1.はじめに

1. はじめに

① シンガポールの紹介

近代的な都市国家、多様な食文化、そして安全で快適な生活で知られるシンガポール。

皆さんは、シンガポールと聞いて何を思い浮かべるでしょうか。マーライオン、マリーナベイ・サンズ、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ、チキンライス、チリクラブ…魅力的なイメージが次々と浮かんでくることでしょう。

シンガポールは、東南アジアに位置する島国で、赤道直下にありながら、一年を通して温暖な気候です。国土面積は東京23区とほぼ同じですが、約570万人が暮らす活気あふれる国です。公用語は英語、マレー語、中国語、タミル語の4つで、多様な民族が共存する多文化国家です。この多様性は食文化にも反映されており、世界中の料理を楽しむことができます。

シンガポールは、かつてイギリスの植民地でしたが、1965年に独立。その後、目覚ましい経済発展を遂げ、金融、貿易、観光の中心地として、世界中から人々が集まる国際都市へと成長しました。近年はIT産業やバイオテクノロジー産業も成長を続けており、アジアのビジネスハブとしての地位を確固たるものにしています。

今回は、そんな魅力的なシンガポールで、3億円という資産を元手に、新たな人生を歩むことを検討している方に向けて、生活費や生活の充実度について詳しく解説していきます。

② シンガポールへの移住の状況

シンガポールは、日本人にとって人気の移住先の一つです。英語が通じること、治安の良さ、清潔な環境、そしてビジネスチャンスの豊富さなどが魅力となっています。また、教育水準の高さや医療制度の充実も、移住を検討する上で重要な要素となっています。

シンガポールにはインターナショナルスクールが多く、質の高い教育を受けることができます。医療制度も充実しており、世界保健機関(WHO)のランキングでは常に上位に位置しています。

近年は、シンガポールへの移住希望者が増加傾向にあります。シンガポール政府は高度人材の受け入れに積極的で、様々な就労ビザや永住権プログラムを提供しています。特に、IT技術者や金融専門家など、専門スキルを持った人材は優遇されています。

しかし、ビザの取得には一定の条件があり、申請プロセスも複雑です。また、永住権の取得にはさらに厳しい条件が課せられます。そのため、移住を検討する際には、最新の情報を収集し、自身に合ったプログラムを選択することが重要です。専門のコンサルタントに相談することも有効な手段です。

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2.日本人が移住するための条件

2.日本人が移住するための条件

シンガポールに移住を検討する日本人にとって、ビザの取得は必要不可欠な手続きです。ビザの種類により、提出書類や申請手続きが異なるため、事前に詳細を把握することが重要です。

以下では、主なビザの種類とそれぞれの取得条件について説明します。

主なビザの種類と取得条件

シンガポールでの長期滞在には、以下のビザが一般的です。それぞれのビザは、目的に応じて異なる要件が設定されています。

主なビザの種類
  • 就労ビザ (Employment Pass, S Pass)
  • EntrePass(起業家向けビザ)
  • Personalized Employment Pass(個人就労ビザ)
  • Dependant’s Pass(家族帯同ビザ)

就労ビザ (Employment Pass, S Pass)

就労ビザには大きく分けて2種類、エンプロイメントパス(EP)とSパス(S Pass)があります。Sパスは、エンプロイメントパス(EP)取得の条件を満たさない人のために導入されたビザです。それぞれ取得条件が違いますので確認が必要です。

EntrePass(起業家向けビザ)

主にテクノプレナーや研究開発を行っている企業向けのビザです。優秀な技術者、イノベーター、研究開発のフロントランナーがシンガポールでの企業設立を行ったり、同国へ移転するという選択肢を提供するために用意されています。

Personalized Employment Pass(個人就労ビザ)

シンガポールのトップクラスのプロフェッショナルを対象とした特別カテゴリの就労ビザです。高い給与条件を満たす必要があり、シンガポールでの就労の自由度が高いのが特徴です。

