あおぞら銀行の企業概要
あおぞら銀行とは、1957年に設立した老舗ともいえる銀行です。設立時は長期信用銀行法に基づいて日本不動産銀行という名称でしたが、日本債券信用銀行に変更され、2001年に今のあおぞら銀行という名称になりました。
2022年11月の通常利益率ランキングでは、メガバンクを抑えての1位を獲得しています。
東証プライムに上場しており、従業員は2442人です。国内には20の支店を構えており、海外には3つの駐在員事務所があります。
社名 | 株式会社あおぞら銀行(Aozora Bank, Ltd.) |
---|---|
設立 | 1957年(昭和32年)4月 |
代表取締役 | 谷川 啓 |
所在地 | 〒102-8660 東京都千代田区麹町6-1-1 |
資本金 | 1,000億円 |
総資産 | 7兆1,840億円 |
従業員数 | 2,442人 |
上場証券取引所 | 東京証券取引所(プライム市場) |
あおぞら銀行の事業内容
あおぞら銀行の事業内容は銀行業です。その内部は業務の種別によって複数のグループに分かれています。
ここではあおぞら銀行にあるグループがそれぞれどのような業務を行っているのか紹介していきます。
- 法人営業グループ
- ストラクチャードファイナンスグループ
- インターナショナルビジネスグループ
- マーケットグループ
法人営業グループ
法人営業グループは事業法人を主とした、法人顧客に向けて貸出・預金・金融商品の販売を行っています。
法人営業グループは2つの事業グループから主に構成されています。
法人顧客への営業を行う事業法人ビジネスグループと、経営戦略・事業承継などM&Aの方針に関するサポートを行うM&Aアドバイザリーグループというもので、いずれも法人に特化した業務を行っています。
ストラクチャードファイナンスグループ
ストラクチャードファイナンスとは、企業と投資家を仲介するための金融技術のことを指します。具体的にはプロジェクトファイナンスや証券化などの仕組みを利用し、企業側が資金調達を行うことです。
あおぞら銀行のストラクチャードファイナンスグループでは、分野ごとに細分化されており、以下の4つのグループとなります。
- 事業ファイナンスグループ
- 環境ビジネスグループ
- スペシャルシチュエーションズグループ
- 不動産ファイナンスグループ
インターナショナルビジネスグループ
インターナショナルビジネスグループは、海外事業をメインとした金融業務を担うグループとなります。
あおぞら銀行では国内20支店の他に、北米・欧州・アジアにも拠点を持っており、アジア圏内においては現地の有力銀行と業務提携もしています。
そのためインターナショナルビジネスグループの中には、アジアでの事業に特化したアジアインベンストグループがあります。
マーケットグループ
マーケットグループは 市場に関する業務を担っており、ファイナンシャルマーケットグループとビジネスグループの2つによって構成されています。
デリバティブ商品・海外の為替商品の販売やその他海外為替レーティング業務などを行っています。
またALMや証券投資業務もこのグループが担っており、あおぞら銀行の資産管理も行っています。
あおぞら銀行の業績推移|売上・経常利益
あおぞら銀行の業績推移を以下の表にまとめます。 経常利益率については経常利益÷経常収益×100で出した値となります。
年度 | 経常収益(百万円) | 経常利益(百万円) | 経常利益率(%) |
---|---|---|---|
2020 | 184,406 | 43,330 | 23.4 |
2021 | 155,755 | 38,982 | 25.0 |
2022 | 134,737 | 46,294 | 34.3 |
2023 | 183,292 | 7,356 | 4.0 |
一般的に経常利益率は4.0%が良いとされており、あおぞら銀行は2021年のコロナ禍でも圧倒的な経常利益率を出していました。
しかし2023年には落ち込んでしまっています。これの理由としてはアメリカの商業用不動産における将来の損失に備えて積み立てた引当金が要因の1つとして考えられますが、2024年には純利益が2.8倍まで回復するとされています。
業績だけを見ると、数値は下落して投資する上では不安に移りますが、あおぞら銀行はこの下落を受けても配当に関しては見直していません。
そのため見かけよりも配当利回りが高くなるという変わった状況となっています。
あおぞら銀行の株価推移|過去5年のチャート
あおぞら銀行の業績はコロナ禍とその前でもさほど変化はありませんでした。それでは、株価に関してはどのような動きがこれまであったのでしょうか。
あおぞら銀行に投資をお考えの方は、まず過去のデータから今後の株価推移を予想していきましょう。
ここではあおぞら銀行の過去5年分の株価チャートから、その変遷について解説していきます。
- 2018年〜2020年にかけて株価が低迷
