ゆうちょ銀行の企業概要

ゆうちょ銀行の企業概要

ゆうちょ銀行とは、郵便局内の金融サービス、ゆうちょ銀行のATMを運営する民間の金融機関です。一般的な銀行と同様、顧客から資金を集めて運用しています。

企業への融資は手掛けていないものの、リスク性資産残高を所有するほか、デジタルを重視したビジネスモデルの構築を進めています。

名称株式会社ゆうちょ銀行
設立年月日2006年9月1日
代表者取締役兼代表執行役社長 池田 憲人
本社所在地東京都千代田区大手町二丁目3-1
従業員数11,742名(2023年3月31日現在)
業務内容銀行業

ゆうちょ銀行の事業内容

ゆうちょ銀行の事業内容
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ゆうちょ銀行は貯金や送金、給与の受取など民間銀行と同様の事業を行っています。かつ銀行と同じく、保険や投資信託、確定拠出年金を活用した資産運用も行っています。住宅ローンや貯金を担保にした自動貸付も展開しています。

もともと国営であることから、企業に融資をして成長を促すための事業融資は基本的に扱っていません。積極的な営業活動が難しい立ち位置ながらも、特に高齢者層を中心に知名度と信頼度は高く、ゆうちょ銀行に全面的な資産管理のアドバイスを期待している一般消費者も数多くいます。

資産運用は安全性の高い運用に限らず、アクティブ型投信やファンドラップ、変額年金保険も積極的に販売しています。時に高齢者の顧客などに対し充分な説明をしないまま、リスクの高い運用商品を販売することもあり、企業にとっても大きな課題となっています。

ゆうちょ銀行の業績推移|売上・経常利益

ゆうちょ銀行の業績推移

(営業経費)

ゆうちょ銀行の業績推移

ゆうちょ銀行は過去5年において、売上高(薬務取引等利益)は堅調に推移し、反面営業経費は削減傾向にあります。会社を上げた構造改革が順調に進展しているといえるでしょう。

そもそも同社は民業圧迫という声を避けるため、積極的な拡販策を取ることのできない事業体です。

販売前線のリテラシーの問題から高齢者向けの金融商品の売り方が問題となる場合も多く、現時点の主眼はデジタル化を中心とした経費削減と自動化、旧来の稼働費の削減がIRの中心になるのではないでしょうか。

それでも旧郵便貯金の規模は大きいため、投資家にとっては興味の高い企業といえます。

ゆうちょ銀行の株価推移|過去3年のチャート

ゆうちょ銀行の株価推移

ゆうちょ銀行の株価をチャートから見ていきます。上下幅はありますが、過去3年において堅実に株価を伸ばしている印象です。売上が伸びつつも、しっかりと経費を削減できている状況が評価されていると考えられます。

ポイント

  • 2020〜2022年にかけて株価が上昇
  • 2022〜2023年にかけて株価が上昇

2020〜2022年にかけて株価が上昇

ゆうちょ銀行の株価推移

ゆうちょ銀行の株価は2020年から2023年にかけて、上下変動幅がありながらも手堅く上昇を続けています。他社との提携やベンチャー支援、継続した経費削減が評価されているようです。

もともと国営の事業体のため、一時的な決算によって株価が下がっても「いずれ上がるだろう」という楽観的な見立てがされやすい銘柄といえるでしょう。

同様に国営企業から民営化し、上場企業となった例はNTTやJRなど僅かで、比較対象が少ない銘柄であることも間違いありません。

2022〜2023年にかけて株価が上昇

ゆうちょ銀行の株価推移

株価の上昇が特に顕著なのが2023年の後期です。1株1,150円から1,200円ベースだった株価が1,450円前後まで伸長しています。背景は2020年以降の好調要因と同じく、売上の伸長と経費削減策の評価とみられます。

銀行などの金融業は株価が動きにくい特徴があるなか、この上昇基調は高い評価を引き寄せるものと考えられるでしょう。

一方で、ゆうちょ銀行がもともと国営だったことは今後の政策次第でどうなるかわからない点があります。

郵政民営化法改正により現在の立ち位置が揺らぐこともゼロではありません。同行の株を長期ホールドする際は、この独自の立ち位置をどのように考えるかがポイントとなります。

ゆうちょ銀行の株主還元|配当・自社株買い・株主優待

ゆうちょ銀行の株主還元

ゆうちょ銀行の株主還元はどのようになっているのでしょうか。配当・自社株買い・株主優待の実績を確認していきます。過去、自社株買いは実施されておりませんでしたが、2023年に大型の自社株購入がありました。

