信越化学の企業概要

信越化学の企業概要

信越化学とは、シリコンウエハーと塩化ビニル樹脂で世界でもトップのシェアを有している半導体・化学メーカーです。

主に、以下の事業を行っています。

  • 生活環境基盤材料事業
  • 電子材料事業
  • 機能材料事業
  • 加工・商事・技術サービス事業

商号信越化学工業株式会社(Shin-Etsu Chemical Co., Ltd.)
所在地〒100-0005 東京都千代田区丸の内一丁目4番1号
設立1926年9月16日
資本金119,419百万円
代表者代表取締役社長 斉藤 恭彦
上場東京証券取引所プライム市場 名古屋証券取引所プレミア市場
従業員数25,717人

信越化学の事業内容

信越化学の事業内容

信越化学の事業は、大きく分けて4つで構成されています。主力の事業は生活環境基盤材料事業と電子材料事業の2つです。

それぞれの事業内容について、詳しくみていきましょう。

ポイント

  • 生活環境基盤材料事業
  • 電子材料事業
  • 機能材料事業
  • 加工・商事・技術サービス事業

生活環境基盤材料事業

生活環境基盤材料事業で取り扱っている主要製品は、「塩化ビニル樹脂」「か性ソーダ」「メタノール」「クロロメタン」「ポバール」の5つです。

上下水道のインフラ(社会基盤)、住宅、農業、生活用品など生活を支えるのに欠かすことのできないものが「塩化ビニル樹脂」です。生活環境基盤材料事業では、その「塩化ビニル樹脂」で世界トップのシェアを誇る会社として世界の様々な国の需要に応えています。

電子材料事業

電子材料事業で取り扱っている主要製品は、「半導体シリコン」「希土類磁石」「半導体用封止材」「LED用パッケージ材料」「フォトレジスト」「マスクブランクス」「合成石英製品」の8つです。

半導体の基幹材料である「シリコンウエハー」では世界トップのシェアを誇り、様々な国の需要に応えています。また、半導体製造工程に欠かすことのできない「フォトレジスト」や「マスクブランクス」でも世界2位のシェアを誇っています。

機能材料事業

機能材料事業で取り扱っている主要製品は、「シリコーン」「セルロース誘導体」「金属ケイ素」「合成性フェロモン」「塩ビ・酢ビ共重合樹脂」「液状フッ素エラストマー」「ペリクル」の7つです。

電気・電子や自動車、建築や化粧品、ヘルスケアや食品といった幅広い産業で必要とされる「シリコーン」、衣料品や食品、建材などの多分野で用いられる「セルロース誘導体」など、様々な産業・分野で必要とされる製品を提供しています。

加工・商事・技術サービス事業

加工・商事・技術サービス事業で取り扱っている主要製品は、「樹脂加工製品」「技術・プラント輸出」「商品の輸出入」「エンジニアリング」の4つです。

信越化学の収益の要である「塩化ビニル」や「シリコーン」などの加工技術と、各種プラントの設計・建設・メンテナンスなどエンジニアリングを活用することにより課題解決に応えています。

信越化学の業績推移|売上・営業利益

信越化学の業績推移

信越化学の業績推移について紹介します。まずは営業利益の推移です。

信越化学の業績推移

上記を見ればわかるように、国内企業が軒並み影響を受けるような出来事が発生した際は減益が発生していますが、その後は連続して増益となっていることが見て取れます。

また、2023年3月期には最高益を更新し、9,982億円の営業利益を出しました。

売上高の推移は以下の通りです。

信越化学の業績推移

2019〜2021年にかけて徐々に減ってはいましたが、2022年以降は回復し、2023年3月期には、2021年の約2倍の売上高を記録しています。

経常利益の推移は以下の通りです。

信越化学の業績推移

信越化学の株価推移|過去5年のチャート

株価を中心として信越化学についてみていきましょう。投資をする上で株価は重要な指標となります。

信越化学の株価の推移について、過去5年チャートをもとに分析していきましょう。

信越化学の株価推移

ポイント

  • 2020年3月~2021年10月にかけて株価が上昇
  • 2021年10月~2022年9月にかけて株価が下落

2020年3月~2021年10月にかけて株価が上昇

信越化学の株価推移

コロナ禍に突入し、多くの企業が業績を低迷させている中、信越化学の全体的な株価は上昇傾向にあり、この期間に約2000円から約4000円まで株価を倍増させています。

これは、コロナ禍の巣ごもり需要による半導体特需や塩化ビニル樹脂市況が活況したことによって、他の企業と比べてコロナ禍の業績ダメージが限定的だったことが考えられます。

