ライオンの企業概要

ライオンの企業概要

ライオンは1891年に設立された小林富次郎商店を祖とします。粉歯磨きがヒットとなった際、丈夫な牙を持つ百獣の王であることから、ライオンという社名になりました。台所洗剤のママレモンや衣料用洗剤のトップ、お風呂用洗剤のお風呂のルックなど、生活に密着した数々のブランドを世の中に送り出しています。

2004年から使用された「おはようからおやすみまで。暮らしに夢をひろげる」や2012年以降の「今日を愛する。」など、キャッチコピーを前面に出したテレビCMなどの候補戦略を得意とする印象です。緑色のたてがみの「ライオンちゃん」も高い認知度を誇ります。

商号ライオン株式会社
創業1891(明治24)年10月
本社所在地東京都台東区蔵前1-3-28
代表者代表取締役兼社長執行役員
竹森 征之
従業員数(連結)7,550名(2023年12月31日現在)

ライオンの事業内容

ライオンの事業内容

ライオンは祖業であるオーラルケアにおいて高い知名度を誇ります。特に歯磨き粉は「クリニカ」「デンター」「NONIO」といった三大ブランドが並びます。ライオンの強みはオーラルケアの実績を活かした歯ブラシ、歯垢除去剤を展開している点にあります。また消費者向けだけではなく、歯科医師向けの歯ブラシや清掃用具を展開しています。

オーラルケアのほかには衣料用洗剤、食器用洗剤、お風呂用などを幅広く展開し、それぞれヒット商品を提供し続けています。花王と並ぶ日本を代表する日用品メーカーです。

また前述した企業キャッチコピーやマスコットを展開することで、企業ブランドの確立に成功している企業のひとつといえます。既に販売を修了した商品のなかにも高い知名度を誇るものが多く、更なる発展を目指して日々開発に勤しむ研究企業の顔も有しています。

ライオンの業績推移|売上・営業利益

ライオンの業績推移

最新決算において、売上高・各種利益ともに未達であることが報告されています。ファブリックケア分野の新製品が計画を下回ったのが原因とのこと。ライオンはこれだけの商品群があるのですが、ファブリックケアの一点突破を図り、かつ決算書で大きく指摘するのは、記事後半に指摘する理由があったことがわかります。

セグメント別を読み解くと、2023年売上ベースで祖業でもあるオーラルケアの728億円につぎ、ファブリックケアは609億円です。ファブリックケアはこれから土台を作る新規事業ではなく、同社にとって成長を促進するための第2の柱だったことがわかります。それが不振という結果は、会社全体にとっても影響の強いものといえるでしょう。

ライオンの株価推移|過去5年のチャート

ライオンの株価推移

ライオンの株価をチャートから見ていきましょう。まず2023年の夏から冬にかけて株価が著しく上昇し、一定期間が経過したあと、2023年夏前の従来の株価に戻ったことが読み取れます。

ポイント

  • 2023〜2024年にかけて株価が上昇
  • 2020〜2024年にかけて株価が下落

2023〜2024年にかけて株価が上昇

ライオンの株価推移

チャートを見ると、2023年夏頃に大きく上昇している点が目に入ります。ただ同社の四半期決算を第二四半期(6月)、第三四半期(9月)と確認しても、株価が急伸する理由は見当たりません。同様に2023年の秋から冬にかけて急落していますが、決算上の理由ではないように見受けられます。

考えられるのは海外の事業伸長を受け、機関投資家や海外の株主に大きな売買があったということでしょうか。短期間の株価上下は、個人投資家にとってのリスクの高さにも繋がります。

2020〜2024年にかけて株価が下落

ライオンの株価推移

2020年からのコロナ禍は生活用品メーカーにとって逆風となっています。コロナにより多くの人が外出自粛となりましたが、外出自粛でも歯磨きをはじめ、身体のケアは必要です。化粧品業界などにもいえることですが、気持ちのうえで「身だしなみは最低限でいいや」というネガティブな市場を招いたことが考えられます。

業績で言及したファブリックケアへの大型投資は、コロナ以後の株価低迷から脱するライオンの乾坤一擲の策だったといえるでしょう。

ライオンの株主還元|配当・自社株買い・株主優待

ライオンの株主還元

ライオンの株主還元を分析していきます。配当や自社株買い、株主優待制度はどのようになっているのでしょうか。ライオンは業績に関わらず毎年の配当を増加させる「累進配当」を導入しているのが特徴的です。

