1. はじめに

1. はじめに

① マレーシアの紹介

東南アジアに位置するマレーシアは、マレー半島とボルネオ島の一部からなる連邦立憲君主制国家です。熱帯雨林気候に属し、年間を通して気温や湿度が高く、過ごしやすい気候です。

多様な文化が魅力の一つで、マレー系、中華系、インド系など様々な民族が共存し、それぞれの文化が融合した独特の雰囲気を持つ国です。宗教はイスラム教が国教とされていますが、仏教やヒンドゥー教、キリスト教なども信仰されています。多民族国家であるため、様々な文化や宗教に触れることができ、国際的な視野を広げることができます。

公用語はマレー語ですが、英語も広く通じるため、日本人にとって比較的暮らしやすい国と言えるでしょう。

首都クアラルンプールは、近代的な高層ビル群と歴史的な建造物が立ち並ぶ、東南アジア有数の世界都市です。ツインタワーやKLタワーなどの観光スポットに加え、ショッピングモールやレストラン、ナイトライフも充実しており、近年は多くの観光客を魅了しています。一方で、ペナン島やランカウイ島などのリゾート地では、美しいビーチや豊かな自然を楽しむことができます。

物価は日本と比べて比較的安く、生活費を抑えながら快適な暮らしを送ることが可能です。特に、食費や住居費が安く、外食中心でも日本より少ない費用で生活できます。ただし、輸入品や日本食は割高になる傾向があります。

② 移住の状況

近年、マレーシアは日本人にとって人気の移住先として注目を集めています。その理由は、物価の安さ、温暖な気候、親日的な国民性、充実した医療制度などが挙げられます。

MM2Hビザ (Malaysia My Second Home Programme) などの長期滞在ビザ制度も充実しており、比較的容易に取得できることから、リタイア後の移住先としても人気があります。

また、クアラルンプールには日本人学校やインターナショナルスクールも充実しており、教育面でも安心して暮らせる環境が整っています。

外務省の「海外在留邦人数調査統計」によると、2023年時点でマレーシアには20,000人余りの日本人が居住しており、国別では世界13位です。特に、首都であるクアラルンプールは、交通網が発達し、日本食レストランや日系スーパーも多いなど、日本人にとって生活しやすい環境が整っていることから、多くの日本人が居住しています。2023年のクアラルンプールの日本人居住者数は10,000人に迫っており、都市別の日本人居住者数ランキングでは世界24位につけています。

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2. 日本人が移住するための条件や費用

2. 日本人が移住するための条件や費用

マレーシアに移住するには、目的に合ったビザの取得が必須です。ビザは、観光、就労、留学など、その滞在目的に応じて種類が細かく定められています。

そのため、ご自身の移住プランに合ったビザを選ぶことが重要です。ここでは、代表的なビザの種類と、それぞれのビザを取得するための条件と費用について解説します。

ビザの種類 概要 条件(一部抜粋) 期間
MM2Hビザ Malaysia My Second Home Visaの略で、マレーシア政府が推奨する長期滞在ビザです。35歳以上の方が申請できますが、年齢により必要条件が異なります。2024年2月現在、新規申請は受付をしていません。 マレーシア国外で月4万リンギット以上の収入及び150マンリンギットの資産証明が必要です。 5年(許可されれば延長可能)
S-MM2Hビザ サラワク州政府が独自に運用しているMM2Hビザです。現在のところ、サラワク州のみならず、クアラルンプールなどがある西マレーシアにも長期滞在が可能ですが、今後の運用変更には注意が必要です。MM2Hビザと比較して、50歳以上の方にとって申請条件が緩やかです。 年齢によって異なるが、申請条件のほか、経済的証明として月収入や定期預金保有の条件があります。 5年(許可されれば延長可能)
学生ビザ+保護者ビザ 学生ビザの許可が下りている学校に通学する場合にビザ申請が可能。子供が学生ビザを取得すると、親のうち1名に限り保護者ビザを申請できます。保護者ビザは就労が認められていないため、収入を得るためには別途就労ビザを取得する必要があります。 一般的に6歳未満の生徒しかいない保育園等は対象外。
学生ビザを取得可能なお子様が何名いても、保護者ビザの発行は1名(片親)のみ。州によっては母親のみに限定される場合があります。
1年(複数年学校は更新可能)
就労ビザ マレーシアの就労ビザは、ワークパスと呼ばれる4つの就労ビザがあります。そのうちの雇用パスは、マレーシアに拠点を置く企業で働く外国人にとって一般的なビザです。

