SUMCOの企業概要

SUMCOの企業概要

SUMCOとは、半導体用シリコンウェーハの製造・販売を手掛ける企業です。会社名の読み方は「サムコ」です。前身企業は複数ありますが、最終的には住友金属工業と三菱マテリアルシリコンという2つの財閥系企業による共同出資で設立されました。

海外では、アメリカ、イギリス、台湾、インドネシア、シンガポール、中国、韓国に拠点を持っています。

企業概要は下表の通りです。

商号株式会社SUMCO
本店東京都港区芝浦一丁目2番1号
設立1999年(平成11年)7月30日
主要事業半導体用シリコンウェーハの製造・販売
資本金1,990億円
代表者代表取締役会長兼CEO 橋本 眞幸
売上高連結:4,259億円(2023年12月期実績)
従業員数連結:9,847名(2023年12月31日現在)
品質⁄環境システム認証IATF16949
ISO14001
上場証券取引所東京証券取引所プライム市場(証券コード:3436)
LEI(取引主体識別子)353800SUSRUOM0V6KU92

SUMCOの事業内容|半導体用シリコンウェーハの製造・販売

SUMCOの事業内容
Timon - stock.adobe.com

SUMCOの事業内容は、導体用シリコンウェーハの製造や販売です。

シリコンウェーハとは半導体デバイスの材料になるもので、高純度のシリコンから切り出された円盤の薄い板の形状となっています。円形状のインゴットを厚さ1mm程度までスライスして表面を丁寧に研磨・洗浄することで半導体の材料として使われるのが特徴です。

半導体デバイスはスマホやパソコンなどの携帯やテレビ・エアコンなどの家電製品、車や電車などのさまざまな乗り物まで人々の生活に欠かせない材料となっています。

シリコンウェーハがなければ半導体デバイスが作られないため、非常に重要な事業内容だと言えるでしょう。

SUMCOの業績推移|売上・営業利益

SUMCOの業績推移

SUMCOの業績推移として、売上と営業利益を確認します。下のグラフは左が売上、右が営業利益ですが、どちらも堅調に推移しているとは言えず増減があります。これは景気敏感銘柄の特徴とも言え、半導体はその代表的な業種であり、他には化学や電気、銀行等が挙げられます。 営業利益の変動はその傾向が顕著で、半導体は新型コロナウイルス蔓延時のPC、スマホ需要やその後の在庫積み上がり等、ここ最近特に需要と供給の変動が活発であったことが見て取れます。

SUMCOの業績推移

出典:SUMCO HP

SUMCOに関してはもう1点興味深い財務情報があり、それが有利子負債の推移です。下のグラフの通り2023年度に大きく増えていますが、これは積極投資を行なったことが背景にあると考えられ、今後のマーケット拡大を見越した動きであると予想されます。

SUMCOの業績推移

出典:SUMCO HP

SUMCOの株価推移|過去15年のチャート

SUMCOの株価推移

次にSUMCOの株価チャートを確認します。SUMCOはかなり長期で推移を見ると株価の動きの特徴がつかめますので、15年というスパンでチャートを追ってみることにします。

ポイント

  • 2009年〜2020年にかけて株価が横ばい
  • 2020年〜2024年にかけて株価が上昇

2009年〜2020年にかけて株価が横ばい

2009年から新型コロナウイルス前までは、途中大きな変動はありましたが、長期的な傾向として株価は上昇せず横ばいでした。

株価が2015年と2018年の2回大きく動いています。2015年に起きた出来事はチャイナショックで、中国株の暴落や8月の人民元切り下げが相まって、中国経済の減速懸念が世界同時株安に発展した事態です。

日経平均全体も影響は受けましたが、景気敏感銘柄であるSUMCOはより大きな影響を受けて、それまでの半導体需要拡大による上昇傾向が、一転急落を示しました。

次の大きな動きは2018年で、こちらは米中貿易戦争による影響が出ています。米中貿易戦争とは、トランプ政権下で知的財産権の侵害を理由に関税による経済制裁をかけたことに端を発して、米中双方が貿易製品に関税を掛け合う事態になった事象です。

対象は国防の観点から通信機器、監視カメラ、先端技術にも広がり、それらの製品の部品である半導体の貿易にも影響を及ぼして、供給不安による急激な上げとその後の下落につながりました。

SUMCOの株価推移

2度の大きな変動は経たものの、2009年からの約10年間を長期的に見れば、株価は上昇せず横ばい傾向を示したことになります。

2020年〜2024年にかけて株価が上昇

2020年からは株価が上昇に転じました。これは新型コロナウイルス蔓延による巣篭もり需要でPCやスマホの需要が増加し、部品として使用される半導体の需要も拡大したことが背景です。