これにより、好調な業績や増配が発表されたため、株価がコロナ前の2倍まで上昇したといえるでしょう。

2021年10月~2022年9月にかけて株価が下落

信越化学の株価推移

2021年10月〜2022年9月にかけて株価が下落しており、4000円台だった株価が3000円弱まで下落しています。

これは、2022年に発生した塩化ビニル樹脂市況の悪化と、コロナ禍の巣ごもり需要がある程度収束し、半導体の供給過剰が懸念されたことが影響していると考えられます。

どちらも、信越化学が世界トップのシェアを誇る製品であるため、市況の悪化やその懸念に株価が大きく影響された形です。

しかし、その後は一転して株価は再び上昇傾向にあり、2023年11月にはついに5000円台を突破しました。

信越化学の株主還元|配当・自社株買い・株式分割

信越化学の株主還元

それでは、信越化学の株主還元について配当・配当利回り・自社株買い・株式分割による株価の推移についてみていきましょう。

ポイント

  • 信越化学の一株配当・配当利回り推移
  • 信越化学の自社株買い推移
  • 信越化学の株式分割について

信越化学の一株配当・配当利回り推移

信越化学の株式配当の推移は以下の表の通りです。

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2020年3月期2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期
中間配当金22円/株28円/株50円/株55円/株50円/株
期末配当金22円/株22円/株30円/株45円/株50円/株(予想)
年間配当金44円/株50円/株80円/株100円/株100円/株(予想)

信越化学の自社株買い推移

信越化学が実施した自社株買いについて紹介します。信越化学は、1000億円規模の自社株買いを複数回実施しています。

最近実施された自社株買いは、2019年と2022年に行われており、さらに2023年7月に1000億円規模の自社株買い実施を発表しました。

また、2023年11月にも上限80億円規模の自社株買いを追加で発表しています。

以下は、信越化学の自社株買い総額です。

2019年1000億円
2020年 -893億6675万円106億3324万円
2021年 -47億784万円59億2540万円
2022年 +940億7316万円999億9857万円
2023年 +1109億4671万円2109億4529万円

信越化学の株式分割について

2023年に信越化学は株式分割を実施しています。

具体的な内容は、2023年3月31日を基準にして、1株につき5株へ株式を分割しました。

株式分割の目的は、新NISAの精度が発足することも踏まえ、株式分割を行うことにより個人投資家に投資してもらいやすい環境を整えるためです。

これにより、発表時株価換算で1単元の取得に約176万円必要であった信越化学の株式を、5分の1の額で取得可能となりました。

参考:株式分割及び株式分割に伴う定款の一部変更に関するお知らせ|信越化学工業株式会社

信越化学の株価が急落した理由を解説

信越化学の株価が急落した理由を解説

2022年に信越化学の株価は、4000円台から3000円付近まで急落しました。

信越化学の株価はなぜ急落したのでしょうか。信越化学の株価急落の理由については、次の2つの要因が考えられます。

ポイント

  • 塩化ビニル樹脂の市況が悪化したことによる業績懸念
  • 半導体の市況が悪化することによる業績懸念

塩化ビニル樹脂の市況が悪化したことによる業績懸念

株価の急落が発生した1つ目の理由は、塩化ビニル樹脂の市況が2022年に悪化したことが考えられます。2022年に発生した塩化ビニル樹脂の市況の悪化は、2023年になっても回復の兆しを見せていない状況です。

塩化ビニル樹脂は、信越化学において世界トップのシェアを誇る主力商品です。そのため、塩化ビニル樹脂の市況悪化は、信越化学の業績に大きな影響を与えます。

塩化ビニル樹脂の市況悪化によって信越化学の株価は急激な下落となり、底打ちが確認されるまで株は売りに出される状況となりました。これにより、信越化学の株価は、4200円近辺から2800円台まで下落しました。

参考:塩化ビニル樹脂の価格(輸出品)の推移 1. 月次・円ベース|GD Freak!

半導体の市況が悪化することによる業績懸念

株価の急落が発生した2つ目の理由が、半導体の市況が悪化することによる業績懸念です。

コロナ禍による巣ごもり需要で、パソコンやスマートフォン、ゲーム機といった半導体を使用する機器が数多く生産、販売され、これによる半導体不足が発生しました。

シリコンウエハで世界トップシェアを誇る信越化学も、半導体需要が高まったことにより業績を牽引して株価の上昇が起こりました。

しかし、巣ごもり需要が終了したことにより大幅な半導体不足が一転して、供給過剰の懸念が高まりました。

そのため、世界的に半導体銘柄の売り圧力が上昇し、信越化学の株価の急落につながったのです。

参考:半導体不足、断たれた供給網〈混迷2021〉|日本経済新聞
参考:JSRなど半導体関連株が下落、景気サイクルは下降局面入|会社四季報オンライン

注目ファンド

詳細な投資分析によるバリュー投資を中心に実践しており、短期的な利益追求ではなく安全性を追求しながら中長期的な利益を求めているヘッジファンド。

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信越化学の株価に対する投資家の口コミ

信越化学の株価に対する投資家の口コミ

信越化学の株価に対して投資家の方々が投稿している口コミについて紹介します。

信越化学からの配当金を確認
去年信越さんからもらった配当金が人生初の配当ですごい嬉しかった記憶。 もうだいぶ利回り下がって買えなくなったけど、半導体ではかなり安心感がある銘柄だからまた買いたいなぁ~