Dependant’s Pass(家族帯同ビザ)

就労ビザや永住権を持つ人の配偶者や子供などが、シンガポールに滞在するためのビザです。就労ビザで働く者の月給が基準額を満たしている必要があります。

永住権(PR)と市民権の取得

一定期間シンガポールに滞在し、条件を満たすと、永住権や市民権の取得が可能となります。永住権を取得するには、通常は数年以上の滞在が必要であり、経済的貢献や家族構成などが考慮されます。永住権を取得すれば、就労や居住の制限なくシンガポールに滞在し続けることが可能です。

移住のためのビザ申請の精度は頻繁に変更されることがあるため、シンガポール移民局(ICA)の公式サイトを確認するのが重要です。

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3.生活費の詳細

3. 生活費の詳細

この章では、シンガポールにおける生活費を、単身世帯と夫婦世帯に分けて、コンドミニアム暮らしとHDB暮らしで比較し、どのようにコストが異なるかを見ていきます。生活費は、シンガポールへの移住を考える上で非常に重要な要素です。住居形態やライフスタイルによって大きく変動することを理解しておきましょう。

※2024年12月11日現在 1シンガポールドル(SGD)=113.35円

①1人暮らしの人が中程度の生活を送るのに必要な生活費は?

一人暮らしにおいて、1年間に必要な生活費の目安を見ていきます。(数値はあくまで目安です。生活水準や地域によって大きく変動します。)

項目 コンドミニアム暮らし HDB暮らし
住居費 36,000~60,000 SGD 18,000~30,000 SGD
食費 6,000~12,000 SGD 4,800~9,600 SGD
交通費 1,200~2,400 SGD 960~1,800 SGD
医療費 1,200~3,600 SGD 960~3,000 SGD
その他 6,000~12,000 SGD 4,800~9,600 SGD
合計 50,400~90,000 SGD 29,520~54,000 SGD

住居費

コンドミニアムは、プール、ジム、テニスコートなどの施設が充実している物件が多く、都心部や駅近の物件は特に高額になります。一方、HDBは公共住宅のため、家賃が抑えられています。部屋の広さや築年数によっても価格が変動します。

食費

シンガポールでは、ホーカーセンターと呼ばれる屋台村で安価に食事ができます。自炊する場合は、ローカルのスーパーマーケットを利用することで食費を抑えることができます。外食が多い場合は、1,000 SGDを超えることもあります。

交通費

シンガポールは公共交通機関が発達しており、MRT(地下鉄)やバスを利用することで、交通費を安く抑えることができます。タクシーや配車サービスを利用する頻度が高い場合は、交通費が増加します。

医療費

シンガポールは医療費が高いことで知られています。公立病院と私立病院があり、私立病院はさらに高額です。健康保険に加入することで、医療費の負担を軽減することができます。

その他

光熱費、通信費、日用品、交際費など。ライフスタイルによって大きく変動します。

3. 生活費の詳細

②2人世帯

二人世帯において、1年間に必要な生活費の目安を見ていきます。(数値はあくまで目安です。生活水準や地域によって大きく変動します。)

項目 コンドミニアム暮らし HDB暮らし
住居費 48,000~84,000 SGD 24,000~42,000 SGD
食費 9,600~18,000 SGD 7,200~14,400 SGD
交通費 1,800~3,600 SGD 1,440~3,000 SGD
医療費 2,400~6,000 SGD 1,920~4,800 SGD
その他 9,600~18,000 SGD 7,200~14,400 SGD
合計 71,400~129,600 SGD 41,760~78,600 SGD

住居費

家族構成に合わせて、より広い住居が必要になります。コンドミニアムは、ファミリー向けの大型物件も多く、HDBでも複数 bedrooms の物件を選ぶことができます。