ポイント

  • ライオンの一株配当・配当利回り推移
  • ライオンの自社株買い推移
  • ライオンの株主優待について

ライオンの一株配当・配当利回り推移

ライオンの一株配当・配当利回り推移

ライオンは累進配当を基本としています。累進配当は原則として減配せず、配当の維持もしくは増配を行うことです。目安は連結配当性向を30%としています。あらかじめ累進配当を表明しているのは、珍しい方針の上場企業といえるでしょう。それだけ株価維持と顧客層の維持には投資家重視の姿勢が大切と定義していると考えられます。

また、累進配当は潤沢な財務基盤が無ければ継続することはできません。ライオンは長い歴史のなかで、株主重視に舵を切る財務状況を確立したといえます。

ライオンの自社株買い推移

日付購入自社株数
2022年3月9日657万株
2024年3月11日99億9996万円(2024年4月現在)

引用:IRBANK

ライオンの自社株買いは2022年と2024年の2回です。上記表において2022年が株数、2024年が購入金額数なのは、記事執筆時点において自社株買いが実施途中のため、取締役会の決議で表記しているためです。

同社のIRでは、自社株買いは適切なタイミングで実施することと表明されています。小まめに実施するよりも、適切なタイミングにおいて一定の規模感で実施する方針であることがわかります。また、2024年実施は100億円に迫る規模の自社株買いであることも特徴的です。

ライオンの株主優待について

ライオンの株主優待は、自社商品のセットを贈呈します。

ハミガキシステマハグキプラスハミガキ
ウェットシート綺麗綺麗99.99%
除菌ウェットシート
ハンドソープキレイキレイ薬用泡ハンドソープ
衣料用洗剤NANOX one PRO
柔軟仕上げ剤ソフラン エアリス(パティオ)

引用:ライオン IR

選択制ではなく「詰め合わせ」とすることで、最新の商品に触れてもらい、あらたなファン層となることを目的にしていると推測されます。なお2024年2月に株主保有期間(1年以上)と定めたことで、より長期株主を重要視している姿勢を打ち出しています。

ライオンの株価はなぜ下落したか理由を解説

ライオンの株価が下落した理由

ライオンの株価はなぜ下落したのでしょうか。考えられる理由を分析していきます。大きいのは最新決算でも触れられたファブリックケアの不振です。そのほか、幅広い事業に展開しているからこその「集中した方がいいという声」も関係しているでしょう。

ポイント

  • ファブリックケアの不振が影響か
  • 収益の低迷が続く
  • 花王と同じ「集中すべき」という課題か

ファブリックケアの不振が影響か

従来ヒット商品を連発していたライオンは、新作のハミガキ粉などを提供するも、全社業績における影響は限定的といえます。それだけオーラルケアをはじめとした社会ニーズを「牛耳っていた」といえるでしょう。

そこで同社の決算にもあるように、第2の柱としてファブリックケアに多額の投資をしましたが、期待できるような伸びを実測することはできませんでした。ヒットは連発するけれど、ライオンといえば〇〇だよね!という商品が提供できないのもまた、株価下落要因となります。

ライオンはまさに、どの領域のどの商品で突き抜けるか、迫られている状況といえるでしょう。

収益の低迷が続く

ファブリックケアの不振も関係しますが、通期および四半期決算の収益に強さがありません。競合各社に比べ、「良くも無いが悪くもない」という決算が続いています。支持力の高い長期ホールドは長く所有するものの、短期株主にはあまり人気の無い銘柄といえるのではないでしょうか。

ただ、SNSなどを見ると同社の株主総会は落ち着いた雰囲気で(ちょうど業種の似ている小林製薬が大変な状況かというのも含め)、他社と雰囲気の異なるものでもあります。長期ホールドの株主に舵を切るのも企業のスタンスのひとつなので、経営陣の力の入れ方といえるでしょうか。

花王と同じ「集中すべき」という課題か

ライオンの競合は、こちらも高い知名度を誇る花王です。2024年春、花王は外国の投資家からも「モノ言う株主」に揺れています。当該株主の主張は、それなりのヒット商品を並べるよりも、突き抜ける商品を提供して欲しいという点です。これはライオンにも言えると考えられます。

