SPYDとは?
SPYDとは、米国のState Street社が運営する上場投資信託(ETF)の一つで、正式名称を「SPDR ポートフォリオ S&P 500 高配当株式 ETF」といいます。
S&P500のうち、特に配当利回りが高い80社で構成されるS&P500高配当指数をベンチマークにしているSPYDは、高い配当収入の獲得を目指しています。
名称 | SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF (SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF) |
---|---|
運用会社 | State Stree社 |
ベンチマーク | S&P500高配当指数 |
資産総額 | 5,928百万米ドル (2024年6月12日現在) |
基準価額 | 40.16米ドル(2024年6月18日現在) |
直近配当利回り(税込) | 3.71% |
トータルリターン | 3か月:1.94%, 3年:2.74%, 5年:6.45% |
日本の取扱証券会社 | 楽天証券、SBI証券、マネックス証券 |
- SPYDの主な投資対象(ベンチマーク)
- SPYDの主な構成銘柄・セクター比率
- SPYDの手数料(経費率)
SPYDの主な投資対象(ベンチマーク)
SPYDの投資対象は、S&P500高配当指数です。この指数は、S&P500指数の構成銘柄の中から、過去12ヶ月間の配当利回りが高い上位80銘柄で構成されています。
S&P500は、米国の代表的な株価指数で、米国の大型優良企業500社で構成されています。その中でも、特に配当利回りの高い銘柄を選別することで、米国を代表する大企業の中から、高配当という特徴を持つ銘柄に絞って投資することができます。
SPYDの主な構成銘柄・セクター比率
SPYDの主な構成銘柄は、高配当利回りを提供する大型優良企業で構成されています。
上位銘柄には、Iron Mountain Inc、Public Service Enterprise Group、International Paper Coなどが含まれます。
セクター別では、不動産、公益事業、金融の比率が高く、安定した配当収入を重視する投資家に適したポートフォリオです。
銘柄 | ティッカー | 業種 | 比率 |
---|---|---|---|
IRON MOUNTAIN INC | IRM | 不動産 | 27.53% |
PUBLIC SERVICE ENTERPRISE GP | PEG | 金融 | 20.10% |
INTERNATIONAL PAPER CO | IP | 公益事業 | 18.36% |
WILLIAMS COS INC | WMB | 生活必需品 | 7.52% |
HASBRO INC | HAS | エネルギー | 5.83% |
BEST BUY CO INC | BBY | ヘルスケア | 5.72% |
ESSEX PROPERTY TRUST INC | ESS | 素材 | 5.61% |
KINDER MORGAN INC | KMI | 一般消費財・サービス | 4.43% |
SOUTHERN CO/THE | SO | コミュニケーション・サービス | 2.57% |
DOMINION ENERGY INC | D | 情報技術 | 1.24% |
SPYDの手数料(経費率)
SPYDの手数料の割合である経費率は年間0.07%と非常に低いといえるでしょう。
経費率とは、ファンドの運用に必要な費用を投資家が負担する割合のことで、低ければ低いほど投資家の収益に良い影響を与えます。
SPYDの株価チャート・配当利回り推移
SPYDの投資判断をする上で、株価チャートと配当利回り推移は重要な指標といえます。ここからは、SPYDの過去の株価動向と配当利回りの変化を詳しく見ていきましょう。
- SPYDの株価推移(チャート)
- SPYDの一株配当・配当利回り推移
- SPYDの配当支払日・配当権利落ち日
SPYDの株価推移(チャート)
SPYDの過去5年間の株価推移を見ると、大きな変動が見られます。
2020年初頭には新型コロナウイルスの影響で急落しましたが、その後は徐々に回復。しかし、2021年中頃から2022年にかけては、再び下落と回復を繰り返す不安定な動きが続きました。
2023年も変動の大きい展開となりましたが、2024年に入ってからは上昇傾向を示し、直近の基準価額は40.16米ドル(2024年6月18日現在)となっています。
SPYDの一株配当・配当利回り推移
年度 | 年間配当金(ドル) | 最終営業日の利回り |
---|---|---|
2023年度 | 1.83 | 4.67% |
2022年度 | 1.98 | 5.01% |
2021年度 | 0.91 | 2.17% |
2020年度 | 1.63 | 4.95% |
2019年度 | 1.75 | 4.43% |
2018年度 | 1.62 | 4.75% |
2017年度 | 1.42 | 3.80% |
2016年度 | 1.51 | 4.34% |
SPYDの配当金は、通常年4回(1月、4月、7月、10月)の配当支払日に支払われます。2023年度の年間配当金は1.83ドルで、最終営業日の利回りは4.67%でした。
