資産10億円以上の割合
日本で10億円以上の資産を持つ人は、一体どれくらいいるのでしょうか。一口に「資産」と言っても、預貯金や株式などの「金融資産」に加えて、不動産などの「実物資産」が含まれます。 今回は、より実態を捉えやすい「金融資産」に焦点を当て、富裕層の実態を探っていきましょう。
野村総合研究所の調査(※)によると、2019年時点で純金融資産5億円以上の「超富裕層」は、日本で8.7万世帯も存在することが分かっています。日本の世帯数を約6000万世帯とすると、単純計算で約700世帯に1世帯が超富裕層ということになります。
「5億円以上」というだけでも、限られた人しか到達できないレベルですが、「10億円以上」となると、さらにその数は限られてきます。
中経出版の「図解・富裕層ビジネス最前線」では、10億円以上の資産を有する層は日本に約3万人いると推計しています。その内訳を見てみると、最も多いのが経営者で約1万6000人とされており、次いで医者や歯科医が約8000人と続きます。
一方、大企業の幹部社員は約2000人と、意外にも少ない数字となっています。 このことから、10億円以上の資産を築き上げるには、大企業の役員になること自体が難しい道である上に、それだけでは到達できない、一部の経営者や医師など、突出した成功を収めた人だけが手にすることができるレベルと言えるでしょう。
(※)参照: 野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は133万世帯、純金融資産総額は333兆円と推計」 (2020年)
10億円あったら何年暮らせる?
ここでは、銀行や証券会社に10億円あったらという前提で何年暮らせるのかモデルケースと一緒に紹介します。イメージしやすいように都内で子どもを2人育てている家庭をモデルケースとしています。
- 都内で子ども2人を育てるケース
- 都内で子ども2人を育てながら裕福に暮らすケース
都内で子ども2人を育てるケース
まずは子ども2人を育てながら一般的な生活をする場合を想定します。
特に都内は物価が高いため他の地域に比べて、食費などが高くつく傾向にあります。また、都内には遊ぶエリアも多いため、娯楽費も多くかかる傾向にあります。
以上を考慮すると、家賃を除いた出費額は約423,000円となります。
内訳 | 金額 |
---|---|
食費 | 約122,000円 |
水道・光熱費 | 約29,000円 |
交通費 | 約26,000円 |
通信費 | 約25,000円 |
教育費 | 約27,000円 |
娯楽費 | 約52,000円 |
保健医療費 | 約22,000円 |
雑費 | 約120,000円 |
合計 | 約423,000円 |
また、家賃に関しては23区内の3LDKの平均家賃は約29.6万円であるため、30万円として計算します。以上から支出額を合計すると約73万円/月となります。
10億円の資産を持っており、利息等を全く考慮しないとすると約115年暮らせることになります。日本人女性の平均寿命が88歳弱であることから、全く生活に困ることなく生活できることがわかります。
都内で子ども2人を育てながら裕福に暮らすケース
次に子ども2人を育てながら裕福な生活をするケースを考えます。
裕福の定義は難しいですが、2021年度に総務省統計局が公表した「4人世帯(有業者1人)-年間収入階級別」のもっとも高い層である収入が1,500万以上を参考に定義をしていきます。
この層の支出額は以下のようになります。これらを合計すると572,000円というのが子ども2人を育てながら裕福な生活をするのに必要な支出となります。
内訳 | 金額 |
---|---|
食費 | 約120,000円 |
水道・光熱費 | 約34,000円 |
衣類・日用品 | 約38,000円 |
交通・通信 | 約48,000円 |
教育費 | 約144,000円 |
交際費・娯楽費 | 約65,000円 |
医療費 | 約29,000円 |
雑費 | 約94,000円 |
合計 | 約572,000円 |
また、住宅費用に関しては都内23区の3LDKの平均家賃相場の倍と仮定して60万円とします。以上から、総支出は約117万円/月となります。
この金額をもとに10億円で何年暮らせるかというと約71年暮らせることになります。日本人女性の平均寿命が88歳弱であることを考えると生涯全てをこの10億円で賄うのは難しいですが、成人している人であれば十分に老後まで生活できる資産であることがわかります。
10億円あったら利息生活をすることは可能か
先ほどは10億円で生活するという前提の話をしました。しかし、実際に10億円あったら、投資などによる利息生活を送る人が大多数でしょう。
