退職金の使い道における課題

退職金の使い道における課題

退職金の運用の前提として、退職金の使い道における課題を2点紹介します。それぞれの課題の詳細について、詳しく紹介します。

課題
  • 老後資金に対する不安
  • 貯蓄だけでは資産を増やすことが困難

老後資金に対する不安

老後の生活を送るための収入の大部分は年金です。しかし、年金だけで生活することは大変難しい状況といえます。

厚生労働省年金局の調査(出典:「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」)によると、令和4年度の国民年金・厚生年金の受給額の全国平均は以下のとおりです。

  • 国民年金:56,428円/月
  • 厚生年金:144,982円/月

上記の調査結果を見ても、年金だけで生活を送ることは、かなり難しいと分かります。

また、少子高齢化の影響により、年金保険料を納める人が減り、年金を受給する人が増えていくことが予想されることから、今後はますます受給できる年金額は減っていくリスクがあります。

先ほども紹介した厚生労働省年金局の調査によると、令和4年度の年齢別年金受給額(国民年金・厚生年金)は、下表のとおりです。

年齢国民年金厚生年金(第1号)
65歳58,070円143,504円
70歳57,320円141,350円
75歳56,659円144,523円
80歳55,413円151,109円
85歳56,609円159,289円

国民年金では顕著ではありませんが、厚生年金は65歳と85歳を比べてみると、85歳の方が毎月約15,000円以上受給額が高いと分かります。

この調査結果からも、若い世代が高齢者になったときに、受給できる年金額が減少するリスクがあることが分かります。

貯蓄だけでは資産を増やすことが困難

退職金の運用方法として、金融機関に預金するという方法があります。預金方法としては、代表的なものとして「普通預金」「定期預金」があります。

普通預金とは、自由に預け入れ、払い戻しができる預金口座です。定期預金とは、1年・3年後など、預け入れ期間をあらかじめ決めて満期日まで原則、引出しができませんが、金利が高いメリットがあります。

日本銀行は、依然として低金利政策を継続させているため、普通預金・定期預金ともかなりの低金利となっています。メガバンク(三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行・りそな銀行)の普通預金の金利は、現時点ではいずれも年0.0200%となっています。つまり、1,000万円を1年間預金した場合に、利子は2,000円だけという状況です。

また、メガバンクの定期預金(1年もの)の金利は、全銀行とも年0.025%となっています。こうしたことから、銀行預金をはじめとする貯蓄では資産を増やすことは、かなり厳しい状況です。

BMキャピタルを活用した退職金の運用方法

退職金の運用は、将来への大切な財産形成に直結します。その運用先として今回注目するのは、BMキャピタルです。BMキャピタルは、長期的な視点で資産運用を行う企業です。

では、退職金100...

効果的な投資方法の紹介

効果的な投資方法の紹介

退職金を効率的に運用するにあたって、貯蓄という選択肢はあまり効果的ではないことが分かったのではないでしょうか。そのため、退職金を運用する方法として、投資をおすすめします。

投資の方法には、「投資信託」「株式」「債券」などさまざまな方法があります。その中で、初心者でもおすすめの投資方法は、以下の2点です。

投資信託・ヘッジファンドについて、具体的に説明します。

投資方法
  • 投資信託
  • ヘッジファンド

投資信託

投資信託とは、多くの顧客(=投資家)から集めたお金をまとめ、それを資金として、運用の専門家が投資・運用を行い、得た成果を投資家に分配する金融商品のことです。

運用の専門家は、顧客から集めた資金を国内外問わず、債券や株式、不動産などに分散して運用を行ないます。

投資家は、運用を委託する専門家と、投資する額を選択するだけであり、実際の運用は専門家に任せるため、高度な投資の知識は必要とされず、初心者でも資産運用が可能な商品です。

また、運用自体を投資の専門家に任せるため、素人が運用するよりも高いリターンが期待できます。なお、集めた資金をどこにどう投資するかは投資家が購入する投資信託の商品ごとに異なりますので、投資リスクを減らすためには商品選びを慎重に行う必要があります。

ヘッジファンド

ヘッジファンドのヘッジとは、直訳すると「避ける」という意味です。「ファンド」とは投資信託という意味です。

つまりヘッジファンドとは、運用の専門家がさまざまな取引手法を駆使して市場が上がっても下がっても利益を追求する(=相場が下がったときの資産の目減りを避ける)ことを目的とした「投資信託」です。

ヘッジファンドは、私募投信(しぼとうしん)とも呼ばれ、一部の限られた投資家(機関投資家や富裕層など)が出資して運用されることがほとんどです。そのため、一般の方は出資できないものが多いです。

投資信託とヘッジファンドの違い

投資信託とヘッジファンドは似たような金融商品ですが、大きく以下の3点の違いがあります。

  • 最低投資額
  • 投資対象範囲
  • 投資できる人

投資信託は、商品によっては数百円や数千円からでも購入可能であるため、投資するハードルが比較的低いです。一方、ヘッジファンドは一般的に数百万円から数千万円程度より購入可能とされており、最低投資額が大きく違います。

