日立の企業概要

日立の企業概要

日立とは東京都千代田区に本社を置く総合電機メーカーです。「技術の日立」という評価をされることが多く、日本の製造業において柱の一つを担っています。もともとは茨城県にあった日立鉱山を祖としており、所在地は日立市として企業名が自治体の名前となっています。

正式名称株式会社日立製作所
設立年月日1920年(大正9年)2月1日
本店所在地東京都千代田区丸の内1丁目6-6
代表者代表執行役兼執行役 小島啓二氏
資本金461,731百万円(2022年3月現在)
従業員数29,485名(2022年3月末現在)

日立の事業内容

日立の事業内容

日立の事業内容は幅広い分野において、データとテクノロジーでサステナビリティの実現を推進しています。主要分野は以下の4分野です。

ポイント

  • デジタルシステム&サービス
  • グリーンエナジー&モビリティ
  • コネクティブインダストリーズ
  • オートモーティブシステム

従来の家電や製造といった言葉がないのは、世界を相手としている国際的な企業であることと、日立に限らず多くの企業が推進しているサステナビリティに取扱分野を合わせていることが考えられます。

デジタルシステム&サービス

業務システムや社会インフラを提供しています。銀行や自治体のインフラ、DXサービス、ITサーバーなどです。ビックデータやAIサービスの提供にも力を入れています。また付随して、これらの維持には欠かせないセキュリティツールを提供しています。また精密さの求められるHCIソリューションとして、医療現場や製薬現場への導入も進んでいます。

グリーンエナジー&モビリティ

2つ目はグリーンエナジー&モビリティです。日立は競合他社と比べて発電分野に強く、クリーンエネルギーの提供に実績があります。同時に原子力の日立でもあります。2023年の日本では稼働していないものの、原子力が発電の中心となる国にとっては日立は確固たるビジネスパートナーといえるでしょう。

また鉄道サービスの提供も日立の得意分野です。車両、信号から運行システムの提供まで実績があります。電車に乗ったときによく見ると、製造:日立という表記が見つかることも多いです。

コネクティブインダストリーズ

従来の日立は家電など生活インフラに強みを持っていました。現在は生活インフラと関連性の強いものをエコシステムで繋ぎ、総合的に提供しています。鉄道と同じく、エレベーターも日立が強いブランド力を展開しています。

ここから横展開し、産業ソリューションや水・環境ソリューションといったところにも強みがあります。注目度の高いヘルスケアも得意分野です。

日立Astemo(オートモティブシステム事業)

対自動車製造会社向けにパワートレインやシャシーを提供しています。車載ソフトウェアにも強いです。ここから転用して、自動車業界の一大テーマである自動運転、先進運転支援システムを提供しています。カーボンニュートラル対応やEV導入についても重要なテーマと掲げています。他の分野と同様、これらのサービスに付帯したセキュリティ関連も提供領域です。

日立の業績推移|売上・営業利益

日立の業績推移

日立の決算短信を分析します。最新通期の2022年3月決算の短信を見てみましょう。

日立の業績推移

売上は前年比17.6%と、対2020年3月期のマイナスとなった業績から大きく改善しました。営業利益についても49.1%増、当期利益についても29.4%増と大きく飛躍しています。要因としては日立Astemo設立によるオートモティブシステム、およびエネルギー領域の増益が上げられています。

従来日立が強い電力分野もかなり業績が戻ってきており、この2分野で底上げた印象があります。製造など他分野には浮き沈みもありますが、全体的に伸長したからこその好業績といえるでしょう。

日立の株価推移|過去3年のチャート

日立の株価推移

日立の株価推移を、同社IRのチャートから見ていきましょう。

3年間のチャートから見る株価は緩やかに上がっています。対2021年と2023年現在を見ると株価は約2倍から2.5倍と増加しており、業績の浮き沈みがあまり影響していない印象を受けます。

ポイント

  • 2021〜2023年にかけて株価が2.5倍に上昇
  • 2022〜2023年にかけて株価が更に上昇

2021〜2023年にかけて株価が2.5倍に上昇

日立の株価推移

もともと製造業の株価は推移が抑えられている、株価変動リスクの小さい銘柄です。

日立も目の前の業績は反映されるものの、中期経営計画(中計)を通して訴えられているサステナビリティ社会の実現や自動車の自動運転など、今後のコアとなる領域の展開が評価されていると考えられます。