- 2022〜2023年にかけて株価が横ばい
2018年〜2020年にかけて株価が低迷
以下の株価チャートは2018年頃から2020年までの株価チャートになります。まさにコロナ禍がピークを迎えていた期間となります。
出典:Yahoo!ファイナンス
あおぞら銀行の株価は、2018年から下落を続けています。ただあおぞら銀行がとりわけ低迷していたわけではなく、この年は貸出金利が悪化したり、カードローン保証の引当金の値上がり、スルガ銀行問題など銀行株全体が逆風を受けていました。
そこに追い打ちをかけるようにコロナが世界経済に大打撃を与え、一時期あおぞら銀行の株価も下落前の4000近い価格から、1600まで下がりました。
2022〜2023年にかけて株価が横ばい
以下の株価チャートは2022年頃から現在までのものです。
出典:Yahoo!ファイナンス
コロナが収束した頃から、下落した1600付近の価格が2400~2700付近まで上がり、そこからしばらく横ばいな推移を見せています。
あおぞら銀行は2023年3月期の純利益が前年よりも71%減少しましたが、配当に関しては減配せずに従来の配当を維持することを発表しました。
そのため株価下落は限定的なものであり、株価チャートの推移を見ても、ここ最近の株価は上昇しており、現在は3000付近となっています。
あおぞら銀行の株主還元|配当について
ここではあおぞら銀行の配当の推移と、高い利回りの理由について解説していきます。
あおぞら銀行の一株配当・配当利回り推移
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年度 | 1Q | 中間 | 3Q | 期末 | 合計 | 利回り |
---|---|---|---|---|---|---|
2020 | 39 | 39 | 39 | 39 | 156 | 7.57% |
2021 | 30 | 30 | 30 | 34 | 124 | 4.89% |
2022 | 32 | 32 | 40 | 45 | 149 | 5.76% |
2023 | 38 | 38 | 38 | 40 | 154 | 6.42% |
あおぞら銀行は、他の企業では見られない4半期ごとの配当金がある銀行です。
配当は3か月に1回となりますが、1回ごとの配当額も大きいです。
あおぞら銀行は業績悪化後も減配はしないことを表明しています。2021年に一度減配していますが、それは減益によるもので、その後は増配を継続しています。
コロナの影響によって一時期落ち込んだ配当金も2023年には、コロナ前に戻りつつあります。
また配当利回りも6%前後あり、配当銘柄としては魅力的といえるでしょう。
あおぞら銀行の配当はなぜ高いか理由を解説
なぜ、あおぞら銀行は、他の銀行に比べても配当の利回りがとりわけ高くなっているのでしょうか。
その理由は、主にあおぞら銀行が株主に対して配当金を多く還元する方針を取っているからだと考えられます。
ここでは、あおぞら銀行の配当が高い理由について具体的に解説していきます。
- 他の銀行と比べて配当性向が高いため
- 配当維持の影響で株価が低迷しているから
- 配当金を一定にする方針を取っているため
他の銀行と比べて配当性向が高いため
配当性向とは当期純利益に占める年間配当金の割合のことをいいます。あおぞら銀行はこの配当性向が他の企業と比べて高くなっています。
一般の企業では配当性向は40%が限度といえる中、あおぞら銀行の中長期の配当性向は50%と定めています。つまり利益の半分は株主に還元するというスタンスであるということです。
そして業績の悪化を受けつつ、あおぞら銀行は配当金の額を維持することを表明しており、2023年における配当性向は206.2%となっています。利益の2倍を配当金に回しているということですが、これはつまり会社資産から捻出していることを指します。
資産流出をしたとしても、配当金は維持するほどに株主還元に力を入れているということです。
配当維持の影響で株価が低迷しているから
あおぞら銀行の配当が高い理由の1つとして、ここ最近の株価低迷が挙げられます。
あおぞら銀行の配当金は株価が高かった頃から変わらず維持しています。それこそ会社資産を流出させてまで、2023年現在も減配していません。
つまり配当額は変わらないまま、株価が下がってしまっているため、その分配当利回りが上がっているものだと考えられます。
そのため今後株価の変動によってあおぞら銀行が減配すれば、一気に配当利回りが低くなる可能性もあるということです。
既にあおぞら銀行は利益分を超える配当を何度か行っています。2023年にはついに利益の倍を超えて配当しているため、今後も配当が維持されるかどうかは分かりません。
配当金を一定にする方針を取っているため
前2つで解説した内容からも分かる通り、あおぞら銀行では業績に連動して配当金を決めているのではなく、配当金額を一定に定めています。
