①ヘッジファンドとは

ヘッジファンドとは

ヘッジファンドは、1949年に米国で誕生しました。

元コロンビア大学で博士号を取得し社会学者であったアルフレッド・W・ジョーンズ氏が、「ロングポジション(買い)」と「ショートポジション(売り)」の両方を持つことで、相場が上がっても下がっても損をしない「絶対リターン」を目指す投資手法がヘッジファンドの始まりです。

そもそもヘッジ(hedge)というのは「リスクを回避する」という意味であり、今や世界の富裕層専門の資産運用サービスで、欧米の富裕層に好んで選ばれています。

ヘッジファンドと投資信託の違い

ヘッジファンドと投資信託の違い

ヘッジファンドは世界経済や株式市況がどのような局面でも「絶対的リターン」を追求し、主にインデックスをベンチマークに運用を行う投資信託とは異なります。

株式で運用を行う投資信託であれば株式市場が右肩上がりであるときには資産が増えますが、暴落時には投資信託の基準価格は下がってしまう傾向にあります。

日本には5888種類(2023年1月18日時点)の投資信託が存在しています。その多数の商品の中から投資家は商品を選ぶ必要があります。

投資信託に運用を任せるとトレーダーがポートフォリオを組み替えて資産を増やしてくれると勘違いしている人も多いですが、実際のところはそうではありません。

投資信託は、インデックスやテーマに沿ってポートフォリオを組むため、ファンドマネージャーが自由に投資先を選別しているわけではありません。

代表例としては

  • TOPIXに連動する商品
  • S&P500に連動する商品
  • 全世界株に連動する商品
  • 新興国(インド、中国など)に投資する商品
  • 成長企業に投資する商品
  • 各産業(自動車、IT、AI、医療など)に投資する商品


などがあげられます。

すなわち、数ある商品の中から、どの国が成長するのか、どの業界が儲かるのかを自身で検討して商品を選ばなければなりません。

これからはAIの時代になる! 中国が益々成長する! などの具体的に投資したい先が決まっているのであれば、投資信託は間接的に幅広い投資ができるのがメリットと言えるでしょう。

ただし、投資信託の運用は当初設定したルール(各商品の決め事)に沿って売買していくに過ぎないので、投資後に産業の衰退や、経済の状況に変化が起きた場合には自身の判断で売却する必要があります。

このように投資信託は、商品毎にポートフォリオに組み込む投資先の数や比率など、決められたルールの基でファンドマネージャーがポートフォリオを組まなければなりません。

いくら優秀なファンドマネージャーでも投資信託という枠組みの中では、良いパフォーマンスを出しつづけることが難しいことは、理解していたほうがよいでしょう。

一方のヘッジファンドのファンドマネージャーは、投資信託を運用するファンドマネージャーとは異なり、ヘッジファンドの性質上、自由度の高い運用を行うことができます。

上記で述べた通り、市況に応じてはショートポジション(売り)を持つことにより、下落局面でもリスクをヘッジしてパフォーマンスを出すことができます。

投資信託のように、決められた産業にのみ投資するのではなく、産業も株式の投資先数、状況に応じては空売りをすることで、下落局面でも耐久性があることがメリットになります。

ヘッジファンドを活用するメリット

ヘッジファンドを活用するメリット

上述したように下落局面でも十分に収益があげられるヘッジファンドの最大のメリットは複利の効果を最大限に利用できる点にあります。

短期的にみると投資信託よりもパフォーマンスが劣る局面はありますが、長期的に見て投資で成功するために必要なことは、大きな利益を短期的に狙うことではなく、小さな利益を毎年積み重ねることが、最終的に大きなリターンにつながることを理解することです。

ヘッジファンドを活用した複利での運用

ヘッジファンドを活用した複利での運用

すなわち、投資で成功するために必要なことは、短期的に大きな利益を得ることではなく、複利の効果を利用して長期的に資産を増やす必要があります。複利は元本と利子の両方につく「利子の利子」であり、単利とは全くの別物です。

1000万円の預金を例にとり、年間10%の単利がつくとした場合、10%の利息は元本である1000万円に対してのみつくので、毎年100万円が増えることになる。

1年目の終わりには残高は1100万円になる。2年目の終わりには1200万円。3年目の終わりには1300万円になるが、複利型の口座ならそのときの残高は1331万になります。

ここでは短い期間での例を出しましたが、時が経つほど複利で得られる利益は大きくなり、単利による利益に差をつけることが図の通りわかります。

複利運用の図

1000万円を単利10%で20年運用した場合、3000万円にしかなりませんが、複利運用の場合、7320万円にまで膨れ上がります。その金額は倍以上であり、30年運用した場合には単利が4000万円に対して、複利であれば1億9830万円と長期で運用することでその差は歴然となります。