また2021年まで元社長の中西宏明氏が経団連(日本経済団体連合会)会長を務めるなど財界活動も活発であり、その安定感も根強く支持されていると考えられます。

2022〜2023年にかけて株価が更に上昇

日立の株価推移

とりわけ2022年から2023年のあいだの株価上昇は目を見張ります。2021年までに同社が繰り返していた赤字転落が改善したとも、コロナ禍を抜け今後に期待が持てると株が買われたとも解釈できるでしょう。積極的な買収を仕掛けているのも歓迎要因のように考えられます。

2023年期の決算に際立った落ち込みがない限り、また不祥事などのネガティブなニュースが無い限り、今後もこのような安定傾向は継続する可能性が高いです。更に精度の高い自動運転のニュースなどに期待しましょう。

日立の株主還元|配当・自社株買い

日立の株主還元

日立の株主還元について分析します。安定した株価推移のなか、配当の推移はどうなっているのでしょうか。また日立の株価推移に大きな影響を持つ、同社による自社株買いについても分析します。

ポイント

  • 日立の一株配当・配当利回り推移
  • 日立の自社株買い推移

日立の一株配当・配当利回り推移

過去3年間における日立の期末配当金、および中間配当金がこちらです。1株あたりの配当金が区切り良く5円ずつ上昇していることがわかります。

■配当金の推移
事業年度基準日1株あたり配当金
2022年期末2023年3月31日75円
2022年中間2022年9月30日70円
2021年期末2022年3月31日65円
2021年中間2021年9月30日60円
2020年期末2021年3月31日55円
2020年中間2020年9月30日50円

日立製作所の配当利回り推移

日立の自社株買い推移

日立の自社株買い推移は以下表の通りです。2014年に実施したあと暫くあいだが空きましたが、2023年に再び自社株買いが行われました。また2014年に比べて、2023年の実施規模が数十倍であることがわかります。

実施年自社株買い実施金額
2023年(2023年9月時点)2,808億9,493万円
2014年40億297万円

自社株買いには株価の安定や会社所有株の増加などが目的とされます。2023年の自社株買いは会社業績の向上を受け、大規模な株購入に踏み切ったものと推察されます。

日立の株価はなぜ上がるのか理由を解説

日立の株価はなぜ上がるのか

このように日立の株価は堅調に上昇していますが、なぜ日立の株価は安定して上がるのでしょうか。会社の取り組みを分析すると、3つのポイントが見えてきます。それぞれ解説します。

ポイント

  • サステナビリティや先進技術への取り組み
  • 積極的なM&A戦略を仕掛け続けている
  • 強いリーダーシップを感じさせる

サステナビリティや先進技術への取り組み

まずは事業領域の説明でも触れた、サステナビリティや先進技術への取り組みです。保守的になりがちな大企業が多いなかで、5年後や10年後に安定収益となるシーズ(種)への積極的な投資が目立ちます。

同様に5年前には現在の好業績の要因となっている商品やサービスが開発されていたと予想されます。このように先を見据えた正のサイクルを実現することによって業績を安定させます。

また、それを社内で秘匿しておくのではなく、積極的な中期経営計画やIRで発信することによって、株価の上昇要因となっています。数年にわたり株価が安定しているのは、そのサイクルが株主にしっかりと受け止められているということでしょう。

積極的なM&A戦略を仕掛け続けている

通期の決算書を分析すると、最新期の2022年度も積極的なM&Aが目立ちます。日立化成や画像診断関連事業の売却のほか、実業団駅伝を通じて一般消費者にも知名度が高い日立物流とのグループ会社の関係を消滅予定としています(2023年9月現在公開買付中)。日立と名がつく子会社の売却は会社によって強い抵抗を生みそうですが、日立は積極果敢に仕掛けている印象が強いです。

これらの動きは売却益を生むほか、事業化が成功したほかの事業に集中するリソースが生まれるという効果があります。売却した会社はよりノウハウを蓄積した会社に仲間入りし、日立製作所や日立グループと取引関係を生むことで、更なるメリットを期待することができるでしょう。