投資対象範囲は、投資信託は主な対象が株式や債券です。ヘッジファンドは株式や債券に加えてさまざまな資産に幅広く投資します。また先物取引や信用取引など、多彩な取引手法も用います。

投資ができる人は、投資信託の場合は不特定多数の投資家に対して勧誘する「公募」であるのに対し、ヘッジファンドは主に一部の限られた少数の投資家に向けた「私募」という点も違っています

このように、投資信託・ヘッジファンドでは違いも見られますが、基本的には投資家が運用の専門家に資金を託し、運用の専門家が運用し得た収益を投資家に還元するといった仕組みは同じです。そのため、いずれも投資にあたってのリスクは低く、退職金を安心して投資に回すことができるといえます。

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投資初心者向けの商品選びのポイント

投資初心者向けの商品選びのポイント

投資の対象としては、「株式」「債券」「リート」などさまざまなものがあります。投資対象を選択するにあたっては、以下の3点を考慮するとよいでしょう。

それぞれのポイントについて、詳しくみていきましょう。

ポイント
  • リスク許容度
  • 運用スタイル
  • 手数料体系

リスク許容度

リスク許容度とは、文字通りリスクをどこまで許容するかの度合いのことです。具体的には、投資により収益がマイナスとなってしまったときに、どれくらいまでならマイナスになっても受け入れることができるか、という度合いを指します。

リスク許容度が高いということは、高い収益を上げることが可能である一方、収益がマイナス(=損失)になる可能性も高いという意味になります。

リスク許容度を考えるためのポイントとしては、「年齢」「家族構成」「資産」「年収」「性格・経験」などがあります。

それぞれのポイントを整理すると、下表のようになります。

ポイントリスク許容度
年齢資金が必要な時期まで長く運用できる人の方が、損失がでたとしても、資金が必要な時期までに損失をカバーする時間があるので、リスク許容度は大きい傾向
家族構成家族が少ない人の場合は、家族が多い人に比べて支出が一般的に少ないため、投資に回せるお金が多くリスク許容度は大きい傾向
資産資産額が多いほど投資に回せるお金も多くなるため、リスク許容度は大きい傾向
年収年収が多いと、投資に回せるお金が多いため、リスク許容度は大きい傾向
性格・経験他のポイントでリスク許容度が大きくても、資産が目減りすることに抵抗感がある人などは、リスク許容度は小さい傾向

リスク許容度別に、投資の種類を比較すると以下のようになります(上位に記載されている投資の種類ほど、リスク許容度が高い)。

  • 海外リート
  • 国内リート
  • 外国株式
  • 国内株式
  • 新興国債券
  • 外国債券
  • 国内債券

運用スタイル

運用スタイルとは、投資の戦略や手法に基づき類型化された資産運用の形態を指します。代表的な例としては、以下の手法があります。

  • パッシブ型
  • アクティブ型

「パッシブ型」とは、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などを運用指標(ベンチマーク)とし、これらに連動する運用成果を目指す手法のことです。簡単にいうと”相場に合わせた”運用方法です。パッシブ型は、アクティブ型と比べて手数料が低めなのも特徴です。

一方の「アクティブ型」とは、ベンチマークを上回る運用成果を目標とした手法です。アクティブ型では、成長性の見込まれる銘柄等に厳選して投資するため、より高い技術と手間が必要になります。そのため、パッシブ型と比べると手数料は高めになります。

手数料体系

手数料体系は、証券会社・1日の約定金額・取引方法などによって決まります。一般的にネット証券の方が手数料は低く設定されています。

また、1日の約定金額が高いほど手数料は高くなり、取引方法はネット取引の方が手数料が低い傾向です。

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専門家への相談のススメ

専門家への相談のススメ

投資初心者にとっては、どの種類の投資にどれくらいの金額を投資すればよいか、なかなか分からないものです。

そのため、実際に投資をするにあたっては、事前に専門家に相談することをおすすめします。専門家とは、具体的には投資のプロである証券会社や銀行を指します。

証券会社や銀行などでは、個々人に適した投資方法・投資金額などについて、アドバイスが受けられますので、積極的に活用するとよいでしょう。

具体的には、まずは証券会社や銀行などに投資に関する資料の請求を行います。資料に目を通した後で証券会社や銀行などで開催されている無料の投資相談に申込み、自分のライフプランにあった投資方法のアドバイスを受けることをおすすめします。

なお、証券会社や銀行などの金融機関によって、無料の投資相談の有無や利用方法などが異なるため、投資相談のアドバイスを受けたい金融機関の公式サイトなどで、詳細は確認ください。

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まとめ

まとめ

今回は、退職金の使い道における課題・効果的な投資方法・投資初心者向けの商品選びのポイントなどについて詳しく解説してきました。

退職金をそのまま銀行で預金したままの状態では、現在の低金利では資産を増やすことがほとんどできません。

定年後の老後にゆとりある生活をおくるためには、公的年金の支給額だけでは収入が不足します。そのため、退職金を投資によって運用しその収益を生活費に補填することで、豊かなセカンドライフの実現も夢ではありません。

なお、投資はあくまで自己責任ですので、投資のメリット・デメリットを考慮し、投資方法や投資金額などは自身で決める必要があります。

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