日本人がオーストラリアで３億円あったら何年暮らせる？

１.はじめに

雄大な自然、多様な文化、そしてフレンドリーな人々で知られるオーストラリア。皆さんは、オーストラリアと聞いて何を思い浮かべるでしょうか。

例えば、シドニー・オペラハウス、グレートバリアリーフ、エアーズロックなどを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

オーストラリアは、南半球に位置する大陸国家で、イギリス連邦加盟国です。公用語は英語で、多様な文化が共存する国です。首都はキャンベラですが、最大の都市はシドニーです。

オーストラリアは鉱業や農業が盛んな国としても知られており、鉄鉱石、石炭、小麦などが主要な輸出品です。また、観光業も主要産業です。

今回は、オーストラリアの都市の中でも、特に日本人が多く居住するシドニーと地方都市ブリスベンに焦点を当て、3億円という資産を元手に、新たな人生を歩むことを検討している方に向けて、生活費や生活の充実度について解説していきます。

オーストラリアは、日本人にとって人気の移住先の一つです。温暖な気候、美しい自然、そして比較的安全な社会環境などが魅力となっています。また、教育水準の高さや社会保障制度の充実も、移住を検討する上で重要な要素となっています。

近年は、オーストラリアへの移住希望者が増加傾向にあります。オーストラリア政府は一定の条件を満たした移民の受け入れに積極的で、様々な移民プログラムを提供しています。

しかし、ビザの取得には一定の条件があり、申請プロセスも複雑です。また、永住権の取得にはさらに厳しい条件が課せられます。

移住を検討する際には、最新の情報を収集し、自身に合った移民プログラムを選択することが重要です。

２.日本人が移住するための条件

オーストラリアに移住を検討する日本人にとって、ビザの取得は必要不可欠な手続きです。ビザの種類により、提出書類や申請手続きが異なるため、事前に詳細を把握することが重要です。

以下では、主なビザの種類とそれぞれの取得条件について説明します。

オーストラリアでの長期滞在には、以下のビザが一般的です。それぞれのビザは、目的に応じて異なる要件が設定されています。

就労ビザ

オーストラリアの就労ビザを取得する場合、コロナ禍意向厳しくなっています。一般的に日本人が取得できるビザの要件として「職業リスト」に含まれる職業であることが求められています。

そのほかにも、年収700万円に近い年収をクリアすることも原則です。詳細の条件を確認してください。

学生ビザ

オーストラリアの語学学校・中学・高校・大学・TAFE・専門学校に対して、3か月以上の就学を希望する場合、申請するビザです。

いずれも政府認定校のコースをフルタイムで受講する必要があります。

ビジネスビザ/投資ビザ

オーストラリアでビジネスを始めたい、または投資を行いたい外国人向けのビザです。一定の資産やビジネス経験、投資額などが求められます。

家族滞在ビザ

オーストラリア国民またはオーストラリアに合法的に滞在している人と結婚している場合、家族滞在ビザが該当します。このビザを取得するには、関係が真実であることを示す証拠を提出する必要があります。

一定期間オーストラリアに滞在し、条件を満たすと、永住権や市民権の取得が可能となります。永住権を取得するには、通常は数年以上の滞在が必要であり、犯罪歴がないことや、英語の能力テスト等に合格することが求められます。永住権を取得すれば、就労や居住の制限なくオーストラリアに滞在し続けることが可能です。

移住のためのビザ申請の制度は頻繁に変更されることがあるため、オーストラリア大使館/領事館の公式サイトを確認するのが重要です。

参考：在日オーストラリア大使館

３.生活費の詳細

この章では、オーストラリアの主要都市シドニーと地方都市ブリスベンにおける生活費を、単身世帯と夫婦世帯に分けて、食費、住居費、交通費、医療費、教育費、その他の項目に沿って比較し、どのようにコストが異なるかを見ていきます。

