ANAの企業概要
ANAとは、正式名称を全日本空輸株式会社(ALL NIPPON AIRWAYS CO., LTD.)といい、主に航空事業を扱っている企業です。
始まりは1952年、第二次世界大戦から国を再興させることを目標として会社を設立し、その後はさまざまな航空機を導入しながら事業を展開してきました。
そして2012年に会社の吸収合併を繰り返し、現在のANAとなりました。
設立時から80年以上も経過していて、航空事業の企業としては老舗であり、その従業員数は4万人を超え、まさに巨大な一流企業といえます。
商号 | 全日本空輸株式会社(ALL NIPPON AIRWAYS CO., LTD.) |
---|---|
設立 | 1952年 |
代表者 | 代表取締役社長 井上 慎一 |
資本金 | 25,000百万円 |
従業員数 | 12,803名(2023年3月31日現在) |
ANAの事業内容
以下では、ANAホールディングスの主な事業内容を紹介します。
- 航空運送
- 航空機整備事業
- 空港地上支援
- 車両整備
- セールス&マーケティング
- コンタクトセンター
- フライトケータリング
- 総合商社
- 貨物・物流
- IT
- 人材・ビジネスサポート
- 不動産・ビルメンテナンス
- 調査研究・シンクタンク
- 航空機操縦士養成
ANAは航空事業を主軸としていますが、ほかにも多くの分野で事業を展開しています。ANAといえば旅客機をまずイメージしますが、80年培った航空のノウハウを生かし、人材育成や研究調査などの事業も行っています。
さらに飛行機で人や物を運ぶだけではなく、より利便性を高めるための航空システムや、旅行商品の開発・販売なども積極的に行っています。特に旅行事業は売り上げの大半を占める航空事業以外の収益の柱と期待されているほどです。
ANAの業績推移|売上・営業利益
以下のグラフは2020年以降のANAの業績推移となります。
出典:ANA「業績推移」
ANAは、コロナが流行した2021年の決算で大きく赤字転落しました。コロナ禍では不要不急の外出を控えたり、県をまたぐ際にも行動制限がかかるようになりました。海外からの入国にも規制がかかり、航空事業の売上が大半を占めるANAにとっては苦しい時期となりました。
しかし2023年には、コロナが収束していくにつれて、各地の行動制限を緩和し、徐々に人や物の移動が活発化したことで業績は黒字転換します。
コロナが流行する前のグラフを見る限り、今後はさらに航空事業の方で業績が伸びていくと考えられます。さらに、ANAは赤字転落時にコスト削減のための事業構造改革を行っているため、従来よりも水準が高くなる可能性もあります。
ANAの株価推移|過去5年のチャート
ANAの業績はコロナ流行により一時赤字に転落しましたが、その株の購入は危険といえるのでしょうか。
ここではANAの5年分株価チャートを見ながら、どのような推移を辿ってきたか解説していきます。
- 2019〜2021年にかけて株価が暴落
- 2021〜2023年にかけて株価が上昇
2019〜2021年にかけて株価が暴落
ANAの株価は2020年頃に大暴落しています。これはコロナによる影響により、ANAの業績が一時赤字転落してしまったことが主な理由です。
また、当時はコロナの収束の見通しも立っていなかったことから、航空業の需要低迷の印象が根付いてしまったことで株価にも影響が出てしまったと考えられます。
さらに交通制限や入国規制なども発令されたことで、この年度は航空事業をメインとしているANAにとっては立て直しも厳しい状況となってしまいました。
2021〜2023年にかけて株価が上昇
2021年から現在まで、ANAの株価は回復傾向にあります。これはコロナが収束し、徐々に人の行き来が増えてきたことで、航空事業への需要が高まったことも要因の1つとして考えられますが、一方でANAの企業努力による影響も大きいと思われます。
ANAはコロナ流行により赤字転落してしまった際、大きく事業構造改革に取り組み、営業費用を削減することで、業績の立て直しを試みました。
結果2020年に落ち込んだ売上も持ち直し、株価にも好影響を与えるに至ったと考えられます。
ANAの株主還元|配当・自社株買い・株主優待
ANAは株主還元として、配当・自社株買い・株主優待を行っています。株の購入を検討する際、株主還元が充実しているかどうかは重要です。
さらに、今後の株価次第ではより利益を獲得できたり、逆に減ってしまうこともあるので、ANAの株購入の際はぜひここで解説する内容を参考にしてください。
- ANAの一株配当・配当利回り推移
- ANAの自社株買い推移
- ANAの株主優待