ここでは、投資の利回りを加味して、利息生活で何年暮らせるのか、どうかを紹介します。
- 10億円の資産運用で狙うべき利回りは2〜4%
- 10億円の資産運用で得られる利息の手取り
10億円の資産運用で狙うべき利回りは2〜4%
10億円という資産を築いたあなたは、今後の運用について、どれくらいの利回りを目指せばいいのか迷っていらっしゃるかもしれません。資産運用において、リスクとリターンは表裏一体です。高い収益を狙うほど、大きなリスクを取ることになり、その分、損失が出る可能性も高まります。
10億円という資産をお持ちであれば、無理にハイリスク・ハイリターンな投資に手を出す必要はありません。大切なのは、資産を減らさずに、将来にわたって安心して暮らせるよう、堅実な運用を心がけることです。
一般的に、資産運用の目標利回りとして目安とされるのは年利7%程度と言われています。しかし、7%という数字は、ある程度の投資リスクを伴うことも念頭に置く必要があります。10億円という資産規模であれば、そこまで高いリスクを取らずとも、安定した生活を送れるのではないでしょうか。
では、10億円を運用する場合、具体的にどれくらいの利回りを目指せば良いのでしょうか?おすすめは、年利2~4%程度を目標にすることです。
なぜなら、世界経済の成長を考えると、年利2~4%は、現実的で、かつ安定的な資産形成に適した水準と言えるからです。例えば、世界の株式市場の過去20年間の平均成長率は年5.6%程度です。この数字を参考に、株式だけでなく、債券や不動産など、リスクとリターンの異なる資産を組み合わせることで、より安定的に資産を増やせる可能性があります。
10億円の資産運用で得られる利息の手取り
では資産運用をすることでどれくらいの手取りとなるのでしょうか。資産を増やす典型的なパターンは株式投資です。ここでは10億円すべてを株式投資により資産運用した場合を考えます。
株式投資では得られた利益に関して以下のような税金がかかります。
- 所得税・復興特別所得税:15.315%
- 住民税:5%
したがって、合計20.315%の税金がかかることになります。この前提から利回り2%~4%の手取りは以下のようになります。
利回り | 手取り |
---|---|
2% | 1,593万 |
3% | 2,390万 |
4% | 3,187万 |
10億円あったらどこに預ける?【資産運用方法】
10億円あったら、どこに預けるのが賢い資産運用になるのでしょうか。ここまで10億円で利息生活が可能かを紹介しました。利回り2%~4%であれば、十分に生活は可能という結論でした。
では、どのように資産運用を行えば利回り2%~4%が実現できるのでしょうか。ここでは10億円の資産の預け先を紹介します。
- ヘッジファンド|相場環境に左右されない
- 投資信託|インデックスファンドを活用
- 株式投資|高配当株で安定収益を目指す
- 不動産投資|レバレッジで高収益を目指す
- プライベートバンク|資産運用のトータルサポート
ヘッジファンド|相場環境に左右されない
ヘッジファンドは、多くの投資家から集めたお金を、専門家であるファンドマネージャーが、株式や債券など、様々なものに投資する仕組みです。ヘッジファンドは、ルールに縛られずに自由に投資先を選ぶことができます。 そのため、世界中の様々な投資対象を組み合わせて投資したり、独自の投資戦略を使ったりすることができるので、経済状況が悪くてもプラスのリターンを目指すことができます。
投資は自己責任が基本です。 ヘッジファンドは、ハイリスク・ハイリターンと言われることもあります。 投資するかどうかは、メリットだけでなく、リスクもしっかりと理解した上で判断することが大切です。
最低投資額 | 1,000万~ |
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目指せる利回り | 10%以上 |
メリット | ・プロの投資家に資産を委託できる ・絶対収益で安定した利回りが見込める |
デメリット | ・手数料が高い ・投資方法が不明確になりやすい |
こんな人におすすめ | ・絶対収益で安定して利益を出したい人 ・自分で資産運用をする時間がない人 |
投資信託|インデックスファンドを活用
「投資信託」は、プロが運用する投資の詰め合わせパック。その中でも「インデックスファンド」は、日経平均株価などの市場指標に連動して運用されるため、初心者でも始めやすく、安定した成長を目指せます。
例えば、日経平均株価に連動するインデックスファンドを購入すれば、日本を代表する企業全体に投資したのと同じ効果を得られます。個別銘柄を選ぶ手間やリスクを抑えながら、効率的に投資できるのが魅力です。
少額から始められる点も、投資信託の魅力の一つ。積立投資を活用すれば、無理なくコツコツと資産形成ができます。