ポイント

  • ゆうちょ銀行の一株配当・配当利回り推移
  • ゆうちょ銀行の自社株買い推移
  • ゆうちょ銀行の株主優待

ゆうちょ銀行の一株配当・配当利回り推移

1株当たりの配当金配当性向(連結)
年間中間期末
2024年3月期50円(予想)0円50円(予想)54.0%(予想)
2023年3月期50円0円50円57.5%
2022年3月期50円0円50円52.7%
2021年3月期50円0円50円66.9%
2020年3月期50円25円25円68.5%

出典:株主還元|ゆうちょ銀行

2020年以前は中間・期末の年2回実施していた配当も、2021年以降は年1回、期末配当のみの実施が続いています。同行の運用ポートフォリオの状況を踏まえ、市場の不透明性が大きいと判断されているようです。

配当性向は50%程度を維持する方針が公表されているため、最近5年間は実績として遵守されています。

ゆうちょ銀行の自社株買い推移

2023年799億9,998万円

出典:IRBANK

ゆうちょ銀行の自社株買いは2023年に1回のみ実施されています。回数は多くないものの、この実施回に約800億円を投入する規模の大きい自社株買いでした。2023年の株価上昇は、この自社株買いが背景となっているのではとする分析も数多くあります。

今後も回数は頻繁ではないものの、単回で規模の大きな自社株買いが実施される可能性は残されているでしょう。2023年のように想定通りの株価推移の影響が実現するかも含め、注視したいところです。

ゆうちょ銀行の株主優待

毎年3月31日時点で同行株を500株以上所有している投資家は、同行の発行するオリジナルカタログからお好みの商品を選択することができます。

食品や雑貨などの送付のほか、社会貢献活動団体への寄付やオリジナルフレーム切手等が掲載されており、とてもバラエティに富んだ内容です。

なお、期限内に商品の申込が無かった株主の商品代相当金額の一部は、同行が指定する社会貢献団体に寄付する仕組みです。一般の上場会社とは明らかに異なる、同行の独自性の高さを表しています。

ゆうちょ銀行の株価はどこまで落ちる?

ゆうちょ銀行の株価

上昇基調が続くゆうちょ銀行の株価ですが、今後どこまで落ちるのでしょうか。なぜ高くなっているのか、理由を分析します。

株価下落の主な原因は流動株の少なさと、定期的に頻発するコンプライアンス違反によるものです。

ポイント

  • 流動株の少なさは常に株価下落の要因に
  • 定期的に頻発するコンプライアンス違反に留意
  • NISA新制度の受け皿となることに期待

流動株の少なさは常に株価下落の要因に

ゆうちょ銀行は発行する株のうち、38%しか市場に出ていません。残りは親会社の立ち位置に近い日本郵政が所有しています。よって38%の株のなかで規模の大きい売却が行われると、とたんに株価が低迷します。

明らかになってはいませんが、従来の短期的な株価下落は、おそらく機関投資家などの売却によるものだと考えられます。

上場株のなかで、ゆうちょ銀行はきわめて特殊性の高い銘柄といえるでしょう。変動幅の少ない金融株でありつつ、親子上場の他社の株などを見ながら、同社の株価推移を予測していくことをお勧めします。またその特殊性から、短期トレードには向かない株と定義できるでしょう。

定期的に頻発するコンプライアンス違反に留意

時々ゆうちょ銀行は自分で自分の首を締めます。顧客に対しコンプライアンス違反が発生し、自行の評価を下げてきました。

ただ2023年に入ってからは、いわゆる不祥事や問題のあるサービス提供の話が報じられなくなったように思えます。コンプライアンスの強化を含めた企業の対応が進捗している証拠といえます。

特に高齢者を対象とした有価証券や生命保険の販売は、業者も健全化に力を入れています。

ゆうちょ銀行は高齢者の信頼を得ているため、それらを毀損しないよう、少なくとも今後5年はコンプライアンス領域でのネガティブなニュースが無いことを期待します。

それが安定的な株価上昇に繋がることは間違いありません。

NISA新制度の受け皿となることに期待

2024年1月からNISA新制度が始まっています。

SBI証券やマネックス証券などのネット証券を使ったNISAの申込が活況ですが、ゆうちょ銀行を利用する層もまたNISAをはじめたり、旧制度から拡充したりする動きが活発化しています。