ANAの一株配当・配当利回り推移
以下の表は、ANAの第68期(2018年)から直近の配当金をまとめたものです。
出典:ANA「配当情報」
ANAは中間配当を行っておらず、期末に一括で配当するという特徴を持っています。
赤字転落してしまった2020年から配当を止めており、2023年まで続いています。企業によっては業績が赤字となっても、利益からではなく資産から配当金を出す場合もありますが、ANAは赤字で配当停止という分かりやすい動きをしています。
現在は黒字転換しているので、今後復配する可能性も期待できるでしょう。
ANAの自社株買い推移
以下の表は、最近のANAの自社株買いの推移についてまとめたものです。
年度 | 実施額 |
---|---|
2018年 | 700億円 |
2023年 | 85億円 |
ANAは2018年に多くの自社株買いをしていましたが、コロナの流行による赤字転落後は実施していませんでした。
企業が自社の株を買う目的の1つは株価の調整にありますが、赤字状況ではそれもできず、次に自社株買いを行ったのは2023年です。配当では2023年も無しとなっていましたが、自社株買いにおいてはANAも積極的な姿勢を見せているようです。
黒字転換してすぐの自社株買いという点においては好印象といえるでしょう。今後の株価にも影響してきそうです。
ANAの株主優待
ANAは株主還元として株主優待も実施しており、その内容は豊富です。主に5つの特典があり、その内容は以下の通りです。
- 国内線の搭乗券
- 提携ホテルの優待割引券
- 国内・海外ツアー商品割引
- 空港内の買い物で使用できる割引券
- 提携ゴルフ場での料金割引
株主優待の内容としては、他の企業の優待と比べても充実しているといえます。特に旅行が好きな方や、ゴルフ好きな方にはおすすめの優待内容となっています。
ANAの旅客機を多く利用するのであれば、株の購入も検討していいかもしれません。
参考:ANA「株主優待」
ANAの株価はなぜ安いか|下落理由など解説
ANAの株価はなぜ安いのか?その背景にはコロナによる影響が大きいとされていますが、それ以外にも株価が下落した理由があります。
ここではANAの株価が下落した理由について解説していきます。
- コロナによる外出規制により業績が悪化
- 希望退職者や出向などで経営破綻を囁かれた
- 公募増資発表により株価下落の要因を作ってしまった
コロナによる外出規制により業績が悪化
ANAの株価が暴落してしまった1番の理由はコロナによる影響で、国内・海外問わず外出が規制されてしまったことだと考えられます。
巣ごもり生活が基本となり、ビジネスの場でもテレワークが普及した中で、飛行機を利用する機会が途端に減ってしまったことで、航空事業の売上を主軸としているANAの業績は悪化を避けることはできませんでした。
結果ANAの赤字額は5500億円までになり、コロナ収束の見通しが不透明ということもあって、株価も一気に落ち込んでしまいました。ただし現在は業績も回復傾向にあり、落ち込んだ印象も上向きとなっているので、今後の株価は上昇の気配があります。
希望退職者や出向などで経営破綻を囁かれた
ANAは大きな赤字を出したことで、コスト削減を余儀なくされ、その影響は社員にもおよび、ボーナスがなくなったり、年収が減少するだけでなく、社員の希望退職数も増加しました。
さらに社員を出向させる方針が噂されてしまったことで、世間からANAの経営状況は深刻なのではないかというイメージを根付かせてしまいます。
この悪い印象が投資をしている株主に嫌気を起こさせ、株価の下落に繋がったのではないかと考えられます。
そして株価が下落すれば、さらに悪い印象が生まれてしまうというスパイラルに陥り、コロナ流行時のANAは立て直しが絶望視されるほど落ち込んでしまいました。
公募増資発表により株価下落の要因を作ってしまった
2020年の落ち込んだ業績を立て直すための施策として、ANAは公募増資を発表しています。
公募増資とは資金調達手法の1つで、新たな株式を市場で発行し、広く株主から資金を調達するというものです。
新たな株主を呼び込み、資金を調達するという単純明快な手法ですが、これにはメリットだけではなく、既存の株価に影響を出してしまうというデメリットがあります。
株価の変動というのは基本的に売りと買いのバランスで成り立つものですが、公募増資をするということは、株式総数が増えるということです。そうすると相対的に売りの比率が大きくなってしまい、結果株価の下落へと繋がります。
ANAの株価に対する投資家の口コミ
ANAの株価について投資家の口コミを集めてみました。