食費

世帯人数が増えるため、食費も増加します。自炊の割合を増やすことで食費を節約できます。

交通費

夫婦それぞれが通勤などで交通機関を利用する場合、費用は増加します。

医療費

家族の人数が増えると、医療費の負担も増える可能性があります。

その他

光熱費、通信費、日用品、教育費、交際費など。家族構成やライフスタイルによって大きく変動します。

コンドミニアムは民間マンション、HDBは政府系住宅です。HDBはシンガポール国民向けに提供されている住宅ですが、永住権取得者も購入可能です。外国人でも賃貸は可能です。コンドミニアムは外国人でも購入できますが、HDBに比べて高額です。

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4.インフレ率の影響

4. インフレ率の影響

シンガポールでの生活を考える上で、インフレ率の影響は無視できません。インフレとは、モノやサービスの価格が継続的に上昇する経済現象で、生活に直接的な影響を与えます。

例えば、現在100シンガポールドルで購入できるものが、インフレ率3%で推移すると、将来はより多くの金額が必要になります。

年数 インフレ率
3%の場合
1年後 103シンガポールドル
5年後 116シンガポールドル
10年後 134シンガポールドル

3億円をシンガポールドルに換金して生活費を賄う場合、インフレによって同じ生活水準を維持するために必要な金額は年々増加します。

シンガポールのインフレ率は経済状況によって変動するため、正確な予測は困難です。3億円という資産でどれだけの期間生活できるかは、インフレ率に大きく左右されます。

シンガポールのインフレ率は、過去6年間で以下のように推移しています。

インフレ率
2018年 0.4%
2019年 0.6%
2020年 -0.2%
2021年 2.3%
2022年 6.1%
2023年 4.8%

上記のように、インフレ率は年によって変動しており、2022年には大きく上昇しています。世界的なインフレの影響を受けていると考えられます。これらのデータは、シンガポールにおいてもインフレの影響を考慮する必要があることを示しています。

したがって、シンガポールでの生活においてもインフレの影響を考慮し、資産運用によるインフレ対策は重要です。

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5.1億円での生活を充実させるには?

5.3億円での生活を充実させるには?

3億円という資金は、シンガポールで夢の様な生活を送るためのパスポートになり得ます。 しかし、その夢をより長く、より豊かなものにするためには、資金を「使う」ことだけでなく、「増やす」という視点を持つことが重要です。

そこで検討したいのが「投資」です。

主な投資方法には下記の5つがあります。

主な投資方法
  • ヘッジファンド
  • 投資信託
  • 株式投資
  • 不動産投資
  • プライベートバンク

ヘッジファンド

専門家たちが独自の戦略を用いて世界中の様々な資産に投資を行い、高いリターンを目指します。 1億円という大きな資金を運用する際には、ヘッジファンドへの投資は有効な選択肢となりえます。

投資信託

ヘッジファンドに比べてリスクを抑えながら、安定した運用を目指すことができる投資方法です。 特に、CAC40などに連動する「インデックスファンド」は、初心者でも始めやすく、長期的な資産形成に適しています。 少額から始められる点も魅力です。

株式投資

企業が発行している株式に投資を行う方法です。 中でも「高配当株投資」は、安定した収益を上げる企業に投資することで、定期的に配当金を受け取ることができ、資産を堅実に増やしていくことが期待できます。

不動産投資

アパートやマンションなどを購入し、家賃収入を得る投資方法です。 レバレッジを効かせられる点が大きな魅力で、少ない自己資金で大きな投資を行うことができます。 家賃収入による安定収入と、物件の値上がり益も期待できます。

プライベートバンク

富裕層向けの資産運用サービスです。 専属の担当者がつき、顧客一人ひとりのニーズに合わせたオーダーメイドの資産運用プランを提供してくれます。 預金、投資、不動産など、複数の資産を一括管理できる点が魅力です。

3億円を元手に、シンガポールで充実した生活を送るためには、その資金を賢く運用し、長期的な安定を図ることが重要です。 投資は、そのための有効な手段の一つと言えるでしょう。