最低投資額 | 100円~ |
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目指せる利回り | 4%~6% |
メリット | ・分散投資でリスクを抑えられる ・大きな手間がかからない |
デメリット | ・市場によっては値動きが激しくなることがある |
こんな人におすすめ | ・市場に連動して長期的な視点で運用したい人 ・資産運用にかけられる時間が少ない人 |
株式投資|高配当株で安定収益を目指す
高配当株とは、企業収益から株主へ高い配当金を還元する株式のこと。一般的に、安定した収益基盤を持つ成熟企業やインフラ関連企業に多く見られます。
これらの企業は、継続的に高い配当金を支払うことが期待できるため、ローリスク・ミドルリターンを重視する投資家に最適です。配当金による安定収入に加え、株価上昇によるキャピタルゲインも期待できます。
10億円という巨額を運用する際は、リスク分散のため、複数の高配当株への分散投資が重要となります。ただし、企業業績や市場環境の変化による減配リスクも考慮する必要があります。
株式投資は企業が発行している株式を証券口座などで購入して運用する投資手法です。株式は会社の業績や景気などに連動し、価格が変動します。また、この株式を持っていることで企業から配当金を受け取ることができます。
10億円を株式投資で運用する場合、おすすめの投資手法は高配当株投資です。高配当株とは1株当たりの配当金が高い会社を指します。この高配当株は他の株に比べて株価が安定している傾向にあります。高配当株に分散投資をすることで安定して収益を上げることが可能です。
最低投資額 | 10万円程度~ |
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目指せる利回り | 3%~6% |
メリット | ・手数料が安い ・投資対象が明確である |
デメリット | ・自分で投資先を管理しなければならない |
こんな人におすすめ | ・自分で投資対象を決めたい人 ・投資自体を楽しみたい人 |
不動産投資|レバレッジで高収益を目指す
不動産投資は、他の投資手法と比べて、少ない自己資金で大きな資産を運用できる「レバレッジ」を効かせられる点が大きな魅力です。具体的には、不動産投資ローンを活用することで、自己資金の数倍、場合によっては10倍程度の金額の不動産を購入することも可能です。
例えば、自己資金500万円で、頭金1,000万円の物件を購入する場合を考えてみましょう。このとき、残りの500万円をローンで賄うことで、自己資金以上の金額の不動産に投資できます。
さらに、物件選び方次第では、高い利回りで運用できる可能性もあります。「表面利回り」の高い物件を選ぶことで、毎月のローン返済額を上回る家賃収入を得られる場合があり、効率的に資産を増やせる可能性が高まります。
最低投資額 | 0円~ |
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目指せる利回り | 表面利回り12%程度 |
メリット | ・十分な収入があれば自己資本0で投資が可能 ・レバレッジを掛けて投資ができる ・生命保険代わりになる |
デメリット | ・定期的な修繕や管理が必要になる ・震災など様々なリスクが発生する ・良い物件に出会うまでに時間がかかる |
こんな人におすすめ | ・しばらく入居されなかったときの費用を支払える人 ・毎月安定した収入がある人 ・不動産の状況を継続的にキャッチアップできる人 |
プライベートバンク|資産運用のトータルサポート
プライベートバンクとは、富裕層の資産運用を総合的にサポートする金融機関です。預金や投資、不動産など複数の資産を一括管理し、顧客一人ひとりのニーズに合わせたオーダーメイドの資産運用プランを提供します。
最大の魅力は、専属の担当者がつき、資産状況や投資目標に応じて、最適な運用アドバイスや金融商品を提案してくれることです。金融や法律、税務など各分野のプロフェッショナルと連携し、相続対策や事業承継など、資産管理に関する幅広いニーズにも対応します。
手数料は高額ですが、質の高いサービスを求める富裕層にとって、心強いパートナーと言えるでしょう。
最低投資額 | 5,000万円~ |
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目指せる利回り | 5~10% |
メリット | ・さまざまな専門家の支援を受けることができる ・投資だけでなく、相続などの相談も可能 |
デメリット | ・手数料が高い ・サービスの利用には審査がある |
こんな人におすすめ | ・資産が十分にある人 ・金融や法律などの相談を継続的に行いたい人 |
