レーザーテックの企業概要
レーザーテックとは、独自の光応用技術に裏付けられた付加価値の高い検査・計測装置を開発、製造している企業です。
1960年に創業した有限会社東京ITV研究所が始まりで、1962年に日本自動制御株式会社へ商号を変更、1986年にレーザーテック株式会社に名前を変え今日に至っています。
最初は医療機関で使われるX線テレビカメラの開発受託から始まりましたが、1975年にフォトマスク・ピンホール検査装置で半導体産業に参入し、現在では日経平均株価に採用されているグローバル半導体企業へ変化しました。
企業名 | レーザーテック株式会社 |
---|---|
設立 | 1960年7月 |
資本金 | 9億3100万円(2023年6月末) |
従業員数 | 正社員859名(2023年6月末) |
レーザーテックの事業内容・コア技術
レーザーテックは、半導体、FPD、レーザー顕微鏡の3つの事業に分かれており、光応用技術を用いたソリューションを提供しています。
それぞれの事業内容とコア技術「光応用技術」について詳細について紹介します。
- 半導体
- FPD
- レーザー顕微鏡
- コア技術「光応用技術」
半導体
EUVリソグラフィの実用化や新素材や新構造の導入によって微細化が進む半導体製造において、検査・計測装置は必要不可欠です。
レーザーテックの主力製品はフォトマスク関連の欠陥検査装置であり、EUVマスクブランクス欠陥検査装置が業界基準として採用され、マスク欠陥装置も最先端のリソグラフィにおいて高いシェアを獲得しています。
ウェハ関連の検査・計測装置においても多様なソリューションを取りそろえています。
FPD
FPD(フラットパネルディスプレイ)は、ブラウン管に代わる薄型で平坦な画面の薄型映像表示装置の総称です。
FPDの分野において高精細FPDフォトマスクの検査装置を開発、製造しています。
スマートフォンやタブレットに代表される中小型高精細ディスプレイ、4K・8K高解像度大型テレビなどへの対応が急務であり、中国や韓国で投資が相次いでいる事から需要が高まっています。
レーザー顕微鏡
1985年に世界初の工業用カラーレーザー顕微鏡を開発し、2020年には多機能白色レーザーコンフォーカル顕微鏡を開発、製造しています。
2つのコンフォーカル光学系をベースに6つの機能を搭載しており、従来複数の装置が必要な観察・測定が1台で可能にしています。
業界最高水準で自動化に対応しており、計測・解析ソフトLM eyeを導入しています。
コア技術「光応用技術」
レーザーテックは、全焦点で高精細な3次元画像が得られる「共焦点光学系技術」、半導体リソグラフィの微細化に伴う光源の短波長化に適応した「DUV/EUV光学系技術」、光の位相のわずかなずれを正確に測定する「光干渉計技術」を独自に開発しました。
これらの3つの光応用技術をコア技術として、周辺技術と組み合わせてソリューションを提供しています。
レーザーテックの業績推移|売上・営業利益
データ引用:レーザーテックHP
上図は、直近4四半期のレーザーテックの売上高および営業利益の変化を表した図です。
今期の売上高成長率は、前年同期比+156%、前期比+30.5%です。
1Qは製品ミックスの一時的な悪化により営業利益率が低下しました。
来期ガイダンスは、売上高:37,798百万円(YoY-48.5%)、営業利益:8,890百万円(営業利益率:23.5%)です。
データ引用:レーザーテックHP
上図は、2020〜2023年度の年間売上高および営業利益を表した図です。
利益率を維持しながら、高い成長性が継続しています。
2024年度通年ガイダンスは、売上高:195,000百万円(YoY+27.6%)、営業利益:67,000百万円(営業利益率:34.4%)です。
2024年度売上高成長率は、昨年に比べて鈍化する見通しです。
レーザーテックの株価推移|過去5年のチャート
引用:TradingView
上図は、レーザーテックの過去10年間の株価チャートです。
10年間の株価のパフォーマンスは+19025%で、大幅上昇を記録しています。
なぜこれほど株価が上昇したのかについて解説していきます。
- 2016〜2018年にかけて株価が高騰
- 2022年に株価が急落
2016〜2018年にかけて株価が高騰
引用:TradingView
レーザーテックは過去10年間で3回大きく上昇しており、1回目は2016〜2018年です。
2016年から2018年3月12日までに株価は+626%上昇しています。
2016年度は最高益を記録するも当初の予想に達成できませんでした。
しかし、2017〜2018年度に向けて中国の半導体工場が活況になる事が予想され、期待感から上昇した結果、2017年の半導体市場は予想以上の高い成長が確認され、株価も大幅上昇しました。
2018年も成長が続きましたが、2019年はマイナス成長が示唆された事から株価は低迷しました。
2022年に株価が急落
引用:TradingView
上図は2022年の日足チャートです。
レーザーテックの株価は2022年に年初から最大59.3%下落し、通年で-39.7%のパフォーマンスでした。
下落の主な要因は、株式市場および半導体市場全体の展望悪化による影響です。
年初にアメリカで金融引き締めの示唆から世界株式の環境が悪化し、前年好調だった半導体も多くの企業で需要低迷が確認されました。
レーザーテックの業績は4月に上方修正、8月に来年度の強いガイダンスが提示されるものの市場の推移に連動していました。
10月に入り、株式市場が上昇すると日経平均や競合他社よりも株価が大きく伸びました。
レーザーテックの株主還元・配当
レーザーテックは、株主還元の一環として配当を長期に渡って行っています。
レーザーテックの配当金の推移、連結配当性向の目安、今後の見通しなどについて解説していきます。
レーザーテックの一株配当・配当利回り推移
上図は、2020〜2024年度の配当金の推移を表した図です。