強いリーダーシップを感じさせる

最後はあくまで印象論ですが、日立は定期的に強い経営者が登場し、停滞していた会社の業績を上向かせる印象があります、経団連においても会長職として足跡を残した川村隆氏、既出の中西宏明氏などが代表的です。

一方で同業の東芝やシャープは内紛の印象が強く、結果衰退したことも日立の強さを伺わせます。おそらく、派閥紛争なども控え目で、日立グループの結束のもとで邁進しているのではないでしょうか。

特にラストマンと称される川村会長の復活劇は書籍化をされ、多くのファンを感動させています。これらのファンが個人投資家となって、日立を支えているのではないでしょうか。

日立の株価がおかしいと言われる理由

日立の株価がおかしいと言われる理由

株価は本来、決算や企業状態の短期的な状況を反映するものです。ところが日立の株価を見ると、長期的な取り組みが重要視され、あまり短期的な視点は入っていない印象を持ちます。インターネットなどではこの状況を「日立の株価はおかしい」とし、ネガティブに指摘する投稿があります。

ただ、株価が安定していることは企業の強みでもあります。ネット上のおかしい、は多くの企業にとって、羨望の視点と言い換えることもできるでしょう。ポジティブに見れば日立の株価がおかしいことにより、日立は腰を据えて5年後10年後の研究に邁進できるともいえます。ネット上で日立の株価をおかしいとする声は、実は尊重の意味を兼ねていると言えるのかもしれません。

注目ファンド

詳細な投資分析によるバリュー投資を中心に実践しており、短期的な利益追求ではなく安全性を追求しながら中長期的な利益を求めているヘッジファンド。

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日立の株価に対する投資家の口コミ

日立の株価に対する投資家の口コミ

実際に日立の株価には、どのようなコメントが寄せられているのでしょうか。

日立の株価が10,000円超え。 同じ総合電機メーカー東芝の凋落を見ているだけに、驚きも大きい。

引用:X

日立やトヨタの株価、好調だなぁ。不況下の株高か??

引用:X

もはや、日立ではないですね 業態も株価も

引用:X

日立は遂に株価1万円超えたのか

引用:X

日立の株価爆上げじゃん

引用:X

多くの投稿も、日立の株価が安定して伸長しており、最近はついに10,000円台の大台に載ったことに触れるものが多いです。

日立の今後の株価と将来性

日立の今後の株価と将来性

日立の今後の株価と将来性について分析します。安定した株価推移を背景にした新技術への挑戦などが株価好調の要因ですが、今後も継続が期待できるものでしょうか。また株価好調の継続要因はどのようなものが考えられるのでしょうか。

ポイント

  • 自動運転が商品化されれば更なる株価向上要因となるか
  • 国内の製造業のリーダーとなっていけるか

自動運転が商品化されれば更なる株価向上要因となるか

日立のオートモティブシステム事業において、最も注目したいのは自動運転です。ある専門メディアによると現在は5段階あるうちの3段階といわれ、まもなく実際の道路にも実働を目的とした自動運転の自動車が増えてくるといわれています。

自動運転が本格化すると、部品提供力やノウハウを有している日立の提供サービスはより重宝され、業績の上積みも期待できます。自動運転のニーズは日本だけではないため、世界への横展開も十分に期待できるでしょう。

国内の製造業のリーダーとなっていけるか

投資家からも口コミでも目立ちましたが、東芝やシャープが再起を断念する一方、日立は着実な成長を継続しています。日本の製造業における技術やノウハウが受け手となる企業の不振によって、諸外国に流出する懸念は高まっています。

その受け皿として日立が更に評価される流れが期待されます。既出の通り日立は経団連などの財界活動も積極的であるため、日本の製造業を代表する企業として遜色のないものです。自動車業界におけるトヨタ自動車のように、世界にも名を馳せる製造業になり、株価にも著しい効果が期待できます。

日立の業績・株価・配当についてまとめ

日立の株価について分析しました。堅調な株価の代表として評価される日立は、今後を見据えた新技術の開発も進んでおり、更なる株価の伸長が期待できます。相対的に日本国内の製造業が元気のないなか、今後の日立に期待が集まり、更なる上昇要因となる可能性も十分に想定できます。日立グループのシンボルのように、大きな木の下で今後も成長する日立に期待です。

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