ひふみワールドプラスとは

ひふみワールドプラスとは

ひふみワールドプラスとは、日本以外の世界成長企業に投資するアクティブファンドです。アクティブファンドではありますが、運用スタイルとして「まもりながら増やす」ことを掲げています。

従来はレオス・キャピタルワークスから直接購入するしかなかった「ひふみワールド」という投資信託について、数多くの販社から購入できるようにしたものがひふみワールドプラスです。実際、販売会社として主要な地銀や証券会社から購入することができるため、投資信託名を聞いたことがある人も多いかもしれません。ひふみワールドプラスの基本情報は下表の通りです。

日本以外の海外株式に投資するため、既に日本株式・債券をポートフォリオに持つ投資家にとっては、分散投資を図ることが可能となります。

運用会社レオス・キャピタルワークス
ファンド設定日2019年12月13日
投資対象海外株式
基準価額15,144円(2023年5月2日時点)
純資産総額220,463百万円
決算頻度年1回
為替ヘッジなし

ひふみワールドプラスはどんな投資信託か特徴を解説

ひふみワールドプラスはどんな投資信託か

ひふみワールドプラスがどのような特徴を持つ投資信託であるかということについて、運用を担うファンドマネージャー、投資対象、組入上位銘柄、手数料や信託報酬等の観点から解説します。

ポイント

  • ファンドマネージャー・湯浅光裕氏について
  • ひふみワールドプラスの投資対象
  • 現金比率を最大50%まで引き上げ可能
  • ひふみワールドプラスの組入上位銘柄
  • ひふみワールドプラスの購入時手数料・信託報酬

ファンドマネージャー・湯浅光裕氏について

ひふみワールドプラスの運用を担うのは、レオス・キャピタルワークスの取締役、運用本部長である湯浅光裕氏です。湯浅氏は、現代表取締役社長の藤野英人とともに2003年にレオス・キャピタルワークスを立ち上げた人物です。

その略歴は、ロスチャイルド・アセット・マネジメント(ジャパン)、ガートモア・アセットマネジメント(現ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズ・ジャパン)と、外資系運用会社で経験を積んだ人物です。前職で中小型の日本株式運用に携わっており、ひふみワールドプラスではこれから成長する企業を発掘する目利きの経験が活きているでしょう。2001年にレオス・キャピタルワークスの副社長に就任しました。

ひふみワールドプラスの投資対象

ひふみワールドプラスの投資対象は海外株式ですが、長期投資を念頭に世界の成長株に投資する運用方針です。マーケットを調査、分析し、現時点で割安と考えられる銘柄を見つけ出して投資することになります。

長期的な経済構造の変化や、経済の発展度合い、産業のトレンド等について綿密な調査分析を行い、そこから選別された個別銘柄に関する研究をした上でポートフォリオに組み込むアクティブファンドということになります。財務情報だけでなく、経営方針や現地視察等で得た定性情報も参考にして分析が行われます。

日本以外の海外銘柄に投資しますが、原則為替ヘッジを行わないため、為替リスクが発生します。

現金比率を最大50%まで引き上げ可能

ひふみワールドプラスの特徴として、資産を株式と現金に分けた場合、状況に応じて現金の組入比率を50%まで引き上げられるという点があります。通常、多くの投資信託でも現金は一定程度資産に含まれますが、50%という割合まで認めている点は珍しいでしょう。

ではどのような時に現金の割合が増えるかというと、マーケットに割安と考えられる銘柄がない時です。そのような時期には無理して買付けは行わず、利益確定や株価下落リスク回避のため現金化した部分は保持し、安定した資産運用を目指します。

ひふみワールドプラスの組入上位銘柄

ひふみワールドプラスの投資対象は海外の割安銘柄ですが、実際にどのような銘柄に投資をしているのでしょうか。下表は2023年3月の運用レポートから取得した、2022年 12月時点における組入上位銘柄です。