特にネット銀行に馴染みのない高齢者層を中心に、ゆうちょ銀行にNISAの相談をする動きも活発化しているようです。

応じてゆうちょ銀行も2024年1月から、NISA成長投資枠で注文できる商品としてオールカントリーの投信と債券ファンドの販売を開始しました。

次回の決算では、NISA新制度を受けて窓口販売がどうなったかにも注目したいところです。

注目ファンド

詳細な投資分析によるバリュー投資を中心に実践しており、短期的な利益追求ではなく安全性を追求しながら中長期的な利益を求めているヘッジファンド。

詳細はこちら

ゆうちょ銀行の株価に対する投資家の口コミ

ゆうちょ銀行の株価の口コミ

SNSなどに寄せられたゆうちょ銀行への口コミです。

ちょいマジメなハナシ。ゆうちょ銀行の株価が17日終値で6年前の公募価格1450円を回復したけど、この事象が近い将来の何を示しているか?それは日銀のマイナス金利解除と見てます。それを見越したゆうちょ銀行の爆上げ。。手放しでは喜べないよね。#YCC #株式投資

引用:X

ゆうちょ銀行の株価がついに1400円超え
3月に某証券が売りに来た時は1100円台だったと思う
その時はシリコンバレーBやクレディ・スイスの倒産があり国債で運営するこの銀行の株など怖くて買えなかった
現在、日本郵政事業は金融に依存する比率大で銀行の決算は好調
やはり買い時ってあるンだなァ

引用:X

昨日ゆうちょ銀行は決算を発表し、利益は前期比15.3%増の2,538億円に伸び、通期計画の4700億円に対する進捗率は54.0%になりました!増配はありませんでしたが、次回決算発表時に増配もあるかもしれないですね。株価について好調な決算を受けたものの、伸びなかった印象なので明日以降に期待です

引用:X

26日にゆうちょ銀行を全部売ったのは、今日のTOPIX大リバランスで株価がどうなるかわからないから。
浮動株比率が上昇するから買い需要があることはわかってる。
が、それを先取りした動きで株価は上昇してる。
今日の買い需要で手じまうホルダーもいるだろうと思い、今日を待たずに売った。

引用:X

午前中に通帳を持って窓口に行った私としては、今頃「ゆうちょダイレクト」が復旧しても余り嬉しくありません。
しかも「ゆうちょPay」は依然不具合が続いているのですから、明日以降も不安が残ります。
それでも本日のゆうちょ銀行の株価は24円の値上りなのですから、誠に「不思議な国」です。

引用:X

口コミを見て感じるのは、ゆうちょ銀行も日本郵政も別会社として上場しています。

ただ、この2社はどちらも事業が「郵便局」で行われているなど重複するところが多く、投資家も一緒くたに見ているところがあります。

民営化した郵政三事業のなかでは、もっとも順調に成長しているのが銀行領域であることは間違いありません。

ゆうちょ銀行の株価は今後どうなる?株は買うべきか?

ゆうちょ銀行の今後の株価

ゆうちょ銀行の株価は今後どうなるのでしょうか。投資家として、このタイミングで株を買うべきか、見送るべきかについても考えていきましょう。

ゆうちょ銀行を巡る動きとして2024年に注目なのは、日銀による金融緩和の動きです。

ポイント

  • 政策金利の利上げが実行されればゆうちょ銀行は有利か
  • 高齢者向けゆうちょダイレクトの成長に期待したい

政策金利の利上げが実行されればゆうちょ銀行は有利か

2024年の金融トピックとして注目されているのが、日本銀行による政策金利の利上げです。

特に日銀施策のひとつであるYCC(イールドカーブ・コントロール)は長期金利の影響が大きいとされ、金融機関は状況を見守っています。

ゆうちょ銀行もまた、YCCなど金融緩和策の修正を注視している企業のひとつです。特にゆうちょ銀行は信頼性が高く、ほかの金融機関とは異なる影響に投資家も注目しています。

専門家界隈では、YCC修正は2024年春から夏にかけてではないかといわれています。

高齢者向けゆうちょダイレクトの成長に期待したい

ゆうちょ銀行の主顧客は、自分から郵便局に足を運ぶ人たちであることは間違いありません。ここでは貯金業務のほか、窓口販売としての保険や証券の提供機会となります。

ただ、これからの銀行業務の鍵を握るのはオンライン取引です。ゆうちょ銀行では「ゆうちょダイレクト」というオンラインサービスを提供していますが、まだ改善の余地があります。

50代、60代といった年齢層が年金受取などで金融機関に通う際、窓口となっているゆうちょ銀行が、今後どこまでオンライン化を進められるかは鍵となるでしょう。

ゆうちょ銀行の業績・株価・配当についてまとめ

ゆうちょ銀行の株価についてまとめました。ゆうちょ銀行の株価は上下変動はありますが、長期的には確実に成長しています。

金融機関ではあるものの、もともと国営の立ち位置はほかの銀行株と異なるもので、同行の安定性に繋がります。一方で積極的な営業は民業圧迫と見られるデメリットもあります。

同行の可能性を客観的に分析し、投資判断を進めることが大切です。

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