その後、巣篭もり需要が落ち着く中で半導体の需要も低下して在庫が積み上がる状況となり、2021年にはその影響を受けて株価が低下しました。2024年にかけては在庫積み上がり状況が解消傾向にあり、再び上昇傾向を示しています。

SUMCOの株価推移

このように株価の変動が激しい銘柄ですが、2009年頃の株価が2,000円強であったことを考えると、約15年後の現在約2,600円というのはあまり大きな成長はなかったと言えそうです。

SUMCOの株主還元|配当・自社株買い

SUMCOの株主還元

SUMCOの株主還元施策について、配当、自社株買いから確認します。配当についてはその利回りの推移も見てみます。尚、SUMCOは現在、株主優待は実施していません。

ポイント

  • SUMCOの一株配当・配当利回り推移
  • SUMCOの自社株買い推移

SUMCOの一株配当・配当利回り推移

一株あたりの配当金は下の表の通りです。年間配当合計の推移を見ると、変動があることが分かります。SUMCOは、配当金について一定額を維持するのではなく、利益水準、次期以降の見通し、設備投資状況により変動することを表明しています。

SUMCOの一株配当・配当利回り推移

出典:SUMCO HP

配当利回りの推移は、下のグラフのオレンジ線の通り概ね2−4%の間で動いています。配当額が変わるため、配当利回りにも変動が見られます。一般的に東証プライム上場銘柄の配当利回り平均は2%程度と言われますので、それを超えることもあれば下まわることもあるようです。

SUMCOの一株配当・配当利回り推移

出典:みんかぶ

SUMCOの自社株買い推移

自社株買いは、市場に流通する株式数が減ることで一株あたりの価値が上がることになるため、投資家にとっては還元施策となります。資本効率が改善することによる経営への影響も、好材料と受け止められます。

SUMCOは下の表の通り、自社株買いを行っています。自社株買いが発表された後には株価が上昇し、2021年においては公表後に5%弱の勢いで株価が上昇したことから、投資家にとって有益であると判断されたことになります。

自社株買い実施額
2020年32億9998億円
2021年24億983億円

SUMCOの株価が上がらない理由を解説

SUMCOの株価がなぜ上がらないのか、その理由をいくつかの観点から分析します。シリコンウェーハは需要を正確に捉えることができれば大きな収益を獲得できますが、それが難しいということが株価が上がらない要因となっています。

ポイント

  • 株価の変動が大きいことから中長期投資に向かない
  • 投資の適切な予測が難しく損失を抱える可能性がある
  • 事業面、株主還元施策面で経営に改善余地がある

株価の変動が大きいことから中長期投資に向かない

前章までで業績面で売上、営業利益の推移、株価の推移を確認しましたが、いずれも変動が大きいことが特徴でした。中長期での投資を考える投資家にとっては、株価の変動が大きい銘柄には手を出しにくいことが、株価が上がらない理由の1つです。

株価が上下することは全ての銘柄に当てはまることですが、SUMCOの場合はその変動幅が大きいため、リスクが高いと言えます。他の銘柄と比較した際に、リスクに対するリターン割合がどうしても下がることになり、投資家に敬遠されます。

SUMCOの製品はシリコンウェーハのみであることから、事業リスクを分散することが難しく、それが業績や株価の大きなボラティリティに繋がっています。

投資の適切な予測が難しく損失を抱える可能性がある

シリコンウェーハは半導体の材料であり、最近ではAIの活用拡大が後押しとなって旺盛な需要があります。こうしたニーズを適切なタイミングで捉えることができれば、その産業上の重要性から大きな収益を獲得することができます。しかし、その需要予測が難しい点が問題です。

また、設備投資の決断から実際に生産を開始するまでは、用地の調査や取得から工場の建設まで数年の期間を要します。SUMCOは実際に過去には予測を読み誤り、過剰在庫を抱えて赤字に陥ったこともあります。

逆に需要が旺盛な時期に十分な生産能力を有していなければ機会損失が膨らみ、半導体を必要とする他産業にも悪影響を及ぼします。

事業面、株主還元施策面で経営に改善余地がある

SUMCOの経営が優れているかと問われれば、この15年間で株価が大きく成長していないことが答えではないでしょうか。株主還元施策も他の銘柄と比べれば、特別魅力があるわけでもありません。

事業面での改善点としては、外部環境の影響を受けやすい経営体質としては、サムスンのような特定の取引先への依存度が高いことが挙げられます。また、需要変動の影響を抑えるような長期契約を増やすといった取り組みを、より推進することも必要でしょう。