過去5年間のSPYDの配当金と利回りを見ると、配当が不安定であることがわかります。2021年度は年間配当金0.91ドル、最終営業日の利回りは2.17%と大きく落ち込みました。
ただ、配当金は継続して支払われています。
SPYDの配当支払日・配当権利落ち日
配当月 | 権利落ち日 |
---|---|
3月 | 2024年3月15日 |
6月 | 2024年6月21日 |
9月 | 2024年9月20日 |
12月 | 2024年12月20日 |
SPYDの配当は年4回、3月、6月、9月、12月に支払われます。2024年の場合、配当権利落ち日は3月15日、6月21日、9月20日、12月20日となっています。
配当権利落ち日とは、その日までにSPYDを購入しておけば配当を受け取る権利を得られる日のことです。逆に言えば、配当権利落ち日以降にSPYDを購入しても、その回の配当を受け取ることはできません。
SPYDはおすすめしないと言われる理由・デメリット
SPYDは、高配当利回りが魅力的な反面、いくつかの理由からおすすめしないと言われています。
ここからは、SPYDの特徴やリスクを踏まえて、このETFを避けるべき理由について見ていきましょう。
- 日本語による情報が少ない
- 銘柄数が少なくリスクが大きい
- 値上がり益の期待が薄い
- 景気の影響を受けやすい
- 配当金に米国の税金がかかる
- 為替変動のリスクが大きい
- 他の高配当ETFに比べると見劣りする
おすすめしない理由1:日本語による情報が少ない
SPYDは、日本語による情報が少なく、投資家にとって必要な情報が十分に得られないことがあります。
ETFの運用状況や組み入れ銘柄の情報はありますが、詳細な情報を探すと英文のものしかないため、投資判断を行う上で重要な情報を理解できない人もいるでしょう。
特に、高配当株ETFは個別銘柄のリスクを注視する必要がありますが、SPYDではその点がわからない可能性もあるため、適切なリスク管理を行うことが難しくなります。
おすすめしない理由2:銘柄数が少なくリスクが大きい
SPYDは、組み入れ銘柄が80社と少ないため、分散投資の効果が限定的です。
一般的にETFは、多数の銘柄に投資することで個別銘柄のリスクを分散させることができますが、SPYDの場合、組み入れ銘柄数が少ないため、十分な分散効果が期待できないのです。
特定の銘柄や業種に偏ったポートフォリオは、市場の変動に大きく左右される可能性があります。投資家にとっては、より幅広い銘柄に投資することで、リスクを軽減するほうが望ましいでしょう。
おすすめしない理由3:値上がり益の期待が薄い
SPYDは、組み入れ銘柄の多くが成熟企業であるため、株価の成長が期待しにくく、トータルリターンが低くなる傾向にあります。
高配当株は、一般的に事業が安定した企業が多く、急激な成長は見込めません。そのため、SPYDに投資する場合は、配当収入を中心としたリターンを期待することになりますが、株価の上昇による収益は限定的となる可能性が高いのです。
トータルリターンの伸び悩みは、長期的な資産形成を目指す人にとって、大きなマイナス要因となるでしょう。
おすすめしない理由4:景気の影響を受けやすい
SPYDは、組み入れ銘柄に景気に敏感なセクターが多く含まれているため、景気変動の影響を受けやすいと考えられます。
景気に敏感なセクターとは、景気の影響を強く受ける業種のことで、例えば、素材や資本財、消費財などが該当します。これらのセクターは、景気の拡大局面では業績が伸びる一方、景気の後退局面では業績が悪化しやすい特徴があります。
SPYDは、こうした景気敏感セクターの比率が高いため、景気変動に左右されるリスクが高いといえるでしょう。
おすすめしない理由5:配当金に米国の税金がかかる
SPYDは、米国籍のETFであるため、配当に対して米国の税金が課せられます。
日本在住の人が受け取る配当には、原則として米国課税10%、日本課税20.315%で合わせて約30%の源泉徴収税が課せられます。この税金は、日本の税制上、外国税額控除の対象となりますが、手続きが煩雑であるため大きな負担となります。
また、SPYDの配当利回りは魅力的ですが、税金を差し引くと、実質的な利回りは低下してしまいます。配当課税の問題は、SPYDの魅力を大きく減らす要因と言えるでしょう。
おすすめしない理由6:為替変動のリスクが大きい
SPYDは、米ドル建てのETFであるため、為替リスクが高いという点も注意が必要です。
SPYDに投資する日本在住の人は、米ドルと日本円の為替レートの変動に大きな影響を受けます。例えば、米ドルに対して円高が進んだ場合、SPYDの円換算の価値は下落してしまいます。
為替リスクは、SPYDの投資収益率を大きく左右する要因であり、常に注意を払う必要があるでしょう。
おすすめしない理由7:他の高配当ETFに比べると見劣りする
SPYDは、他の高配当ETFのVYMやHDVなどと比較して、トータルリターンが劣っています。
これらの競合ETFは、SPYDよりも幅広い銘柄に投資しており、より高い分散効果が期待できます。また、組み入れ銘柄の選定基準も異なるため、成長性のある銘柄を含んでいる場合があります。
その結果、VYMやHDVは、SPYDと比べて、より高いトータルリターンを実現している傾向にあります。
SPYDのETFとしての主なメリット