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6.3億円での生活シミュレーション

6.3億円での生活シミュレーション

日本人がシンガポールで3億円を持って何年生活できるか、いくつかモデルケースをつくってみていきます。

① 単身世帯の場合

  • 生活コスト:年40,000 SGD/年70,000 SGD/年110,000 SGD の3パターン
  • インフレ率:年2.0%/年4.0%/年6.0% の3パターン
  • 運用益:年5%/年2% の2パターン
  • 為替:1 SGD=110円/1 SGD=130円/1 SGD=150円 の3パターン

生活コスト:40,000SGDの場合

生活コスト
(現地通貨)
インフレ率 運用益 為替 年数
40,000 2.0% 5% 110 増加
130 増加
150 増加
2% 110 68
130 57
150 50
4.0% 5% 110 増加
130 83
150 67
2% 110 43
130 38
150 35
6.0% 5% 110 52
130 46
150 41
2% 110 33
130 30
150 28

生活コスト:70,000SGDの場合

生活コスト
(現地通貨)
インフレ率 運用益 為替 年数
70,000 2.0% 5% 110 増加
130 98
150 58
2% 110 38
130 32
150 28
4.0% 5% 110 48
130 39
150 33
2% 110 29
130 25
150 22
6.0% 5% 110 33
130 28
150 25
2% 110 24
130 21
150 19

生活コスト:110,000SGDの場合

生活コスト
(現地通貨)
インフレ率 運用益 為替 年数
110,000 2.0% 5% 110 42
130 31
150 25
2% 110 24
130 20
150 18
4.0% 5% 110 28
130 23
150 19
2% 110 20
130 17
150 15
6.0% 5% 110 22
130 19
150 16
2% 110 17
130 15
150 13

6.3億円での生活シミュレーション

② 2人世帯の場合

  • 生活コスト:年60,000 SGD/年100,000 SGD/年160,000 SGD の3パターン
  • インフレ率:年2.0%/年4.0%/年6.0% の3パターン
  • 運用益:年5%/年2% の2パターン
  • 為替:1 SGD=110円/1 SGD=130円/1 SGD=150円 の3パターン

生活コスト:60,000SGDの場合

生活コスト
(現地通貨)
インフレ率 運用益 為替 年数
60,000 2.0% 5% 110 増加
130 増加
150 増加
2% 110 45
130 38
150 33
4.0% 5% 110 59
130 47
150 39
2% 110 32
130 28
150 25
6.0% 5% 110 37
130 32
150 29
2% 110 26
130 23
150 21

生活コスト:100,000SGDの場合

生活コスト
(現地通貨)
インフレ率 運用益 為替 年数
100,000 2.0% 5% 110 52
130 37
150 29
2% 110 27
130 23
150 20
4.0% 5% 110 31
130 25
150 22
2% 110 22
130 19
150 17
6.0% 5% 110 24
130 20
150 18
2% 110 18
130 16
150 15

生活コスト:160,000SGDの場合

生活コスト
(現地通貨)
インフレ率 運用益 為替 年数
160,000 2.0% 5% 110 23
130 18
150 15
2% 110 17
130 14
150 12
4.0% 5% 110 18
130 15
150 13
2% 110 14
130 12
150 11
6.0% 5% 110 15
130 13
150 11
2% 110 13
130 11
150 10

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7.まとめ

7. まとめ

3億円という大金を持ってシンガポールに移住する場合、生活レベルを高められる可能性はありますが、物価、為替レート、インフレ率などの経済的要因を常に意識することが重要です。

また、想定外の出来事にも備え、保険への加入や分散投資などリスク管理を徹底し、長期的な視点で資金計画を立て、定期的に見直しを行うことが不可欠です。

シンガポールでの豊かな生活を夢見るなら、事前の綿密な計画と情報収集が成功の鍵となります。

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