レーザーテックは2020年1月に1対2の株式分割を行っているため、当時の配当記録とは異なります。
経年比較のために金額は2020年度期首に株式分割した想定で作成されています。
現在2024年度は3Qまで決算発表を行っているため、2024年度期末の数字はレーザーテックの予想値で示されています。
2024年5月14日引け後の株価を基準とした年間配当利回り予想は0.46%です。
また、レーザーテックは連結配当性向35%を目安としており、2015年以降でその傾向は変わっていません。
今後も連結配当性向35%が目安で推移すると予想されます。
レーザーテックの株価はなぜ上がるのか理由を解説
レーザーテックは過去10年間で株価が約190倍上昇しており、個別株のパフォーマンスとして突出しています。
なぜレーザーテックの株価が上がるのかについて解説していきます。
- 半導体市場が加速度的に進歩している
- 生成AIの需要拡大に伴なう投資増加
- レーザーテックの業績が高成長を続けている
半導体市場が加速度的に進歩している
半導体市場は、近年最も成長している分野の一つです。
市場調査会社Statistaのデータによると、半導体市場は2010年代に2263億ドルから4404億ドルへと約2倍に成長しています。
この要因は、スマートフォンやタブレットの普及、AIやIot関連などの企業投資が増えた影響です。
需要拡大に伴い、半導体工場の新設や製造ラインの拡大が継続し、レーザーテックの半導体マスク欠陥装置の設置も増加しました。
半導体市場は2027年に7364億ドルへ達する見通しであり、半導体市場の成長見通しに連動してレーザーテックも成長も見込まれるため、株価は上昇しやすい環境です。
生成AIの需要拡大に伴なう投資増加
2022年末からChatGPTの流行に伴い、大手ハイテク企業が生成AIソフトウェアの開発を行いました。
2024年現在では、大手ハイテク企業のマイクロソフトやグーグルを始め、多くのサービスでAIが標準的に搭載され始めています。
しかし、サービスを提供するには高い水準のサーバーや開発環境が必要で、半導体に継続的な投資が行われるでしょう。
その影響で主要顧客の台湾セミコンダクターが次世代半導体の生産前倒しを行ったり、インテルがAIチップの生成を行ったりと半導体投資の需要が増加しています。
JEITAの見通しによると、生成AI需要は2023年106億ドルから2030年2110億ドルまで年平均53.3%のペースで成長が予想されています。
そのハードウェアを担う半導体製造企業は大きな成長が期待されているため、レーザーテックの株価評価も上がりやすい状況です。
レーザーテックの業績が高成長を続けている
レーザーテックは売上高や営業利益などの業績で高い成長性を継続しています。2023年度の売上高は10年前と比較して1241%増加しており、営業利益は2798%増加しています。
レーザーテックの2013年度1株当たり当期純利益は17.86円に対して、2023年度は511.89円です。(2013年、2017年、2020年に1対2の株式分割を行っているため、現在の基準に変換しています。)
株式投資家は将来の自分が保有する株式の価値増加(成長性)を求めて株式を購入します。
10年で約28倍の利益増加は株式市場でも指折りの成長性のため、株価は上昇して当然と言えます。
利益成長以上の株価上昇には成長性に対する実績への評価と期待が含まれています。
レーザーテックの株価に対する掲示板の口コミ
レーザーテックは、SNSでどの様な評価をされているのでしょうか。
過去の株価上昇率の高さや現在の企業価値が高いというコメントが多く見られます。
レーザーテックの株価は今後どうなる?将来性を解説
レーザーテックは大きく株価が伸びてきましたが、今後はどうなるのでしょうか?
レーザーテックの業績や半導体市場の展望などから、将来性についてくわしく解説していきます。
- 生成AIを中心とした半導体投資の需要変化に注目
- 業績の高い成長性が維持できるか
生成AIを中心とした半導体投資の需要変化に注目
2022年末から始まった生成AIブームは2023年に一度落ち着きましたが、2024年1月の半導体決算が好調であった事から投資の世界では第二次生成AIブームが形成されています。
レーザーテックは、近年株式市場と半導体需要の推移と連動性が高く、2020年代は生成AIの需要に大きく依存するでしょう。
そのため、生成AI投資に伴う半導体投資が好調であれば株価は上昇し、不調な局面は大きく下落しやすいでしょう。
生成AI投資は始まったばかりであり、長期に渡って株価が下支えされる可能性も十分あります。
業績の高い成長性が維持できるか
半導体や生成AIの需要がレーザーテックの株価を押し上げているのは間違いありませんが、一番重要な点はレーザーテックが業績で高い成長性を維持できるかでしょう。
AIブームの様に投資の世界のブームは関連株式に過剰な評価を付ける傾向にありますが、レーザーテックは、業績を伸ばし続けてきた結果が今の株価です。
売上高の成長性が大きく落ちたり、利益率が低下したりすると他の関連株式に乗り換えられる可能性が高いです。
そのため、株価を伸ばし続けるには高い成長性を維持できるかに注目する必要があります。
レーザーテックの業績・株価・配当についてまとめ
レーザーテックの株価は過去10年で約190倍に伸びており、個別株でも類を見ないほどの高いパフォーマンスを発揮しています。
この背景には、業績の高い成長性や半導体および生成AI需要の増加があります。
今後も生成AIを中心とした高い需要が継続されるため、株価に注目が集まります。
また、レーザーテックの現在の配当利回りは0.46%です。
日本国内ヘッジファンドランキング20選|高利回りおすすめ企業一覧
この記事では、ヘッジファンドのおすすめをランキング形式でご紹介します。ヘッジファンドと聞くとどのようなイメージをお持ちでしょうか。政府が進める「貯蓄から投資へ」の流れの中で、株...