黒字転換してから以降注目も集まってきていますので、購入検討している方はぜひ他の投資家の意見も参考にしていきましょう。
8/23 今日のネオモバ
三井住友 FG × 3 → (合計24)
日本郵政 × 2 → (合計44)
政府が1日の入国者数上限を5万人に緩和する方向で調整中と報道が流れ、ANAとJALの株価は値上がりしています。引用:X
ANA、JAL株価⤴️✨
引用:X
ANAホールディングス(プライム 9202)
11/8 SBI証券
投資判断 買い
目標株価(円) 4,140 → 4,470
ーーーーー
10/31 上期経常は4.2倍増益・通期計画を超過、未定だった今期配当は5期ぶり30円で復配引用:X
8053 住友商事を売って、
9202 ANAホールディングスを買いました。
帰省のためANAを使うので優待目的で保有したいしなかったり、株価が上がると手放してしまいます。
昨日は好決算発表のため3,053円まで上昇、後場に急落し、2,955.5円に。
途中安いと思って買ったけど、含み損中。引用:X
ANAを注目していた
(株主だから)
・エンジン不具合問題で減便がしばらく続くから株価が下がる
VS
・回復が鮮明になり、配当復活宣言による株価上昇
今のところ、上昇している
まあ、エンジン不具合はANAが悪いわけではないしね引用:X
概ね業績が回復し、かつコロナ収束によって不透明だった今後の見通しがはっきりしてきたことで、ポジティブな印象を抱いている投資家が多いようです。
中には既に買っている人もいます。ANAは株主優待の内容も優秀なので、それを第一の目的としつつ、今後の期待も重ねているといった様子です。
今後さらに旅行客などが増えてくれば、さらに株価は上がっていくと思われます。
ANAの株は危ない?買い時はいつ?
ANAの株は危ないとさえ囁かれていましたが、現在はコロナも収束し、業績は黒字転換したことで、今後は期待できる株の1つとなっています。
それではANAの株の買い時はいつなのでしょうか。現在株価は上がっていますが、今後再び下がる見込みはあるのか、解説していきます。
- ANAの株は危ない?
- ANA株の買い時はいつ?
- ANAの株価は今後どうなる?
ANAの株は危ない?
そもそもANAの株が危ないと囁かれていたのは、コロナが流行し、収束の未来が見えていなかった時期のことであり、今では業績も株価も上昇傾向にあります。
既に黒字転換していることから、経営破綻の可能性はまずないでしょう。そして株主還元についても、2023年までは無配当でしたが、黒字転換したことで復配しており、今後の業績次第ではコロナ前の水準にまで戻ることも期待できます。
そのため、今のANAの株が危ないということはないでしょう。
ANA株の買い時はいつ?
結論から言うと、ANA株の買い時は現在の業績回復が一通り落ち着く頃か、今思い切って買ってしまうことです。
ANAは長らく無配当が続きましたが、業績が回復し復配する方針を示しています。復配すれば株価も上昇するため、今が買い時ともいえます。
一方で現在の業績上昇は若干過熱気味でもあるので、一通り業績回復が落ち着くまで待ってみるのも手です。現在は燃料費や資材費も高騰しているため、後々調整が入るタイミングが来ると思われます。
その調整時期こそが、買い時となるでしょう。
ANAの株価は今後どうなる?
ANAの株価は、今後もしばらくは上昇傾向にあると考えられます。
その根拠の1つとしては業績が黒字転換し、コロナ禍前までの水準までもどりつつあることです。コロナ収束により、回復の見込みの不透明さがなくなった以上は、株価も上がっていくことでしょう。
もう一つの根拠は、ANAが復配の方針をとっていることです。2020年から続く無配当から復配するとなれば、ANA株を求める株主も増えていくと思われます。
ただし、昨今燃料や資材費などの高騰化も深刻化しているので、その影響がどのように響いてくるかが気になるところです。
ANAの業績・株価・配当についてまとめ
ANAはコロナによる影響で、一時業績・株価ともに暴落してしまい、配当に関しては2023年まで無配当継続となっています。またコスト削減の施策によって社員の退職や出向が話題となり、ANAの株はやばいとも囁かれていました。
しかし復配の方針が取られ、業績も黒字転換した今、株価は上昇傾向にあります。
ANAは株主優待の面でも優秀なので、買いを検討している方は決断が迫られているタイミングとなるでしょう。
日本国内ヘッジファンドおすすめランキング15選|高利回り企業一覧
この記事では、ヘッジファンドのおすすめをランキング形式でご紹介します。ヘッジファンドと聞くとどのようなイメージをお持ちでしょうか。政府が進める「貯蓄から投資へ」の流れの中で、株...