10億円の資産運用で心がけたいポイント
- 分散投資を徹底して意識して資産運用を行う
- 資産運用でリスクを取り過ぎないようにする
- 資産運用に関する相談先を確保しておく
分散投資を徹底して意識して資産運用を行う
10億円という資産を堅実に守り、未来につなぐためには、分散投資が欠かせません。これは、投資対象を分散することで、特定のリスクに過度に触れないようにするリスク管理の手法です。
例えば、株式や債券、不動産など、異なる特徴を持つ資産に投資をしたり、国内だけでなく海外にも目を向けることで、リスクを分散できます。
10億円ともなると、リスクを抑えながら安定的な収益を確保することが重要になります。分散投資は、短期的な利益を狙うのではなく、長期的な視点で資産を安定的に成長させるための戦略と言えるでしょう。
10億円もの資産があるとさまざまな投資手法を選択することが可能です。このメリットを活かさない手はありません。
また、投資手法だけでなく、投資する国も意識しましょう。例えば、日本だけに投資している場合、日本全体が成長しなければ10億円の価値は相対的に下がってしまいます。そのため、異なる国の通貨にも分散して投資することを意識しましょう。
資産運用でリスクを取り過ぎないようにする
10億円という資産をお持ちであれば、年間利回り2%というローリスクな運用でも、税引き後の手取りは約1,593万円となり、ゆとりある生活を送るのに十分な金額と言えるでしょう。資産規模が大きいからこそ、無理にリスクの高い投資に手を出す必要はありません。「守りの資産形成」を意識し、堅実な運用を心がけることが大切です。
例えば、個別株への集中投資は、価格変動リスクが大きく、想定外の損失を被る可能性があります。分散投資が重要であることは言うまでもありませんが、株式投資を行う場合は、特に銘柄選定やポートフォリオ全体のリスク管理に注意が必要です。
また、レバレッジの高い投資信託も注意が必要です。レバレッジをかけることでリターンを狙うこともできますが、その分リスクも大きくなります。投資信託を選ぶ際には、リスク水準をしっかりと確認することが重要です。
さらに、近年人気を集めている不動産投資の中にも、リスクが高いものがあります。特に、ワンルームマンション投資は、空室リスクや金利上昇リスクなどを考慮する必要があり、初心者にとってはハードルが高いと言えるでしょう。
10億円という大きな資産を運用する立場であればこそ、リスクとリターンを冷静に見極め、長期的な視点に立った安定的な資産運用を目指していくべきです。
資産運用に関する相談先を確保しておく
10億円という大きな資産を築かれたあなたは、次のステージとして、その資産をいかに守り、育てるかを考え始める時期に差し掛かっているのではないでしょうか。しかし、10億円ともなると、個人での資産運用は容易ではありません。分散投資は必須となり、株式、債券、不動産、コモディティなど、多岐にわたる投資対象について、深い知識と市場分析能力が求められます。
日々のビジネスやプライベートの時間も大切にしながら、常に変化する市場の動向を的確に捉え続けることは、現実的に難しいと言わざるを得ません。
そこで、資産運用を成功に導く鍵となるのが、専門家とのパートナーシップです。豊富な知識と経験を持つファイナンシャルアドバイザーやプライベートバンカーに相談することで、あなた自身の投資目標やリスク許容度に最適化されたポートフォリオを構築することができます。
彼らは、市場の最新動向を常に把握し、お客様一人ひとりのニーズに合わせた投資戦略を提案するとともに、定期的な資産状況の報告や、市場環境の変化に応じたポートフォリオの見直しなど、きめ細やかなサポートを提供します。
信頼できる専門家との連携は、リスクを適切に管理しながら、長期的な資産形成を実現するための最良の選択と言えるでしょう。
10億円あったら何年暮らせるか改めておさらい
10億円もあると都内で裕福に暮らしても十分に老後まで資産を残して生活をすることができます。
また、10億円という金額は、使い方次第でその後の人生を大きく変える可能性を秘めています。堅実な運用を心がければ、夢の様な生活を送ることさえ不可能ではありません。
例えば、年利2%という現実的な運用目標で10億円を運用した場合、年間の手取り収入は約1,593万円(※税引き後の金額を想定)になります。これは運用益だけで、一般的なサラリーマンの平均年収を大きく上回る金額です。つまり、資産運用だけでゆとりある生活を送ることさえ可能になるのです。
今回の内容を参考に、ご自身のライフプランや資産運用について、改めて考えてみてはいかがでしょうか。
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