生活費は、オーストラリアへの移住を考える上で非常に重要な要素です。都市によって、そしてライフスタイルによって大きく変動することを理解しておきましょう。

※2024年11月27日現在 1オーストラリアドル（AUD）＝98.40円

一人暮らしにおいて、1年に必要な生活費の目安を見ていきます。(あくまで参考値であり、変動する可能性があります)

住居費

シドニーでは、都市部の一人暮らし向けアパートは高額になりがちです。中心部のワンルームマンションは週に500AUDを超えることも珍しくありません。特に、人気エリアの物件は競争率も高く、家賃も高騰しています。ブリスベンでは、同様の物件が週に300～400AUD程度で見つかる可能性が高く、より安価で選択肢も多いです。郊外へ行くほど、さらに家賃は下がります。

食費

自炊の頻度や外食の回数によって大きく変動します。シドニーの外食費は比較的高めですが、多様な国のレストランがあり、食を楽しむ機会も多いでしょう。ブリスベンはシドニーに比べると外食費は安価です。自炊を積極的に行うことで、どちらの都市でも食費を抑えることが可能です。

交通費

シドニーは公共交通機関が発達しており、電車、バス、フェリーなどを利用できます。オパールカードを利用すれば費用を抑えられます。ブリスベンも公共交通機関は発達していますが、シドニーに比べると路線は少ないです。車が必要になる場合があり、その場合はガソリン代や維持費、保険料などが追加でかかります。

医療費

オーストラリアでは公的医療保険制度（メディケア）により、医療費の多くはカバーされますが、一部自己負担となる場合があります。民間の医療保険に加入することで、これらの費用をカバーすることも可能です。

その他

光熱費、通信費、娯楽費、日用品などを含みます。都市部であるシドニーの方が、ブリスベンに比べて娯楽の選択肢が多く、支出が増える傾向があります。オペラハウス、美術館、様々なイベントなど、様々なエンターテイメントを楽しめます。ブリスベンでは、自然豊かな公園や川沿いでのアクティビティなど、無料で楽しめるアクティビティも多いです。

二人世帯において、1年に必要な生活費の目安を見ていきます。(あくまで参考値であり、変動する可能性があります)

住居費
夫婦世帯の場合、より広い住居が必要となるため、単身世帯よりも費用が高くなります。シドニーでは、2ベッドルームのアパートは週に700 AUD以上が相場ですが、ブリスベンでは週に400～500AUD以下の物件も見つけることができます。家族構成や希望する住居のタイプによって、費用は大きく変動します。

食費
世帯人数が増えるため、食費も増加します。自炊の割合を増やすことで、食費を節約することが可能です。 食材の価格も都市によって異なり、シドニーの方が若干高めです。

交通費
夫婦それぞれが通勤などで交通機関を利用する場合、費用は増加します。ブリスベンでは車社会の側面が強く、一家に一台以上の車を持つ家庭も多いです。駐車場代やガソリン代、車の維持費なども考慮する必要があります。

医療費

家族の人数が増えると、医療費の負担も増える可能性があります。歯科治療や眼科治療などは保険適用外となる場合が多く、別途費用がかかります。子供がいる場合は、予防接種なども必要になります。

その他

光熱費、通信費、娯楽費、日用品など。家族が増えると、これらの費用も増加する傾向があります。外食の頻度や旅行の回数なども、生活費に影響します。

生活費はライフスタイルによって大きく変動するため、上記の金額はあくまでも目安です。家族構成や個人の消費習慣によって、生活費は大きく変わる可能性があります。

４.インフレ率の影響

オーストラリアでの生活を考える上で、インフレ率の影響は避けて通れません。インフレとは、モノやサービスの価格が継続的に上昇する経済現象であり、私たちの生活に直接的な影響を与えます。

例えば、現在のオーストラリアで100AUDで購入できるものが、インフレ率3％で推移すると、1年後には103AUD、10年後には約134AUDが必要になります。

仮に、3億円をオーストラリアドルに換金して生活費をそこから捻出する場合、インフレによって同じ生活水準を維持するために必要な金額が増加していきます。

オーストラリアのインフレ率は経済状況によって大きく変動するため、一概に予測することは困難です。3億円という資産をどれだけの期間維持できるかは、インフレ率によって大きく左右されます。