天才物理学者のアインシュタインが、「複利は人類最大の発明である」と言ったように、資産を築くうえでその複利の効果を利用しない手はありません。

「複利は人類最大の発明である」

②ヘッジファンドの選び方ポイント

ヘッジファンドの選び方ポイント

続いて、ヘッジファンドを活用して長期的に複利運用をする場合、どのようにファンドを選別すればよいかを解説していきます。

ポイント①ファンドマネージャーの実績と経歴

ファンドマネージャーの実績と経歴

ヘッジファンドは、その運用するファンドマネージャーによって運用成績が大きく異なります。そのため、そのヘッジファンドがどのような人物によって運用されているかを知ることは当然重要なことです。

まずは、ファンドマネージャーの学歴や職歴、過去の実績などは確認をしておいたほうがよいと言えるでしょう。一流のヘッジファンドの運用を担うファンドマネージャーは、少なからず一流大学を経て、外資をはじめとする大手金融機関で経験を積んだ者がほとんどです。

ポイント②過去の実績リターンが堅実であるかどうか

過去の実績リターンが堅実であるかどうか

次に、過去の実績については確認をしておく必要があります。実力主義であるこのヘッジファンドの業界では、実績が伴わないファンドは当然淘汰されていきます。資金の集まりが悪くもなりますし、解約者も多く出ることは言うまでもありません。

そのため、過去の実績を確認しておくことも重要になります。
どの程度のリターンであれば、一般的に十分な成績と言えるでしょうか。

例えば投資の神様と言われるウォーレンバフェットであれば、過去50年間に年平均20%(複利)で運用していることが一つの指標になります。S&P500が約10%(複利)に留まっているなか、その倍の運用益を平均で出していることが、投資の神様と言われる所以でもあります。

実際にグラフで見てもわかるように、バフェット率いるバークシャーの運用(青)はS&P500を大きく上回っており、過去50年のうち80%はS&P500を上回り、収益率がマイナスの年はたった2回しかありません。

バークシャー・ハサウェィVSS&P500

様々なファンドがある中で、年率何十%や月利4%などと言ったハイパフォーマンスを謳ったファンドは現実的ではなく、大きなリスクを伴うと考えたほうがよいでしょう。堅実に10%前後の収益率を出しているファンドを長期的に運用することが投資で成功する唯一の近道です。

バフェットも例外ではなく、10~20%の利率を積み重ねることで、複利の力を利用してやがて大きな収益を得ることができたわけですから、いかに堅実に運用を行うことが重要であるかがわかります。

ポイント③過去の下落局面でのパフォーマンスはどうか

過去の下落局面でのパフォーマンスはどうか

またヘッジファンドで重要になるのは、日経平均やTOPIX、米国でいうところのS&P500などのインデックスの下落、すなわちマーケットの下落時にどのような収益率であったかを確認する必要があります。

多くの投資信託の場合、ベンチマークを各指標に設定しているため、マーケットの下落時には同じくマイナスパフォーマンスになりますが、ヘッジファンドは絶対的収益を目標にしているため、マーケットの下落局面でも収益を創出することができます。

日本株で運用するヘッジファンドであれば日経平均株価、米国株であればS&P500とファンドのパフォーマンスを比較するとよいでしょう。

③日本株ヘッジファンドおすすめ3選

日本株ヘッジファンドおすすめ3選

おすすめ3選
  • BMキャピタル
  • ひふみ投信
  • ストラテジックキャピタル

1位 BMキャピタル

資産を守ることを哲学とした老舗ヘッジファンド。日本の上場企業の分析を得意とし、日本の企業にバリュー投資を行っています。年間を通してマイナスになった年はなく、平均利回り10%以上を達成しています。

✓ファンドマネージャーは東大卒行後、外資銀行出身

✓運用利回りは平均10%以上

✓マーケット下落局面でもプラスパフォーマンス

注目ファンド

詳細な投資分析によるバリュー投資を中心に実践しており、短期的な利益追求ではなく安全性を追求しながら中長期的な利益を求めているヘッジファンド。

詳細はこちら

2位 ひふみ投信

NISAなどでも買えるので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

銘柄の規模や業種、目先の実績にこだわらず、徹底的な分析を行うのが特徴です。投資先に実際に足を運び、経営者とも対面しています。

運用部のメンバー全員で議論を尽くし、それぞれのスタイルで成長を遂げていく会社を選び、長期投資を行っています。

投資先を応援するようなファンドですね。

3位 ストラテジックキャピタル

代表取締役の丸木氏は、旧村上ファンドのナンバー2。

ファンドの手法は、いわゆる「物言う株主」で、市場からの評価が低い株に投資し、経営陣に対して積極的に改善の働きかけを行っています。

過去の投資銘柄や現在の投資銘柄、どういう書面を投資先の各企業に送付しているか発表しており、情報公開に力を入れているようです。

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