SPYDは、高配当利回りのETFとして人気を集めていますが、それ以外にもETFとしての主なメリットがいくつかあります。
ここからは、SPYDが持つ魅力的な特徴について詳しく解説していきましょう。
- 高い利回りの配当が期待できる
- 手数料の安いため運用コストが低い
- 少額から投資を始められる
メリット1:高い利回りの配当が期待できる
SPYDは、S&P500指数の構成銘柄の中から配当利回りの高い上位80銘柄に投資することで、高い配当収入が期待できるETFです。
2023年度の利回りは4.67%と、同じく高配当ETFとして人気のあるHDVやVYMを上回る水準となっています。安定的な配当収入を得ることができるため、定期的なキャッシュフローを重視する投資家にとって、魅力的な選択肢といえるでしょう。
メリット2:手数料の安いため運用コストが低い
SPYDは、ETFの中でも特に運用コストが低いことが大きな特徴です。年間の経費率はわずか0.07%と、投資信託と比べても非常に低く抑えられています。
これは、SPYDが受動的運用のETFであるためで、アクティブ運用の投資信託と比べると、運用コストを大幅に削減することができます。低コストで効率的な運用が可能なSPYDは、長期的な資産形成を目指す人にとって、魅力的な商品といえるでしょう。
メリット3:少額から投資を始められる
SPYDは、2024年6月18日現在の基準価額が40.16米ドルと、他の高配当ETFと比べて低い水準となっています。例えば、HDVやVYMの基準価額は100米ドルを超えているため、少額投資では購入しにくいのが現状です。
一方、SPYDは1株あたりの価格が手頃なため、少額投資でも十分に始められます。投資初心者の方や、あまり多くの資金を投じることができない人にとって、少額から投資を始められることで、無理のない資産運用が可能となります。
SPYDの掲示板での評判・口コミ
買い場もへったくれもない
引用:Yahoo!ファイナンス
稲妻が輝く瞬間に立ち会えている幸福
引用:Yahoo!ファイナンス
守りのための資産分散として少し持ってます。私は極度に日本のハイパーインフレを恐れているので。
引用:Yahoo!ファイナンス
高配当株の中ではいまだに高利率です。キャピタルは期待薄だけど、円安でドルを買いにくい中、ドルを増やしてくれるのでありがたい!ガチホ
どう思いますか? 分配金が激減で、急に株価が、上がりはじめました。 分配金ださないなら、VTIとかSPYの方がいいのではないでしょうか?
SPYDの評判は投資家の間で分かれているようです。高配当利回りを評価する声がある一方で、株価の上昇があまり期待できないという意見もあります。また、分配金の減少を懸念する人もいます。
しかし、資産分散の一環としてSPYDを保有している人もおり、円安でドルを増やすことができるメリットを感じている人もいるようです。ただ、分配金を重視しないのであれば、VTIやSPYなど他のETFの方が良いという意見もあります。
SPYDの評価は投資する人のスタンスによって異なりますが、高配当を追求するのか、トータルリターンを重視するのかによって、投資判断が分かれる傾向にあるようです。
SPYDの買い方・購入できる証券会社
- SBI証券
- 楽天証券
- マネックス証券
- 証券口座に資金を入金する
- 外国株式口座に資金を振り替える
- SPYDの買い注文を出す
証券会社によって、口座開設の方法や必要な書類などが異なる場合がありますので、事前に確認しておきましょう。
【Q&A】SPYDについて多い質問
以下では、SPYDについて多い質問・疑問に回答します。
- SPYDとSPDRの違いは?
- SPYDとHDVはどちらが良い?
- SPYDはNISA(成長投資枠)でも購入できる?
Q. SPYDとSPDRの違いは?
SPYDとSPDRは、どちらもETFに関連する言葉ですが、その意味は異なります。
SPYDは、高配当利回りの株式に投資する個別のETFで、SPDRグループの一つです。一方、SPDRは、さまざまなETFを提供する商品群の総称です。
つまり、SPYDは高配当株に特化した一つのETFであり、SPDRはそれを含む多種多様なETFの集まりという関係にあります。
Q. SPYDとHDVはどちらが良い?
SPYDとHDVはどちらも高配当利回りのETFとして人気がありますが、投資家の目的や優先事項によって、どちらが適しているかは異なります。
SPYDは、HDVよりも配当利回りがやや高いため、より多くの配当収入を得たい投資家に適しています。一方、HDVは財務健全性の高い銘柄に厳選投資しているため、安定した配当を重視する投資家に向いています。
また、SPYDは金融セクターの比率が高いため、特定セクターへの集中投資を避けたい場合は、HDVが選択肢となるでしょう。
Q. SPYDはNISA(成長投資枠)でも購入できる?
SPYDをおすすめしない理由【まとめ】
- 日本語での情報不足
- 組入銘柄数の少なさによる分散投資効果の低さ
- 株価成長の期待が薄い
- 景気変動の影響を受けやすい
- 配当金への高い税金
- 為替変動リスクの大きさ
などがデメリットとして挙げられます。
さらに、他の高配当ETFと比較してもパフォーマンスが見劣りすることから、SPYDは必ずしも最適な選択肢とはいえないでしょう。
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