コーセーの企業概要

コーセーとは、日本を代表する化粧品大手です。店舗や百貨店の店頭にて美容部員が顧客と対面販売形式を取る販売方法を実践しています。日本のほかにも1960年代の早期から中国、香港、韓国などのアジア市場への参入を積極的に進めています。いわゆるファンデーションとスキンケアの市場は、同社が提唱したことで認知された領域といわれています。
コーセーで最も知名度の高いブランドは「雪肌精(せっきせい)」です。1985年の販売開始以来、日本および中国で高い人気を誇る美白化粧品です。雪肌精に関しては、ドラッグストアでの販売が目立ちます。
会社名 | 株式会社コーセー |
---|---|
創業 | 1946年 |
代表者 | 代表取締役社長 小林一俊 氏 |
従業員(連結) | 12,816名 (2023年12月末 嘱託・パート含む) |
本社 | 東京都中央区日本橋3-6-2 |
コーセーの事業内容

コーセーの事業内容は化粧品の販売です。店舗や百貨店における美容部員を介した直接販売と、同社の最大のヒット商品である雪肌精のようなドラッグストア販売に力を入れています。
また日本のみならず、中国や香港、韓国においても事業展開を進めています。2010年以降はイタリアやインド、ブラジルなどに現地法人を組成し、海外展開に更に力を入れている印象です。
また同社の主力である雪肌精は、2014年10月に化粧品が免税対象に加わったことにより、訪日観光客(インバウンド)による消費、なかでも中国人観光客による爆買いが大きな売上になっていました。2016年に中国政府が化粧品の関税を10%引き上げる対策に前後して、コーセーは中国国内におけるリブランディングを実施しています。
コーセーの業績推移|売上・営業利益

引用:コーセーIR
売上高は15%のプラス、営業利益もかろうじて利益を確保した2022年度から大きく挽回しました。レポートを見ると中国、韓国は低調だったものの、日本とアメリカの子会社、タルト社の業績が牽引しました。
特にタルト社は前年69%のプラスであり、すべての展開エリアで前年同月売上高を超える好成績を残しています。数字を上げられる適切な投資の遂行と、予測通りの予実が実現できたことが背景といえます。
また全社を通じて原価率の低いスキンケア商品がヒットしたため、原価率を押し下げた側面もあります。またブランド全体を通して、メジャーリーグの大谷翔平選手を起用しました。化粧品業界に野球選手が登場することが話題性を呼び、売上回復に大きく寄与したと決算書にて分析されています。
コーセーの株価推移|過去4年のチャート

コーセーの株価について、チャートを見ていきましょう。2020年のコロナ禍は化粧品業界を直撃しましたが、同社はコロナ禍が長期化および沈静化してからも、株価が低迷の一途を辿っています。期間ごとに区分けして見ていきましょう。
- 2020〜2023年にかけて株価が下落
- 2023〜2024年にかけて株価が下落
2020〜2023年にかけて株価が下落

引用:Yahoo!ファイナンス
コロナ禍が長期化すると、化粧品業界の株価も下落に底が見えてきます。2021年の年初から秋にかけて高値を維持した背景には、「コロナのなかでも化粧品のニーズは底堅いのではないか」という読みがあったと考えられます。また企業努力により、コロナの影響を受けやすい口紅などの化粧品(マスクで隠れる)から、目元の化粧品にシフトしたことによる業績堅持の効果もあるでしょう。
ただコロナが鎮静化しても、表のように同社の株価は上昇に転じていません。将来の事業と見据えていた中国の不振などが影響しているように感じます。
2023〜2024年にかけて株価が下落

引用:Yahoo!ファイナンス
2023年以降、コーセーの株価は更に低下の一途を辿ります。原因として考えられるのは、2023年の決算が著しく悪化したことです。中国と韓国に軸を据えた海外展開の停滞が背景にあります。海外で化粧品を展開することは、海外諸国の関税や為替などに大きく影響されることがわかります。
まして中国などは、日本の化粧品会社が自国で幅広く展開することに抵抗感を示しており、今後もリスクが介在しているといえます。そのため同社も2023年度はアメリカの子会社であるタルトを事業の軸に据え、業績を大きく挽回させました。
コーセーの株主還元|配当・自社株買い・株主優待

コーセーの株主還元を解説します。配当や自社株買い、株主優待を確認していきましょう。同社は配当戦略が安定しており、かつ自社株の取得機会も多い企業です。長年、株主還元を重視していることがわかります。
- コーセーの一株配当・配当利回り推移
- コーセーの自社株買い推移
- コーセーの株主優待
コーセーの一株配当・配当利回り推移

