スクウェア・エニックスの企業概要
スクウェア・エニックスとは、ゲームの企画、開発、販売やコミックの出版など多様な嗜好をとらえた高品質のエンタテイメント・コンテンツ/サービスを提供するグローバル企業です。
1975年に株式会社営団社募集サービスセンターが設立され、1982年に株式会社エニックスに社名を変更、1986年に株式会社スクウェアが設立されました。
2003年にスクウェアをエニックスが吸収合併した事で、株式会社スクウェア・エニックスに商号を変更し、2008年に持株会社体制へ移行したことで現在の株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングスに商号が変わりました。
企業概要は下表の通りです。
企業名 | 株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス |
---|---|
設立 | 1975年9月22日 |
資本金 | 240億39百万円(2023年3月3末) |
従業員数 | 4,712名(連結 2023年3月末) |
スクウェア・エニックスの事業内容
2024年3月時点でスクウェア・エニックスの事業内容は、デジタルエンタテインメント事業、アミューズメント事業、出版事業、ライツ・プロパティ事業の4つに分かれています。
- デジタルエンタテインメント事業
- アミューズメント事業
- 出版事業
- ライツ・プロパティ等事業
- デジタルエンタテインメント事業、アミューズメント事業関連IP
デジタルエンタテインメント事業
デジタルエンタテインメント事業では、ゲームを中心に企画、開発、販売および運営を行っています。
高解像度ゲーム、大型オンラインゲーム、モバイル向けゲームなど顧客の嗜好やライフスタイルに合わせた商品開発、運営を行い、世界各国の開発および事業拠点からサービスを提供しています。
主な商品は、ファイナルファンタジーシリーズ、ドラゴンクエストシリーズ、キングダムハーツシリーズ、スペースインベーダーなどがあります。
アミューズメント事業
アミューズメント事業では、日本全国で展開するタイトーステーションの運営ならびに業務用ゲーム機器の企画、開発、販売等を行っています。
施設運営の経験を生かしたアミューズメント施設のフランチャイズ事業、業務用ゲーム機器のレンタル事業の展開も行っています。
主なサービスおよび製品は、ノボルト(アミューズメント施設)、ゲッタースピン(クレーンゲーム機器)、電車でGO!シリーズなどがあります。
出版事業
出版事業では、コミック雑誌の定期刊行、コミック・イラスト・ライトノベルを掲載するウェブマガジンの定期更新、スマートフォン向けアプリを通じたデジタルコミックの配信および連載作品のコミックス等の出版、それらを原作とするアニメ化や実写ドラマ・映画化・舞台化などを行っています。
主なサービスは、月間少年ガンガン、ガンガンONLINE(スマートフォン向けアプリ)などが挙げられます。
ライツ・プロパティ等事業
ライツ・プロパティ等事業は、スクウェア・エニックスのグループおよび他社IPのコンテンツを中心に二次的著作物の企画、制作、販売およびライセンスの管理などを行っています。
オフィシャルショップやカフェの運営などにより、既存ファンおよび新規顧客の開拓を行う宣伝事業を担っています。
主な商品は、プレイアーツ改(フィギュア)、スクウェア・エニックストイズ関連グッズです。
デジタルエンタテインメント事業、アミューズメント事業関連IP
IPとは、Intellectual Propertyの略称で知的財産を意味します。
ゲーム業界で利用されるIPはゲームタイトルやキャラクターで、ヒット商品になればブランド化や社名の認知向上が期待できます。
スクウェア・エニックスの代表的なIPは、1987年から続くファイナルファンタジーシリーズ、1986年から続くドラゴンクエストシリーズ、キングダムハーツシリーズ、サガシリーズ、聖剣シリーズ、クロノシリーズなどが挙げられます。
2021年に開催された東京オリンピックの開会式では、ドラゴンクエストシリーズの音楽が演奏されるなど世界的に有名なIPを保有しています。
スクウェア・エニックスの業績推移|売上・営業利益
引用:スクウェア・エニックス2023年度4Q 決算短信
引用:スクウェア・エニックス2024年度1Q 決算短信
引用:スクウェア・エニックス2024年度2Q 決算短信
引用:スクウェア・エニックス2024年度3Q 決算短信
上図は、スクウェア・エニックスの直近4四半期の売上高および営業利益の変化を表した図です。
今期の売上高成長率は、前年同期比-7.2%、前期比-0.9%です。
また、通年ガイダンスとして売上高3600億円(前年比+4.9%)、営業利益550億円(前年比+24.2%)、純利益385億円(前年比-21.7%)が示されました。
このデータを基に計算すると、来期売上高成長率は前年同期比+16.8%、前期比+19.7%です。
引用:スクウェア・エニックス2020年度4Q 決算短信
引用:スクウェア・エニックス2021年度4Q 決算短信
引用:スクウェア・エニックス2022年度4Q 決算短信
引用:スクウェア・エニックス2023年度4Q 決算短信