祖業であるオーラルケア、存在感を示す洗剤のほかに、ライオン=この商品といえるものを作っていくべきです。当然それは経営陣もよくわかっているため、ファブリックケアへの投資という経営判断になったのではないでしょうか。

ファブリックケアへの挑戦を継続していくのか、方針転換をするのかはわかりませんが、経営陣の胆力が試されます。

注目ファンド

詳細な投資分析によるバリュー投資を中心に実践しており、短期的な利益追求ではなく安全性を追求しながら中長期的な利益を求めているヘッジファンド。

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ライオンの株価に対する投資家の口コミ

ライオンの株価に対する投資家の口コミ

ライオンの株価に対する口コミを見てみましょう。

ライオンの株主総会に参加しました。場所は両国国技館です。株価、収益が低迷していますが、社長が若く情熱が伝わりました。閉会後もエントランスで社長や会長が挨拶していました。今後に期待して買い増しします試供品という事でしょうか、ウェットと歯磨きセットをいただきました

引用:X

結局ライオンにしました。
長かったけど楽しかったです。良くも悪くも日本企業といったイメージを受けました。愛想良く、丁寧すぎるほどの言葉使いとおもてなしで株価低迷、減益、将来性もあんまないけど許してくださいって言ってるように感じました
土産無しってあったのにめちゃ良いもんもらった。

引用:X

12月決算の会社で唯一行けるライオンの株主総会へ。
場所は国技館。
株価も業績もイマイチなので厳しい。
はじめて質問に立つ。マイクの前は緊張するね。

商品の展開の中で「企業間で決めたことを守っていただけない店舗がある」って言ってたけど、ドラッグストアの店長をしてたときの俺のことだな。

引用:X

ヘムさん、おはようございます
ライオンは私も100株持っていますが、優待は家族にも好評ですやっぱり生活必需品はいくらあっても嬉しいですよね
一方株価は何とも言えない感じですが、のんびり上がってくるのを待とうと思ってます(私の場合は含み損です)

引用:X

なんかインフルが微妙に流行っておるようで家族内は中々逃げ場がないところです

#ライオン
#株主優待
#12月優待
かなり放置しておりましたが、開封。中身は相変わらず有難いもの^_^
再来年からは継続保有義務付のようです。株価は下値から徐々に上がっていくでしょうか

引用:X

殺伐とした?企業の株価に対するSNSが多いなかで、ライオンは長期ホールドを中心に温かい雰囲気を感じます。

ライオンの株価は今後どうなるか将来性を予想

ライオンの株価は今後どうなるか

ライオンの株価は今後どうなるのでしょうか。チャートを見る限りでは、当面低下は続くのではないかと考えられます。一方でSNSを見てみると、株価下落にそこまでいきり立っている意見は見当たらず、株主優待に感謝している声が目立ちます。

ポイント

  • 長期株主の優遇戦略にシフトか
  • ファブリックケア新商品の評判は良い

長期株主の優遇戦略にシフトか

SNSや株主優待の一定の所有年数を定めたところを見るに、ライオンは長期株主の優遇戦略にシフトした印象を受けます。長期株主に支持して貰えば株価が乱高下する可能性も低くなりますし、短期業績に一喜一憂せず、集中して新開発に勤しむことができます。

そのため、同社の商品にリスペクトを感じているならば長期ホールド前提で買うのも推奨できる一方、低迷している株価を短期間で上げたい方のなかには、タイプの合わない投資家も多いのではないでしょうか。

ファブリックケア新商品の評判は良い

今回の決算を見てファブリックケアの新商品であるNANOXシリーズの口コミを見てみましたが、良い口コミが目立ちます。市場の評価は獲得しているといえるでしょう。ライオンの経営陣には胆力を持って、「ファブリックケア=ライオン」という図式の構築に挑んでもらいたいと思います。

生活用品のほかにも、出だしが期待通りにならずも何かがきっかけでヒットし、その後企業にとっての代表商品となった商品は数多くあります。ライオンの今後の粘り強い取り組みに期待です。

ライオンの業績・株価・配当についてまとめ

ライオンの株価についてまとめました。株価の低迷する同社ですが、SNSや新商品のレビューは好意的な声と企業のファンドの支持がとても強いです。短期的なニュースを積み上げるばかりが株式市場の評価構築ではありません。

CMやブランディング戦略もあり、知名度の高い同社です。根強いファンを大切にしながら、生活インフラを提供する企業としての成長を期待します。

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