有効期限が18か月以上残っているパスワードや雇用契約書のコピー、学歴証明書のコピーなどが必要です。

1~5年(更新可能)
デジタルノマドビザ フリーランサーやリモートワーカーに向けた長期滞在ビザ。当初はIT系業務やデジタル領域関連業務に携わる方が対象でしたが、2024年6月からIT・デジタル以外の技術者、専門職の方にも対象が拡大されました。 年収が24,000(アメリカ)ドル以上必要です。 最長2年
レジデンスパス 国家重要経済分野に貢献する優秀な外国の人材を誘致することを目的としているパスです。 マレーシアで最低3年以上の就業経験や、給与が月15,000リンギット以上など様々な条件があります。 最長10年
配偶者ビザ マレーシア人の方を伴侶にした場合に取得することができ、マレーシアへの移住が可能です。5年以上マレーシアに滞在すると、永住権の申請資格が得られます。 マレーシア人と婚姻関係にあること。

費用は為替レートや申請手続きの代行などによって変動しますので、申請する際にはお調べください。

上記はあくまで一般的な情報であり、ビザの種類や申請条件、費用は変更される可能性があります。最新の情報は、マレーシア大使館や領事館のウェブサイトなどでご確認ください。

参考:【公式】マレーシア政府観光局 (tourismmalaysia.or.jp)

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3. 生活費の詳細

3. 生活費の詳細

① 1人暮らしの人が中程度の生活を送るのに必要な生活費は?

マレーシアは物価が安く、生活費を抑えやすい国として知られています。一人暮らしの場合、生活費は住む場所や生活レベルによって大きく異なりますが、クアラルンプール郊外のアパートで自炊中心の生活であれば、月々1,500リンギット程度で生活費を抑えることも可能です。

一方、クアラルンプール中心部に住み、外食中心の生活を送る場合は、月々3,000リンギット以上の生活費が必要になります。内訳は以下の通りです。


項目 金額(リンギット)
家賃 1,000 - 2,500
食費 600 - 1,500
光熱費 150 - 300
通信費 100 - 200
交通費 100 - 500
娯楽費 200 - 1,000
その他 200 - 500
合計 2,350 - 5,500

※2024年10月10日現在 1リンギット=34.59円

上記はあくまでも目安であり、実際の生活費は個人のライフスタイルによって大きく異なります。例えば、自炊中心の生活であれば食費を抑えることができますし、公共交通機関を利用すれば交通費を抑えることができます。

また、マレーシアは外食費が比較的安い国なので、外食中心の生活でも日本に比べると生活費を抑えることができます。

3. 生活費の詳細

② 2人世帯の人が中程度の生活を送るのに必要な生活費は?

マレーシアで2人世帯が中程度の生活を送るには、月々約6,400リンギット前後の生活費が必要です。内訳は以下の通りです。


項目 金額(リンギット)
住居費 1,500~2,000
光熱費 100~200
食費 2,000~3,000
交通費 200~300
娯楽費 1,000~2,000
通信費 100~200
合計 5,900~7,700

上記の内訳からもわかるように、住居費、食費、娯楽費が生活費の大部分を占めています。

住居費は、クアラルンプールの中心地にあるMRT駅直結のコンドミニアムに住む場合、1,900リンギットほどかかります。食費は、自炊中心であれば2,000リンギット以下に抑えることも可能ですが、外食が多い場合は2,500リンギット程度は見ておいた方が良いでしょう。娯楽費は、旅行やマッサージなどを楽しむ場合は1,500リンギット程度必要です。