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No銘柄名通貨業種組入比率
1TETRA TECH, INCアメリカ米ドル商業・専門サービス2.26%
2DEERE & COアメリカ米ドル資本財2.23%
3TJX COMPANIES INCアメリカ米ドル小売1.95%
4FERRARI NVイタリア米ドル自動車・自動車部品1.85%
5LVMH MOET HENNESSY-LOUIS VUITTON SEフランスユーロ耐久消費財・アパレル1.82%
6MTU AERO ENGINES AGドイツユーロ資本財1.72%
7WORKDAY, INCアメリカ米ドルソフトウェア・サービス1.70%
8THE HERSHEY COアメリカ米ドル食品・飲料・タバコ1.68%
9MICROSOFT CORPORATIONアメリカ米ドルソフトウェア・サービス1.51%
10CADENCE DESIGN SYSTEMS, INCアメリカ米ドルソフトウェア・サービス1.37%

組入銘柄について一部を補足すると、1位のTETRA TECHは水、環境、持続可能なインフラストラクチャ、再生可能エネルギー、国際開発を中心としたコンサルティングとエンジニアリングサービスを提供する企業(出典:REUTERS)となっています。ESGに関連する銘柄のため、今後の成長が期待されているのでしょう。

2位のDEERE & COは、表中では資本財という業種になっていますが、農業、建設、林業機器の企業です。また3位のTJX COMPANIES INCは、アメリカで展開するアパレル、ホームファッションの企業です。

ひふみワールドプラスの購入時手数料・信託報酬

ひふみワールドプラスの購入時手数料は、申込金額に対し「最大で」3.3%となります。なぜ、「最大で」という表現をするかと言うと、手数料率は販売会社である証券会社や地銀が設定するからです。

信託報酬は1.628%(信託財産の純資産総額が5,000億円まで)となります。尚、5年経つと信託報酬の内0.1%が再投資に回されるので、長期保有するとメリットがあります。

ひふみワールドプラスとひふみワールドの違い

ひふみワールドプラスとひふみワールドの違い

ひふみワールドプラスとほぼ同じ名称で「ひふみワールド」という投資信託があります。それぞれの投資方針と組入銘柄は変わりません。異なる点は、販売会社の有無です。ひふみワールドは、レオス・キャピタルワークスに口座を保有し直接購入しますが、ひふみワールドプラスは証券会社や地銀等の販売会社から購入することになります。

これにより、最低購入金額、信託報酬、販売手数料にも違いがでます。最低購入金額は、ひふみワールドプラスは100円であるのに対して、ひふみワールドは1,000円です。信託報酬は、ひふみワールドプラスが純資産総額に対して変動するのに対して、ひふみワールドは保有年数で変動します。手数料は、ひふみワールドは無料となっています。

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詳細な投資分析によるバリュー投資を中心に実践しており、短期的な利益追求ではなく安全性を追求しながら中長期的な利益を求めているヘッジファンド。

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ひふみワールドプラスの評判・評価は危ない?【実際の口コミ】

ひふみワールドプラスの評判・評価

ここからは口コミや評判から、その実態を見てみましょう。

信託報酬高いこともあって、もったいない&ちょこっと+になったので、売り払いました。2年間でプラス5%あるかないか位です。

引用:Yahoo!ファイナンス

証券マンに薦められて購入したけどパホーマンスが今ひとつだね~
これなら毎月分配の方が良かったかな?

引用:Yahoo!ファイナンス

ここの高額の信託報酬…
かたや、あまりのパフォーマンスの悪さ…

信託報酬に関しては、いわゆる餌代と呼ばれるものですね。
立場を替えれば、肥やしとも呼ばれます。

引用:Yahoo!ファイナンス

ここは信託報酬かなり高いけど手数料の低いS&Pや全世界インデックスに勝てないのはなんで?いっそ中身をこれらに合わせたら?

引用:Yahoo!ファイナンス

毎日増えたり減ったりはかまわんけど、月トータルでは増えてくれないんでしょうかね…銀行員さんがわざわざ「毎月けっこうな金額を定期預金されてるので投資信託したほうがいいですよ、定期預金は利息がかなり少ないので…」と言ってきたから毎月買い付けしてるのに「これなら定期預金のがいいやん」となっちゃうよ。
わざわざ電話してきてまで客に損させるのやめてもらえませんかね、もちろん自己責任という事は自覚してますが。

引用:Yahoo!ファイナンス

口コミを見ると、信託報酬の割りにパフォーマンスが良くないというコメントが見受けられます。一般的に海外株式に投資するアクティブファンドの信託報酬は1%台後半なので、ひふみワールドプラスだけが突出して高いわけではありません。