上図は、2020〜2023年度の年間売上高および営業利益を表した図です。
2023年度の売上高成長率はマイナスでしたが、2024年度の売上高成長率+4.9%とプラスへ転換の見通しです。
また、2024年度営業利益率ガイダンスは15.3%で、前年より改善が見込まれています。
スクウェア・エニックスの株価推移|過去10年のチャート
出典:みんかぶ
スクウェア・エニックスの過去10年間の株価チャートを確認します。
10年間のパフォーマンスは、+174.4%です。
売上高の多くを占めるデジタルエンタテインメント部門から提供される新製品によって、業績に大きな影響を与えて株価も激しく上下しています。
- 2017~2018年にかけて株価が高騰
- 2019〜2020年にかけて株価が高騰
2017~2018年にかけて株価が高騰
出典:みんかぶ
2017年は1年間で+80.9%の大幅上昇を記録しました。
2018年6月22日に直近の高値である5436円を記録し、2017年の年初から101.2%上昇しました。
この要因は、2016年11月29日に発売されたファイナルファンタジー15が好調である事、2017年7月29日に発売されたドラゴンクエスト11が売れ行きが良い事、ドラゴンクエスト10オンラインの発表、大規模な自社株買いが挙げられます。
2018年2月決算で営業利益の減少が嫌気され売られましたが、5月の決算で予想以上の営業利益を発表し再度上昇しました。
2019〜2020年にかけて株価が高騰
出典:みんかぶ
2019年の年初から2020年9月3日にかけて、株価は+155.2%の大幅上昇を記録しました。
2019年5月の決算でファイナルファンタジー14の課金会員の増加による増収増益が確認され、株価が高騰しました。
その後、2020年のコロナショックで一時株価が直近高値から35.9%下落しました。
しかし、外出規制の影響を受けた2020年8月決算ではアミューズメント事業以外で大きな成長が確認され、株価は大きく上昇しました。
その要因は、ファイナルファンタジー12リメイクのデジタル販売数の増加やファイナルファンタジー14月額課金のさらなる増加などが挙げられます。
スクウェア・エニックスの株主還元|配当・自社株買い
スクウェア・エニックスは、株主還元の一環として配当および自社株買いを行っています。
特に、配当による株主還元に力を入れており、2022年度には大きな増配が発表され、現在も高い配当を継続しています。
- スクウェア・エニックスの一株配当・配当利回り推移
- スクウェア・エニックスの自社株買い推移
スクウェア・エニックスの一株配当・配当利回り推移
上図は、一株配当について表した図です。
2022年度は業績が好調だったことにより、大きく増配しています。
配当方針は成長投資を優先し、株主還元と内部留保のバランスを考慮して決定されています。
連結配当性向は30%が目安で、2023年度は30.1%でした。
また、2023年度末決算で1株当たりの年間配当金の最低水準を30円と設定されています。
2024年度の配当ガイダンスは97円です。
引用:みんかぶ
上図は、配当利回りの推移を表した図です。
2024年度の配当利回り予想は、2023年3月6日時点の株価で1.62%です。
スクウェア・エニックスの自社株買い推移
現在の商号になってから2017年に一度だけ自社株買いを行っています。
買付け期間は、平成29年5月25日〜6月21日で一株当たりの平均取得単価は3077円、買付け数は3,003,530株でした。
旧エニックスの創業者である名誉会長が保有株式の一部を売却することが自社株買いの理由とされています。
また、持ち株会社体制に移行する直前の2008年に、経営環境の変化を理由に5百万株を上限とした自社株買いが行われていますが、それ以降は積極的に行われていません。
スクウェア・エニックスの株価が下落した理由を解説
スクウェア・エニックスは株価が度々急落しており、直近では2023年6月から12月にかけて37.6%の大きな下落を記録しています。
度々の急落の理由について詳しく解説していきます。
- 決算発表後に株価が急落する事が多い
- 新製品の発表や売れ行きに大きく左右される
- 新たな人気シリーズの創出が上手くいっていない
決算発表後に株価が急落する事が多い
直近では、2023年8月の決算翌日に株価は12.6%下落しました。
この要因は、進捗率の低さや経常利益が前年同期比-65.3%など投資家の期待を下回った業績が発表されたからです。
決算後の急落は時折発生しており、2020年11月の決算翌日には株価が14.1%下落しました。
この時の要因は、市場コンセンサスを大きく下回った業績を発表した事です。
反対に決算後に急騰するケースもあります。
2024年2月の決算では、営業利益が市場コンセンサスを上回ったことで翌日に株価は7.4%上昇しました。
スクウェア・エニックスは四半期ごとの業績変動が激しく、決算後の株価変動が比較的大きいと言えます。
新製品の発表や売れ行きに大きく左右される
スクウェア・エニックスの収益の約7割はデジタルエンタテインメント事業が占めており、新作ゲームの販売数が大きく影響しています。
2023年度は、アミューズメント事業、出版事業、ライツ・プロパティ等事業は前年比で増収だったものの、デジタルエンタテインメント部門が12.2%の減収だったため、売上高全体もマイナス成長を記録しました。