引用:X

信用売りの狙い撃ちターゲットになりそうな気配
レーザーテックも強烈に狙われているので、次は、超優良株である信越化学が機関投資家・外人そろい踏みのターゲットになりそうだ。信用売りと信用買いが拮抗していて抜群の取り組みとなってきた。

引用:Yahoo!ファイナンス

信越化学が上がってますね。
分割前20株だけ持っていたのが、分割のおかげでそのまま単元株に。

当時の買値から配当利回りは3.14%
キャッシュを稼ぐ力が凶悪な優良企業で配当性向から見てもまだまだ増配は続いていくと予想。

これからも握力全開です!

引用:X

信越化学を持ち続けます
今年は上場内高値を取り、配当金ももらって最高の一年でした。このまま信越化学を持ち続けます。

引用:Yahoo!ファイナンス

短期的には上がっていくと思います。
住宅市場の回復と、半導体市況の回復という、信越化学の事業の両輪が追い風になっているので、短期的には、まだまだ上値を追っていくと思います。
また、日本製造業の最強企業で、数多い製品がシェアNo.1で価格競争力があるので、長期的には、10,000円を超えて行くのは間違いないと思っています。

引用:Yahoo!ファイナンス

信越化学の株は概ね好評のようで、現状は買いまたは様子見の口コミが多いようです。

信越化学の株価は今後どうなるか将来性を予想

信越化学の株価は今後どうなるか将来性を予想

信越化学の株価は、今後どうなるのでしょうか。

ここまで紹介した会社概要や口コミ、株式などの内容を踏まえて、今後の株価の推移や信越化学の将来性について考えていきましょう。

ポイント

  • 円安の影響により業績が拡大が期待できる
  • 半導体用のシリコンウエハの需要拡大

円安の影響により業績が拡大が期待できる

短期的な目線で信越化学の今後を考える場合、円安の影響による業績の拡大が期待できます。

前期が1ドル134円の決済レートでしたが、2023年12月時点で1ドル146.8円と円安が進んでいます。

円安の進行は半導体や塩ビ事業には追い風となり、業績が上振れる要因となります。

そのため、2024年の業績は減収減益が予想されていますが、円安の影響により為替差益が大きくなれば減益幅が圧縮される可能性も考えられます。

したがって、短期的な目線では円安の影響により業績の拡大が期待できるのです。

参考:信越化学は連日の上場来高値、海外投資家主体の買い流入|会社四季報オンライン

半導体用のシリコンウエハの需要拡大

長期的な目線では、将来的に半導体関連の需要増加が見込まれます。

日本政府は戦略物質として半導体を位置付けており、TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)誘致やJSRの買収、補助金の新設などを行い半導体の国内生産を推奨しています。

信越化学は半導体の基板材料であるシリコンウエハの製造で世界シェアトップを誇ります。つまり、半導体の国内製造拠点が増加することによりその需要が必然的に高まるのです。

また、2030年に向けて半導体市場は2倍程度の成長が予想されています。

参考:半導体・デジタル産業戦略|経済産業省
参考:TSMC誘致にラピダス設立、日本政府が描く日の丸半導体復権までの道のり|JBpress
参考:アングル:革新機構のJSR買収、半導体強化へ「国策」で供給網囲い込みか|REUTERS
参考:半導体基金に3.4兆円要求 経産省、ラピダスやTSMCの補助金で:朝日新聞デジタル|朝日新聞DIGITAL
参考:半導体製造装置の世界市場-2023年~2030年|NEWSCAST

信越化学の業績・株価・配当についてまとめ

今回は、信越化学の業績・株価推移・配当や株価が急落した理由について紹介しました。

信越化学は、コロナ禍で数多くの企業が業績を低迷させている中、半導体不足や塩化ビニル樹脂の好調により業績を伸ばし、株価を2倍近く上昇させた企業です。

一方、2022年には塩化ビニル樹脂の市況悪化や米国金利の上昇によって発生した世界的な売り圧、巣ごもり需要終了による半導体市場への不安などから株価が大きく下落しました。

2023年も減益予想とはいえ、配当も維持されており、まだまだ半導体市場の衰えも見えないことから、魅力的な銘柄と言えるでしょう。

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