノルタは、配当・自社株買い・株主優待をそれぞれ株主還元として行っています。
2020年以降の業績悪化を受け、それぞれの株主還元にはどのような影響があったのか、今後どうなっていくかの指標として参考にしてみてください。
- コニカミノルタの一株配当・配当利回り推移
- コニカミノルタの自社株買い推移
- コニカミノルタの株主優待
コニカミノルタの一株配当・配当利回り推移
以下に2023年までの配当・配当利回りにおける推移をまとめました。
年度 | 前期 | 後期 | 合計 | 配当利回り |
---|---|---|---|---|
2020 | 15 | 10 | 25 | 5.69% |
2021 | 10 | 15 | 25 | 4.17% |
2022 | 15 | 15 | 30 | 5.81% |
2023 | 10 | 0 | 10 | 1.76% |
コニカミノルタの赤字転落は2020年から始まりましたが、その頃はまだ配当利回りも資産から捻出し、5%付近をキープしていましたが、以降業績の回復もなく、2023年に1.76%と急落してしまいました。
ここから再び従来の配当利回りに戻るには、やはり業績の立て直しが必須課題となってくるでしょう。
従来の印刷機の需要回復は現代社会においては絶望的ともいえるので、今後新しいデジタル産業の台頭や、既存の別事業の収益などに注目していきたいところです。
コニカミノルタの自社株買い推移
以下は、コニカミノルタの自社株買いに関する表です。
自社株買いとは、企業側がお金を出して自社株を購入することで、市場の株価を上昇させることを目的とした株主還元の1つです。
コニカミノルタの場合、最後に自社株買いを行ったのは平成27年(2015年)となっており、以降は行われていません。
そして現在では業績は赤字転落しているため、当然自社株買いを行う余裕もないでしょう。今後の株価の変動は、コニカミノルタの業績回復の兆候があるかが前提となってくるでしょう。
コニカミノルタの株主優待
コニカミノルタでは株主優待も株主還元として行っています。
コニカミノルタの株主優待として送られるのは、基本的にオリジナルカレンダーとキンコーズ・年賀状印刷サービスの優待クーポンです。100株保有している個人株主を対象として送られており、美しい光景がプリントされたカレンダーは、思わず旅行に行きたくなるような素敵な仕上がりになっています。
また2019年には株主総会に参加した株主には、プラネタリウムの鑑賞券も配布していたようです。
コニカミノルタの株価がやばい!下落理由を解説
コニカミノルタの株価はどうしてやばいのか。コニカミノルタは印刷業を主軸とした事業を展開しており、時代の流れに大きな影響を受けやすいものとなっています。
ここではコニカミノルタの株価下落理由について、改めて解説していきます。
- 新型コロナウイルスの流行でオフィス事業に大打撃
- ペーパーレスとデジタル化推奨の時代となった
- ヘルスケア事業でも赤字が続いている
新型コロナウイルスの流行でオフィス事業に大打撃
コニカミノルタの株価が下落した最たる原因といえるのは、新型コロナウイルスの流行により、オフィス機器の需要が低減してしまったことが挙げられます。
実際にコニカミノルタが赤字転落し、大きく業績悪化した時期は、まさにコロナが蔓延し、外出が自粛された時期と一致しています。
この頃はビジネスにおいてもテレワークや在宅勤務など、新しい働き方が急速に整備され、オフィス機器を新たに導入する必要性が少なくなりました。
コニカミノルタは特にオフィス機器に力を入れ、シェア率もトップでしたが、コロナは日本だけではなく、海外にも影響を与えたことで、コニカミノルタの株価は大幅に下落してしまいました。
ペーパーレスとデジタル化推奨の時代となった
人が外に出なくなり、巣ごもり生活が始まったことで、世の中のデジタル化も急速に進みました。
インターネットを介して業務を行うため、紙の書類はどんどんデジタル化が推奨され、印刷機器を主軸とした製品を開発・販売しているコニカミノルタにとっては向かい風の状況となってしまいます。
そしてコロナが収束した今でも、テレワークやペーパレス・デジタル化という考え方が根付き、コニカミノルタが提供する印刷機器の需要が、コロナ前の水準に戻るという可能性も低いでしょう。
コニカミノルタの業績がコロナ収束でも回復しない原因は、こういった時代背景が大きく影響しているものだと思われます。
ヘルスケア事業でも赤字が続いている
コニカミノルタは現在印刷機器の開発・製造事業だけではなく、これまで培ってきた技術やノウハウを活かし、ヘルスケア事業として医療機器の製造もしています。
最新の画像処理を用いた医療用画像分析システムは、既に臨床領域でも活躍していますが、収益という観点では現在赤字となっています。
ヘルスケア事業は元々将来の成長を期待していたものですが、需要が高まる前にコロナによって経営難に陥ってしまいました。