これはあおぞら銀行という企業の方針であり、業績が悪化しても配当金の額に変化は内容にしています。
配当銘柄としては安定しているように見えますが、現在のあおぞら銀行は業績悪化の影響か、年々配当金の額が利益を超えて増加の一途をたどっています。
もちろん今は大丈夫でも、そのような無理な配当は長続きはしません。そうなると減配という選択肢も視野に入ってくるでしょう。
一方で株価は2023年最新のチャートだと、それまでの横ばいからわずかに上昇傾向にあるようです。この株価推移によって、今後の配当利回りも変動していくことでしょう。
あおぞら銀行の株価に対する投資家の口コミ
あおぞら銀行は会社の方針により配当性向が高く設定されており、業績が悪化してしまった後も配当金の額は維持しています。このため配当の利回りが他の銀行と比べても大きくなっているのですが、投資家による評価はどうなのでしょうか。
ここでは投資家のあおぞら銀行に対する口コミについて紹介していきます。
8304 あおぞら銀行下方修正
✅23.3期の経常利益を従来予想495億円→100億円に79.8%下方修正
✅配当予想に変更なし
米国金利の急上昇により外国債券を中心に発生した評価損の一部を今期において一括処理することが下方の主な理由引用:X
あおぞら銀行は配当金維持で利回り6%代をキープ。
ほっと一息
日経も3万代引けで好調。
評価損益率は丁度10%いい感じ☺️引用:X
あおぞら銀行
決算発表
大幅増収も利益急減
GMOあおぞらネット銀行の増資引き受けの特別損失経常してると考えれば大丈夫そうか
でも軽微のはずだしな
評価損がでかいか?
配当くれる限りはホールド引用:X
おつかれ
サマンサ‼️
あおぞら銀行
昨日と今日で元の位置
ワイを持て遊ぶのやめちくり
ちょこっと利確ワイが売った
から来週の日経は爆上げか⁉引用:X
【8304】あおぞら銀行【2023年本決算】
米国金利の利上げによる債券価格の評価損に関しては銀行業・保険業の大手は軒並みやられています。
銀行業は今は買うべきターンでは無いと見ています。
気長に循環するのを待つのみ!引用:X
多くの投資家が配当金が現状維持のままであることに一安心しているようです。そして現状維持であればホールドをしてもう少し様子を見ていくようです。
一方で利益が急減しているところから、心配する声も多く見受けられます。その中には銀行業は現状買うべきではなく、機会を伺っている投資家もいるようです。
あおぞら銀行の株価は今後どうなる?
現状配当金は維持しているあおぞら銀行ですが、その株価は今後どうなるのでしょうか?
今買うべきか、まだ様子を見るべきなのか、その判断の参考になるように、ここではあおぞら銀行の株価の今後について予想していきます。
- 配当金維持が困難になった結果、減配になる可能性
- 業績予想は悪くないため、株価は上昇していく可能性
配当金維持が困難になった結果、減配になる可能性
あおぞら銀行は配当の利回りが他よりも高く、配当銘柄としては相当魅力的です。
しかし現在配当金は維持されているものの、配当性向は200%を超えており、配当金を回すためにあおぞら銀行は企業資産を流出させています。
あおぞら銀行は配当金はできるだけ減配したくないという意思を示していますが、それが今後も続くとは限りません。むしろこのまま業績が低迷していくのであれば、減配の可能性は高いと見ていいでしょう。
一方であおぞら銀行は現在の配当性向の増加は一時的なものであり容認するという発言もあるので、今後の業績に注目していく必要があるでしょう。
業績予想は悪くないため、株価は上昇していく可能性
コロナが収束し2022年ごろまであおぞら銀行の株価は横ばいでしたが、現在は若干の上昇傾向にあります。
長期的目線では今後の業績不安もあり、損失を出す可能性があります。また株価の上昇もまだ若干のもので、短期的な利益も期待はあまりできません。
あおぞら銀行は今のところ減配の意思はありません。現状の配当性向については容認しており、今の配当がしばらく続くのであれば、中期的な利益は見込めるでしょう。
またあおぞら銀行の配当は年に4回あり、売りは分散します。権利落ち日に株価が大暴落というリスクも少なく、減配がないのであれば相当に底堅い銘柄だといえます。
あおぞら銀行の業績・株価・配当についてまとめ
あおぞら銀行は業績悪化の中にあり利益が低くなっている中でも、配当に関しては維持しています。その差が配当の利回りを高くしているわけですが、あおぞら銀行は今の配当性向の増加は一時的なものであると容認しています。
株価はコロナ以降横ばいが続いていましたが、ここ最近で若干の増加傾向にあります。短期的な利益が見込めるわけではありませんが、今後もしばらく今の配当が維持されるのであれば、中期的な利益を見込んであおぞら銀行の株を買うのもアリな選択肢でしょう。
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