SUMCOの競合でシリコンウェーハを製造する信越化学の株価を直近4年間で比較すると、上昇する信越化学(青線)に対し、低迷するSUMCO(ピンク線)と、経営の差が株価に表れている可能性があります。

信越化学とSUMCOの株価

注目ファンド

詳細な投資分析によるバリュー投資を中心に実践しており、短期的な利益追求ではなく安全性を追求しながら中長期的な利益を求めているヘッジファンド。

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SUMCOの株価に対する投資家の口コミ

SUMCOの株価に対する投資家の口コミ

ここではSUMCO株を保有する投資家の評判を、口コミから探ってみましょう。

sおまじない!
半導体はウエハがなければ始まらない!
・・・って 言いながら 証券数社のレーティングを見ています! (笑)☕

引用:Yahoo!ファイナンス

半導体のすっ高嶺でここしかまともな株価ない。

引用:Yahoo!ファイナンス

もたつくので、諦めかけていたけど ちょっと

希望がもてるような気がしてきました O_o

(信越..が、あんなに騰がっていることだし

引用:Yahoo!ファイナンス

デコボコあるものの、上昇トレンドであることは、間違いない。ここで利確するか我慢するか、思案のしどころ。3,000円近くまで上がりそうな気はしますが。

引用:Yahoo!ファイナンス

初めてインしました。2564円100株。NISA。
前回の決算あたりから、週足がじわじわあがっているけど、ボラも大きいのでためらっていましたが、かなり遅かったですが決心しました。
生成AIは、文章から動画へのようなので、半導体の未来は明るいかなと思っています。

引用:Yahoo!ファイナンス

口コミ全体の印象として、株価が短期的にどう動くかということに注目している投資家が多いです。これまで見たように変動が大きい銘柄なので、中長期保有を前提としていない可能性があります。

事業もシリコンウェーハのみなので、半導体市場に資金が流れ込むか否かに関する意見の投稿が多数ありました。

また、2023年からの半導体銘柄人気で、東京エレクトロンやアドバンストといった銘柄の株価は急上昇しています。それに比して値上がりが穏やかなSUMCOは、同じ半導体関連であることから今後の値上がりを期待する口コミも見受けられます。

SUMCOの今後の株価と将来性

SUMCOの今後の株価と将来性

SUMCOの株価は今後どうなるか、その将来性について考察します。観点は半導体に関連するビジネスが中長期的にどのような動きを見せるのかということと、競合である信越化学との比較の2点になります。

ポイント

  • 4兆円規模の政府補助の影響が波及すれば​株価は上昇
  • 業績の安定化に向けた経営改革が進めば株価上昇期待

4兆円規模の政府補助の影響が波及すれば​株価は上昇

経済産業省は、2023年7月に750億円の補助金をSUMCOに対して拠出することを発表しています。このことは既に株価に織り込み済みです。しかし、政府は国内半導体市場拡大に向けて4兆円規模の補助を打ち出しており、これが半導体製造関連企業の国内における工場新設の動きを生み出しています。

工場の増加により実際に半導体の製造量が増えることになれば、当然SUMCOも政府補助の恩恵を受けることになり、業績の拡大から株価の上昇に繋がるでしょう。

業績の安定化に向けた経営改革が進めば株価上昇期待

投資家にとってSUMCO株に求めるものの1つは、安定性です。業績、株価は乱高下したことがあり、リスクが高い銘柄と見られています。

競合であり業界1位である信越化学は、業績、株価も安定し、配当も増配を続けているため、こちらを選択する方が良いと考える人も多いでしょう。下は売上、経常利益のグラフ、株価チャート、配当推移ですが、業績と株価は堅調に推移し、配当は増配傾向を示しています。

信越化学の売上高、経常利益の推移

信越化学の株価チャート

信越化学の配当推移

SUMCOの株価が今後上昇するためには、半導体需要が低下した際にも安定して業績を維持できるようなサプライチェーンの構築が重要です。また、短期的な手法としては配当金を安定的に増配することも考えられますが、それよりも注力すべきは業績の安定に向けた経営改革でしょう。その改革が進まなければ、株価は低迷し続けることも十分に考えられます。

SUMCOの業績・株価・配当についてまとめ

ここまで SUMCOの株価が低迷する要因について、事業環境や株主還元施策等から考察しました。ボラティリティが大きいため中長期的に保持することは推奨しにくい銘柄ですが、SUMCOが手掛けるシリコンウェーハは今後、経済面でも安保の面でも重要となる半導体の材料となるため、その重要性は高まるはずです。

SUMCOがその商機を捉えられるかによっても今後の株価が大きく変わる可能性があるため、半導体市場の動向を注視することが投資家にとって重要となります。

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