ではなぜ投資家が不満を持つかというと、海外株式のインデックスファンドや、他のアクティブファンドと比較して、投資対効果が低いと考えるからでしょう。アクティブファンドであればある程度の高い手数料は許容されますが、それだけにリターンも高いことが期待されます。

以下では、投資家が不満を持つパフォーマンスやリスクについて、他のファンドとの成績を比較してみます。

ひふみワールドプラスの評判・評価で危ないと言われている理由

ひふみワールドプラスが危ないと言われている理由

ひふみワールドプラスが危ないという指摘は、世界株式への投資が危ないか、という観点と近しいです。この投資信託について、投資先国と時価総額別の投資配分をあらためて確認してみましょう。

No組入上位10カ国比率
1アメリカ65.63%
2中国5.04%
3ドイツ4.75%
4スイス3.68%
5イタリア2.49%
6台湾2.24%
7アイルランド1.94%
8フランス1.79%
9オランダ1.68%
10イギリス1.30%

時価総額別比率
10兆円以上32.47%
1兆円以上10兆円未満43.27%
3,000億円以上1兆円未満15.53%
3,000億円未満2.45%

組み入れている国はアメリカが圧倒的に多く65%以上となっています。つまりアメリカ一本足とも言えます。この地域分散が十分ではないという点がリスクの1つと考えられます。

但し、他の世界株式に投資する投資信託もアメリカ一辺倒であることには変わりないため、ひふみワールドプラスだけのリスクではありませんが、アメリカの政策や経済動向に大きく影響を受けることは間違いありません。

また、時価総額別の比率を見ると、10兆円を超える規模の企業に3割以上投資していることが分かります。時価総額10兆円を超える企業のイメージを掴むため日本企業で挙げると、トヨタ、ソニー、キーエンス、NTTの4社しかありません。

つまり、世界でこれから成長する企業に投資することを標榜しつつ、時価総額の大きい企業の影響を受けるため、マーケット全体の動きとも連動し、インデックス型の投資信託と似たような動きを取る可能性があります。

「危ない」というニュアンスとは異なるかもしれませんが、インデックス型の投資信託と連動しパフォーマンスに大差なければ、相対的に費用を払いすぎることになり投資家の不満に繋がります。

ひふみワールドプラスの運用実績・基準価額推移

ひふみワールドプラスの運用実績

ここから、ひふみワールドプラスの運用実績として基準価額推移等を見ていきましょう。また、類似の投資信託とも比較することで、実際のパフォーマンスの良し悪しが把握できます。

ポイント

  • ひふみワールドプラスの設定来の運用実績
  • ひふみワールドプラスの設定来の基準価額推移
  • ひふみワールドプラスとeMAXIS全世界株式インデックスを比較

ひふみワールドプラスの設定来の運用実績

ひふみワールドプラスは2019年12月に設定されているため、長期投資を目的とした投資信託ではありますが比較に十分な期間が取れません。2023年3月31日付の月次運用レポートによれば、設定来で47.10%を確保しています。

この数値を見るとパフォーマンスが良く見えますが、この時期は世界株式が全体的に上昇した局面と重なります。つまり、ひふみワールドプラスが他に比べて優れていたわけではありません。

むしろ、ひふみワールドプラスは世界株式のインデックスに対して、パフォーマンスで劣っていることがチャートから読み取れます。下チャートは日興アセットマネジメントの海外株式ヘッジ無しのインデックスと比較したものです。途中で勝ち負けはありますが、少なくとも直近1年では負け続けています。インデックスの方が当然手数料は安いため、投資対効果はそちらの方が高いことになります。

青線:ひふみワールドプラス
ピンク線:インデックスF海外株式H無(DC専用)

ひふみワールドプラスの設定来の運用実績

ひふみワールドプラスの設定来の基準価額推移

ひふみワールドプラスの設定来の基準価額推移は以下の通り増え続けており、人気を得ていると言えます。

2021年前半までの上昇傾向は世界株式全体の好調さに連動したものとなっており、2021年後半からの下落はコロナショックによるものです。先に挙げた日興アセットマネジメントの世界株式インデックスファンドも、同じ時期に下げています。