引用:コーセーIR
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2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | |
---|---|---|---|---|
中間配当(円) | 60 | 70 | 70 | 70 |
期末配当(円) | 60 | 70 | 70 | 70 |
配当金合計(円) | 120 | 140 | 140 | 140 |
コーセーの配当金は業績に左右されず、複数年にわたり安定して付与されています。株価は低迷していますが、当社が決算で言及している通り、財務基盤には問題がありません。よって株価とは切り離して安定的な付与を続けるという経営陣の方針であることがわかります。
来たる2024年の12月期も従来並みの配当が予定されているため、配当削減による更なる株価の減少リスクは無いと考えられるでしょう。なお同社の中間配当は6月30日が基準日(支払い開始日は9月上旬)、期末配当は12月31日が基準日として設定されています(支払い開始日は3月下旬)。
コーセーの自社株買い推移
コーセーの自社株買い推移を表にします。取得金額の多い回と、2019年以降の抜粋資料です。
自社株取得時期 | 取得額 |
---|---|
2008年3月 | 29億6,100万円 |
2009年3月 | 24億4,100万円 |
2013年3月 | 18億4,600万円 |
2019年3月 | 400万円 |
2021年3月 | 200万円 |
2022年12月 | 300万円 |
引用:IRBANK
コーセーの自社株買いは特徴的です。2010年までは20億円を超える大型の自社株買いが実施されましたが、2019年以降は数百万円のみときわめて小規模の実施のみとなっています。
これは数ある「自社の株価を上げる方法」のなかで、自社株買いの優先順位が下がったことを意味します。自社株買いにキャッシュを使うよりも、本業への投資や、海外展開に注力しようと判断した結果といえるでしょう。
今後、2022年から実施されていない自社株買いが行われる可能性もありますが、数百万円の規模に留まる可能性が高いと考えられます。
コーセーの株主優待
コーセーの株主優待は「100株以上1000株未満」の株主と、「1000株以上」に分かれます。またそれぞれ3年以上保有している株主に対し、長期保有コースとして通常とは異なるラインナップを提唱しています。
(株主優待の一例)
- メラノショットW(薬用美白美容液)
- イドラクラリティ(薬用ローション)
- カルテHDセット(保水液)
- ヘアケアセット
- マニフィークセット(メンズケアブランド)
- 雪肌精セット
- ベースメークアップセット
コーセーの株価が下落した理由を解説

コーセーの株価が下落した理由を分析します。コロナの影響、中国を中心とした海外展開のリスクを受けた影響などが考えられます。コロナ禍の後遺症と、中国や観光に投資したことの見込み違いが会社全体の業績に影響を与えています。
- コロナ禍に「終わり」は無かった?
- 中国や台湾の持つカントリーリスク
- あらたなビジネスモデル構築まで様子見か
コロナ禍に「終わり」は無かった?
さまざまな思惑が重なり、コロナ禍は長く続きました。国の主導による緊急事態宣言が解除されても、人混みのなかではマスクをつけるべき、可能なら在宅をすべきという社会変革がありました。
リモートワークの浸透は歓迎すべき点も多いですが、化粧品業界にとっては需要を根本から否定することに繋がります。ここまでがコロナで、明日からは100%日常!とはならず、コロナ禍から日常への移行が長々と続いているのが昨今の状況といえます。言い換えれば、そのなかで日本事業に数字を残しているコーセーの最新決算は、高い評価を得られるといえるでしょう。
中国や台湾の持つカントリーリスク
過年度のコーセーの決算は、期待した中国事業の不調が大きな原因でした。中国における現地製造の商品のほか、日本において製造した輸出商品が高い関税の対象になったこと、円安が進むことで、競合の多い日本市場が活性化し、特定の企業が不利になったことが指摘できます。最新年度は日本やアメリカに再シフトすることで改善に向かいました。
今後は中国本国の持つカントリーリスクや、中国と台湾の関係性などで化粧品まわりの消費も大きく影響されるでしょう。コーセーの決算書に記載してあるように、もっとも製造原価の抑えられる方法で業績を延ばす工夫と、その効果を継続させることが期待されています。
あらたなビジネスモデル構築まで様子見か
競合の資生堂が店舗販売から撤退するなど、対面重視だった化粧品業界は大きく変革を迎えています。インターネットを使ったEC販売や、あらたな市場として期待されているメンズケア領域も該当します。
ただ、あまりにこれまでの市場が強く、あらたな取り組みが主力になり切れていない印象を同時に受けます。投資家としては「化粧品は新しいビジネスモデルが構築されるまで様子見」という考え方をするひともいるでしょう。
コーセーの主力となっているドラッグストアにしても、大量仕入れを前提に仕入れ値を抑えられるドラッグストアの姿勢はメーカーにとってネガティブな要因です。雪肌精などのブランドの強さが鍵を握ることになります。
コーセーの株価に対する掲示板の口コミ

コーセーの株価に対するSNSのコメントを見ていきましょう。





コーセーの株価は今後どうなる?将来性を解説

コーセーの株価は今後どうなるのでしょうか。最新の業績は強いので、これを継続することで株価の向上も期待できるでしょう。更なるポイントは、ブラジルやインドなど新興国への投資です。
- 好業績が継続すれば株価回復基調に
- ブラジルやインドの業績に注目したい
好業績が継続すれば株価回復基調に
決算を分析すると、コーセーは海外展開や廉価の化粧品提供など、効果の高い施策を打っている印象があります。コロナと展開地域のカントリーリスクにより業績は低迷してきましたが、底抜けは近いのではないでしょうか。
この場合の底抜けを証明するのは好業績です。通期ではなくても四半期ベースで好業績が続けば、ホールド勢も増えてくるのではないでしょうか。また店舗における接遇から距離を置く競合が多いなか、コーセーは独自路線を貫いている印象があります。対面で話を聞いて化粧品を購入したいという層への浸透が期待できます。
ブラジルやインドの業績に注目したい
コーセーは2013年にインド、2016年にブラジルに現地法人を立ち上げ、市場拡大に邁進しています。これらの国は人口が多い一方で、日本の化粧品メーカーにはあまり重視されてきませんでした。ただ国全体に勢いのあるいま、先行投資で市場を取れれば、大きな優位性となるでしょう。
最新決算ではアメリカのタルト社が注目されていましたが、同国は成熟市場であり、爆発的な発展というのは望めません。その意味で潜在力の高い国への市場展開は期待したいところです。
コーセーの業績・株価・配当についてまとめ
コーセーの株価についてまとめました。株価が低迷する同社ですが、業績が回復基調にあること、および海外拠点に向けた効果的な展開が期待できる部分もあります。コロナ禍を経て、化粧品領域は過渡期といえます。新たな需要を開拓し、継続的な業績回復に期待したいところです。
その答えは日本で見つけられるものだけではありません。各国それぞれのニーズを探索し、コーセー流の事業展開を進めることが期待されます。
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