今後赤字が続き、事業縮小を免れなくなってしまった場合、ヘルスケア事業にも影響が出てしまうかもしれません。医療関連の株は景気に左右されることはなく安定していますが、コニカミノルタのヘルスケア事業の場合、収益が黒字になることはまだ先のことになりそうです。
コニカミノルタの株価に対する投資家の口コミ
ここではコニカミノルタの株価に対する投資家の口コミについて紹介していきます。
今日のネオモバ
+0.67%
資産は少し回復したけど、コニカミノルタのダメージでかい
ほんとに450わりやがって、、、
暴落時に支えるのは個人投資家で
燃え尽きたら機関投資家が出てくる引用:X
コニカミノルタの業績は最終赤字ながら改善傾向か・・・(u_u)。
引用:X
本日の評価損益前日比+47051
#コニカミノルタ を微妙な株価で買って失敗しました
もう少し待って、下げ切ったところで買えばよかった…引用:X
やはり、売る切り商売は売り上げの平準化は難しいようだ。愚生が半導体株やアップル株にこれまで手を出さなかった理由だ。一方、複写機メーカーはアフターで安定的に儲けてきた。しかし、今は斜陽産業になったこともあってキヤノンやリコー、コニカミノルタの株価も冴えない。
引用:X
ゆるふわ株ニート、資産は右肩下がりで、今年最大の含み損の予感です
久しぶりに星を見たいと思い、4902コニカミノルタの株価を見たら流れ星どころか隕石でしたね気楽にプラネタリウムを楽しみます✨引用:X
投資家の間でも、やはりここ最近続いている業績の赤字を懸念している声が多く見て取れます。コニカミノルタは以下のグラフから分かる通り、収益の半分以上がデジタルワークプレイス事業(オフィス機器関連)に依存しています。
一方で、長期的な投資運用を考え、最安となっているであろう今購入し、様子を見ている投資家もいるようです。
事業計画を大幅に見直し、需要ある事業に重点を置けば、まだまだ改善の見込みはあるということでしょう。
参考:コニカミノルタ「営業データ」
コニカミノルタが業績悪化でつぶれる可能性は?
コニカミノルタが今後業績悪化が理由でつぶれる可能性はあるのでしょうか。
結論から言うと、倒産とまではいかないが、事業縮小は免れないというのが現状から予想されます。
コニカミノルタは業績悪化後も、しばらくの間従来の配当利回りで株主還元を行っていました。
これは収益ではなく、会社の資産から配当金を捻出するタコ足配当と呼ばれるものです。
しかし2023年では一気に減配していることから、もう資金から配当金を出せない状況にまでなっている可能性があります。
現在、コニカミノルタは人員削減などの事業縮小を余儀なくされており、今後収益が従来の水準まで回復することはなくても倒産まではしばらくないだろうと考えられます。
コニカミノルタの株価は今後どうなる?
コニカミノルタの株価の今後はどうなっていくのでしょうか。
2023年では配当利回りも大きく下がり、低迷時期が今後も続くと予想されますが、改善されていく可能性はあるか、ここでは解説していきます。
- オフィス機器需要は今後も右肩下がりが続くと予想
- 事業縮小となれば、業績回復が難しくなる
オフィス機器需要は今後も右肩下がりが続くと予想
コニカミノルタの収益は、オフィス機器によるものが半分以上占めていました。つまり、このままの事業方針で いくのであれば、現在の需要に合わせた製品の開発が必須となります。
テレワークが浸透したことで、従来のオフィス機器の需要が今後上がる可能性は限りなく低いといえます。
そのため、新しい社会に合わせたシステムや機器を開発する必要がありますが、現在のコニカミノルタは事業縮小を余儀なくされている状況でもあるので、厳しいと言わざるを得ません。
事業縮小となれば、業績回復が難しくなる
現在コニカミノルタは人員削減を行っており、将来的に大きな事業縮小が見込まれます。そうなった場合、当然従来の収益水準に戻すのは困難になるでしょう。
コニカミノルタの事業の中で、将来的に成長することが見込まれているヘルスケア事業も、現状では赤字であり、さらに事業縮小するとなれば、少なからず影響を受けることでしょう。
成長機会を失う可能性もあるので、現状ではコニカミノルタの業績回復は難しいといえるでしょう。
コニカミノルタの業績・株価・配当についてまとめ
コニカミノルタはコロナの影響によるオフィス機器需要の低減によって、2023年以降の業績回復も難しい状況にあります。
さらに成長が見込まれていたヘルス事業も赤字が続いており、今後のコニカミノルタは事業縮小を余儀なくされていくことでしょう。
従来のコニカミノルタは配当利回りが5%と高配当で人気の銘柄でしたが、現状を考えると、長期運用としてもしばらくは様子見をすることをおすすめします。
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