ひふみワールドプラスの設定来の基準価額推移

2022年6月時点の運用レポートを参照すると、現金の比率がほぼ0%でした。投資に「もし」や「たら・れば」はないのですが、コロナショックの影響を見越すことができていれば、ひふみワールドプラスの特徴である現金比率を50%まで高められる戦略を用いて凌げたかもしれません。

ひふみワールドプラスとeMAXIS全世界株式インデックスを比較

実績について、もう1つ別の投資信託である「eMAXIS全世界株式インデックス」とも比較してみましょう。ひふみワールドプラスとの共通点は、全世界の株式に投資すること、異なる点はMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本)がベンチマークとなっているインデックスファンドであることです。

チャートを見ると、先ほどの世界株式インデックスファンドと同様に、ひふみワールドプラスはeMAXIS全世界株式インデックスに対して直近1年は劣っていることが読み取れます。eMAXIS全世界株式インデックスの信託報酬は年率0.66%なので、1.628%のひふみワールドプラスに比して圧倒的に低いです。

このようなパフォーマンスと信託報酬の高さが、口コミにおける投資家の不満に繋がっていることが分かります。

青線:ひふみワールドプラス
ピンク線:eMAXIS全世界株式インデックス

ひふみワールドプラスとeMAXIS全世界株式インデックスを比較

ひふみワールドプラスの今後の見通し

ひふみワールドプラスの今後の見通し

組入上位国の表で示した通り、ひふみワールドプラスはアメリカが65%を超えていることから、アメリカ経済やマーケットの影響を多分に受けることになります。ひふみワールドプラスの今後の見通しを考察する上で、その点に注目してみましょう。

結論としては、今後の見通しは厳しいということになりますが、その理由はアメリカにおける金融政策と為替の動きによります。

アメリカではインフレが進行しており、消費者物価指数(CPI)をベースにしたインフレ率は新型コロナウィルスが蔓延以前の2019年頃までは概ね2%程度でしたが、2022年には7%を超える水準を記録しています。

そのためFRBは政策金利を上げ続けており、急激な金利の上昇は金融機関における保有債券の運用損失を招き、シリコンバレーバンクをはじめとした銀行破綻に繋がっています。

シリコンバレーバンクに続き、シグネチャーバンク、ファースト・リパブリック・バンクが相次いで破綻する「デジタル・バンク・ラン」と呼ばれる現象が起きている中でも、FRBは5月2日から3日にかけて開催した連行公開市場委員会(FOMC)で、金利を0.25%引き上げることを示しました(出典:REUTERS)。

金融システム不安よりもインフレ抑制を重視したと言える決定ですが、金融不安は融資姿勢の厳格化に繋がることから、アメリカの実体経済における逆風となる可能性があります。これがひふみワールドプラスにとっても同様に逆風となると考えられます。FOMCでは金融引き締めの停止も示唆されましたが、政策の効果を見極める期間がしばらくは続くでしょう。

また、ひふみワールドプラスは為替ヘッジをしていないため、円安局面でリターンが上昇することになります。2023年4月末時点の円/ドル為替レートは136.28円でしたが、長期的には円高傾向にあると言われていることも、この投資信託を見通す上では懸念材料です。

ひふみワールドプラスは資産運用としておすすめか?

ひふみワールドプラスは資産運用としておすすめか

ひふみワールドプラスに投資する目的が海外株式の運用ということであれば、この投資信託はおすすめできないことになります。なぜならば、分散投資をする上でも、リターンを得る上でも、海外株式インデックスファンドの方が優れているからです。

eMAXIS全世界株式インデックスとの比較でも示した通り、パフォーマンスはインデックスファンドに負けており、アクティブファンドであるため信託報酬もインデックスファンドと比べて高いことから、「ひふみ」シリーズの熱烈なファンであること以外に、敢えてひふみワールドプラスを選択する理由が見当たりません。

ただし、2019年設定で運用期間が長くないため、もう少し長期で実績を見ていく必要はあるでしょう。

ひふみワールドプラスは危ない?評判・評価をおさらい

ここまでひふみワールドプラスの評判や実積、口コミ等から、投資すべきかということや危ないのかということについて考察してきました。低調なパフォーマンスと信託報酬の高さから口コミでの評価は冴えず、今後の見通しも苦しい状況です。海外株式をポートフォリオに組み込むのであれば、有名かどうかだけでなく、投資対効果や評判も含めて検討すると良いでしょう。

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