このように、マレーシアでの生活費は日本と比較して割安ですが、生活水準やライフスタイルによって大きく変動します。

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4. インフレ率の影響

4. インフレ率の影響

マレーシアでの生活を考える上で、避けては通れないのがインフレ率の影響です。インフレとは、モノやサービスの価格が継続的に上昇する経済現象を指し、私たちの生活に大きな影響を与えます。

マレーシアのインフレ率は直近5年間で下記のように推移しています。

インフレ率
2018年 1.0%
2019年 0.7%
2020年 -1.1%
2021年 2.5%
2022年 3.4%
2023年 2.5%

上記のように、インフレ率は経済状況によって大きく変動し、一概に予測することは困難です。 

仮に、インフレ率が3%で推移すると仮定した場合、現在のマレーシアで100リンギットで購入できるものが、1年後には103リンギット、10年後には約134リンギット必要になります。

年数 インフレ率
3%の場合
1年後 103リンギット
5年後 116リンギット
10年後 134リンギット

3億円をマレーシアリンギットに換金して生活費をそこから捻出していく場合、インフレによって同じ生活水準を維持するために必要な金額が増加していくことになります。

3億円という資産をどれだけの期間、維持できるかは、インフレ率によって大きく左右されるため、資産運用によるインフレ対策は必須と言えるでしょう。

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5.1億円での生活を充実させるには?

5.1億円での生活を充実させるには?

1億円という資金は、マレーシアで夢のような生活を送るためのパスポートになり得ます。 しかし、その夢をより長く、より豊かなものにするためには、資金を「使う」ことだけでなく、「増やす」という視点を持つことが重要です。

そこで検討したいのが「投資」です。主な投資方法には下記の5つがあります。

主な投資方法
  • ヘッジファンド
  • 投資信託
  • 株式投資
  • 不動産投資
  • プライベートバンク

ヘッジファンド
専門家たちが独自の戦略を用いて世界中の様々な資産に投資を行い、高いリターンを目指します。 3億円という大きな資金を運用する際には、ヘッジファンドへの投資は有効な選択肢となりえます。 参考にした記事によると、1,000万円からの投資が一般的ですが、その分期待できる利回りも高く設定されています。 もちろん、リスクを理解した上で投資を行う必要がありますが、プロの力を借りながら積極的に資産を増やすという選択肢も検討してみましょう。

投資信託
ヘッジファンドに比べてリスクを抑えながら、安定した運用を目指すことができる投資方法です。 特に、日経平均株価などに連動する「インデックスファンド」は、初心者でも始めやすく、長期的な資産形成に適しています。 少額から始められる点も魅力です。

株式投資
企業が発行している株式に投資を行う方法です。 中でも「高配当株投資」は、安定した収益を上げる企業に投資することで、定期的に配当金を受け取ることができ、資産を堅実に増やしていくことが期待できます。

不動産投資
アパートやマンションなどを購入し、家賃収入を得る投資方法です。 レバレッジを効かせられる点が大きな魅力で、少ない自己資金で大きな投資を行うことができます。 家賃収入による安定収入と、物件の値上がり益も期待できます。

プライベートバンク
富裕層向けの資産運用サービスです。 専属の担当者がつき、顧客一人ひとりのニーズに合わせたオーダーメイドの資産運用プランを提供してくれます。 預金、投資、不動産など、複数の資産を一括管理できる点が魅力です。

3億円を元手に、アメリカで充実した生活を送るためには、その資金を賢く運用し、長期的な安定を図ることが重要です。 投資は、そのための有効な手段の一つと言えるでしょう。