IMF（国際通貨基金）のWorld Economic Outlook Database（世界経済見通しデータベース）によると、オーストラリアのインフレ率は直近6年間で以下のように推移しています。

参考：IMF（世界銀行）World Economic Outlook Database（世界経済見通しデータベース）

上記のように、インフレ率は年によって変動しており、2022年には大きく上昇しています。世界的なインフレの影響を受けていることが考えられます。

これらのデータは、オーストラリアにおいてもインフレの影響を考慮する必要があることを示唆しています。したがって、オーストラリアでの生活においてもインフレの影響を考慮し、資産運用によるインフレ対策は必須と言えるでしょう。

５.３億円での生活を充実させるには？

３億円という資金は、オーストラリアで夢の様な生活を送るためのパスポートになり得ます。 しかし、その夢をより長く、より豊かなものにするためには、資金を「使う」ことだけでなく、「増やす」という視点を持つことが重要です。

そこで検討したいのが「投資」です。

主な投資方法には下記の5つがあります。

ヘッジファンド
専門家たちが独自の戦略を用いて世界中の様々な資産に投資を行い、高いリターンを目指します。 ３億円という大きな資金を運用する際には、ヘッジファンドへの投資は有効な選択肢となりえます。

投資信託
ヘッジファンドに比べてリスクを抑えながら、安定した運用を目指すことができる投資方法です。 特に、ASX200などに連動する「インデックスファンド」は、初心者でも始めやすく、長期的な資産形成に適しています。 少額から始められる点も魅力です。

株式投資
企業が発行している株式に投資を行う方法です。 中でも「高配当株投資」は、安定した収益を上げる企業に投資することで、定期的に配当金を受け取ることができ、資産を堅実に増やしていくことが期待できます。

不動産投資
アパートやマンションなどを購入し、家賃収入を得る投資方法です。 レバレッジを効かせられる点が大きな魅力で、少ない自己資金で大きな投資を行うことができます。 家賃収入による安定収入と、物件の値上がり益も期待できます。

プライベートバンク
富裕層向けの資産運用サービスです。 専属の担当者がつき、顧客一人ひとりのニーズに合わせたオーダーメイドの資産運用プランを提供してくれます。 預金、投資、不動産など、複数の資産を一括管理できる点が魅力です。

３億円を元手に、オーストラリアで充実した生活を送るためには、その資金を賢く運用し、長期的な安定を図ることが重要です。 投資は、そのための有効な手段の一つと言えるでしょう。

６.３億円での生活シミュレーション

日本人がオーストラリアで3億円を持って何年生活できるか、いくつかモデルケースをつくってみていきます。

生活コスト：35,000AUDの場合

生活コスト：52,500AUDの場合

生活コスト：87,500AUDの場合

生活コスト：50,000AUDの場合

生活コスト：80,000AUDの場合

生活コスト：130,000AUDの場合

７.まとめ

３億円という大金を持ってオーストラリアに移住する場合、生活を豊かに送れる可能性は高まりますが、同時に注意すべき点もいくつか存在します。

まず、物価や為替レート、インフレ率といった経済的要因を常に意識することが重要です。物価が高い地域では支出が増えるため、資金計画を綿密に立て、支出をコントロールする必要があります。また、為替レートの変動は資産価値に大きな影響を与えるため、円安リスクにも備える必要があります。さらに、インフレ率の上昇は生活費の増加に直結するため、インフレに強い資産運用を行うことも重要です。

これらの経済的要因に加え、想定外の出来事にも備える必要があります。例えば、病気や怪我による高額な医療費、予期せぬ出費、投資の失敗などは、生活設計を大きく狂わせる可能性があります。こうしたリスクを軽減するために、保険への加入や分散投資など、リスク管理を徹底することが重要です。

３億円を有効に活用し、オーストラリアでの生活を成功させるためには、これらの要素を総合的に考慮し、長期的な視点で資金計画を立て、定期的に見直しを行うことが不可欠です。