2023年度は、複数の新作タイトルを投入したものの売れ行きが芳しくなかった事、MMOの拡張コンテンツが発表されなかった事が売上高低迷の要因です。
継続的に人気となる新作ゲームの発売が必要ですが、売れ行きは見通せないため今後も株価の変動率を高める要因となるでしょう。
新たな人気シリーズの創出が上手くいっていない
ファイナルファンタジーシリーズやドラゴンクエストシリーズは30年以上続く大人気ゲームソフトですが、それ以外に大ヒットゲームは近年発売できていないと言われています。
ゲーム開発の競合他社であるカプコンはバイオハザードシリーズ、モンスターハンターシリーズ、ストリートファイターシリーズなど近年大ヒット商品を発売しており、2020年には時価総額で抜かれました。
この様な動向のとおり、スクウェア・エニックスは新作ゲームを発売しているものの、ゲーム品質が安定せず低評価のゲームが増えており、一部の投資家が将来性について不安を覚えています。
スクウェア・エニックスの株価に対する投資家の口コミ
スクウェア・エニックスは、SNSや掲示板などでどの様な評価をされているでしょうか。
初週売り上げは16よりは余裕で越えていると思う
ただ巣篭り需要とPS4の普及台数を考えれば前作越えはないかな
いずれにせよジワ売れで前作を超える売り上げになるポテンシャルはあると思われ
短期的にはどんな初週売り上げでも出尽くし演出からの売り崩しがあるかもだが、その時こそ全力で買いまくってやる~
ここで耐えてくれるにこしたことはないけど・・・引用:Yahoo!ファイナンス
いつまでブランドにしがみついてるんですかね。
初動で売らなきゃ売れないのにせめてsteamと一緒にださなきゃだめでしょ。
素人でもわかるのに経営が下手すぎて呆れる。引用:Yahoo!ファイナンス
かつてFFとDQの発売日がピークだったのは
電気屋の行列がニュースに流れていたから
それ見て蝗する人目当てに売り浴びせゲー
今でも株価はその慣習を守っているようだ引用:Yahoo!ファイナンス
スクエニの株価大幅下落の原因は多々あれど決定的なものはない
・ドラテンのバージョン6のつまらなさ
・FF16の評価がクッソ低い(自分はやってないので実際どうなのかは知らないけど)
・ドラクエ新作が全然でないのにソシャゲやダイ大で大こけ
・ドラテンプレーヤーが逮捕相次ぐ 積もり積もった結果引用:X
スクエニってFF発売する度に株価暴落するの?
実際のゲームが面白い面白く無いは関係なく、もう株主からは求められて無い、もしくは信用されて無いんじゃ……?
とは言えFF16の時ほど大暴落はしてないけどね。頑張れスクエニ。
私はパラサイト・イヴのリメイクを願う!引用:X
投資家のSNSでは、人気シリーズの発売日に対する株価の動向と新しい経営戦略への転換期待に注目が集まっています。
スクウェア・エニックスの株価は今後どうなる?将来性を解説
スクウェア・エニックスの株価は激しい業績変動と新作ゲームの発売によって大きく変化していますが、今後はどうなるのでしょうか。
株価が上昇するために必要なポイントなどを解説していきます。
- 新たな人気シリーズが制作できるか
- 利益事業の成長に伴う配当の増加
新たな人気シリーズが制作できるか
2024年2月の決算で紹介された主な新作タイトル7つの内、5つはファイナルファンタジーシリーズとドラゴンクエストシリーズです。
この2つのシリーズは長く人気のタイトルですが、ファン層の高齢化も指摘され始めており、新たな人気シリーズの制作は急務です。
人気シリーズの制作は容易ではありませんが、成功すれば長くヒットする商品になる可能性が高く、長期に渡る業績の安定とさらなる成長が見込まれ、株価は上昇するでしょう。
反対に、人気シリーズが出ない場合は業績が低迷し、株価が下落する可能性があります。
利益事業の成長に伴う配当の増加
2024年2月の決算で各部門の営業利益率は、デジタルエンタテインメント事業が17.1%、アミューズメント事業が12.2%、出版事業が39.3%、ライツ・プロパティ等事業が25.8%でした。
出版事業とライツ・プロパティ等事業はデジタルエンタテインメント部門より利益率が高く、堅調に成長が続くと連結配当性向が30%以上とされている事から増配が期待できます。
現状二つの事業の合計売上高比率は13.6%と低いため今後の成長性次第ですが、配当利回りが高くなれば投資家の注目が集まるため要確認です。
スクウェア・エニックスの業績・株価・配当についてまとめ
スクウェア・エニックスは新作ゲームの売れ行きによって業績が大きく変化するため、株価は決算や発売日前後に高騰、急落する場面が目立ちます。
2023年度は減収減益で投資家の期待を超えられませんでしたが、2024年度は前年比で増収増益のガイダンスが示されています。
また、連結配当性向は30%が目安で、2024年度の年間配当は97円の見通しです。
日本国内ヘッジファンドおすすめランキング15選|高利回り企業一覧
この記事では、ヘッジファンドのおすすめをランキング形式でご紹介します。ヘッジファンドと聞くとどのようなイメージをお持ちでしょうか。政府が進める「貯蓄から投資へ」の流れの中で、株...