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6. 1億円での生活シミュレーション

6. 1億円での生活シミュレーション

日本人がマレーシアで1億円を持って何年生活できるか、いくつかモデルケースをつくってみていきます。

① 単身世帯の場合

  • 生活コスト:年30,000リンギット/年66,000リンギット/年96,000リンギット の3パターン
  • インフレ率:年1.5%/年3.0%/年4.5% の3パターン
  • 運用益:年5%/年2% の2パターン
  • 為替:1リンギット=30円/1リンギット=35円/1リンギット=40円 の3パターン

生活コスト:年30,000リンギットの場合

生活コスト
(現地通貨)
インフレ率 運用益 為替 年数
30,000 1.5% 5% 30 増加
35 増加
40 増加
2% 30 増加
35 増加
40 増加
3.0% 5% 30 増加
35 増加
40 増加
2% 30 75
35 67
40 61
4.5% 5% 30 増加
35 増加
40 増加
2% 30 54
35 49
40 45

生活コスト:年66,000リンギットの場合

生活コスト
(現地通貨)
インフレ率 運用益 為替 年数
66,000 1.5% 5% 30 増加
35 増加
40 増加
2% 30 57
35 48
40 41
3.0% 5% 30 増加
35 90
40 66
2% 30 41
35 36
40 32
4.5% 5% 30 57
35 48
40 41
2% 30 33
35 29
40 27

生活コスト:年96,000リンギットの場合

生活コスト
(現地通貨)
インフレ率 運用益 為替 年数
96,000 1.5% 5% 30 増加
35 増加
40 59
2% 30 37
35 32
40 27
3.0% 5% 30 56
35 43
40 35
2% 30 30
35 26
40 23
4.5% 5% 30 37
35 32
40 27
2% 30 25
35 22
40 20

6. 1億円での生活シミュレーション

② 2人世帯の場合

  • 生活コスト:年72,000リンギット/年90,000リンギット/年160,000リンギット の3パターン
  • インフレ率:年1.5%/年3.0%/年4.5% の3パターン
  • 運用益:年5%/年2% の2パターン
  • 為替:1リンギット=30円/1リンギット=35円/1リンギット=40円 の3パターン

生活コスト:年72,000リンギットの場合

生活コスト
(現地通貨)
インフレ率 運用益 為替 年数
72,000 1.5% 5% 30 増加
35 増加
40 増加
2% 30 52
35 44
40 37
3.0% 5% 30 増加
35 73
40 56
2% 30 38
35 33
40 30
4.5% 5% 30 52
35 43
40 37
2% 30 31
35 28
40 25

生活コスト:年90,000リンギットの場合

生活コスト
(現地通貨)
インフレ率 運用益 為替 年数
90,000 1.5% 5% 30 増加
35 増加
40 76
2% 30 40
35 34
40 29
3.0% 5% 30 63
35 48
40 39
2% 30 31
35 27
40 24
4.5% 5% 30 40
35 34
40 29
2% 30 26
35 23
40 21

生活コスト:年160,000リンギットの場合

生活コスト
(現地通貨)
インフレ率 運用益 為替 年数
160,000 1.5% 5% 30 34
35 26
40 21
2% 30 21
35 18
40 16
3.0% 5% 30 26
35 21
40 18
2% 30 19
35 16
40 14
4.5% 5% 30 21
35 18
40 16
2% 30 17
35 14
40 13

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7. まとめ

7. まとめ

1億円という資金があれば、マレーシアで豊かな時間を過ごすことができるでしょう。 物価が安く、生活費を抑えやすいマレーシアでは、日本よりもゆとりある生活を送ることが期待できます。 さらに、経済成長著しい東南アジアの国々への投資など、資産を増やすチャンスも広がっています。

ただし、計画的な資金運用は欠かせません。 想定外の支出やインフレによる資産価値の目減りなども考慮し、長期的な視点に立ったライフプランを立てることが重要です。 為替レートの変動にも注意し、円安リスクに備えた対策も検討しておきましょう。

1億円という資金を活かし、賢く運用していくことで、マレーシアでの生活をより充実させ、夢を叶える期間を長くすることができるでしょう。

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